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夜空さくら
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ふたりで過ごす、全裸の夏 全裸帰宅とペットケージ再び

■ 再び、全裸の夏が始まる――。

■ いまのお話と、過去(一年間分)の話を交えて進めていく感じになりますーw-ペコリ


※20230920追記:一部過去の話も含みましたが、二年目の夏の話が主になりました0w0; 一年目の冬や春にあった出来事は、また別の機会に書こうと思います。

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 なっちゃんと一緒に、川から自宅までの道のりを歩く。


 それ自体は何の変哲もないことだし、いつものことだ。

 けれど――私の格好が、全裸に首輪ということが、全く普通じゃない光景を生み出していた。

 のどかな田舎の風景の中、心臓の鼓動がやけに大きく響ている。

 首輪にはリードが取り付けられている。

 そのリードの先端を握っているのは、隣を歩くなっちゃんだ。

「ほんでなー。おばあったら今年は新しい種類の作物に挑戦するちゅうて、前よりも忙しく働きまわっちょるのよ」

「へ、へぇ……それは……良かった、んだよね?」

「去年みたいに塞ぎ混むよりはよかことなんじゃけどねぇ」

 交わす言葉というか、会話も平常通りのものだ。

 なっちゃんはおしゃべりが好きだから、放っておいても全然喋り続けてくれる。

 生返事になってしまったとしても気にしないタイプなので、私は遠慮なく思考を別のところに飛ばしていた。

 同級生の女の子と、素っ裸に首輪をつけただけの姿で一緒にいて、しかもその首輪につけたリードを引いてもらっている。

 さすがに四つん這いにはなれないけれど、いまの光景が端からみて、どれほど異様なことなのかは誰にでもわかる。

(ほんと……一年前にはこんなことになるなんて……思ってもなかったなぁ)

 一年前にも、私はあの川からいえまでの道のりを全裸で帰った。

 その時も緊張と興奮でドキドキしたものだけど、その時はいまみたいに誰かと一緒に歩くことになるなんて思ってなかったし、ましてプレイに付き合ってもらえるようになるとは、思ってもみなかった。

(ほんと、奇跡みたいな話よね……)

 あの日あの時、お互いに川に行かなければ、そもそも出会うことすらなかったかもしれない。

 なっちゃんの事情を知ることになることもなかっただろうし、いまほど一緒に行動するようになってはいなかっただろう。

 最近は周りのクラスメイトたちから、私となっちゃんはニコイチの存在かというくらい一緒にいるものと思われているみたいだし。

 そんな相手とも、あの日あの川に行かなければ会えていなかったかもしれない。

 本当に、人の縁とは奇妙なものだ。

 なっちゃんが当たり前にしているお婆さんの話も、果たして普通に出来ていただろうか。

(お婆さんに初めて犬として扱われた時は、本当に驚いたわ……)

 一年前、なっちゃんのお婆さんは愛犬である太郎の死を受け入れられずに、精神的におかしくなってしまっていた。

 色々あってなっちゃんの家に泊まることになった後、お風呂に入っていた裸の私のことを迷い込んだ犬として認識し、犬扱いして来たのだ。

 あの時は本当に困惑したものだった。

 初めて首輪を巻かれたり、なっちゃんと一緒にケージの中に入れられたり、とんでもない経験をさせてくれたものだった。

(あー……なんだかすごく昔の話みたい)

 懐かしくなってしまった私は、ふとなっちゃんに尋ねる。

「ねえ、なっちゃん。いきなりなんだけど」

「なんね?」

「……太郎のケージは、まだリビングに置いてあるの?」

 触れない方がいいのかな、と思いつつも私は尋ねてみる。

 なっちゃんは特に気にした様子もなく、普通に応えてくれた。

「まだ置いたままばい。特に急いで撤去する必要もないけぇのぉ」

 鉄で出来た頑丈そうな代物だったし、そういうものかもしれない。

 ただ――なっちゃんは楽しそうに笑った。

「ほれに……れいもあったほうがえーじゃろ?」

 そう言われてしまい、私はどう応えたらいいものか、悩んでしまう。

「それは……その……なんていえばいいのかな……」

 別に置いておいて欲しいわけではないんだけど。

 そういう気持ちを込めて返答に窮した私に対し、なっちゃんは不思議そうに首を傾げながら爆弾発言をしてくれた。

「だってれい、入れて欲しいって言って来たことあったやん?」

 それを指摘されると、何も言えなくなってしまうのである。

 私は遠い目をして、去年の夏の終わり頃にあったことを思い出す。





 なっちゃんのお婆さんの問題が解決して、暫く経った秋の始め頃。

 その頃には学校も始まっており、私となっちゃんは同じ学校に通っていた。

 引っ越してばかりで馴染むまで時間がかかるかとも思っていたけれど、なっちゃんがいてくれたおかげでスムーズに溶け込むことが出来て、ほっとしていた頃だ。

 そんなある日の放課後、私はなっちゃんに招かれて、彼女の家に遊びに行った。

 それ以前になっちゃんの家を訪れたのは、なっちゃんの閉じ込めとお婆さんの熱中症騒動の時だったので、なんだか感慨深く感じる。

「お、おじゃましまーす……なっちゃん、今日はおうちの人……お婆さんは?」

「おばあは畑仕事に行っとるんだ。なまら元気になってなー」

 そう言いながら、嬉しそうに笑うなっちゃん。

 そんな彼女の笑顔を見てると、私も嬉しくなってしまう。

「はー、なまら肩凝ってこたえるわー」

 学校帰りなので、なっちゃんも私も学校の制服を身に着けていた。

 うちの学校の制服は、結構女の子風味が強くて、ワンピースタイプの制服だ。

 都内ならお嬢様学校とかで採用されているような制服だった。

 共学だし、男子は普通のブレザーだったりするので、都会かぶれの結果なのかもしれない。

 ともあれ、なっちゃんの性格からするとそういうお淑やかな雰囲気の制服は正直似合わず、事あるごとに文句を言っている。

 だから、なのだろうか。

 なっちゃんはリビングに着くや否や、その窮屈な制服を脱ぎ始めてしまった。

 私の目の前で。

「ちょっと……なっちゃん……」

 苦笑しながら声をかけるも、その時にはすでになっちゃんは制服を脱ぎ切って、ハンガーにかけているところだった。

「ん? なんね? れい」

「……なんでもない」

 元々なっちゃんは裸族のきらいがあるので、言っても無駄だろう。注意するのは諦め、彼女の下着姿を観察する。

 スポーツブラにショーツという、なんとも彼女らしい活動的な下着姿だった。

 それを堂々と晒しながら、なっちゃんは冷蔵庫の中から冷えた麦茶を取り出して持って来てくれる。

 秋の始め頃とはいえ、まだまだ蒸し暑い感覚は続いていて、冷えた麦茶が美味しい。

 軽く汗を拭いながらそれをありがたくいただいていると、なっちゃんがにこやかな笑顔で事も無げにいう。

「れいも楽にしてええんよ?」

 今更何を隠すことがあろうか、という具合になっちゃんは促してくる。

 確かにいまさらなっちゃんに隠すようなことは何もない。

 私の露出癖に関しても理解があり、受け入れて貰えているからだ。

(確かに、なっちゃんに対しては、今更隠すようなことはないけどねぇ……)

 そう思いはするものの、さすがに人の家で堂々と全裸になれるほど、図太くはなれそうにない。

「……制服だけ、脱がせてもらおうかな」

 せっかくのなっちゃんの申し出を無駄にするのも申し訳ない――そんな言い訳をしながら、制服を脱ぐ。

 制服に皴がついたらいけないから、などと我ながら無理のある納得をするのだった。

 友達の家で、下着姿になるというのもだいぶありえないことのように感じはするけど、それをいうのなら私はこの家では裸になったことさえあるのだから、今更といえば今更だ。

 制服を脱いだだけでも、ずいぶん解放されたような気分になるのだから、我ながら露出癖が極まっている。

 ドクンドクンと心臓が高鳴っているのを感じつつ、私はなっちゃんが入れてくれた麦茶で喉を潤す。

「ふぅ……この家では全裸で徘徊したり、色々したわね……」

「ほんまにおおきにやで。れいがおらんかったら、おばあはいまもよくわからんままやったろうし」

 なっちゃんは私のすぐ隣に腰掛け――素肌同士が擦れ合ってちょっと恥ずかしかった――何度目かもわからないお礼をいう。

「私は別にこれといって大したことをしたわけじゃないけどね……ケージの中からなっちゃんが助けを求めて来た時には、どうしようかと思ったけど……」

 そう呟きながら、私はリビングの端に置かれているケージを見る。

 巨大な鉄製のケージは、大型犬の太郎が入っていたものだという。お婆さんが太郎の死を受け入れられるようになってからも、そのケージはいまもなおその場所に鎮座したままだった。

 ケージの上には太郎らしき犬の写真と、お供え物らしきものもある。

 どうやらお婆さんが正気に戻ってから整えたようだ。仏壇みたいな感覚なのだろうか。

(……あの中に、裸で閉じ込められたりしたのよねぇ) 

 ケージを見ながら、しみじみとそのことを思い出していた。

 そんな私を見てどう思ったのか、なっちゃんがとんでもない提案をしてくる。


「れい。せっかくじゃけえ、ケージん中入ってみっか?」


 何気なく思っていたことを言われて――私は本気で心臓が口から飛び出すかと思った。

「んな……なな……なん、で?」

「いまならおばあもおらんし……れいが一人で入ったことなかったなぁ、って思って」

 確かに言われてみれば、私がケージに入れられた時は、なっちゃんが一緒だった。

 なっちゃんが一人で入っているのを外から見てはいたけれど、私が一人でこのケージに入ったことはなかった。

(う……べ、別にケージに入りたいわけじゃないけれど……)

 なっちゃんは完全に善意で言ってくれている。

 彼女は、私の露出癖のことを理解してくれているからだ。

 それに加えて、私がお婆さんの命をを救ったこと、正気に戻すための手助けをしたこと。

 それらに多大なる恩を感じてくれているなっちゃんは、私の『露出したい』という望みを最大限叶えてくれようとしているのだ。

 彼女自身、割と素で裸族なので、露出癖に対する嫌悪感などあるはずもなく、私にとってはとてもありがたい協力者となってくれている。

(……妄想してたのは、確かなのよね)

 裸にされて檻の中に閉じ込められ、見世物にされる、というのは現実離れしたことではあるけれど、そういうシチュエーションを妄想することはあった。

(お婆さんが正気を取り戻した以上、このケージもいつまでここに置いとくのかわからないし……)

 思い出の品として残し続けることもありそうだけど、そうとも限らない。

 こんな立派な檻――もといケージを自由に触れられる機会なんて、今後そうそうあるものでもないだろう。

 我ながらしつこいくらいの理由付けをして、なっちゃんの申し出を受けることに舌。

「じゃ、じゃあちょっとだけ……入れて、もらおうかな」

「うん! どーぞどーぞ!」

 なっちゃんは笑顔でケージの扉を開き、その中を指し示してくれる。

 なんともおかしな状況にドキドキしながらも、私はそのケージへと近づいていった。

「あ。どうせやったら裸で入ったらええんとちゃう?」

 なっちゃんにさらりと言われ、私はまた動きを止めてしまうことになった。

「犬になるんやったら当然やろ?」

「それは……うん……そう……ね……」

 どうせケージに入るなら、妄想通りの状態が好ましい。

 そんなことを考えながら、私は下着も脱いで裸になった。

 なっちゃんが下着姿だったから、あんまり抵抗なく脱げた。

 もしなっちゃんが普通の格好をしていていたら、さすがに脱げなかったかもしれない。

 私は脱いだ下着を自分の座っていた場所に置き、素っ裸の状態でなっちゃんの誘導に従ってケージの中に四つん這いになって入る。

(あれ……もっと狭いような気がしてたけど……)

 案外広く感じる。体を真っ直ぐ伸ばして寝られるほどではないけれど、ちょっと体を丸めれば十分な感じだ。

(ああ、そっか。前の時はなっちゃんも一緒だったから……)

 なっちゃんは小柄な方で、私より一回りは小さいから、このケージの中にも二人で入ることが出来ていた。

 私は四つん這いの体勢のままケージの奥に進み、そこに置かれていた毛布の上に体を横たえる。

(うわぁ……うわぁ……! わ、私……ペットになってる……!)

 顏に熱が集中して、心臓がますます激しく動いているのがわかる。

 喉から心臓が飛び出しそうな勢いで高鳴り――あそこがきゅんと収縮するような感じがしていた。

 そんな私の耳に、ケージの扉が閉まる音が飛び込んで来る。

 びっくりしてそちらを見ると、なっちゃんがご丁寧に鍵まで閉めてくれていた。

 そして私の前に移動して来てしゃがみ込み、にこやかな笑みを浮かべる。

「どうかいな? れい」

「ど、どうと言われても……まあ、その……ちょっと、興奮する……かな」

 ちょっとどころではないのだけど、ついそんな風に逝ってしまう。

 なっちゃんはそんな素直じゃない私の言葉を聞いて、嬉しそうに笑っていた。

 何とも変な感じだ。裸でケージ越しに同級生の女の子と向き合っているなんて。

 これ以上は変な気分になってしまいそうだったので、なっちゃんに出してもらおうと――そこに電話が鳴った。

「およ? ちょっと待っとってなー」

 なっちゃんがとてて、と軽い足取りで電話の方へと歩いて行ってしまう。

 鍵を置いていってもらえばよかったことに気付いたのは、なっちゃんが電話を取って話し始めてしまってからだった。


 思いがけず、私はケージの中から暫く出られなくなってしまったのだ。


つづく



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