SamSuka
夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


サイズフェチ百景 百合×縮小蹂躙

§  教室に二人、少女が二人。  制服をはだけ、向き合って。  陶然としたその視線を絡みつかせる、それは耽美な少女らの愛の現場だった。 「……ユカの、バカ♡」  長い黒髪の少女が、相手の頬を手に包む。未だ恥じらいを捨てきれないウブさを愛おしむように、髪を撫でながら。手を通る短い栗色の髪。ユカと名指された少女は、弱気な視線を逸らしただ愛撫を受け止めるだけだ。 「だって、もうこうするしか、ないって思って……」 「それがバカって言ってるの♪」 「……アミのいじわる」  拗ねたように目を逸らす少女に、そっと黒髪娘が口づけをする。ぎこちなく、軽い少女らのキス。相手を求めあいつつ、それが禁じられたものであることを忘れられない。しかし、一度踏み越えてしまった掟は次第に意味をなさなくなり、制服を乱し、服の中にそっと手を差し入れて、もはや引き返そうとはしなかった。 「ダメ、だって……」 「誰も来ない」 「でも、見てる……」  そう言って、チラリと手許に一瞥くれる少女。その先には、わずかにタバコ箱に似たものが一つだけ。一見して何の変哲もない小箱は、けれど静かな喧騒のようなものをたたえていた。 「私にも見せてよ」 「……落とさないでね?」 「ユカほどおっちょこちょいじゃないよ♪」  アミが箱というにも小さなそれを指に摘まみ、それを横から覗き込めば、 「うわ、キモち悪っ……♪」  ──そこにいたのは、無数の小人たちの姿だった。  マッチ箱程度の小さな箱、そのわずかな空間にゴマ粒サイズ以下の小人が詰まっていたのだ。その数はざっと30人。もはや自分たちを見つめる黒い瞳がなにかもわからない。ただただ、巨大な存在に意識を向けられ恐怖の声を上げるばかりだった。   「わ、本当にみんな入ってるんだ」 「貴女が縮めたんじゃない」 「そう、だけど……」  未だ自分の犯したことに実感がもてず、もごもごと視線を落とす茶髪娘。そんなユカのそぶりが、アミにはいじらしく思えて仕方ない。手の中で沸き立つ絶叫も耳には届かなかった。自分と彼女、二人だけがいる。閉じられた世界で、自分たちの鼓動だけが甘く響いていた。 「でも、私、わたし……」  これからどうしよう……、とでも言いたげに自分に縋り付く視線に、アミは“アハッ♪”といつものように笑うだけ。  そして、茶髪娘の耳元にそっと耳打ちすると、 「コワしちゃお♡ 私たち、こいつらの神様になったのよ♪」  そんな甘い囁き声は甘美に胸に響いて。  美少女たちは、クスクス笑いあったのだった。  ⁂  クラスの女子二人が付き合っている、そんな噂が正鵠を得ていたことは、栗色の少女の反応を見れば一目瞭然のことだった。澄ました顔で日々を送るアミとは違い、動揺に弱いユカは理解のない衆目に晒されることに耐えられない。その結果、却って学友たちは少女らの秘密に尾ひれどころか羽さえ生やし、方々へと飛び立たせていった。  幼稚な魂を箱に詰め、ろくなことが起きるはずもない。噂の一滴は波紋を呼び、波同士がぶつかって疎外を生む。小さな箱の中で反響し合う馬鹿げたゲームは、二人の犠牲の上で勢いよく燃え立った。所詮コップの中の嵐、とはいえ、それが軽い意味を持つという訳ではない。  そして来した破綻が、これだった。 『も、もう戻せない、よね』 『みんなにバレちゃったんだよ? それに、私たちのこと仲間はずれにして……。ユカも、もう未練ないでしょ?』  クラストップの美少女二人、その美貌が窓外から覗き込んでくる様に、教室は混乱の渦中にあった。当然だ。彼らにとっては実に500m級の超巨人が二人、自分らを囲みそびえたっている。瞳孔でさえ窓より大きいのだ。もはや意識を逸らすことすら許されない。二人の華やかな香りが部屋いっぱいに広がり、声はガタガタと机を歩かせる。手のひらの上に乗せられ、床の下からは少女の手の体温が部屋全体を熱してうだるよう。そして自分らがどこにいるかもわからないまま、左右から覗き込む虹彩の鮮やかさに恐怖するのだった。  しばらく、神秘に触れたように小人たちを見つめる少女たち。使ってはならない器械を使ったことに良心の呵責は否めないものの、二人だけの秘密だと思うとそれも背徳感へと変わっていく。  その禁じられた甘美さは、少女の心をくすぐったようで。 『どうせなら、使っちゃおうよ♪』  アミは、イタズラっぽくそう言ったのだ。 『使う……?』 『こうするの♪』  ユカの唇に指を添わすアミ。  そして僅かにそれを開かせると、 『ふふっ、食べちゃえ♪』  クラッカーのように教室を咥えさせてしまった。 『っ!?』  少女が目を丸くする、そうする間にも唇は柔らかくも教室を軋ませていった。むっちりとした少女のリップ、その間に数十人の命が閉じ込められているのだ。唇が、一斉に窓を曇らせるとシワの形を浮かび上がらせる。絶叫するクラスメイトらも、ユカが驚きにモゴモゴと口を動かせばまとめて床を這いずり回るだけ。  そんな驚天動地に、アミも口を近づけると、 『ふふっ♪ あ~むっ♪』  もう一つの赤い唇も、反対側からそれを咥えてしまう。ポッキーゲームのように、教室の両端を咥える美少女たち。32人の友人を唇の間に捕らえ、けれどその意識は既に相手の唇にしかない。  それから、歯を添わせると……、

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