改変された世界の片隅で ~メイド・犬川チトセ編~ 最終章
Added 2018-12-08 09:14:59 +0000 UTC机の上に並べられた道具は、いずれも凶悪な形状をしていた。
尿道を貫き、奥で先端が膨らんで固定するカテーテル。
膣を押し広げる上、凶悪なほどの可動域を有するバイブ。
肛門に突き刺さり、内部を抉って広げるアナルバルーン。
クリトリスを吸引し、断続的に刺激を与える吸引器。
そしてそれら全てを包み込んで固定する、パンツの形をした金属――貞操帯。
最後に取り付けるものは構造上決まっていたが、他のものはどれから取り付けても順番だけの問題で、大した差はない。
「あれがいいかな……これがいいかな……悩むなぁ」
取り付ける側は気楽なものだ。どれから取り付けても楽しめることはわかっている。
取り付けられる側にしてみれば、恐怖の時間だっただろうが。
もっとも、今回に限って言えば、取り付けられる側はそれどころではなかったため、恐怖は感じずに済んでいるだろう。
それが幸いかそうでないかは、本人にしかわからない。
そんな彼女は、先ほど限界まで膨らまされた乳房から生じる、不気味な感覚に必死に耐えていた。
普通ならば気が狂うほどの激痛であろうその感覚は、昼に投与された媚薬の効果が絶頂抑制剤によって高められたことにより、あらゆる刺激を快感に転じていた。
呼吸する度に生ずる、乳房に針を幾重にも刺されているような痛みは、神経を焼くほどの快感に変わっている。
口が自由なら、涎を撒き散らしてみっともなく喚き回っていたことだろう。
それでも、彼女の身体は全く動かず、固定された状態のままを維持している。
「よし、これからにしようかな」
視覚も聴覚も奪われた彼女に、何が最初の責め具として選ばれたのかは知る由も無い。
男が選んだそれは、非常に無骨な形をしたアナルプラグだった。
早速それを取り付けようと動きかけた男は、大事なことを思い出して思い留まる。
「おっといけない……そういや、この子は今日処理をしてないはずだから、溜まってるものがあるよね」
普通、メイドは日に何度か排泄物の処理を行う。そうしておかなければ、不都合なことが多いためだ。
しかし、このメイドは今日朝から男が目をつけ、貞操帯を填めていたから、その暇がなかった。当然、処理はできていないはずだ。
「ここで出させると臭くなるし……どうしようかな……まあ、いいか。たぶん大丈夫だろ」
本来なら他のメイドを呼び、溜まっている便の処理をさせるところである。
しかし、それも面倒だったのか、男は「理論上は大丈夫」なことを彼女で試してみることにした。
「ある意味、これも貢献だしねー。無事に終わったらご褒美をあげてもいいかもなぁ」
男はそう嘯きつつ、太いアナルプラグにローションを垂らし、その手でよくプラグに馴染ませる。
そして、がに股で固まっている彼女の後ろに回り込むと、そのアナルプラグを容赦なく彼女の尻穴に押し込んでいった。
身体の大部分が特殊なテープによって拘束され、動けない彼女の身体の中で、唯一彼女の意思で動かせる股間が震えた。
震えただけで、何をどう感じているか、男にはわからなかったが。
お尻の穴に、固くて太いものが押し込まれてきます。
(んぎっ……ぎぎぎ……っ、ち、ぎれ、るぅ……!)
心の中で悲鳴を上げつつ、私はそれをなんとか受け入れるべく、肛門の力を抜くことに全力を注ぎます。力を抜くのに力を注ぐというのもおかしな話ですが、そうとしか言えませんでした。
その甲斐あってか、押し込まれる抵抗感が急に和らぎ、代わりにお尻にずっと何かが刺さっているような異物感が生じ始めます。
恐らくアナルプラグの一番太いところが括約筋を通過し、細い部分を括約筋が締め付けているのでしょう。
この手のアナルプラグを刺されるのは初めてではないので、よくわかります。
(うっ……でも……きょうは……)
これまでそういった器具の挿入は、必ずその前に浣腸をしてもらい、お腹の中身を全て出してから行っていました。
いまはそういった処理をせずに、アナルプラグが押し込まれてしまったわけです。
(大丈夫……なのでしょうか?)
そんな私の心配を余所に、身体の中に入り込んだプラグが、さらに大きく、太くなっていくのを感じました。これもよくあるギミックなので驚くには値しません。プラグが抜けないように、膨らまされたのだとわかるからです。
とはいえ、理由がわかったところで、感じる内容に代わりはありませんでした。
(あぅ……うぅ……おなか、が……っ)
ただでさえ大きなプラグで異物感が凄いところを、さらに膨らまされた結果、私は激しい便意を感じてしまっていました。
毎日処理が行われるこの館ではまずないことですが、便秘の時に排泄物がたくさんお腹の中に溜まっている時のような、そんな危うい状態になっています。
しかし、いくら出したくなっても、もうプラグは私の穴を完全に塞いでしまっています。どれほど渾身の力を込めて力んだところで、プラグを押し出すことは出来ないでしょう。
行き場のない苦しみがお腹を中心に広がっていきます。
それがただの前座でしかないことを、私は知りませんでした。
指先一つ一つに至るまで、完全に拘束されたまま、悶えていると、不意にお腹の中に若干冷たい感覚が入り込んできました。
この屋敷で使われている大抵のプラグには浣腸をし、排泄をさせるための機能があります。恐らくはそれなのだと思われましたが、その注入される液体の勢いはいまだかつてないものでした。
(あぐっ……うあ……おぁ、ぐ……っ)
どんどんお腹の奥へと入ってくるその液体は、恐らくは形成されつつあった便も巻き込んで、私の体内を埋め尽くしていきます。
テープを巻かれ、拘束されている私はお腹を膨らませることもできないため、圧迫感を伴う苦しみがひたすら高まっていっていました。
(し、しんじゃう……っ)
内心で誰にも伝わらない泣き言を言うしかない私でしたが、不意にそのお腹が少しだけ楽になりました。
一体何が起きているのかわかりませんでしたが、どうやらテープによって締め付けられていたお腹が、膨らんだようです。ご主人様が手でお腹を撫でてくださり、その感覚でわかったのです。
(あ、そうか……テープの一部だけ、柔らかくしたんですね……)
私の身体を締め付けているのは、特殊なライトを照らすことで固くなったり軟らかくなったりする液体を含んだテープです。恐らくはお腹の部分にだけライトを当て、膨らむようにしてくださったのでしょう。
そのことにほっと一息をついた私でしたが、その生まれた余裕は一瞬でなくなってしまいました。
(お腹、が……破裂、しちゃいます……っ)
ご主人様がお腹を撫でてくださっているので、その輪郭がどんどん膨らんでいるのがわかります。二リットルとかそういうレベルではなく、明らかに普通の浣腸を上回る分量が注がれているはずです。
出入り口が塞がれている以上、このままではお腹が破裂してしまうでしょう。
死への恐怖が沸き上がってきました。
その私の気持ちを汲んでくださった、というより元々そろそろ止めるつもりだったのでしょう。ご主人様の手が離れて行きます。同時に、注入も止まったようでした。
お腹がずっしりと重くなっていて、足の部分のテープが硬化していなければそのまま倒れていたかもしれません。
(く、くるし……ださせて……ください……)
お腹がはち切れそうな痛みを発し続けています。その痛みはじりじりと高まり、テープで覆われていなければ、今頃私は地面をのたうち回っていたことでしょう。
ですが、それを出させてもらえることはありませんでした。
急にお腹の重みが楽になった、と同時に、いままで以上の苦しみがお腹から発生しました。まるでお腹の中で長い物が蠢いているような、そんな苦しみです。
(な、なに、なにがっ、おきっ)
何が起きているのか、私には全くわかりませんでした。
軟らかくしていたお腹の部分のテープに、特殊なライトを当て硬化させる。
ボテ腹状態になっている彼女のお腹がテープによって保持され、少しは楽になったんじゃ無いかと思う。
ただ、若干の懸念材料もあった。
(うーん。この特殊ライト……人体越しだとどれくらい硬化を発揮するんだろ?)
実は、彼女の尻に注ぎ込んだ浣腸液は普通の浣腸液ではなく、このライトを用いると硬化する特殊な液体だった。
その液体は飲んだり食べたりしても、構造的には大丈夫なはずであり、他の物体や液体――例えば便――と混ざっても効果を発揮し、人体に害がないことはわかっている。
無論、硬化する際に形状がとんがったりしなければ、という前提だが。
基本的に、布などに浸して硬化しない限り、この液体そのものにライトを当てると、球状、もしくは楕円形状になることがわかっている。水槽に満たした液体にライトを当てれば、その水槽の形状に沿って可能な限り球形になる。
細長い試験管のようなものに入れた状態で固めた場合、どうなるかというと、細長い楕円形上に固まるのだ。
つまり、その性質を考えれば、いま彼女の腸内は、腸内の形に硬化した液体が満たしているということになる。さぞかし、得体の知れない感覚だろう。
「とりあえず、後ろはこれでいっか……次は前だね」
クリトリスからいじめるか、それとも尿道を先に抉るか。
少し悩んだ末、僕はその器具を手に取った。
身体の中で、蛇が蠢いているような感覚でした。
膨らまされたお腹の中、注がれた浣腸液らしきものが不思議な形に固まってしまったのだとしか思えません。
振動する機能はないはずですが、私のささやかな動きに連動しているのか、少し括約筋を緩めたり締めたりするだけでお腹の中全体を抉られるような感覚が生じます。
まるでその度にお腹の中を掻き回されているようで、非常に気持ち悪く感じました。
そんなお尻への作業は終わったのか、ご主人様は次の場所に対する責めを開始するようです。
正直、胸とお尻の穴に対する責めだけで気が狂いそうになっています。これ以上刺激を加えられるとすると、正気を保てる気がしません。
(もうお許しください……ご主人様……っ)
そう心の中で叫びますが、もちろんそれがご主人様に通じることはなく。
突如、股間から凄まじい衝撃が突き上げて来ました。
(オゥッ、アッ、ぁああっ)
身体が暴れようとして勝手に波打ちます。全身が固定されていなければいまの一撃でひっくり返って気絶していたでしょう。
それくらい、そこからの刺激は凄まじいものでした。
女性の性的急所のうちのひとつ――クリトリスが、吸引されたのです。
引き出されたそれは凄まじい刺激を生じさせていて、真っ暗な目の前に星がちかちかと瞬くほどでした。
これまでの刺激で十分硬くなっていたであろうその場所を吸い上げられ、さらに刺激に敏感にさせられます。クリトリスの吸引器を被せられたのであろうということはわかりましたが、その衝撃は想像以上でした。
(うぁ……ぁあ……も、もう、これ、以上は……っ)
恐ろしいのは、まだこれで終了ではないということです。
かつて取りつけられた吸引器には、クリトリスに対する刺激を与え続ける仕組みがありました。
この吸引器にその仕組みがないわけがありません。
まだそれが発動するのは早いということなのか、ご主人様は別の場所への責めに移行するようです。
今度は、純粋な痛みが股間から発生しました。
(いっ、つ……ッ……こ、これは……まさか……っ)
なんとなく痛みがどこから来ているのかわかります。
これは恐らく、尿道へカテーテルが差し込まれているのでしょう。回数こそ多くありませんが、そこに対する責めの経験もありましたので、なんとか把握することができました。
ご主人様がなにやら作業しているのが、身体への感覚でわかります。これまでに比べればささやかな、内側を引っ張られるような感覚がしました。
カテーテルの先端が内側で膨らんで、抜けないようになったのだと思います。
ひりひりとした痛みが、そこから感じられましたが、これまでの分の感覚が強すぎて、ほとんど感じていないも同然でした。
そしてついに、ご主人様の責めは、最後に残ったその場所へと移行します。
一端カテーテルの先端を脇に避けておき、最後に残った場所への責めへと移行する。
本人が見れば青ざめていただろう。規格外の大きさと太さをしたバイブを手に取る。
そのまま突き刺すのはさすがに危ないかと思ったけど、彼女の秘部は滴り落ちるほどの愛液を分泌していた。
「気持ちいい感覚より、痛みの方が勝ってるはずだけどなぁ……薬がよっぽどよく利いてるってことか」
これだけ濡れていれば、ローションを追加で足らす必要はなさそうだった。
秘部の入口に、バイブを擦りつけて愛液を馴染ませていく。久々の純粋な快楽を感じられる刺激だったからか、ますます激しく、その場所が濡れ始めていた。
「よーし、これで良さそうだね……んじゃ……いくよ……っ」
僕は持ち手を握りしめ、彼女のその場所を割り裂くようにバイブの先端を押し込む。
彼女のそこは、バイブをどんどん奥へと飲み込んでいった。
持ち手の部分は数センチを残して外れるようになっていて、奥まで差し込んでから持ち手は外した。
最後の仕上げに入ろう。
入口が愛撫される感覚に、狂おしいほどの快感を覚えてすぐ、擦りつけられていたその軟らかくて硬いものが私の中に入り込んで来ます。
よほど太いものを選んでくださったのか、身体がその形に合わせて押し広げられていくのがわかります。
もしもそういったものを入れられた経験がない処女であったならば、激痛に悶絶していたレベルであることは間違いありません。
ですが、私はご主人様によってすでに調教され尽くしたメイド。
当然その穴も十分以上に開発済みであり、私は普通なら泣き叫んでしまう太さのそれをやすやすと飲み込んでしまいました。
バイブの先端が奥に当たっている感じがします。
お腹の中を色々なもので満たされている状態ゆえか、かなり苦しい感覚はしましたが、なんとか耐えることが出来ていました。
最後に、貞操帯が装着されます。私の体型に合わせて作られているらしい、金属のパンツが、二つに分かれた状態で、前と後ろからはめ込まれるように重ね合わされます。
パンツの接合部はぴったり合わさるように工夫されており、股間はそれによって完璧に封じられてしまうのです。
カテーテルの管などは外に出され、貞操帯によって固定されます。貞操帯にはそのための機能があるので、これから何日間拘束されるかはわかりません。
果たして私は解放される日まで正気を保つことが出来るのか――脳裏にお昼に出会った親友の顔が浮かびましたが、そのイメージも、不意に訪れた股間を中心とした衝撃に容易く掻き消されてしまいました。
透明なブラや貞操帯の上からテープを追加で巻くことで、無様な格好をしたミイラを完成させる。
一部飛び出しているチューブなどは不格好だけど、それは彼女を生かすためのものだからさすがにそれまで外すわけにはいかない。生殺与奪は握っていても、僕の意思で気軽に奪えるわけではないのだ。
鼻に突き刺したチューブには、流動食を流し込む装置と、呼吸を管理する装置をそれぞれ繋ぐ。
股間の尿道に繋がっているものも専用の機械に接続し、準備完了。
ちなみに彼女の膣内に入れたバイブは、貞操帯に填まり込んで充電が可能になっているため、動きが止まるということはない。
全ての準備を終えた僕は、恥ずかしい格好で立つミイラのようになったメイドの子を満足して眺めた。
あとは全て機械がいいようにやってくれる。
「これでよし、と。それじゃあ頑張って数日間生き残ってね。精神は死ぬかもしれないけど。まあ、大丈夫でしょ」
もし壊れたらそのときはその時だ。
僕はそう考え、全ての道具の起動スイッチを押した。
その瞬間、凄まじい音を立てて彼女の身体が震えたけど、硬化したテープは一切彼女に動くことを許さず、ただその場に立たせ続けた。
口は塞がっているのに、呻く悲鳴が聞こえて来ていたけど、僕はそれを無視して、部屋の電気を消し、部屋から出て行った。
他のメイドに命じて、定期的にチェックさせる段取りを頭の中で組み立てつつ、重い鉄製のドアを閉めた。
大きな振動と音を立てて閉まったドアには、「実験室」のプレートがかかっている。
身体の芯に存在するものが震え始めると、全身にその振動が伝播して、とんでもない衝撃を生じさせました。
(あがっ、がががっ、ぐぁえっ!)
一番酷いのは胸でした。わずかな振動も凄まじい刺激になる状態にされているそこに、バイブの振動は強すぎる刺激でした。
結果として、胸が爆発しそうなほどの激痛が生じ、おかしくなってしまった私の頭は、それをとても強い快感として受け取ってしまっていました。
バイブの振動は貞操帯を通じ、後ろの肛門に突き刺さったプラグにも伝わっていました。それだけなら、大した刺激にはなりませんでしたが、プラグからは例の硬化する液体によって構築された、腸の形に沿って出来たものが伸びています。
プラグが振動するということは、それもまた振動するということで。
私は身体の中をかき混ぜられるような衝撃を感じ続けなければなりませんでした。
身体を暴れさせ、のたうち回りたくても、私の身体は一部も隙も無く硬化したテープによって覆われています。私は立ったまま、牢獄に捕らえられているようなものでした。
暴れ回る衝撃を、すべて自分の身体で受け止めなければならず、それらの衝撃は薬の効果によって、全て快感に転化させられています。
私は気が狂いそうな――いえ、すでに狂っているのかもしれませんが――快感の中、何度も絶頂に追いやられました。何を考える暇もありません。憎たらしくもバイブはその振動パターンをこまめに変え、慣れさせてくれないのです。
何度絶頂したかなんて、数えるのも無駄でした。
時間の概念や思考や記憶がどろどろに溶けて行き、恐らく私は。
完全に狂ってしまったのだと思います。
数日後に、解放されたメイドは正気を失っていた。
全ての責め具を取り外し、しばらく休ませて呼びかけてみても、意味のない言葉しか口にせず、快楽を求めてか自分の性器を所構わず弄りだすようになってしまっていた。
医者にも診せたけど、精神を病んでしまっていて、現代の医療で元に戻すことは不可能だと言われてしまった。
ただ、彼女の実験結果は大きな貢献をもたらしてくれた。
硬化する液体を染みこませた布を素肌に貼り付けた状態を長く続けるとどうなるか。
さらに硬化した液体で腸を満たした場合、健康にどう影響するかなど、有用なデータがいくつも取れたのだ。
それは開発者の元に送信され、さらなる技術の発展に寄与することだろう。
特権階級の行動の結果、精神が崩壊した者は、医療の発展のために病院に寄付するというのが基本だ。
無論、精神が壊れたまま使い続けることも出来なくはない。
そのあたりの判断は各特権階級の者の采配に任されている。特権階級の中には、そうやって精神が崩壊した者ばかりを集めて楽しんでいる者もいるという噂もある。
そして僕は、そのいずれも選ばなかった。
彼女のデータがもたらしてくれた貢献度合いは非常に大きなものだったので、彼女にはボーナスがあっても良かったからだ。
だから、僕は。
「お願いします。彼女を気が狂う前の状態に戻してあげてください」
そう『あの人』にお願いした。
その結果、現代医療ではどうにもならないと医者に匙を投げられていたメイドの彼女は。
「あ、あれ……? 私、は……?」
あっさりと、正気を取り戻した。
僕はベッドの上で身体を起こし、不思議そうにしているメイドに向かって微笑む。
「おかえり。今回はご苦労様。これからも頑張って働いてね」
呼びかけられた彼女は、一瞬何を言われたのか理解していない様子だったけど、言われた内容はちゃんと理解できたようで。
「え……? あっ、は、はい! もちろんです!」
そう言って、ベッドの上で正座をし、僕に向けて頭を下げるのだった。
彼女は全裸だったので、裸で土下座しているなんとも扇情的な姿になっていたのだけど、必死な彼女はその事に気付いてもいないようだった。
記憶にないとはいえ、一度精神崩壊をさせられた相手に対しても尽くす姿に満足しつつ、僕はあとのことはメイド長に任せ、執務室へと戻る。
階級制度を作った『あの人』に対するお願いは、世の中への貢献度によって出来る回数が決まっている。
完全に狂っていたメイドの子を即座に正気に戻したように、普通なら出来ないことを出来る切り札だ。
それをいつでも使えるように、僕は僕のやれることで貢献し続けなければならない。
主人としての度量は、ちゃんと確保して置かなければならないのだ。
こうして、狂ってしまったはずの私は、再び日常に戻ってくることができました。
いつものように、ラバーメイド服に身を包み、担当する部屋を隅々まで掃除します。
「これでよし……っと」
綺麗になった部屋に満足して、次の部屋へと向かいます。自然と足取りも軽くなり、身体の調子はとても良いと言えました。
狂っていたという間のことは、私自身は全く覚えていません。ですが、気付けば驚くほど日が経っていたので、私が正気を失っていたのは確かなようです。
狂うに至った経緯も何も覚えていないのですが、ご主人様が満足そうにしていらっしゃっていたので、きっと壮絶な経緯だったのでしょう。
そうだとすると、何も覚えていない、というのは幸運な話でした。
覚えていたとしたら、とても平常ではいられない可能性もありましたし。
ともあれ、私はその日も一日の業務を終え、封入回廊と名付けられた廊下に戻ってきていました。
すでに今日解放されていた館のメイドたちがほぼ全員集まっていて、裸で立っています。
メイド長が最後の確認をして、それぞれが封入される透明な人型の中に立つように命じられます。
「それでは皆さん、本日の業務お疲れ様でした。良い夢を」
淡々としたメイド長の挨拶と同時に、真っ二つになって開いていた透明な人型がゆっくりと閉じていきます。
メイドたちはそれに合わせて微妙に立つ位置などを変えつつ、封入されていきました。
全身を挟まれて圧迫されるこの瞬間の感覚は、なんともいえない感覚です。
耳の中に突起が入り込んで来て、何も聞こえなくなり、最後にぷしゅっ、という空気の抜ける音が響くと、私たちは完全に透明な人型の中に閉じ込められることになります。
もう手の先くらいしか動かすことは出来ず、次に解放されるときまで、私たちはじっと待ち続けなければなりません。
透明な人型が体温に馴染むまでじっとしていると、やがて人型の温度は適切になりました。脱力してリラックスします。
何気なく指先を動かして自分の股間をまさぐりました。すると、その場所がすでに汗や尿とは違うもので濡れているのを感じます。
(……なんだか、感じやすくなってしまいましたね)
いままでは自慰をするまでは濡れたりしなかったのに、いまの私はこうして人型に閉じ込められるだけでそこを濡らしてしまうようになってしまいました。
記憶にはありませんが、身体が似たような状況で感じた記憶を覚えているのかもしれません。
いずれにせよ、興奮したままでは寝られませんので、自分で自分を慰めて、すっきりしてから眠るのが最近の日課になっています。
「ん……っ、ふぁ……あ……ん……」
自分しかいない空間に、押し殺された嬌声が響きます。
興奮することによって体温が上がり、窮屈な人型に封じ込まれた私は、静かに悶えていました。
恐らくは他のメイドの中にも、同じようにしている者がいることでしょう。
声も聞こえず、姿も見えませんが、仲間が傍にいるという安心感を覚えつつ、楽しみながら眠りにつくのでした。
その日見たのは――親友と一緒に、広い景色を見に旅行にいく夢でした。
改変された世界の片隅で ~メイド・犬川チトセ編~ おわり
Comments
劣悪さん、コメントありがとうございます^w^ 今回、色々と反省しなければならないところが多くて、まだまだ精進が足らないなぁ、と思った次第ですーwー; 面白いと言ってくださるのが最高の褒め言葉です! 次も頑張りますので、どうかよろしくお願いします!0w0
夜空さくら
2018-12-09 01:00:26 +0000 UTC執筆お疲れ様です。 今回も最高に良かったです。
劣悪
2018-12-08 09:58:03 +0000 UTC