SamSuka
夜空さくら
夜空さくら

fanbox


流刑少女 壱の国 おわり

 ある時、ある国で、砲弾の輸送中に偶発的な爆発事故が発生した。  その爆発の規模は凄まじく、広い国土を持つその国全体に爆発音が轟いたほどだったという。  爆心地付近の建築物は軒並み倒壊、死傷者を多数出す未曾有の大事故だった。  その事故において、国は致命的な損害を被ったが、同時にひとつの大いなる利益を産み出していた。  それがとある大国より囚人を護送してきた大型バイクの破壊、である。  偶然――とその国の首脳部は言う――爆発事故が生じた際、近くを走行していたそのバイクは、爆風と熱波によって機能不全を起こすほどに破壊され、ほどなく動かなくなった。  バイクを作り出している大国はその技術力において、他の国よりも数百年は先を行くと言われている先進国であり、残骸とは言えその国の技術力で作り出されたバイクから得られる情報は計り知れない。  それゆえにその国は飛躍的な技術進歩を行うことができ、周辺諸国に対する大きなアドバンテージを得ることになったのだ。  なお、大国からのその国に対するお咎めはなかった。  それは大国にとって諸外国を回らせているバイクから得られる技術などどうでもいい範疇の技術なのか、あるいはそもそも各バイクの細かい動向を把握していないのか、いずれかであると推測されているが定かではない。  さて、こうなると不利益を被るのはその国の周辺国である。  進歩した技術力を背景に戦争をしかけられれば負けは必至。それを防ぐためには、なんとしても同等の技術力を有する必要がある。  そのため、周辺国家は大国からの囚人護送用バイクを狙い、その機体を破壊して技術力を得る計画を練った。  最初にバイクを破壊した国は、元々は周辺国とそう大した差の無い技術力の国だった。それならば、技術が進歩する前の周辺国でもバイクは破壊しうる。  同等の技術を得なければ、いつかはその国によって周辺国は支配されてしまうのだから、各国は必死だった。  それがゆえに、周辺国のうちのひとつであるその国は、万全な計画を練って大国のバイクを仕留めにかかったのである。  十全な検討と準備を重ね、確実に仕留められるはずだった。  地表面ごと陥没させて動きを封じ、執拗なまでの投石と爆撃を叩き込んだ。  たとえ大国の技術力を持ってしても、純粋な物量と爆撃には耐えられないだろうと予測しての攻撃だった。  さらに、それでも動くようなら、動きが鈍っている内に油をかけて火を付ける予定であった。  ただ、そこまですると得るべき技術が消失してしまう可能性も高まってしまうため、できれば純粋な物理の投石と、衝撃による破壊を主目的とした爆撃で蹴りをつけたいとその国の上層部は考えていた。  バイクが落ち、投石と爆撃が加えられた穴は、黒煙を上げて沈黙した。  確実に破壊できたはずだと、この国の最高司令官と関所管理員の長官は感じた。  だが。  そんな二人の思惑を裏切り、その声は響いた。 『――糞が』  地の底から響いてきた声は、間違いなくあの大国からやって来たバイクの声だった。 「……ッ! 油を撒け!」  即座に司令官が指示を飛ばし、待機していた油部隊が走るが、遅すぎた。  凄まじい轟音が響き、投石部隊が投下した人の何倍もあるような石塊が空中に弾き揚げられる。  そして、崩落した穴の縁を、バイクが駈け上がってきた。まるで車輪に吸盤でも付いているかのような、この国の常識に則して考えれば有り得ない駆動だ。  見れば四つあるそのバイクのタイヤは、それぞれが独立して動き、自在に角度を変えることで、崩壊した道を難なく登っていた。  この世には車輪では移動しづらい荒れ道を走破するための『多脚戦車』という概念があるが、いまのバイクはまさにそれに近い形で、崩れていた穴の縁を走り上がったのだ。  穴から飛び出してきたバイクは、その細いアームで展開していたタイヤを再び元のバイクに近い形に戻す。二輪のバイクに限りなく近い見た目でありながら、四つ車輪があったのはこのためだったのだと、その様子を見ていた司令官たちは察した。  だが、感心してばかりではいられない。 「砲撃を叩き込め!」  自走砲の砲手に命令を下しながら、司令官たちの乗ったジープが後進する。  それに対し、バイクはいままでと変わらない無機質な機械音声を発した。 『明確な敵対行動を確認しました。自衛行動に移ります』  洗練された砲撃手たちが、次々バイクに向けて砲撃を見舞う。バイクはその砲撃を避けようとはしなかった。  ただ、小さな筒のような物がその胴体から複数突き出してきたかと思うと、飛んできた砲撃を一発残らず撃ち落としたのである。 「馬鹿な!? 迎撃されただと!?」 「そんな! ありえない!」  そう司令官と長官が叫ぶが、現実としてバイクは悠然とその場にあり、突き出した筒のひとつが司令官たちの乗るジープに向けられた。 「回避――ッ!!」  司令官が咄嗟に叫び、長官も勢い良くハンドルを切ったが、避けられる速度ではなかった。筒から高速で発射された球体がジープのタイヤを正確に撃ち抜き、ジープが横転する。  投げ出された司令官と長官は受け身こそ取ったものの、全身を走った衝撃で動けなくなっていた。  地に伏す司令官の元に、バイクがゆっくりと近付く。砲撃手達はバイクに向け自走砲を向けようとしたが、バイクの防壁が開き、中から大の字に磔にされた人間――人質に取られていた関所管理員が晒され、攻撃の手が怯んだ。  その間に、バイクは司令官の間近に接近し、もはや巻き込んでしまうため撃てなくなった。砲撃部隊の隊長はそれを見て一端砲撃を待機することを決定。推移を見守ることにした。  仮に構わず撃ったとしても、バイクは撃ち落としていただろうが。 『貴女が今回の襲撃の首謀者ですね?』  バイクの威圧的な質問に対し、なんとか身体を起こした司令官が頷く。 「痛……ッ……ああ、そうだ。全く、本当に馬鹿げた技術力だな……あれで無傷か。少しくらいは攻撃が通ると思ってたんだが」  溜息を一つ。司令官は相手の技術力を低く見ていたことを悔いた。 『これは明確な盟約違反です。説明を求めます』 「大国の技術力が欲しくてな。把握しているか知らないが、東の山の国が貴国のバイクを破壊し、その技術力を奪ったんだ。それに対抗するための力が欲しかった」  負けを認めていた司令官は、バイクに正直に事情を吐露した。  そうすることで、技術力を向上させた国も道連れにする算段である。 『……その事情を此方に話し、その国を粛正させる方向にしなかったのはなぜですか?』 「無論、その意見の方が多かったさ。だが、此方から能動的に貴国に連絡する手段がない。なにせ我々は貴国がどこにあるかもわからないんだからな。緊急連絡手段くらい渡して欲しいものだ」  それに、と司令官は獰猛な笑みを浮かべて言う。 「仮にあの国を貴国に滅ぼしてもらったとしても、その技術がどこにどう流れるかはわからなかった。それなら、自分たちも同じだけの技術を得なければならない」 『……事情は理解しましたが、此方が攻撃を受けたという点には関係のない事情です。報いを受けていただきましょう』  バイクから突き出した筒が、司令官へと向けられる。 「ああ、その覚悟もしていたさ。……虫のいい話だが、私の命だけで勘弁してくれないか? この計画を主導したのは私であり、この国の上層部のほとんどは反対の立場だったんだ」  無論、嘘である。  彼女はこういう状況になったとき、自分の命一つで事態を収めるように交渉するつもりだった。他の上層部にまで粛正されてしまうと、国が立ちゆかなくなるからである。  バイクは淡々と告げる。 『その言葉を鵜呑みにすることはできませ――』 「待ってください!」  バイクの言葉を遮って、バイクの前に立ちふさがったのは、長官であった。 「私は関所管理員の長官です。彼女と同じ上層部の一員で、この計画を主導しました。彼女を唆したのは私です。報いというのであれば、私に与えてください」 「おい! 馬鹿を言うな! 私が責任を取る! 退け!」  慌てて司令官が長官を押しのけようとするが、長官は一歩も退かなかった。 「いいえ、退きません。私が責任を取ります」 「私は司令官だ! 責任を取る義務がある!」  どちらが責任を取るかという話で言い争いになる二人。  そんな二人の様子を、バイクはしばらく眺めた後、淡々と告げた。 『盛り上がっているところ申し訳ありませんが、あなた方に責任の所在を決めていただく必要は――』 「あなたが連れてきた囚人の居場所、わからないのではありませんか?」  そう告げた長官の言葉に、バイクは沈黙する。 「私の命でご勘弁いただけるのでしたら、囚人の居場所をお教えします。私以外の命も御所望というのであれば――囚人は二度と見つからないと思ってください」  このために、長官は大国の技術力を持ってしても感知できないであろう地下深くに、囚人を閉じ込めたのである。  攻撃が失敗した際に、その身柄を交渉材料にできるように。 『襲撃の次は脅迫ですか?』 「いいえ、取引です」  その言葉を聞き、またも沈黙したバイクは、やがてこう呟いた。 『……いいでしょう。その情報の提供を持って、譲歩します。ただし、相応の報いはおふたりに受けてもらいましょう』 「なっ……私だけでなければ、それに応じるわけには――」 『ご安心ください……とは言えないかも知れませんが、死ぬような内容ではありませんのでご理解ください』  バイクはそれとも、と続ける。 『国を壊滅させて良いのであれば、おふたりは見逃しても構いませんが?』  それは長官にとっては悩ましい選択肢だった。  だが、堂々と立ちあがった司令官が長官を押しのけて前に出る。 「それはダメだ。わかった。私たちが報いを受けよう。長官、耐えてくれ」 「しかし……いえ……わかりました……」  長官はそれでも悩んでいたようだったが、司令官の意思が固いことを悟ったのだろう、悔しそうに俯く。 「それで、報いとは具体的にどういう内容なのかな。腕一本で済ませてくれるなら喜んで差し出すが」  そう言って左腕を差し出す司令官に対し、バイクは一瞬呆れたように沈黙する。 『……そのような野蛮な内容ではありません。多少、不自由な思いをしていただくだけですよ――動かないでください』  バイクは司令官に触れるほど近付くと、その胴体から飛び出した筒を、長官のみぞおち辺りに近付ける。  司令官はその筒を見て、先ほど砲撃を撃ち落とした時の筒と少し違うことに気づいた。  なので何かが飛び出してくるという心配はしていなかったのだが、筒の先端が自分の身体に触れた瞬間、着ていたはずの服が吸い込まれて消え、驚愕に目を見開く。 「な……っ」  いきなり全裸に剥かれ、恥ずかしく思うよりも前に唖然としてしまう。  そんな司令官の首に金属製の輪っかが取り付けられる。瞬く間に、肘、手首、膝、足首に次々と枷が取り付けられた。 「ちょ……っ、何をっ」  目の前で愛しい女性が裸に剥かれ、次々訳のわからないものを身体に取り付けられているのを見た長官は、慌てて抗議の声をあげようとした。だが、バイクはそんな彼を容赦なく吹き飛ばす。先ほど砲撃を撃墜したものは、調整次第で人を吹き飛ばす程度で済ますこともできるようだった。 『大丈夫、怪我はしていません。懲罰具の装着を続けます』  司令官が反応するより前にそう言い放ったバイク。それと同時に、司令官の肘に着けられた枷同士が引きつけ合い、背中で肘と肘がくっつくような体勢にさせられた。 「ぐっ!」  武術を嗜み、身体が軟らかい司令官だからこそギリギリ耐えられたが、かなり厳しい姿勢であることに変わりは無い。必然的に胸を突き出すような格好になってしまう。豊満な司令官の胸がゆさりとゆれた。  手首の枷も引き寄せ合って、彼女の腕は後ろに回したままうごかせなくなった。 「不自由な思いを……というのはこのことか……っ!」 『まだ終わっていません』  無情にバイクが言うのと、司令官の膝に取り付けられた枷同時が反発しあうのは同時だった。枷が磁石のように反発し、膝同士を近付けようとしても弾かれてしまう。それは結果的にがに股にさせられるのと同じことだ。 「……っ!」  いかに豪気な気質の司令官でも、女として、足を開けっぴろげに広げるような格好は恥ずかしく感じる。その白磁の肌を誇る頬が朱に染まり、羞恥に身を屈めようとする。だが、それを許さぬとばかりに、首の枷と膝の枷が反発し、ある一定以上身体を曲げられないようにしていた。 『次の器具ですが……長官殿。装着を手伝ってください。貴方が拒絶するのであれば、別の人を呼ぶまでですが』  バイクによって吹き飛ばされていた長官が起き上がってくる。その顔には憤怒が宿っていたが、無様な格好をさせられている司令官がそれを諫めた。 「……か、構わん。君がやってくれ」 「……了解しました」  バイクが次に取り出した器具は、いわゆる貞操帯であった。それを長官が司令官の無防備に晒された股間に装着する。 「鍵は……?」  そう呟く長官の声に応えるように、装着した貞操帯が自動的に締め具合を調節し、外れないように固まってしまう。後で外せるように緩めに固定したつもりの長官だったが、大国の技術力はそんな足掻きをあっさり無為にしてしまった。 『これでそちらの女性の方の器具は最後です』  そう言って最後にバイクが出してきたものは、顔の下半分を覆う口枷であった。内側には突起が伸びており、それで舌を抑えるのだと推測できる。  それを手に取った長官が司令官の様子を伺うと、司令官はひとつ頷き、装着しやすいように顎をあげて口を開く。  長官は震える手でその口枷を司令官の顔に取り付ける。やはり鍵は無く、ある程度装着すると自動的にちょうど良いように調整された。 「これで、いいですか……」 『はい。残るは貴方ですね』  そう言ってバイクは司令官にしたように、長官の服をもはぎ取る。一瞬怯んだ長官だが、自分以上に恥ずかしい思いをしている司令官の前で情けない姿は見せられないと、堂々と立ち続けた。 『……おや、勃起を促すまでもありませんでしたか』  哀しいかな、彼も男であり、状況が状況とは言っても愛しい人の裸を見て、下半身のものは反応してしまっていた。  複雑な思いで彼が顔を歪めるのと同時、その屹立した物に銀色のリングが投げかけられた。その輪はその付け根に落ち着くと、ぐるりとその逸物を締め上げ、さらにはリングから連なるように伸びた輪っかが、睾丸の方も絞り出すように抑えてきた。  急所を抑えられた長官は、声なき悲鳴を上げて悶絶する。転がり回りこそしなかったが、膝を突いて苦痛に耐えなければならなかった。そんな彼を、彼以上に無様な格好にされている司令官が気遣うように寄り添う。 『これで完了です。それらは懲罰期間が過ぎれば自動的に外れます。それまで、自由に絶頂することもできない状態でお過ごしください。……取り扱い説明書を置いていきます』  本の形を取った説明書を投げ出し、バイクは動き始める。 『囚人を回収した後、国外へと移動します。囚人はどこですか?』  長官は苦しみつつも、囚人の場所をバイクに知らせた。  指示を受けていた尋問官たちが囚人を地下から引き出し、バイクはその囚人を背に乗せて、すぐに国の外へと向かった。  連絡が上手くついていなかったのか、関所が中々開門されず、最終的にバイクが門を粉砕して出て行ったため、国が受けた損害は司令官と長官の自由と、関所の門の三つとなった。  その後、懲罰器具を取り付けられた司令官と長官は大変な苦労をして、懲罰期間を過ごすことになるのだが、それはまた別の話だ。  バイクは国を出て、草原を疾走していた。  その背には元から乗せていた囚人と、もう一人あの国で人質としていた関所管理員の女性がいる。  捨て駒として使われていた彼女はあの国に戻ってもろくな扱いを受けられるとは思えず、バイクの護送についてくる事になった。  いまは色々あって疲れたらしく、静かに眠っている。  草原を走破し、エンジンを休ませるためにバイクが停車した。  周りに人影は一切無く、バイクは静かに佇んでいる。  不意に、その展開してた防壁が崩れ、バイクの背に乗っていたふたりの黒い人型の内、前に座っていた側が降車する。後ろに座っていた側の人型は深く眠っているのか、動きは無かった。  仮面を外し、ラバースーツの頭部部分も収納され、その端正な顔が露わになる。  ひとつ息を吐き、そして囚人のはずの彼女は自由になった口を、バイクに向けて開いた。 「それでさ――ちゃんと説明してくれるんだよね? イロゥトくん?」  囚人として扱われていた時の怯えはなく、堂々とした様子で問いかける囚人の少女。  イロゥト、と呼ばれたバイクは含み笑いのような声を響かせた。 『ククク……もちろん。ああ、レエルは眠らせてあるから起きる心配はいらないぜ』  それはいままで響かせた事務的な声とは打って変わって、人間味に溢れた声だった。 「そこだよ。色々イレギュラーなことはあったみたいだけどさ、なんで現地人を連れてきちゃってるの? 驚きだよ」 『それについては色々理由があんだけど……まあ、成り行きだなぁ。あいつら思いっきりそいつ捨て駒にしててよ。あのまま置いておくとたぶん殺されてただろうし、可哀想だったから』 「だからって連れて来なくても……」 『……ぶっちゃけ、アルフェリは囚人プレイで全然喋れねえし、待ってる間くっそ暇なんだよ。なりゆきだったけど、レエルと話しをしてたら楽しくてさ……つい』  だからこそ、人質にするという体で彼女を拘束し、旅に耐えられるかどうか確かめていたのだ。結果としてレエルには素質があり、十分耐えられるという判断ができた。  すべてはイロゥトが企んだ結果である。  そんな勝手な判断をした高度なAIであるイロゥトに対し、アルフェリは深く溜息を吐いた。 「ついじゃないよイロゥト……可哀想に、彼女の人生狂わせちゃって。望んで囚人プレイをしてる私とは違うんだよ?」  そう。  囚人の彼女――アルフェリは実のところ囚人でも何でもない。大国出身の女性だった。  その性癖が極めて歪んでおり、囚人と同じような扱いをされるということに大いなる快感を覚える、というだけなのである。  それに協力しているバイク――イロゥトもまた、普通の囚人用護送車ではなく、高度な判断力や知性を持つ高性能AIであった。囚人用護送車に似せて作ってあるが、実はその機体に使われているテクノロジーは通常の護送車の比ではない。  もし通常の護送車であったなら、司令官や長官の用いた強襲作戦は十分効果を発揮していたはずだった。  運がない、というと身も蓋もないが、彼らは本当に運がなかったのである。 『そういう意味じゃ、最後の地下深くに閉じ込めるって手段を取られたのには参ったな……さすがにあの深さは感知できなかったぜ』 「うん、あれは正直焦ったね……」 『やっぱ、囚人ごっこはやめたほうがいいんじゃねえのか? アルフェリよぉ。命あってのものだろ』 「うーん。でもあれが破滅的に気持ちいいんだよねぇ……」 『この変態め』 「自覚してる。イロゥトには迷惑掛けるけど、よろしくね?」 『へいへい。俺はあんたに造られたAIであり、バイクだからな。あんたの意向に極力従うぜ。ただ、死にそうになったら全機能をフルに使って助けるからな。忘れんなよ』 「それについては、無謀なことをする国が少ないことを祈るとするよ。私も死にたくは無いしねぇ」  アルフェリは大きく背伸びをしてから、再びイロゥトに跨がった。 「それじゃあ、次の国に向かおうか」 『はいよ。次の国はこういうイレギュラーがないことを祈るぜ』  拘束されたアルフェリとレエルを乗せたイロゥトが再び道を進む。  天才かつ変態の科学者――アルフェリ。  高性能AI搭載バイク――イロゥト。  憐れ巻き込まれた庶民――レエル。    こうして、奇妙な二人と一台の旅が始まった。 ~流刑少女 壱の国 おわり~

Comments

読んでくださりありがとうございます。 壱の国編はふたつの視点から物語を書き、それがいい具合に成功した作品だと自負しています。 またこういった作品を書きたいと思います。

夜空さくら

監理員の物語を先に読んだので、監理員の物語の囚人が逆になった司令官ではないかと言ったが、さらに大きな反転が!"。 よく読みました。 translated by google

Gator


More Creators