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夜空さくら
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改変された世界の片隅で ~メイド・犬川チトセ編~ 第五章


 ご主人様とメイド長の愛し合う気配を感じながら、じっと待っていました。

 目と耳を塞がれた静寂の暗闇の中、膝立ちの状態で両腕を後ろで縛られ、開口具によって涎を垂れ流しつつ。

 いまの体勢を維持し続けることに全力を尽くします。

 静かな暗闇の中でそうしていると、自分がそういう形の置物になってしまったかのように錯覚してしまいます。

 身体を捩ることくらいは出来ますが、それをしてしまうとかえって自分の状態を思い出してしまうので、身体を動かさないことに努めました。

 散々刺激が与えられて敏感になってしまった乳首は、いまだラバースーツの中で固く存在を主張し続けています。その他の身体を全く動かしていないと、そのじんじんとした感覚が強調され、ますます動かしたくなってしまいます。

(がまん、がまん……がまん……っ)

 私はひたすらに頭の中で念じ続け、我慢を続けます。

 身体が勝手にぴくん、と反応してしまうときもありましたが、極力身体を動かさないように、ひたすら耐えます。

 そうしているうちに、じわじわとあちらの疼きまでもが増幅され始めました。行き場の失った感覚が、そっちに伝播してしまったようです。

 私のあそこが、くわえ込むものもないのに、きゅっと収縮しているのがわかります。

 いまその場所に棒状の何かを入れてもらえたなら。それはきっと極上の快感になるでしょうに。

 でも何も入れてはもらえません。ラバースーツがそこを覆っているだけではなく、金属の貞操帯が穴を完全に封じてしまっているからです。貞操帯内部のわずかな凹凸がそこを抑えてくれてはいますが、そんな微々たる刺激でいけるわけもありません。

(ううぅ……っ、はやく、はやく、なにかしてください……!)

 次第に私の身体は、いえ、心までもが刺激を求めて震え始めました。それを意思の力でねじ伏せるのにも、限度があります。縛られた腕を動かし、ベルトを腕に食い込ませて痛みを発生させ、少しでも気を紛らわせます。

 がっちりくわえ込んだ開口具を強く噛みしめ、舌をしきりに動かして刺激を求めてあがきます。さらに大量の涎が垂れ、胸元に落ちていきました。

(あっ……涎が垂れていく感覚が……っ、ああ……っ)

 胸元に落ちた涎が、胸を伝っていくのが感じられました。

 実際にはラバーメイド服の上から着たエプロンに阻まれてしまっているのでしょうけど、そんな感じがする、というだけでいまの私には十分な刺激でした。

「フゥー、ゥウー……!」

 呼吸が荒くなり、鼻呼吸では収まらなくなってきました。口枷は中央に穴が空いていますので、そこから息を吸い込み、はき出します。

 しかしそうしてしまったことで、喉が急速に乾くのを自覚しました。

(涎も垂れ流しですしね……)

 気持ちいいだけではなく、苦しさも生じ始めていました。そもそも、午前中の働きで相当な汗も搔いています。

 このままでは、どうしようもなくなる――そんな時、ようやく救いの変化が訪れました。

 目の前に誰かが立つ感覚がしたのです。恐らくはメイド長でしょう。『特別メニュー』の準備が出来たに違いありません。

(お待ちしておりました……! はやく、はやく恵んでください……!)

 はしたないことを自覚しつつ、それを求めて舌が動き回ってしまいます。

 その私の期待に応えるように、乾いた私の口内に固い管のようなものが差し込まれました。管は口枷と接続され、滅多なことでは抜けなくなります。

「待たせたわね――心して呑みなさい」

 聞こえないはずの声が聞こえたような気がしました。

 そして。


 口の中にどろどろとした『何か』が大量に入って来ました。





 それは喉の奥に張り付くような粘度を持っていると同時に、むせ返るような生臭さを発していました。とても苦いかと思いきや、急に甘い感覚もあったりして、頭が混乱してまともに味がわかりません。

 口内一杯にそれが広がり、鼻孔の方まであっという間にその臭いが達し、動かさないように堪えていた身体を、仰け反らせて悶えてしまいます。

(うえッ、うぁッ、あっ、んぅ……!)

 反射的に吐き出そうとする喉を気合いで無理矢理抑え込み、液体を喉の奥へ流し込んでいきます。もっとも、吐き出そうにも口は口枷に繋げられた管によって完全に塞がっていますので、吐き出したくても吐き出せないのですが。

 どろどろしたものがお腹の中に溜まっていくのがわかります。

 味や食感はとても人間の飲むものとは思えませんでしたが、水分には違いありません。乾いていた喉は、潤う感覚に喜んでいました。

 流し込まれるものを我慢して飲み込んでいると、それが溜まっていっているお腹が急に熱くなって来ました。まるでガソリンを入れられて喜ぶエンジンのように、熱がお腹から全身に広がっていきます。

(あ、あつい……っ、身体が……火照って……っ)

 ラバースーツの内側で、さらに大量の汗が噴き出すのを感じました。ラバースーツと汗ばんだ肌が擦れ合う異様な感覚が全身に広がっています。それだけではありません。


 全身の中でも――乳房の頂点と、足と足の間にある秘部に熱が集中していました。


 飲まされている液体の中に、媚薬成分が含まれているのでしょう。

 恐ろしく身体が疼き、とても抑えられるものではありませんでした。身体を自由な範囲で波打たせて、ラバースーツのわずかな動きで快感を貪ります。

 でも、あくまでわずかな刺激にしかならず、もどかしい状態からはとても脱することができません。

(あぅぅ……っ、触って、触って、ください……!)

 内心叫びますが、私の身体に触れられるのはひとりしかいません。

 そう、ご主人様です。

 ご主人様の許可がなければ、メイド長はおろか、私自身でさえも、私の身体に触ることは許されないのです。

 私の抱いているもどかしい思いを解消するにはご主人様の慈悲にすがるしかありません。

 身体をうねらせ、悶え、ご主人様に懇願します。体中敏感になったいまの私なら、鞭を打たれても絶頂してしまうことでしょう。

 そんな私の祈りが通じたのでしょうか。

 不意に、私の耳に触れられる感覚が生じました。

「ンッ、グゥッ、ハアゥッ!」

 本来私は耳が性感帯というわけではありませんでしたが、いまは別です。どこに触られても気持ちよくなってしまうであろう私は、耳に触れられただけで軽くイってしまいました。

 耳栓が引き抜かれ、外の音が聞こえるようになります。

「何を勝手にイってるの? 早く『特製ドリンク』を飲み干しなさい!」

 メイド長の鋭い叱咤の声が、耳朶を打ちました。

 私は慌てて、流し込まれている液体を飲むことに集中します。まだまだ量が残っていたようで、途中から飲むのが苦しくなって来ましたが、堪えて無理矢理飲んでいきました。

 あまりに大量に飲み込んだため、お腹が膨らんでいるのがなんとなくわかります。

 ラバースーツで押さえつけているはずなのに膨らむなんて、どれほど大量に飲まされたのでしょうか。

 私は空恐ろしくなりつつも、液体が流れてこなくなるまで飲み干し切りました。

 身体の中が得体の知れない液体で満たされているようです。耳に触れられて一度イってしまったことで、乳房や秘部にはかえってもどかしい感覚が残ってしまっています。

「飲み切ったわね。口枷を外すわよ」

 メイド長の呼びかけがあって、すぐに口枷が外されました。開きっぱなしだった口をようやく閉じることができて、一息つきます。

 しかしすぐに、私は地獄の苦しみを味わうことになりました。身体が疼いて疼いて仕方が無いのです。液体が吸収されていくのにつれて強くなっているのでしょう。どんどん身体が昂ぶり、体温が上昇し、体中から快感が発生するようになってしまいました。

「んぎっ……っ、あぐっ!」

 軽く身体を捩っただけで、爆発的な快感が頭を襲います。両手を力の限り握りしめ、なんとか堪えましたが、際限なく快感は襲いかかってきます。

 メイド長が苦しむ私の背後に回り、目隠しを取って、縛られていた腕や足を解放してくれましたが、それで快感が収まるわけもありません。

 それどころか、拘束によって血流が遮られていたためでしょう。

 その拘束が解かれたことによって、薬に侵された血が手足の先まで通いだし、指先や足先にまで快感が生じ始めました。

「はぅ……っ!」

 思わず胸に伸びかける手を、なんとか抑えようとしますが、その手そのものもまた気持ちがいいので、自分で自分の腕を掴むこともできません。

 結果、私はヤジロベーのように両手を斜め四十五の角度に開き、耐えるしかありませんでした。

 そんな私の様子を見て、ご主人様は愉快そうに笑っていらっしゃいます。

「一滴で百回はいける、なんて触れ込みの媚薬をブレンドした特製ドリンクだから。相当辛いだろうね。下手に身体に触れたらそれだけでいっちゃいそうなんだよね?」

 ご主人様の質問に応えなければ、もっと酷いことをされてしまいます。私は快感を堪えて震えながら頷きました。

 それを受け、ご主人様が私に近づいてきます。触ってもらえるのでしょうか。期待のまなざしをご主人様に向けます。涙目で、さぞかし情けない目だったでしょう。

 それでも触っていただけるのであれば、それで良かったのです。けれど、ご主人様はそんな安易な絶頂を許してくださいませんでした。

 ご主人様が手を伸ばして触られたところは――貞操帯の上だったのです。

 ご主人様の指先がラバーメイド服のスカートを越しに、かつん、かつんと貞操帯を叩いています。その衝撃がビリビリと秘部に響き、気持ちよくはあったのですが、とても絶頂できるほどの強い刺激ではありませんでした。

「ふふふ……もどかしそうだね」

「ご、ご主人様……お慈悲を……」

 もっと強い刺激を与えて欲しい。その一心でご主人様に懇願します。

 けれどもご主人様は首を縦に振ってはくれませんでした。

「ダメだよ。まだまだ、このままで仕事をしてもらわないと。……そうだね、夜までオナニーせずに我慢できたら、ご褒美をあげるよ。でも、我慢できずにオナニーをしたらキツいお仕置きだからね。がんばりな」

 ご主人様は絶頂の機会を与えてはくださいませんでした。心が絶望に染まり、目の前の景色も暗く沈んだように感じました。

(この疼く身体を抱えて……午後の間ずっと我慢しろと……? む、無理です……とても耐えられません……っ)

 せめてもう一度、イかせて欲しいと思ってしまったのは、必然だと思います。

 気づけば、私は離れて行こうとしたご主人様に縋っていました。

「お、お願いですご主人様……どうか……っ」

 ご主人様は困ったような顔を浮かべただけでしたが、この行動は別の人の逆鱗に触れてしまいました。

「七番! メイドの身分で、何をしているの!」

 メイド長です。ご主人様の隣に立ったかと思うと、私の肩を掴み、ご主人様から引き離されて――頬に熱い感触が生じました。

 平手で叩かれた、というのはあとで気づいたことです。そのときの私は、突如与えられたとてつもなく大きな衝撃にそれどころではありませんでした。

「~~~~ッ!」

 悶絶、とはまさにこのことをいうのだと思います。私は張られた頬から生じた快感の嵐に、腰砕けになってその場に蹲ってしまいました。

 まるで身体の中で怪獣が暴れているかのように、脳が焼け切れるかと思うほどの快感が噴き出していました。

 気持ちいいのか苦しいのかわからなくなって、涙がボロボロ零れてしまいました。意味のない呻き声を上げ、ひたすら快感の嵐が通り過ぎるのを待ちます。

 ようやく収まって来て、顔をあげた時には、すでにご主人様は執務机に座られていて、烈火の如く怒っているメイド長だけが目の前に立っていました。

「……ご主人様は先ほどのあなたの愚かな行動を許されるそうです。寛大な処置に感謝しなさい」

 ご主人様に抑えられたのでしょう、努めて平静を装ったメイド長がそう伝えてきました。

「顔を叩くのは僕の趣味じゃないからね……藍子、僕のことを思ってとはいえ、それなりの罰を覚悟しておいてね」

「はい……申し訳ありません」

 メイドにあるまじき行動をしたのは私ですから、咎めたメイド長は正しいものでした。

 けれど、そのメイド長の判断よりも、ご主人様の判断が当然優先されます。メイド長は長として烈火の如く怒りつつも、ご主人様が不問というのならば不問にしなければなりませんでした。

「でもまあ、メイドがやっていい行動ではなかったのも事実だからね……君にもちょっと厳しいノルマを課させてもらうよ」

 ご主人様のいう『厳しいノルマ』が恐ろしい響きを持って耳に染みこんで来ました。。

「外に買い出しに行ってきてもらおうか。当家のメイドとして、恥ずかしくないように『例のあれ』も使うよ」

 そういってご主人様が合図をすると、メイド長は一本の注射器を持ってきました。

 注射器には怪しげな色をした薬品が込められています。

 正体の知れない薬品ではありましたが、ご主人様が訳もなくメイドに害を与えるだけの薬品を投与することはありません。

 一度首輪が外され、ラバースーツを少しだけずらして露出させられた首筋に、その薬品が注射されました。

 薬品が私の身体の中に入り――すっと頭が冴え渡っていきます。

 驚いたことに、あれだけ疼いていた身体の快感も抑えられていました。首輪をつけなおしてもらいながらも、唐突な身体の感覚の変化に戸惑います。

 私の様子を見ていたご主人様が説明してくださいました。

「いまの薬は、一時的に発情を治めることのできる抑制剤って奴だよ。人によっては奴隷の身体を開発しすぎて、常に発情状態で会話すら出来ないようにしちゃう人もいるからね。そういう奴隷に投与して、一時的にちゃんと仕事をさせるためのものなんだ」

 ただし、とご主人様は続けました。

「あくまで抑制であって消してるわけじゃないから……薬が切れた時の発情っぷりはちょっと大変なものになるみたいだけど……まあ、その辺も物は試しってことで」

 いまは楽ですが、その後が恐ろしくなりました。

 さっきまででさえ、メイドとしての立場を忘れてしまうほど乱れてしまったのに、それが溜まりに溜まった時はどのようなものになるのでしょうか。


 その時――私は私でいられるのでしょうか?


 うっすらと悪寒を感じつつ、私は立ち上がりました。先のことを考えても仕方ありません。いまはご主人様の次の指示を実行するだけです。

 ご主人様は机の上にあったメモに軽く走り書きをして、それを私に差し出しました。

「それじゃあ、買い出しよろしく。他のメイドに任せた分も確認して、君がやってね」

「はい、了解いたしました」

 買い出しの仕事自体は、私も担当したことがあります。ゆえに、仕事自体に問題はありません。

 問題があるとすれば、いつ薬の効果が切れるのか、ご主人様は教えててくださらなかったことでしょうか。

 町中で薬の効果が切れ、醜態をさらしてしまうことになりかねません。

 なるべく急いで買い出しを済ませようと、私は屋敷の限界へと向かいます。


 その買い出しに出た街中で、私は思いがけない人と出会うことになりました。


第六章につづく


Comments

kenさん、いつもコメントありがとうございます^w^ そこまで投影していただけたのなら、作者冥利に尽きるというものですーwー 今後もチトセには大変な状況が待っている予定ですので、楽しんでいただければ幸いですーwーペコリ 誰かのご主人様になれるほどの、色んな意味での器がないのです……TwTゴメンナサイ

夜空さくら

今回も悶えながら楽しませて頂きました💕 なんか…自分がチトセのように思えてくるほど投影させてしまって…チトセ同様に逝けずに悶えています…。 さくらさんに…ご主人様に…なって頂きたいですね…うぅ…はぁはぁ…

ken


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