奴隷の衣装として用意された、ラバースーツを着せられたシェラ姫。
元々見事に均整の取れた身体付きを誇るシェラ姫だったが、ラバースーツの適度な引き締めによって、その素晴らしい身体がさらに一段階、素晴らしいものに引き上げられている。
着せる際に用いたローションも影響し、ラバーによって引き締められた彼女の身体がぬらぬらと光っている。見た目からして艶めかしく、元々性的にも魅力に溢れていたシェラ姫の身体を、何倍にもいやらしく彩っていた。
それを着せたリルドにとっても予想外なほどの出来映えであり、想像以上の見た目の破壊力に、平静であろうとする彼の精神は激しく興奮させられていた。
一方、そんな服を着せられたシェラ姫。
彼女の前には大きな姿見の鏡がおかれており、彼女が自分で自分の姿を見られるようにしてあった。
シェラ姫は、その鏡に映っている自分自身を、眼を見開いて見つめている。
首から下の全身をほぼ露出なく完璧に覆うラバースーツは、この国ではあまり見られない材質で出来た衣装であり、感触も見た目も、姫にとって未知のものだ。
彼女にしてみれば、身体のラインを強調するラバースーツの見た目はほとんど全裸に等しく、あまりにも卑猥で、恥ずかしい姿であった。
だが、両手を枷に繋げられた鎖によって天井から吊されているため、手で身体を隠すことも出来ない。
それでも、少しでも隠そうと思っているのか、しきりに身体を捩っていたが、リルドから見ればむしろ誘っているような動きだ。
劣情を刺激されたリルドは、興奮していることが知られないよう、彼女の視界に映らないように死角へと回り込まなければならなかった。
(危ない……危ない……あくまで俺は奴隷商人なんだから……)
リルドはあくまでも商売でシェラ姫を扱っているという体でいなければならない。事務的な態度を崩すわけにいかなかった。
それは彼の経験上、姿形や性格が好みだからといって、調教に情が混じると上手くいかないことの方が多かったためだ。
奴隷となってしまうような者達は、多かれ少なかれ、よりどころを求めていることが多い。親に売られたにせよ、金に困って身を売ったにせよ、奴隷たちは心身のよりどころを失って奴隷になるものだ。
そのため、奴隷としての調教中に、うっかりリルドが情を持って接してしまうとどうなるか。無意識的に心身のよりどころを求めている彼女たちは、そんなリルドをよりどころだと感じてしまい、調教の過程をすっ飛ばして、リルドに依存するようになってしまうのだ。
従順になって、身体を調教するには楽な状態なのだが、勝手にご主人様を定められているようなものなので、その状態では商品として扱えない。そして一度刷り込みが発生してしまうと、別の人間を主人と改めさせる調整をするには結構な労力が必要となる。
特に今回のように、いずれは解放することを前提としている場合には、無闇に依存させてしまってはならない。
滅多にないケースではあるが、かつて売り払った奴隷の中には、主人としたリルドを忘れることが出来ず、雇用主の事情が変わって奴隷身分から解放されたにも関わらず、またリルドの元に奴隷になりに来た者もいた。
結局、その元奴隷はインディーに再調整してもらうことで、無事新しい主人を決めて貰われていったが、厄介だったことには変わりない。
(無事解放出来た後に、シェラ姫がそうなったらすべての苦労が水の泡だからな……)
もちろん、リルドとしてはそういう生き方すべてを否定するわけではない。
世の中にはそういう生き方しか出来ないにせよ、出来なくなったにせよ、それに幸せを感じる者もいて、その生き方を否定することは身勝手であり、傲慢であると思っている。
しかしシェラ姫に関しては――やはり普通の生き方で幸せに生きて欲しいとリルドは考えているのだ。
(結果的にそうなるのなら仕方ない……けど、それを決めるのは俺じゃない)
それが自己満足にすぎないとわかっていても、リルドはシェラ姫が普通に生きることを願っているのだから。
シェラ姫のラバースーツ姿に興奮してしまったリルドは、密かに深呼吸を繰り返し、その一点に集まった血流を全身に戻していく。
張り詰めていた感触が徐々に収まっていくのを待って、リルドは動き出した。
「ウゥ……ウウゥ……ッ」
シェラ姫は鏡に映った自分自身の姿を見たくないのか、瞼を強く瞑っている。
リルドはそんな彼女に背後から近づくと、その頭に黒い布きれを手早く巻き付けた。ラバースーツに合わせて色を変えたのだ。
案の定、ラバースーツと色を合わせた目隠しは非常によく合い、シェラ姫の姿をさらに淫靡に引き立てる。
(似合いすぎだな……全く)
冷静であらなければならないのに、シェラ姫のことごとくがリルドの琴線に触れ、揺らがしていた。
(惚れた弱みとはよく言ったものだよ、全く……)
こっそり深々と息を吐き、リルドは調教を進めることにした。
「さて……衣装も整ったところで――そろそろ、本番と行くか」
「ンゥッ!?」
そのリルドの言葉に、シェラ姫が驚愕する。彼女にしてみればいままでの内容が前座に過ぎなかったということが信じられないのだ。
死にたいほどに恥ずかしい目に遭わされたというのに、さらにそれ以上のことがこれから待っていると知り、彼女は恐れおののいていた。
そんなシェラ姫を哀れに思いつつ、リルドは冷徹な調教師を演じ続ける。
「なんだ? まさかいままでの程度のことが『調教』だと思っていたのか? ずいぶんとお気楽な思考だな。お前が想像もしえないことが、世の中にはあるのだと言っただろう?」
まずは、シェラ姫から精神的・肉体的な余裕を奪い去る。
人間、気力体力が充実している時には、理不尽なことに対しても抵抗しようとする気概が湧くものだ。
そんな状態ではいくら心を折ろうとも、何度も立ち直って反抗できてしまう。
長い期間をかけていいのであれば、徐々に無気力状態に陥らせる方法もあるが、今回のシェラ姫の場合、短期間で行わなければならない。
ゆえに、リルドは彼女の気力体力を一気に削る手段を採ることにしていた。
(これはやり過ぎないことだけ注意すればいいわけだから、まだ気が楽だな……)
リルドはまず太い革のベルトを持ってきて、それを使ってシェラ姫の両足を纏めて縛りあげた。
ラバーで引き締められ、引き立てられた太ももにベルトを食い込ませ、ぴったり両足を合わせた状態から動けなくさせる。
さらに足首の枷をいったん外し、そちらもベルトで拘束した。わざわざ足首の拘束具を変更したのには理由がある。
リルドはシェラ姫を天井から吊り下げている鎖を伸ばし、余裕を持たせた。
少し腕を下ろせるようになったシェラ姫は慌てて腕を降ろして胸を隠し、少し安堵したような気配を滲ませる。
しかしリルドはそんなシェラに対し、即座に命じた。
「ルル。膝を突いてその場に腰を落とせ」
リルドの言うとおりにすれば、彼女は再び両腕を吊られる形になり、胸を隠せなくなる。
ゆえに、彼女は躊躇した。
それは仕方の無いことだっただろう。いくらラバースーツを身につけているからといって、彼女の認識ではほとんど裸の恰好に近い。
身体を晒せと言われて晒せないのは、年頃の彼女にとって当然の心の動きだった。
それをわかっていながらも、リルドは心を鬼にして平手を振り上げ、そのラバースーツに包まれたお尻を容赦なく打ち据えた。
ぱしん、と小気味の良い弾けた音が地下室に響く。
「ウ、ゥァッ!」
尻を叩かれたことなど、シェラ姫の経験にあるはずがなく、彼女は身体を震わせて呻く。口枷の間から苦しげな息が、涎と共に漏れ出した。
「さっさとしろ。でなければ何度でも叩くだけだ」
シェラ姫は吊られた鎖を掴み、恐る恐るという様子ながら、膝を折って座っていった。
尻叩きひとつであっさり命令に従ったシェラ姫を、リルドは観察する。
(……ふむ。まあ、シェラ姫は元々傲慢なタイプの王族ではなかったからな……命令に対する反抗心もこんなものか……とはいえ、従順すぎるのも考えものではある)
本当に奴隷として売るために調教しているのならともかく。
追い詰め過ぎると奴隷としての自分を受け入れてしまいかねず、絶妙な加減を要求される難しいことだった。
ともあれ、命令に従ったシェラ姫が、床に膝を突く。
「フゥ……ウァ……ッ」
太ももと足首の部分をベルトで拘束されている彼女が座るには、膝を突き、足首の上にお尻を降ろすしかない。いわゆる正座の形である。
この形で座らせるために、足首の枷を重く太い金属製の枷から、ベルトによって締め上げる方式に変えたのだ。
その状態で、太ももと足首のベルト同士を短い鎖で連結させ、しっかり固定してしまう。シェラ姫の脚は完全に動かせなくなり、もし動こうとしても虫が這うような動きしか出来ない。基本的には逃亡防止のための処置である。
だが、ただでさえラバースーツに締め付けられ、ベルトに締め上げられている脚が、圧迫される苦しみは相当なもののはずだった。
シェラ姫は両手で吊り下げられている鎖を掴んで、少しでも脚への負担を緩めようと必死になっていた。
そんな彼女の健気な努力を無為にするように、リルドは鎖をさらに緩めて天井のフックから鎖を外してしまう。腕に分散していた分の体重が脚にかかり、シェラ姫の脚がミシリと音を立てる。
「ンゥ、ッ!」
苦しげに呻くシェラ姫に構わず、リルドは彼女の手枷を外した。彼女の両手は自由になったが、ラバースーツに包まれた胸を隠すより、脚の苦しみを軽減することを優先したのか、シェラ姫は両手を床に着き、少しでも脚が圧迫されないように身体を支えた。
そんなシェラ姫の肘を掴み、その少し上の二の腕に薄い革のベルトを巻き付けた。同様にもう一方の腕にもベルトを巻き、それらを短い鎖で、背中側で固定するように接続する。
「ンウッ! んアッ、ウ~ッ!」
必然的にシェラ姫は胸を張る姿勢になり、ラバースーツに包まれた彼女の乳房が強調された。彼女が身体を震わせる度に、柔らかく弾力があることを表すように揺れている。それは彼女にも身体の感覚でわかったのか、慌てて上半身を倒し、脚に胸を着けることで揺れることを防いだ。
脚と胸の間に挟まれた彼女の乳房は、潰れたボールのように形を歪めている。ラバースーツによる張りが、抑え込まれることで更に増し、思わず触れてみたくなる見た目になっていた。
もっとも、シェラ姫の方はそれどころではない。目隠しをされているために、身体の感覚は研ぎ澄まされているだろう。その状態では、窮屈に折り畳まれている感覚がさらに強まっていることは間違いない。
「ふむ。自ら頭を下げるとは、少しは自分の立場を理解してきたようだな」
そういう意図ではないことを知りつつ、リルドは揶揄するようにそう告げる。
シェラ姫は肩を震わせ、頭を上げたが、身体までは起こせなかった。恥ずかしさが勝ったのだろう。
どうしても前屈みになってしまうシェラ姫は、涎を床にだらだらと垂らしてしまう。身体を起こせば涎は垂らさずに済むが、ラバースーツに包まれた胸を晒してしまうという、板挟みの状態にあった。
「ウゥ……フゥ……ウッ、フゥッ……!」
唾液を垂らしながらシェラ姫は必死に呼吸を繰り返す。
そんな彼女の無様な様子を眺めつつ、リルドは無慈悲に命令を重ねた。
「両手を後ろで組め。指と指を絡めて、ひとつにするんだ」
「ム……ウ、ゥ……ッ」
シェラ姫はリルドの命令に従うべきか否か逡巡したが、またお尻を叩かれては溜まらないと思ったのか――あるいはすでに腕の自由はほとんど無いに等しいからか――大人しく肘から先の前腕を揃え、左右の指先を絡めて一つに纏めた。
結果としてだが、その状態の方が二の腕辺りを縛るベルトの食い込みはいささか緩み、その部分に関しては楽になる。
「よし、動くなよ」
しっかりシェラ姫の手が組み合ったことを確認したリルドは、そのひとつに纏められたシェラ姫の手に、大きな袋のようなものを被せる。
「ンンッ!」
何をされるか不安になったのか、動こうとしたシェラ姫を、リルドは口調荒く叱責する。
「動くな!」
至近距離から怒鳴られたシェラ姫は、びくりと身体を震わせ、動きを止めた。
その隙にリルドは彼女の両腕に袋を被せる。その袋のようなものはちょうどシェラ姫の両腕に被せられるようなサイズであり、また底の方の窄まりはぴったりシェラ姫の組んだ両手を覆う大きさに設えられていた。
多少伸縮性のある皮の素材で出来ているため、シェラ姫の両手はみっちり詰め込まれた状態で指先一つ動かせなくなる。さらに袋の各所にはベルトがあり、シェラ姫の手首、前腕の半ば、肘、二の腕の半ば、と締め上げていく。
「こいつはアームバインダーという腕の拘束具だ。その効果のほどは……嫌でもわかる」
下の方から徐々に締め上げていくに連れ、シェラ姫の両腕は完全に固定され、その口からは苦しげな声が漏れた。
「ンッ、グッ、ゥウ、ッ!」
無理矢理後ろで引き付けられる両肩がギシギシと音を立てて軋む。さらに、袋の口がずり下がらないように止めるためのベルトが、胸の前で交差され、脇の下を通して袋の口を固定した。
「身体を折り畳んでいると苦しいだろう。身体を起こせ」
リルドは言いながらシェラ姫の肩を掴み、無理矢理身体を起こさせる。シェラ姫は抗おうとしたようだが、身体の構造上、上半身を起こした方が楽なのは確かなので、抵抗らしい抵抗はできなかった。
背中に回した両腕が、一本の棒のように固められたシェラ姫は、必然的に背筋を伸ばすようになり、そのラバーに包まれたふたつの乳房を突き出すように晒すことになる。
それを恥ずかしがり、上半身を倒そうとするのを、リルドは腕を縛るベルトを引き絞ることで阻止した。
正座した状態でまっすぐ背筋を伸ばし、胸を張った体勢。
その状態に固定されたシェラ姫は、引き絞られた両腕の付け根が痛むのか、上を向きながら苦しげに呼吸をくり返し、その口内から大量の涎を溢れさせる。
涎は彼女の顎を伝い、首筋を流れるのと、顎先から垂れ落ちて、ベルトが食い込む彼女の太ももを濡らす。
微かに身体を揺する度に、彼女の全身は軋み、痛みを発し、満足に動かせない身体は体力をどんどん消耗していくのだ。
それは気力も同じこと。全身を襲う苦痛は拘束を緩めない限り、和らぐことがない。その状態が延々と続けば、心の弱い人間なら数時間で気が狂うことだろう。
(シェラ姫の性質からすると……もって半日、というところか)
苦痛に慣れてはいないものの、シェラ姫の心の強さはそれなりのものがあるとリルドは見ていた。
ゆえに、普通よりは保つであろうと推測出来る。しかし、それより長く苦痛を与え続ければ、耐えられなくなることも容易に想像が出来た。
(このまましばらく放置するとして……もう一つ必要だな)
ほとんど動けないであろうシェラ姫だが、動かせる部分はまだある。それは首と腰だ。首は何の拘束もしていないから比較的自由に動かせるし、腰も同様。
上半身を倒したり、逆に仰け反って仰向けに倒れることも出来る。ただ、それでは頭を打つ危険もあった。
そんな事故を防ぐため、追加の拘束具を着ける必要があった。
つづく