SamSuka
夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


仰げば遠く狂おしく

§  教室にミスはつきもの。   「じゃあ……、5番の子?」 「はい、ママ。……あっ」  よくある言い間違いに学友たちも笑う。赤面すれば更に笑われる。当然だ。高校生にもなってこれは恥ずかしい。しかも、ママだなんて。 「は~い言ってごらん、マ・マ・に♪」 さらに大きくなる笑い。 熱くなる顔を上げれば、清楚な女性と視線がかち合った。  ゆったりと、優し気に笑む先生。栞先生だ。  若々しい見た目にもかかわらず落ち着いた空気をまとい、その包容力に思わずドキリとしてしまう。  仕方ないじゃないか、だって、こんな風に微笑まれたら……。  シャツに白いロングスカートを着ているそれは、新しく来た先生だった。次々に来ては入れ替わる、教育実習の教師たち、だけれど、栞先生は卒業までの半年、しっかり僕らを見てくれるらしい。  それは、僕らにとって福音だった。 サイドに垂らした一本テールがかわいらしく、美しく、お姉さんと言うにふさわしい雰囲気。  そんな美女が、クスッと笑うのだ。  思わず僕は、教科書で顔を隠してしまう。    そこに、渡りに船のチャイム。 「今日はここまでにしましょうか」  教科書をぱたんと閉じて、栞先生は言った。 「じゃあ梓くん、終わったら、ね」  そう、僕にこっそり一言添えて。  ⁂  男らしさというのに憧れていた。精悍な顔つき。屈強な肉体。どれも僕には無いものだ。せめて、身長があと10㎝、いや、15㎝あれば僕も……。  けれど、童顔チビ男子は変われない。  だからなのだろうか。  いつものように僕は、準備室のドアに立つ。 「先生、来ました」  奥から“はぁい♪”と答えて、先生は入るよう促した。 「ふふっ、時間に正確なのはいいことです♪」  中に入れば、そこにはゆったり脚を組んだ栞先生の姿。薄いロングスカートに、脚の起伏が浮き出ている。さっきの清楚な雰囲気とは打って変わって、妖艶な、どこか甘やかな香りさえ感じさせるオトナの仕草だ。 「何されるかなんて、わかってるくせに♪」 「そ、そんなこと……」 「ふふっ、照れてる照れてる♪ ホントかぁわい……♡」  思わずうつむく僕を、先生はすっぽり抱き込んでしまう。スラリとした長身美女に、僕は小さすぎるのだ。 僕は顔を赤くした、俯き、振りほどこうとした。けれど、それが無駄だなんてこと、先生が教え忘れるはずもない。  だのに、ぞわぞわとした感覚が心臓を這っていく。  それは、自分が浸食されていく、書き換えられていく、本能的な恐怖。  抵抗をやめるなど、不可能だった。 「男子高校生なのに、女の人にも負けちゃうんですか? ほら、抵抗してみてくださいよ。ふふっ、でももし出来なかったら……♡」  クスクス笑いながら耳を食まれる、それが屈辱なのに気持ちいい。そして、余計僕の焦燥感をくすぐるのだ。怖かった。先生が、自分が、その弱さが。もう、諦めることなんてできない。 僕は涙目になって抵抗した。このまま負けたら、僕は男じゃなくなってしまう気がした。けれど、肩におっぱいの若々しいハリを感じれば、フニャフニャと心が緩んでしまう。押し広がって、むぎゅぅ……っとあふれるのだ。背中に潰れおっぱいの面積を感じ、心が折れた。  ついに、腕ごと抱きしめられてしまう僕。 「えへへっ、つ・か・ま・え・た♪」  そのまま、机に押し倒され強引に唇を奪われれば。 「や、やめてぇ……」  とろんっと、僕はもう骨抜きだ。 「いいんですか? 女の人に好き勝手されちゃうんですよ? こうやって……、あむっ♪ 耳をはまれたり♪ こうやって……、んぁ……ッ♪ 首筋舐められたり♪ ふふっ、顔ぐっちゃぐっちゃで、気持ち悪いですよ~♡ もう、ズボン下ろされてるのに抵抗しないんですね?」  僕にのしかかり、全身を愛撫する先生。ずっしり確かなその重量感が、成熟した女体を感じさせて、それだけで胸が苦しくなる。あまつさえ、貧相なペニスをしっかり見られてしまったのだ。僕の恐怖も興奮も、全て先生に丸見え。 (犯されちゃうんだ……。僕、こんなきれいな人に好き勝手されて、このまま、このまま……!)  そう思うと愚息も頭をもたげてしまう。  期待と絶望の入り交じる脳内。押しのけようとしたってチビな体じゃ、ろくに押しのけられやしない。  もうダメだ。  ついに、先生にのしかかられて、ゆっくり、ゆっくり腰を下ろされていった、 その時。  けれど。  唐突に栞先生は、身を起こした。 「先生……?」 「あーはっ♡ 犯してもらえると思った?」  僕の胸に耳を寄せ、上目遣いに妖しく微笑む。 「うふふっ♪ すーっごくドキドキしてる♡ でもまだダーメっ♪ 素直にならなきゃ……。あなたが頼んだら、イイことしてあげる♪」  あっけにとられる僕を、クスクス笑う。  その、表情の艶美さ。上げた口角の大人びた角度や、棘ある薔薇のような半目の視線、イタズラっぽく僕を見下ろす視線の冷たい熱に、未熟な僕の股間が黙っていられるはずもない。  あまつさえ、意味ありげに口元を股間に近づけるものだから興奮はいや増した。 「先生……、あの、僕、ぼく……!」  言いたい。今すぐ服従したい。そのままめちゃくちゃにエロ肉を叩きこまれたい。でもそうしたら、そうしたら僕は僕でなくなってしまう。 期待と困惑のないまぜになった僕の視線を、からかう栞先生のまつ毛。それから目を伏せ、ビクビクするペニスにぷっくり唇を近づけ、近づけた、そのとき——! 「ふーーっ♡」  甘い吐息を、思いっきり吹きかけたのだ。 「ッ!?」  温かな媚風に撫で上げられて、男根が耐えられる訳もなかった。先生の口内、舌で転がされたっぷりフェロモンを孕んだ甘酸っぱい吐息が、瑞々しい肉厚のリップを通り僕の股間へ襲い掛かる。そんなの、敏感な亀頭にはビンタも同然。 「~~~っ!!」  汚い水鉄砲のように、白い液を吹き上げるペニス。  これだけでイカされてしまい、僕は涙目、嗚咽さえ漏らさんばかり。  だからこそ、悟ってしまう。  とてもじゃないけど、僕は栞さんに釣り合わないのだ。  対する先生は、クスッと男児をせせらわらうと、そのまま、教室を後にしてしまった。  ⁂  生殺し。    気が変になりそうだった。 「ですからこの構文も……」  先生のわかりやすい説明さえ耳に入らない。  教壇の上、はためくスカートのラインから目を離せずにいたからだ。  あのスカートの中では、オトナっぽい下着が控えているのだ。チラチラと見えるストッキングの足先、艶めかしいハイヒールが視線を吸い寄せる。 「……♡」  そして時折、誰にもバレないようこっそり太ももを見せつけては。その日に、どんな下着を穿いているのか、タイツやショーツ、ニーソ、生脚、その色っぽさで僕を惑わせた。  オトナ先生の色仕掛けに、男子高生が敵うはずもない。  限界が来るのはすぐだった。 「あの、先生……」  気づけば僕は、教室を後にする先生の裾を掴んでいた。 「僕、僕もう我慢できません!」  その時どんな顔をしてたのか、考えたくもない。  ひと目僕を見た途端、先生は艶笑を浮かべ。  教え子を、例の部屋へと引き込んでしまう。 「我慢って、何かしら? 先生聞いてあげるから、言ってごらん♪」 「僕を、お、男にしてください……!」  涙目にさえなりそうな勢いで、オトナの女に頭を下げる僕。  それを見た先生は、手さえ叩かんばかりにはしゃぎ声を上げた。 「キャハハハっ♪ “男にして”、だ~って♪ ふふっ、かぁわいっ♡ でも悪いけど、オトコにはさせてあげられないかな~♪」 「そ、そんなぁっ!」  情けない声を出す唇を指でふさぎ、先生は茶目っ気ある笑いで僕を黙らせる。  そして、僕の目に期待の色が浮かぶのを待ってから。 「でも、そのかわり……」  そっと体を抱き寄せ。 「あなたは、小人になるの♪」  僕を、思いっ切り抱き締めたのだ。  あとは、甘い呪文の言葉。 「ちっちゃくなぁれ♪」  そう言うや否や。  僕を挟み込む、でっかいおっぱいが更にふくらみ始めた。 「えっ!? えっ!?」  慌ててもがいたって、もう遅い。縮み始めた僕の体は床を離れて宙ぶらりん、栞先生の胸に吸い込まれるように短く細くなっていく。 「わっ、わっ!?」 「あはっ♡ 私の中でちっちゃくなってる……♡ 胸にのしかかられて苦しんでる♡ ふふっ、かぁわい♡」  僕の胸に押し当てられた2つのふくらみは、起伏を大きく、巨きくしていき、その立体感はもはやバランスボールのよう。体さえその谷間にハマり込んだと思えば、“むぎゅっ♡”と抱きしめられてしまう。そのまま頭を、体を、果ては背中まで包み込まれてしまう始末だった。 「はぁ……♡ 教え子、ちっちゃくしちゃった♪」  うっとり漏らす、その声の大きなことと言ったら他にない。  それから、ふんわり手を緩めると。  頭上で揺れる、下乳の底。  跨げないほど大きく盛り上がる、太ももの土手。  見上げればそこには。  4倍巨女と化した、でっかい先生の微笑が浮かんでいて……。 「もっと可愛くなっちゃったね、梓くん♡」  ミミズを見下ろす猫のような目で、そう言ったのだ。 「せ、せん、え、えっ……??」 「あっはは♪ 声も出なくなっちゃった? それとも小さすぎて聞こえないのかしら。そんな顔すると、ますますイジメたくなっちゃうぞ♪」  僕の腕より太い人差し指で突かれれば、簡単に押し倒されてしまう僕。スカートの上、白いカーブに沈むと、途端に視界は周囲から遮断されてしまった。 「ふふっ、よわっち♪ このまま太ももで挟んで上げる♪ こうして、なが~いスカートの中に隠して♪ 太ももで、包囲してっと♪ もう逃げられませんよ~?」  もがく僕をロングスカートで覆い隠し、太ももの間に監禁する先生。そうすれば、ぎっちりタイツ生地で戒められたその肉感たっぷりおみ脚は、僕を囲う巨壁と化してしまう。  僕は太ももの間、先生の第三の脚のように寝転ぶばかり。スリスリと悩ましく僕を襲う内ももに、なんとか抵抗しようと躍起だ。でも、どんなに指を食い込ませたってたわみもしない、人口繊維の集積。若々しい肌に限界まで引き延ばされ、脚の形へぎっちぎちに変えてしまっていたのだ。触れればこんなに柔らかいのに、その弾力ある女肉の層がナイロン繊維に悲鳴を上げさせる。熱とフェロモンを染み付かせ、溢れさせ、自身の肉体へと同化させてしまっていた。  そんな、そんな凶悪エッチな柔肌が迫ってくれば……! 「うわ、わああ!!」  僕とは違う、女の人特有の体つき、それも、世界で最もエロい太ももウォール。そのあまりの官能美が恐ろしく、思わず上がるのは叫び声。けれど、すでに腕はお肉の下敷き、体はエロス漂う空気で骨抜き、僕など羽をもがれた鳥に他ならない。そこへ、悩殺的な黒ストおみ脚が襲い掛かるのだ。 「ふふっ、私の太ももなんかが怖いんですか? だっさ♪ 女性の脚に泣かされちゃう、チビザコ男子高校生♡」  そう言いながら、ゆっくり、ゆっくり僕を追い詰める茶色の壁。 恐怖を煽るその動きに合わせ、光が美脚の表面を走る、起伏を照らし出す。  その美しさに見惚れているうち—— 「えいっ♪」 「ふぎゅっ……!?」  “みちぃ……ッ♡”、と。  僕は、太ももの中に閉ざされてしまったのだ。


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