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夜空さくら
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改変された世界の片隅で ~メイド・犬川チトセ編~ 第七章

 十分以上に感度の高まった秘部への振動の刺激は、あまりに強烈なものでした。

「~~~ッ!」

 思わずたたらを踏み、ふらついた身体を支えるため、屋敷の壁に手を突きます。買い物袋を取り落とさなかったのは、自分でも褒めてあげたいくらいです。

 まるで電流でも流されているかのように、私の身体が勝手にびくんびくんと跳ねます。一瞬だけでも十分すぎるほどだったのに、振動する機械は情け容赦なく、さらに刺激を私のそこに与え続けます。

(……っ! そ、んな……っ、こんな、機能……しらな……はうっ)

 ご主人様の言いつけを守れなかったなどで、私たちメイドに取りつけられるこの貞操帯は、造りは非常にシンプルなものでした。外からの刺激を一切遮断すると同時に、秘部に押しつけられる突起が刺激を与え続け、際限なく快感を生み出していくのと同時に、決してメイド本人ではどうしようもできなくするだけのもの。

 なので、ローターやバイブといった機能は付けられていませんでした。ご主人様は機能美を追求する人なので、貞操帯には貞操帯の、バイブにはバイブの機能を求めるためです。

 もちろん単なる拘りなので、例外的に振動する機能を付けた貞操帯を用意することは可能でしょう。

 でもそれがなぜよりにもよっていま私に付けられているのか。いえ、私が知らないだけで、外に買い出しにいくメイドはいつもこの貞操帯を身に付けさせられているのでしょうか。

 真相はわかりません。

 けれど、重要なのは、抑制剤まで使われ、限界一杯まで昂ぶらされた私の身体には、その振動機能は刺激として強すぎたという点です。

「あっ、ああっ、あぅっ、あ、あああああ……っ」

 絶頂が連続で襲いかかって来て、目の前に星が飛び散ります。頭を殴られるのと、私の受ける衝撃としてはそう違いはありませんでした。

 壁に付いた手が滑り、膝から地面に崩れ落ちます。もう屋敷の門は目の前だというのに、そこまで歩いて行くことも出来そうになりません。

 購入したものの無事を確かめるまもなく、私は自分の身体が地面に倒れて行くのを感じ――そして、その衝撃はいままで以上の快感となって私の全身を強く突き抜けていきました。

 胸が地面に擦れ、そこからも想像以上の刺激が発生します。

 はたから見たら、陸地に打ち上げられた魚のように見えたかもしれません。

 私は涙と鼻水、涎を垂れ流し、生暖かい感触が下半身を中心に広がっていくのを感じつつ、胸と秘部から感じる強すぎる快感の渦に巻き込まれ、意識を失ってしまいました。


 そんな私の様子を、カメラ越しに見ている人がいることにも気づかないまま。





 私が目を覚ました時、身体は寝かされた状態にあるようでした。

 ようでした、というのは私は目を覚ましたものの、その目に何も映すことができなかったからです。

 何か分厚い布のようなものが瞼の上にあって、瞼を開くことを阻害していました。それを取り除こうにも、手足はいつも通り動かないため、不可能でした。

 普段から寝る時は封入回廊にて動けない状態にされているので、目が覚めて身体が動かなくても、目が見えなくても、パニックにはなりませんでした。

 慣れって恐ろしいものです。

(私……どうなったんでしょう……?)

 寝起き特有のぼんやりとした感覚はありましたが、意識は思ったよりもしっかりしていました。気を失うまでは全身から生じる快感の濁流に翻弄されていたのですが、いまは全くそういうことがありません。

 その理由は、冷静に考えればわかります。また絶頂抑制剤が投与されたのでしょう。

 薬が切れた時のことを思い出し、背筋を悪寒が走ります。

(またさっきみたいなことになったら……私は耐えられるんでしょうか……いえ、それよりもまずは状況の把握をしないと……)

 まずは自分の状態の確認です。仰向けに寝かされた体勢にあり、手はまっすぐ身体の横に伸ばされていました。動かそうとしても、指先も全く動きません。普段人型の中に閉じ込められている状態より、さらに厳重に拘束されているようです。

(……? 太ももに手が触れている感覚がない……?)

 手を動かそうとした際、ほんの数ミリは動いている感じがしたのですが、太ももにその感触が伝わってきませんでした。分厚い拘束具によって遮られているということも考えられますが、それ越しのわずかな感触すらないというのは異常です。

(それに……指同士の感覚もないような……ん……っ、だめですね、全然動きません)

 たとえば指が分かれていない手袋をさせられているのだとしたら、指を動かそうとすれば、指同士が擦れ合う感覚はあるはずです。しかし、私の手は指を軽く開いた状態で動かせませんでした。

(指の一本一本まで別々に拘束されている……のでしょうか? いったい、どうやって……?)

 ともかく、腕は指先に至るまで一ミリも動かせないということがわかりました。次に足の感覚を探ります。肩幅程度に開いた状態で、膝をまっすぐ伸ばした状態から動きません。

 足先はどうかと動かそうとしてみましたが、足首は90度に固定された状態で動きませんでした。これはいつもとあまり変わらないので、問題ありません。

 私を驚愕させたのは、足の指のことです。手の指と同様に、曲げることも開くことも出来なかったのです。

(足の指まで……! もしかして、樹脂か何かに漬けて固められてしまったのでしょうか……)

 そんな風に拘束――ではなく、固められてしまったメイドを私は知っていました。私よりも遙かに前に雇われたというそのメイドは、とてもドジな女の子で、掃除中にご主人様が大事にしていた花瓶を割ってしまったとか。

 そのため、特殊な樹脂によって全身を固められ、オブジェとしてずっと飾られているという話を聞きました。もちろん、殺されてしまったわけではなく、ちゃんと生命維持のための装置は取りつけられているようですが、少なくとも私が知る限り、その子がオブジェから解放されたところは見たことがありませんでした。

(買い出しの途中で、屋敷の前とはいえ絶頂のあまり気絶してしまったんですから……相応の罰はあると思いましたが……こうなってしまいましたか……)

 私もあの彼女と同じように全身を固められ、もう二度と解放されることはないのでしょうか。

 そう思い、沸き上がってきた恐怖がパニックを誘発する寸前、私はそれにしては妙なことに気づきました。樹脂固めでオブジェにされてしまったあの彼女は、綺麗なポーズを取っていました。

 調度品として飾るのですから、形にこだわるのは当然でしょう。それなら、いまの私が取らされている直立不動みたいなポーズはあまりにも工夫がなさ過ぎます。

(調度品としてですらなく、ただ格納されるだけになるという可能性もありますが……)

 私たち従者階級の人間は「資源」ではあっても、使い捨てていい「物」ではありません。いくらご主人様が特権階級だとしても、ひとりのメイドを飾りもせずにしまい込む、というのは出来ないのです。無論、いくらでも抜け道のある制限ではありますが、ご主人様の性格を考えても、ただ閉じ込めて仕舞ってしまうというのは考えにくいことでした。

(考えられるのは……この状態が罰として与えられているということ……つまり、罰を耐えきれば、いままで通りにメイドとして使ってもらえるかも……!)

 厳しい罰を与えるための、一時的な拘束だと考えれば納得がいきます。特に両足を開いたこの体勢は、あそこが無防備に晒されているので弄りやすいことでしょう。

 解放される可能性がある、と思えば少し余裕が生まれました。それが実際にどうかはともかく、希望があると思えるのは精神的に良いことです。

(……手足は完全に拘束されているようですが……他はどうなのでしょう)

 耳を澄ましてみます。どくんどくんという少し速い自分の鼓動と、小さな呼吸音くらいしか聞こえません。恐らく耳栓がはめられているのでしょう。

 身体は全く動かせません。首から上もそういう型に填め込まれているかのように、前にも後ろにも、右にも左にも動かせません。

 では呼吸はどうかというと、口はマスクのようなもので完全に塞がれているらしく、開くことも出来そうにありませんでした。鼻呼吸はなんとかできますが、管のようなものが刺さっているらしく、詰まっているような感覚があって、浅く短く呼吸することしかできません。深く息を吸おうするのは不可能なようです。そもそも、身体が拘束されているので、空気を吸い込んで胸を膨らませることが出来ず、かなり苦しい状態でした。

(でもなんだか……妙な感じも……するような……?)

 身体の感覚だけではその妙な感じの正体は明確にわかりませんでしたが、すぐにその感覚の正体は判明しました。

 私が寝かされている部屋の空気が動いて、身体に当たる感覚が生じたからです。

(っ……こんなにしっかり拘束されてるのに、風を感じる……ということは……)

 どこで風を感じているかがハッキリすれば、どうして風を感じることが出来たのか、理由もよくわかりました。


 空気の動きを感じることが出来た場所は――乳房と股間だったからです。


 拘束されている手足や首から上と違って、そこだけが露出している理由は明確です。弄りやすくするためとしか思えません。

 それにしても、さっきまで空気の動きが全く感じられなかったのに、急に空気の流れを感じられるようになったのはなぜなのでしょうか。

 その疑問にも、すぐ答えがもたらされました。

 耳の奥で小さなノイズ音がして、聞き慣れたご主人様の声が聞こえてきたからです。恐らく、空気が動いたのはご主人様が部屋に入って来たからで、それまでは全く部屋の中に動きがなかったのでしょう。

『七番、おはよう。目は……覚めてるみたいだね』

 優しく響くご主人様の声。私の状態はモニタリングされているらしく、それを見ているのでしょう。

『最初に……そうだね、状況がわからないだろうから説明しておこうか』

 ご主人様の声は、いつも通りでした。怒ったり呆れたりしている様子はありません。

 過度な不興を買ってしまった様子がないことに、少し安心しました。ご主人様は続けて話してくださいます。

『えーと、屋敷の傍で気絶したのは覚えてるかな? あれなんだけど……ごめん。ああいうギミックつきの貞操帯ってこと忘れてた! 屋敷に近づいたら自動的に震える設定にしてたんだよね』

(ああ、それで屋敷が見えると同時に震え始めたんですね……)

『それだけならまあ、我慢できない方が悪いんだけどさ……それにプラスして絶頂抑制剤は我慢できるわけがないからねぇ。元はといえば僕のポカだし……重い罰則はかけないから安心して』

 そのご主人様の言葉に、少しほっとします。

 でも、その安堵は一瞬だけしか続きませんでした。

『ただし――屋敷の前で倒れてちょっとした騒ぎになったのは事実だし……何のおとがめもなしっていうのもそれはそれで問題かなって思っててね』

 不意にむき出しにされている胸に触れてくる感触があって、思わず私は自由に動かない身体を緊張させてしまいました。全身を締め付けている拘束が軋む音が響きます。

 ご主人様の指らしきものが、私の乳房に触れ、摩り、そして揉んでいます。たちまち私の乳首は硬くなってしまったことがわかりました。

 その敏感になった乳首を、ご主人様の指先が軽く弄んで来たかと思うと――唐突に、思いっきり摘ままれ、捻り上げられます。

 激痛が電撃のように私の頭を貫いていきました。

「ウグッ、ギィゥッ!」

 可能な限りの全力で、身体を動かそうとしましたが、厳重な拘束は緩むことなく、私は目の前が真っ白になるような激痛に悶えます。

 そんな私のわずかな反応を見て楽しんでいるのでしょう。ご主人様の楽しげな笑い声が聞こえて来ました。

 そして、こう告げるのです。


『あははっ。……というわけで、君にはちょっと地獄の体験ツアーをしてもらおうかな』


第八章に続く


Comments

いつもコメントありがとうございます^w^ そういっていただけると、書いている甲斐があります。 次回の八章は中々ハードなので、御覚悟くださいませ……ーwーフフフ……

夜空さくら

今回もチトセ同様に悶えながら楽しませて頂きました💕 うぅ…早く第八章を読まさせて頂き、もっと悶えさせて欲しいです。。。💕

ken


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