ヒトネコトリップ! ~ヒトネコ横町~ 5
Added 2019-10-19 14:44:55 +0000 UTCヒトネコ横町前派出所――という名の事務所で事情を説明すると、警察官――を模した警備員たちは、苦笑しながらも書類に内容を纏めてくれた。
さらに監視カメラの映像を見ながら、何が悪くてヒトネコを驚かせてしまったのかを一緒に検証する。
「あー、これは……うん。ここからいきなり胸部を掴んだのは焦りすぎだったね」
問題のシーンを見れば何が原因だったのかは明白だった。あのヒトネコもかなりその気になっていたと思うのに、いきなり胸を掴まれたら驚くに決まっている。
だから警備員たちの指摘も素直に受け取る事が出来た。
「そうですね……反省しています」
あのヒトネコがあまりにもエロ可愛かったから、というのは言い訳としてダメな部類だろう。
可愛かったからこそ、もっと慎重にスキンシップを撮るべきだった。
そうしたら、もっと激しい『遊び』も許容してくれていたかもしれないのに。
「まあ、あのヒトネコも驚いただけだと言っていたし、ペナルティは特になしでもいいよね?」
主に対応してくれた気安い感じの警備員に対し、もうひとりの警備員は冗談の通じなさそうな堅物だった。
「私も同意します。前例に照らし合わせても口頭注意で問題ありません」
意見が偏らないように、タイプの異なる二人以上で問題の検証をしてくれるので、こちらとしても本当にありがたい話だ。
「お騒がせしました」
無事に問題ないと判断してもらえた俺は、頭を下げながら派出所を出た。
そして再び横町に入り、暫く進んだところにある休憩用のベンチに腰掛け、一息つく。
(ふー。ペナルティがつかなくて本当によかった……)
悪質な場合はまた別として、ヒトネコの機嫌を損ねたとか、ヒトネコに不快な思いをさせたという場合には、ペナルティが課せられることが多い。
そのペナルティは、ヒトネコ横町の裏方として仕事に従事することで解消される。
裏方というのは本当に裏方で、ヒトネコと触れあうことは一切出来ないと思って間違いない。ヒトネコの方から寄ってくるならまた話は別だが、大抵は接触の機会すらほとんどない仕事だ。
ペナルティがつかなかったことだけではなく、もうひとつ良かったことがあった。
(せっかく通行人として入場出来ているところだし、検証が長引かなくて良かった……)
俺は現在、『商店街を通りかかったサラリーマン』という役割でこの横町にいる。
実はこの役割はどこに行ってもいいし、どのヒトネコとも自由に触れ合いに行けるという点で、最も自由度が高く、かなり人気の役割だった。
何ヶ月も待ってようやく就くことが出来た役割なので、時間の許す限りヒトネコと触れ合いたいのである。検証が長引けば、横町に居られる時間が目減りするところだった。
無事にトラブルを切り抜けたことでほっとすると、その原因になったヒトネコのことを思い出す。当たり前だが、トラブルの原因になったとしても彼女に恨みはない。
先走った行動をした自分に原因があるし、あのヒトネコは横町の雰囲気に慣れていない様子だと気付いていたのに、配慮出来なかった自分が悪い。
だからあのヒトネコを思い出して感じることはひとつだ。
(あの黒髪……いや、黒ネコちゃん、めっちゃ可愛かったな……)
ヒトネコにも段階がある。得てして初めてヒトネコになった子は、人間としての羞恥心や自制心が働いて、上手くヒトイヌとして振る舞えないことが多い。もちろん愛好家たちの間ではヒトネコの姿をしているだけで十分だという人もいるし、それが悪いわけではない。
けれど俺はどちらかといえば、人としてではなく、ヒトネコとして振る舞ってくれる方が好みだった。
その上で興奮出来るほど扇情的な仕草を取れる子はそう多くない。
彼女はそういう見方をした場合、満点であった。
うまく段階さえ踏めば、それなりのことを許してくれた可能性が高い。
気が逸りすぎてしまったのが、本当に惜しい。
(まだいるとは思うけど……探すのは難しいだろうな……)
ヒトネコ横町は広い。
その上、大抵のヒトネコは施設の中に入って楽しむのが常であるため、特定のヒトネコを狙って探し回るというのは、非常に効率が悪い。
ヒトネコによっては特定の場所を好んで、横町に来た時は常にその場所にいることもあるが、あのいかにも横町が初めてそうだったヒトネコには、まだそういった場所は存在しないだろう。
俺は溜息を吐きつつ、あのヒトネコに拘らずに楽しもうと決める。
(縁があったらまた会うこともあるだろ)
まだ時間はある。
次こそヒトネコと『遊ぼう』と決め、ベンチから立ち上がりかけた時だった。
俺の座っているベンチに、どこからともなく現れた栗色のヒトネコが飛び乗ってきた。
考え事に集中しすぎて、接近に気づけなかったようだ。
「なーおっ」
ごろごろと喉を鳴らしながら、栗色のヒトネコは俺に擦り寄ってくる。
その行為こそヒトネコらしいものだったが、人としての柔らかな体が押しつけられ、頬が熱くなるのを感じる。このヒトネコはかなり発育が良く、ラバースーツを着ていて抑え付けられているにも関わらず、メロンみたいな双丘がぶるんと揺れ、俺の身体で押し潰されて形が変わるのがわかる。
「おっ、とと! よーしよし」
同じ轍は踏まない。俺は彼女の柔らかな体を胸で受けとめつつ、彼女の頭を撫でてあげる。彼女はそれが気持ちよかったのか、眼を細めて喉を鳴らす。
そのヒトネコはしばらくの間大人しく撫でられていたが、不意にベンチから降りると、慣れた様子の四つん這いで俺から離れていく。
少し離れたところで、こちらを振り向いた。
「にゃおんっ」
ついてこい、と言っているように見え、俺は慌てて立ち上がってそのヒトネコの後を追いかける。
ヒトネコの歩く速度はそう速くないので、こちらも歩く速度は抑えて歩く。急かしてもいけないからだ。
(どこに連れて行ってくれるんだ……?)
ヒトネコ横町をそれなりに利用している俺だが、ヒトネコの方からここまで積極的に誘われたことはない。
若干不審には思いつつ、悪いことではないだろうとヒトネコを信じていた。わくわくする気持ちの方が強い。
ヒトネコは喫茶店らしき店の中に、ヒトネコ用の扉をくぐり抜けて入っていく。その店の看板を見上げた俺は驚きのあまり眼を見開いた。
「ここは……! ヒトネコカフェ!」
一般に存在する猫カフェの、ヒトネコ版ともいうべき場所。
ここにヒトネコに誘導されたということは、ここでは特別な意味を持つ。
俺は急いで人間用の扉を開け、中に入った。
中ではメイド服を着て猫耳を着けたウェイトレスが働いていた。
「いらっしゃいにゃ。リッスちゃんの遊び相手ですにゃー?」
語尾に「にゃー」を着ける独特の言葉使いでウェイトレスが笑う。
ちなみに別にこの横町で働く女性が語尾に「にゃ」を着けなければならないということはないはずなので、恐らくその口調は本人の趣味だろう。ヒトネコになっていてもおかしくない雰囲気の人だったし、恐らく十中八九間違いない。
ウェイトレスは楽しそうに笑いながら、店の奥を指差す。
「あっちのCブースにどうぞにゃ。言うまでもないけど、『目』はどこにでもあるからにゃ?」
その言葉は、要は監視されていることを忘れるなという意味だ。
俺は当然そのことは承知していたので、苦笑して受け容れる。
「ああ、もちろん。忠告ありがとう」
逸る気持ちを抑えつつ、指定されたCブースに向かう。ブースと言ってもほとんど個室のようなものだ。防音性がどれくらいあるのかはわからないが、少なくとも周りの不特定多数の眼に晒される心配はない。
ブースの扉を開いて中に入る。ブースはそう大きくない。いうなればネットカフェの広めの個室という感じだろうか。寝転べる二畳ほどの空間があった。
そこではすでに栗色のヒトネコ――リッスが待っていた。その口には、ピンク色の小さいローターが咥えられている。
「なーお?」
リッスがその眼に蠱惑的な光を湛えながら、甘い声で啼く。
これに応えなければ、男が廃るというものだ。俺は履き物を脱いで寝転ぶ空間にあがりつつ、リッスが咥えていたピンクローターを手に取った。
ローターから線で繋がっているリモコンを操作し、ちゃんとローターが操作した通りに動くことを確認する。
「よし……じゃあ、『遊んで』あげるよ。リッス」
ヒトネコと『おとなのおもちゃ』を使って存分に遊ぶことが出来る空間、それがヒトネコカフェだった。
その場所にヒトネコに誘われたということは、「あなたとそういう遊びがしたい」という宣言に他ならなかった。
どうして数多いる通行人の中から自分が選ばれたのかはわからない。
(いや……なんとなくは、察するけどね)
タイミングが良すぎることもあって、俺は恐らくリッスが野良のヒトネコではなく、運営に雇われているいわば飼いヒトネコであろうと予想していた。
さっきはトラブルを起こしてしまったが、俺の行動が特別悪かったというわけではない。だが検証のために横町にいられる時間を浪費してしまっていた。
実際がどうあれ、トラブルの詳細を確認しなければならないのは運営側からすれば当然だし、俺も特に不満があったわけではないけど、全くしこりが残らないかといえばそれは否だ。多少ならずともここにいられる時間を消費してしまった事実は変わらない。
なにかしら補填をしたいところだが、横町はヒトネコが客であり、ヒトネコの意向を最優先しなければならない。ヒトネコに無理をさせるわけにはいかないわけだ。
そこで運営は雇われのヒトネコを使って、俺の不満を解消するように仕向けたのだろう。
あくまでも暗黙の内にするため、ヒトネコの意向で遊ぶということになっているが。
少しややこしいが、ヒトネコ横町という場所を維持するためには、そういう暗黙の了解が重要だというわけだった。
(どちらにせよ、俺はありがたく乗らせてもらうだけだしな)
運営の意向でも、リッスの意向でも、どちらでも構わない。
俺は期待の眼差しで俺を見つめるリッスの身体に慎重に触れ、仰向けにひっくり返した。無防備に体の前面を晒させる体勢だ。猫らしく折り曲げた四足のおかげで、性的急所が無防備に晒されている。
そんな急所のひとつ――リッス胸に起動させたピンクローターを近づけていった。
「んにゃっ♡」
ラバースーツ越しだというのに、リッスはローターが触れると同時に反応した。
かなり感度が良いようだ。まさに猫のように折り曲げた前脚をもじもじと擦り合わせ、肘で乳首を護ろうとする。
肘が乳房に埋もれそうになっていて、改めてリッスの発育の良さを実感させられた。
(四つん這いで動くのも大変だろうなぁ……っと、それはいいとして)
俺はそんな彼女の腕を避け、今度は括れた腰を手で擦った。ラバースーツによってほどよく引き締められた腰は、すべすべと張りのある感触で、なんとも心地よい。
「ふにゃっ、にゃにゃっ♪」
腰に触れられてくすぐったかったのか、リッスが体をくねらせて悶える。俺はそんなリッスの乳房を、改めて攻めた。ローターを挟んだ指先で、乳首も一緒に挟むように指を動かす。
「んにゃっ!? んん、んにゃ、ッ♡」
刺激を与えられて硬くなった乳首に、ローターの振動は強烈だったようで、リッスは腰を浮かせるほどに体を震わせる。
相当な快感を覚えているようだ。俺はリッスのあられも啼く開かれた両足の間、股間をちらりと見る。
ラバースーツにぴっちりと覆われたその場所がどうなっているのか、外からはハッキリとはわからない。しかし筋すらも見いだせそうなほどぴっちり密着しているため、ローターの刺激に反応をしていることは明らかだった。
試しにローターを持っていない方の手で、その場所に触れてみると――明らかに、普通ではない感触が、じんわり濡れている感触があった。
(まだ乳首に刺激を与えたくらいなのにな……完全に仕上がってるじゃないか)
俺はリッスの足の間に体を滑り込ませ、脚が閉じられないようにしてから、その手に持ったローターを彼女の股間に近づけていく。
恐らくクリトリスのあたりだろう、とあたりをつけ、ローターを押し当てた。
「は、ぅ、にゃっ!」
びくん、と大きく体を痙攣させ、リッスが仰け反る。刺激が強すぎたかもしれない。少しローターの出力を下げ、今度はクリトリスの周囲をなぞるように動かした。
「んにゃ♡ にゃ♡ にゃあぅ……ッ♡」
今度はちょうどいい刺激になったらしく、腰をびくびくと跳ねさせながらリッスが喘ぐ。
その様は完全に発情した猫そのものだった。だらしなく空いた口の中で唾液が糸を引き、涎が口の端からわずかに垂れる。
ただでさえこちらも興奮状態にあるというのに、そんな艶姿を見せられてはたまらない。
俺は再びリッスのクリトリスに狙いを定め、ローターを絶妙な力加減で押しつけた。
「――ッ♡ にゃあああああんッ♡♡♡」
早くも絶頂に達したらしく、リッスは前足で顔を隠しながら体を何度も震わせた。
その恥じらう姿が、またただのケモノとは違う、こちらの性的興奮にダイレクトに訴えかけてくる破壊力があった。
俺の方も、もう我慢ができそうにない。
「リッス……次は、俺の『ねこじゃらし』で遊んでくれるか?」
ヒトネコ相手に使う隠語を口にしつつ、俺はズボンの中から膨張状態にある男性器を取り出した。
「ハァ……ハァ……んにゃぁ……♡」
絶頂の余韻で息を切らしていたリッスだが、その『ねこじゃらし』を見て――目に妖艶な輝きを宿したのだった。
つづく