流刑少女 壱の国 7
Added 2018-07-28 13:06:57 +0000 UTC三日三晩の間、大国から送られてきた囚人の少女は、此の国の手で責められ続けた。 昼は国民の手によって虐め抜かれ、夜は怪しげな薬に漬けられて放置される。ほとんど休むことなく続けられる責めは彼女の心身を疲弊させ、普通の人間なら幾度廃人になっていたかわからない。 すでに廃人となっている可能性もないわけではなかったが、彼女を解放する日の朝、彼女の元にやって来た長官は、彼女の様子を見て、幸いそうではないと判断した。 昨晩から彼女はツボの中に詰め込まれていた。ツボは彼女が身体を窮屈に曲げてようやく入れる小さいもので、彼女はその中で白濁した特殊な液体に一晩中漬け込まれていた。 当然、その白濁液はただの液体でも精液でもない。この国で採れる特別な果実を発酵させて作られた常習性のある媚薬であり、国が危険なものとして管理下に置いている代物だ。 そんな液の中に漬け込まれていた囚人は当然無事では無い。全身を苛む激しい性感の迸りに性器が疼き、ツボに窮屈に身体を詰め込まれた状態でもがいていた。 狭いツボの中に押し込んでいる以外、現在彼女の身体を縛る戒めはない。舌を噛んで死なれても困るので、猿轡を噛ませているくらいだ。ゆえに明瞭な喘ぎ声はあげられず、呻いているだけなのだが、その身体は大きく重いツボをもかすかに揺らすほどに震えている。 それは恐怖や寒さなどによる震えではなく、絶頂に達しているがゆえの震えだと、誰もが察していた。 彼女は狭いツボの中、押し込まれた身体をなんとか動かし、自分の指で自身の性器や肛門を弄ることに成功していた。当然その体勢や格好は非常に無様なものだった。 もしも何も知らない生娘がこの女と同じ格好をしろと命じられれば、全身全霊で拒否するだろう。こんな格好でこんな真似をするくらいなら舌を噛んで死ぬ、と百人中九十九人が断言するはずだ。それくらい、囚人の彼女の格好は無様であり、卑猥であった。 現に極力自身の感情を表に出さないようにしている尋問官の者たちですら、その囚人の醜態・痴態には眉を潜めている。頭巾を被っていて表情は見えないが。 この国の国民の中で囚人の彼女に対して同情的な感情を持っている者は――ごく一部の例外を除いて――すでにいなかった。ほとんどの国民は彼女のことを、人間の形をした性玩具として見ている。 そうなるように仕向けたのだから狙い通りなのだが、国民があまりに簡単に扇動されていることに上層部としては危機感も同時に抱いていた。 ともあれ、いまはそのことは脇に置いておくべき話である。 「引き摺り出しなさい」 長官が尋問官達に命じ、尋問官たちが動く。当然、薬に影響を受けないよう、解毒剤は摂取済みだ。 尋問官たちが荒縄を握ってツボに手を突っ込む。押し込まれている彼女の身体の間に縄を通し、その身体に結びつけた。 そして、その縄を滑車で引き、強引にツボから引っ張り出す。それくらいしないと、無理矢理詰め込んだ彼女をツボから出すことが出来ないのだ。 「うぐぅううう!!!」 腹部に縛り付けられた荒縄が彼女の身体に食い込む。うめき声をあげ、身体を軋ませながら囚人の彼女がツボから吊り上げられた。その全身は媚薬と汗、そして愛液に濡れ、思わず触れるのを避けたくなる。そんな彼女の全身を、尋問官の女性達が無造作に布で拭う。 そうやって濡れた布をツボの中で絞り、液体をツボに集めていた。これが非常に凶悪な媚薬になるのだ。 元々まともな用途に使われる薬ではないので、衛生的な問題は気にする必要はなかった。 ある程度身体を拭かれ、綺麗になった囚人は床に横たえられる。誰も特になにもしていなかったが、彼女の身体は激しく震え、横たえられた地面の刺激によって絶頂しているのは誰が見ても明らかだった。だらしなく開かれた股間から激しく潮を吹いてさえいる。 「……ふむ。十分薬の効果は浸透したようですね」 長官がそう言いつつ観察していると、囚人の彼女は絶頂の余韻か震えている腕を動かし、自分の身体を触り始めた。身体が疼いてしかたないのだろう。少しでも性的な刺激を与えようと、手が乳房や秘部を弄り始める。 「ふふ……見られているのに自慰を始めようとは……もはや恥も何もなくなったようですね」 長官はわざとらしく嘲笑し、囚人の女性を煽るが、彼女の耳にはその言葉がそもそも届いていないようだった。 乳首を捻り、クリトリスを擦り、少しでも快楽を得ようと足掻き続ける。しかし薬によって極限まで高められた性欲はそんな刺激では収まらない。何度絶頂しようと、永遠に疼き続けるのだ。 それでも手を動かすことは止められないのか、必死に自分を慰め続ける囚人。 長官はそんな彼女に歩み寄ると、その脇腹を爪先で蹴り上げた。 「ウゲッ!」 突然の激痛に脇腹を押さえて囚人が悶絶する。一時的でも性欲を打ち消すにはそれ以上の刺激を与えるしかないのだ。 「いつまでも猿みたいに弄ってるんじゃありません。立ちなさい」 長官はそう命じる。すると、囚人は苦しみ悶えながらも、ふらつく足取りではあったが立ち上がった。その様子を見て、長官は自分の見立てが間違っていないことを知る。 (普通ならもうとっくに廃人になっていておかしくないのですが……さすがの耐久力といったところでしょうか) 立ち上がって長官を見る彼女の目には――性欲に霞んではいたが――いまだ意思の光が宿っていた。廃人になった者には決して宿らない光だ。 この異常な耐久性も国として調査したい内容である。どんな手を使えばここまで精神的・肉体的に丈夫な人間を育てることができるのか。それがもし真似できるものであれば、この国の国民にも施したい教育である。 (囚人達は大国でのことを喋らない……大国が指定する滞在期間では、尋問で口を割らせるには短すぎる) バイクを破壊し、囚人をこの国に縛り付けようとしているのは、囚人から出来る限り情報を引き出すためでもあるのだ。 長官はそんなことを考えつつ、首輪の機能を使って彼女の全身を覆うラバースーツを展開させる。顔どころか頭部までもがラバーに寄って覆われ、彼女の身体で外気に触れている箇所はなくなった。普通ならば窒息を心配するところだが、わずかに穴が空いているのか、その心配をする必要は全くなかった。 ラバーは目や耳もあますこと無く覆っているため、のっぺりとしたわずかな凹凸のみがある、黒い人形という状態だ。 「『全身貞操帯モード』」 そう長官が呟くと、囚人の身体を覆うラバースーツの硬度が増した。 彼女はまだ身体が疼くのか、立ったまま手を乳房と秘部に伸ばしたが、刺激を与えようとした指先は硬化したラバースーツに弾かれ、全く刺激を与えることが出来なかった。 身体を動かすことに支障はないが、肌に対する刺激の一切を禁じることの出来る便利な機能である。 囚人は身体のどの場所を触っても思った通りの刺激が得られないことを知っているだろうに、必死になって身体を弄っている。ラバーに閉じ込められた彼女の中では、性感だけが燻り、高まっているはずだ。 無様な彼女の様子を眺めつつ、長官は彼女に命じる。 「これから場所を移動してもらいます。付いてきなさい」 そう長官が言うと、囚人の首輪から細くも丈夫な鎖が垂れ下がった。 長官は首輪が自身の発言を分析し、理解できていることを改めて理解する。 大国の技術力を前に内心で戦慄しつつも、態度だけは余裕を見せて、垂れ下がった鎖を無造作に手に取った。 「さあ、行きますよ」 長官が手に取った首輪の鎖以外、囚人の身体を縛る拘束具はない。 だが囚人の逃亡はもはや不可能だと長官は判断していた。すっかり薬に浸された彼女は、走って逃げようにもその刺激だけで絶頂してすぐに足腰が立たなくなるだろう。現に鎖を引いて歩かされているだけなのに、彼女は身体を震わせ、何度も絶頂しているような様子がある。小さな呼吸穴では満足に呼吸も出来ないだろうに、荒い呼吸を繰り返し、いまにも倒れそうなほどふらついている。 連日の責めの効果もあり、これで逃走にかかることができれば奇跡だろう。 (……ただ、油断はできませんね。先日あの人が刺した傷も……すでに支障が無い程度に治っているようですし) ラバースーツの耐久度を確かめた際、司令官が彼女の太股にナイフを刺した。 それはそれなりに深い傷で、この国の人間が同じ傷をつけられたら、数週間は足に違和感を覚え、歩き方が不自然になるほどの傷だった。 しかし囚人の彼女はわずか数日で自然に歩ける程度に回復している。一応、薬を塗って処置はしたとはいえ、とんでもない治癒力だ。 (この体質の秘密についても、じっくり調べればわかるかもしれない……そのためにも) 大国という虎の尾を踏むような危険を冒してでも――彼らは計画をやり遂げなければならなかった。 長官が囚人を連れてやって来たのは、中央管理等の地下にある尋問室よりも、さらに地下。中央に井戸のように深い深い穴の空いた、円形の地下室だった。 尋問室はまだある程度室内としての体裁が整えられていたが、この部屋はそれもない。掘り抜き、削り取った大地そのままの、むき出しの土や岩が覗いている。中央の穴の上には大がかりな滑車があり、かなり重い物をつり下げられるだろう。そこにつり下げられたものがどこに落とされるかは、滑車の真下に開いた穴が示している。 「彼女を『鉄の揺りかご』に拘束してください」 長官が尋問官たちに命じると、尋問官達は特別な拘束具を持ってきた。 それは鉄で出来た、人の形をした籠だ。それはM字開脚の姿勢のまま、人間を拘束するための道具だった。 両手は指を一本一本広げた状態で、顔の左右で固定するようになっている。例えるなら、潰れたカエルのような体勢になるのだ。 鉄の籠はかなり細かく出来ており、囚人の自由を徹底的に奪うことが出来た。指先ひとつひとつに鉄の輪が嵌まり、手首、二の腕、肘、付け根と一ミリたりとも動かす余裕を作らない。彼女専用に作られているわけではないのか、ところどころ緩かったりキツかったりしたのだが、鉄の特性を活かし、緩いところは叩き、キツいところは引っぱって調節が利くようになっていた。 結果として、彼女は体中を鉄の輪によって絞り出され、見るも無惨な格好をわずかにも動かせないように固定されてしまった。 額、鼻、顎と頭部も徹底的に固定されているので、顔を俯けたり背けたりする自由もない。身体を動かせないというのは苦痛を伴うことだ。いままでの袋詰めやラバースーツの硬化による拘束も中々の者だったが、今回の拘束度合いはそれ以上と言えるだろう。 長官が最後にすべての拘束が完全であることを確かめ、満足そうに頷く。 「よし、いいでしょう。では、始めましょうか」 長官は囚人の身体を拘束する鉄の籠の、頭頂部にあたる部分を確かめる。頭頂部には何かを引っかけられるフックのような突起物があり、長官はそのフックに天井から伸びている鎖の先端をひっかけた。滑車を用いた機構を活用し、人間ひとりの重量に鉄の檻の重さが加わったものを、ゆっくりと持ち上げていく。 持ち上げられた囚人は、まさに鉄の揺りかごに捕らわれている状態だ。穴の上に移動させられ、あとは降ろしていくだけの状態となる。 長官は首輪を操作し、全身ラバースーツ状態を解除する。ラバースーツがなくなり、全裸で鉄の籠に閉じ込められている状態になった囚人は、不安そうに目だけを動かして自分の状態を確認していた。 胸の上下や左右に籠が食い込み、括り出された乳房の頂点、乳首を長官が捻る。 「ンンン――――ッ!!」 激痛に悶える囚人だが、その身体にはもうわずかな自由もない。鉄の籠が軋むだけで終わった。 「それではこれより貴女には地下100メートルまで降りてもらいます。大抵の囚人は寒さやそのほかの理由で死にますが、まあ貴女なら半日くらいは平気でしょう。もし死にそうになっても、首輪が助けてくれるでしょうし」 首輪の機能を停止させる方法はない、とされている。 だが、どんな優れた技術でも動力は有限であり、バイクに戻さないまま時間が過ぎれば、いずれ機能が停止するのは確実だ。 そのための処理だった。 囚人にその意図はわからないはずだったが、それでも今日が期日のはずなのにいまから半日も閉じ込めることに疑問を抱いたようだ。不安そうな目で長官を見つめている。 実際、彼女の危機感は正しい。長官は半日は平気だろうと口にしたが、実のところ数日間は降ろしたままにするつもりだったからだ。 「ああ、もし催したらそのまましてくださって構いませんよ。定期的に穴には水を満たして洗い流しますから、水分補給はその時に頑張ってください」 「んぐぐぐっ!?」 「顎は押さえられていても、唇の隙間から水を飲むことはできるでしょう?」 長官はわざとらしく指摘する。 無論、水が周りに満ちた状態で水を飲むなど、とんでもない暴挙なのだが。 これから待ち構える苦痛を想像したのか、囚人は鉄の籠を軋ませて暴れる。そんな彼女の必死な抵抗を愉快そうに眺めつつ、長官は命令を下した。 「降ろしてください」 「ンンンン――――ッ!!!」 囚人の姿が穴の中に消えていく。しばらくはうめき声が反響して聞こえていたが、やがてそれも聞こえなくなった。 それを確認してから、長官は素早く指示を下す。 「蓋を閉じてください」 尋問官たちが穴の左右に開いてあった半円形の蓋を閉じる。囚人を吊した鎖だけが通る隙間を残して、完全に囚人は穴に閉じ込められた。 「……さて、これで不可思議な方法で位置が悟られないようになったはずです」 かつて、とある国が大国の囚人を秘密裏に国外に連れ出し、囚人が逃げたことにしてそのまま拉致しようとしたことがあった。絶対にわからないよう、国の地下に作った地下道を通って別の国まで移送したのだが、その際、囚人を連れていたバイクは囚人が地表に出た途端、その国に移動して囚人を回収したという。 このことから、なんらかの方法でバイクは囚人の位置を把握しているが、地下にいるうちはわからないということだとされていた。 ゆえにこの地下空間が用意されたのだ。これは、万が一のための布石であった。 (……この準備が、過剰で終わればいいのですけどね) 長官はそう心の中で呟き、地下室を後にした。 いよいよ、この国の命運を賭けた大博打の時だった。 バイクが指定した期日の直前。 中央管理等の前に、一台のジープが停まっていた。 その運転席には長官が、そしてその助手席に司令官が乗り込む。 「……いよいよですね」 長官が緊張と共に呟くと、司令官はその妖艶な美貌で笑って見せた。 「長官殿でも緊張するんだな。いつもの飄々とした態度はどこに忘れてきた?」 「そりゃ、私でも緊張くらいしますよ。やれるだけのことはやりましたが……もしかするとあのバイクはそれを上回ってくるかもしれない」 「その時は素直に負けを認めるしか無いな――だが、その時は君と私の命でなんとか手を打ってもらおう。悪いがその時は一緒に死んでくれ」 司令官の泰然とした態度に、長官は苦笑いを浮かべる。 「……肝が据わってますねぇ。その度胸を少しはわけていただきたいものです」 「馬鹿者。私がこんな態度でいられるのは――君が一緒にいるからに決まっているだろう」 驚いて司令官の方を向いた長官の唇に、司令官がその唇を合わせる。 一瞬のことだったので、周りの者も気づいていなかった。いや、気づいていたとしても、それをはやし立てるような不作法者はその場にはいなかった。 呆然とする長官に対し、司令官は前を向いて指示を出す。 「さあ、行くぞ。出してくれ」 その頬がほんの少し赤いのを見た長官は、可愛らしい自分の愛しい人を抱きしめるのを、ありったけの精神力を用いて我慢しなければならなかった。 「……今日の夜は、覚悟していてください、ねっ」 言いながらジープを発進させる長官。 そして、一世一大の大博打が始まった。 遠くにバイクが見えてくる。報告にあがっていたように、バイクはその形状を丸い卵状に変化させており、ここ数日ある場所から全く動いていなかった。 (人質を見えないように確保してくださってありがとうございます――さすがに、無防備な人質が見える状態で攻撃を指示するのは、こちらの士気にも関わりますからね!) そう内心呟く長官が所定の位置でジープを停める。 助手席の司令官が、その手を振り上げ、そして、振り下ろした。 その瞬間、バイクを中心とした直径50メートルの範囲が崩落する。 実はこの一帯の数十メートル地下には、高さ10メートルほどの空洞が用意されていた。その空洞は簡単に崩落させられるように細工がしてあり、地上にいる者をその崩落に巻き込むことが出来るようになっている。 こういった場所はこの国に数カ所あり、何十年も前からこの計画が合ったことを示していた。 長官は崩落に巻き込まれないよう、素早くジープを後退させつつ、中心にいたバイクが崩落に巻き込まれるのを見た。 さらに、ある程度離れた位置にあった家屋が突然倒れ、その中に設置されていた投石機が現れる。 号令も何も無かったが、投石機を扱う衛兵達は連携して投石機を動かし、崩落した場所に向けて人間なら数人まとめて潰せる大きさの石を投下していく。 石は次々穴の中に飛び込み、中にいる者を押し潰してしまうことだろう。 さらに遠くに待機していた自走砲部隊が慌ただしく展開し、その砲撃を穴に向けて次々と繰り出し始めた。 爆音と震動が幾度も響き、崩落した穴の中を地獄へと変える。 「……何発か穴の外に着弾しているな」 司令官は冷静にそれを確認し、眉をひそめていた。 「仕方ありませんよ。感知範囲外に置いていた自走砲を射程内まで走って持ってきて即座に撃てっていう無茶ぶりですから……むしろ精度は良い方では?」 「砲兵部隊は鍛え直しだ」 最高責任者ふたりがそんな軽口を叩く間も砲撃は続き、気づけば陥没した穴は縁が崩落し、かなり埋もれた状態になっていた。 バイクの姿はそこにはなく、投石や爆撃で掘り返された土塊に埋もれてしまったと見える。最後の爆撃の余韻も消え、立ち上る黒煙以外、静かなものだった。 「……やった、と思うか?」 「砲撃は我が国最大の攻撃手段です――これで破壊できないわけがありません」 自分に言い聞かせているのか、破棄できることを強調して呟く長官。 それには司令官も同意なのだろう。異を唱えずに穴の様子を眺めていた。 やがて黒煙も落ち着き、崩落した穴が完全に静かになる。 緊張感を持って見つめていた司令官と長官、そして作戦に参加した衛兵達。 数分待っても、何の動きもないことを知った彼らは作戦の成功を確信し、高々と勝ち鬨をあげる。緊張が解けた反動か、近くにいた同僚と握手を交わしたり、抱き合ったりする者もいた。 最後まで気を引き締めていた司令官と長官も、その顔を見あわせて笑い合う。 『――糞が』 その低い声は比喩では無く言葉通りに、地の底から響いてきた。 つづく