SamSuka
夜空さくら
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ふたりで過ごす、全裸の夏 鍾乳洞と秘湯露出

■ 再び、全裸の夏が始まる――。

■ 少し間が開いてしまい、申し訳ありませんでした。月曜日にこの続きを投稿し、今年の全裸の夏シリーズは一区切りつけようと思います。ふたりは果たして窮地を無事にしのぎ切ることが出来るのか! ご期待くださいーw-ペコリ

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 なっちゃんに案内されて着いた鍾乳洞は、かなり立派な大きさであるように見えた。

 入り口に立つと、ひんやりとした風が中から吹いていくる。

「すごい……こんなところがあったんだ……」

「すごかろ? 去年はおばあがああだったからこれんかったけれど、今年は来たかったてん」

「でも入って大丈夫なの? 整備されてるようには見えないけれど……」

「だいじょーぶだいじょーぶ。理由はあとでわかるけぇ」

 カラカラといい笑顔を浮かべ、なっちゃんはそう太鼓判を押す。

 どうしてそう言えるのかはわからなかったけれど、なっちゃんは基本的に嘘をつかない。安全に関することであればなおさらだ。信頼できる。

「あ。でも一応さっと見てくるわ。ちょっと待っとって。十分しても戻らんかったら、おばあに連絡して人呼んでもろて」

 たとえ大丈夫だという確信があっても、相手は自然物。

 昨日今日崩落が起きたということもあり得る。

 なっちゃんはそういうと、荷物と私を置いて鍾乳洞の中に入っていってしまった。

 鍾乳洞の前に置いていかれてしまった私。

(危険かもしれないなら、私も一緒に行った方が……いや、そっちの方が危険ってことかな)

 ともかくいまはなっちゃんを待っているしかない――静かな森の中で、私は周囲を軽く見渡しながら待っていた。

 鳥やセミが鳴く音以外、ほとんど聞こえない。都会なら車の音とか、近くで遊んでいる子供の声とかが聞こえてくるのだろうけれど、ここは本当に森の中だからそういった音は何も聞こえてこなかった。

(……絶好の露出スポットではある、のかな)

 ここに来るまでほとんど誰にも出会わなかったし、いまも誰かが近づいてくる気配はない。

 浅ましい私は、早くもうずうずしてしまう。

 開放的な姿に早くなりたいと――そんなことを思ってしまうのだ。

 自分は生粋の露出狂なのだという気がして、苦笑いを浮かべる。

(ほんと、どうしようもないよねぇ……ごめんね、お父さん)

 いまも農業に勤しんでいるであろう父親に心の中で謝る。

 まあ、お父さんはお父さんで、娘をほぼほったらかしにして、農業一筋でずっと動いているのだから、お互い様かもしれない。

 そんなことを考えていると――なっちゃんが帰ってきた。

「だいじょーぶやったで! 誰もおらんし、どこも問題なしや!」

 にこにこと笑いながら、なっちゃんは鞄を下ろす。

 その中から、いつものものを取り出した。

「つーわけで……はじめよか? れい」

 なっちゃんが取り出したものを見た私の心臓は、どきりと大きな音を立てる。


 なっちゃんが取り出したのは、私の首にいつも巻きつけている――首輪だった。


 その首輪は私が買ったもので、なっちゃんに預けていた。

 露出プレイに付き合ってもらうときに――私の首に巻いてもらうために。

 それを取り出したということは、つまり露出プレイの始まりの合図。

 私はドキドキしながら服を脱いでいこうとして、なっちゃんが同じように服を脱ぎ始めていることに気付く。

「なっちゃん?」

「あ、ええからええから。ほら、はよれいも脱いで」

 なっちゃんは裸族気味ではあるけれど、外で露出したがるほどの露出趣味ではないはずだった。

(川遊びする時とかならわかるけど……?)

 私はなっちゃんの行動を不思議に思いながらも、とりあえず自分の服を脱いでいく。

 ブラジャーを外すと、無駄に大きい私の乳房がぶるりと揺れた。

 スレンダーな体型をしている――子供体型というわけではないけれど、胸の膨らみはほとんどない――なっちゃんは、そんな私の体に、キラキラとした憧れの自然を向けて来ていた。

「ええなあ、れいのスタイル……うちも、それくらいになりたいわぁ」

 揺れるものがなっちゃんは、自分の胸のわずかな膨らみを見下ろしながら、残念そうに呟いていた。

(なっちゃんは色んな意味で無防備だから……もしなっちゃんが私と同じようなスタイルだったら、男の子たちは大変だろうけどね……)

 そんなことをちょっと思ってしまう。ただでさえ、なっちゃんの距離は普通の女子よりずっと近いので、その距離感に狼狽えている男の子の姿を何度見たことか。

 ともあれ、私となっちゃんは、大自然の中で揃って真っ裸になっていた。

 私の首になっちゃんが首輪を巻いてくれる。

 その首輪には、細いリードが取り付けられ、そのリードをなっちゃんが握った。

 脱いだ服をなっちゃんが鞄の中に丸めて収め、纏めてしまった。

 なお、私の靴も一緒にその中に納められ、代わりになっちゃんが履いているようなサンダルを履かされていた。

「脱いだ服はここに隠しておくでなー」

 鍾乳洞の入口の側の茂みに、自分たちの服を入れた鞄を隠すなっちゃん。

 ほぼ裸の女子が二人並んでいる姿は、なんとも恥ずかしい状態だった。

 まして、片方には首輪が巻かれていて、その首輪から伸びているリードを握っているのはもう片方の手だというのんだから。

 たぶん初見で私たちの関係を一発で見破れる人はそういないだろう。

「ほな、いこか」

 格好にそぐわない邪気のない笑顔を浮かべたなっちゃんが、私を促して鍾乳洞の中に入っていく。

 私はゴクリと喉を鳴らしながら、リードに引かれるまま、彼女の後に続いた。



 鍾乳洞の中は、天然のクーラーが利いているみたいにひんやりとしていた。

 僅かに滲んでいた汗が引いて、体が震え始める。思わず手で自分の体を摩ると、想像以上にひんやりした感触が走って、びくりと体を震わせてしまった。

 なんというか、肌が敏感になって、余計に裸である事実がハッキリと突きつけられているような気がする。

 鍾乳洞は私が屈まないで普通に歩ける程度には広かった。

 それに真っ暗になるんじゃないかと思ったけれど、要所要所にちゃんと照明が置かれていて、足元が不安になることも一切なかった。

(意外と、整備されてるのかしら……? でも、それにしては特にそれっぽい物がなにもないけれど……)

 鍾乳洞なんておいしいスポット、ある程度使えるのであればちゃんと整備して観光客とかそういうのが入れるようにしそうなものだけど。

 不思議に思いながら進んでいると、程なくして広い空間に辿り着いた。

 全体的に仄かに明るいのは、外に通じているところがあるからのようだ。

「ここは……?」

 きょろきょろと視線を巡らせていると、なっちゃんがリードを引いて誘導してくる。

 私が素直になっちゃんに近付いていくと、なっちゃんは鍾乳洞の壁を指し示した。

 そこには、岩肌に直接掘られたと思わしき、石像があった。だいぶ風化、というのだろうか。形はおぼろげになっているけれど、仏像っぽい感じがする。

 敷居のような物があって、触れないようになっているけれど、明らかに宗教めいたものを感じた。

「岩乃戸神さんゆうてな。年に数回、この鍾乳洞で儀式を行ってるねん」

 そう言いながら、なっちゃんは岩の仏像に向かって手を合わせる。私も慌ててそれに倣った。

 仏像の前に裸で立つ女子二人。仏像の所以次第では罰を当てられかねない状況だと思う。

「よ、よかったの? こんな格好で……」

「だいじょーぶだいじょーぶ! 何度か素っ裸でお参りしたことあるで、いまさらじゃき」

「あるの!?」

 どういうことなの、とツッコミを入れざるを得ない。

 なっちゃんは楽しそうに笑って、私をさらに奥へと誘う。

 私は素直になっちゃんに従ってその先に進み――急に明るくなった場所に出る。

 どうやら外に出たらしい。

 私は暗闇から明るいところに出て眩む目を眇めてその先を見て――目を見開いた。

 鍾乳洞から外に流れ出している川。それがちょうどいい具合に水場として存在していた。

「れい、こっちこっち」

 そう言ってなっちゃんが誘導してくれた先には、川の流れから区別された区画があった。

 その区画に近付いた私は――すぐに気付く。

「これ……もしかして、水じゃなくて、お湯……!?」

「正解! 足湯くらいの深さしかないんやけど、天然の温泉になっとるんよ」

 ざぶざぶと入って行ってしまうなっちゃん。

 リードを握られている私は、その後に続いて入るしかなかった。

 鍾乳洞の冷たい空間で程よく覚まされた体が、程よく温かいお湯で温められる。

「ふわぁ……気持ちいいけど、入って大丈夫なの?」

 ろくに手入れもされていないし、成分とかが変化している可能性がある。

 そう思ったけれど、なっちゃんは平気な顔をして首まで浸かっていた。自然と寝転ぶような体勢にならざるを得ず、凄く無防備な格好だ。水場の縁に頭を乗せ、ぷかぷかと浮いている。

「たぶん大丈夫やで。去年は来れんかったけど、それまではずっと毎年入っとるし……秘湯みたいな扱いなの」

 気持ちええで、となっちゃんはとてもリラックスした様子で浸かっていた。

 確かにとても気持ちよさそうではあるけれど。

 私の理性は、あっさり興味と関心に負けた。

 なっちゃんを真似て仰向けで浸ってみる。

 ぷかぷかと水面に浮かぶ自分の胸が若干気になるけれど、確かにこれは気持ちいい。

 大自然の中に溶けていくようだ。

「はふぅ……確かに、これは……気持ちいいわね……」

「せやろ?」

「でもこれ、体冷えちゃわない? この後鍾乳洞抜けて行かないとでしょ?」

「ある程度水気を払って、駆け足で行けば大丈夫やでー。短かったやろ?」

「それは……そうね……」

 不慣れな私の足でも、数分と歩いていなかったはず。

 それくらいの時間なら、確かに体が冷え切る前に外に出られるだろう。

 まあ最悪風邪を引いてしまったとしても、この気持ち良さを味わえたのだからいいような気もする。

 私となっちゃんは暫し、大自然の中での解放感に浸ったのだった。



 寝てしまいそうなほどリラックスしていた私は、突然なっちゃんが起き上がって水飛沫を上げたので、心臓が飛び出るかと思うほど驚いた。

 危うくお湯の中に全身沈んでしまうところだった。

「うわっ、ぷっ……。ど、どうしたの、なっちゃん?」

 私がそうなっちゃんに尋ねると、なっちゃんは私の手を取って立たせてくる。

「鍾乳洞側から……誰か来る!」

 その言葉に、私の心臓は一気に縮こまった。

 なっちゃんに促されるまま、急いで近くの岩陰に隠れた。

 程なくして、確かに誰かの話し声が私にも聞こえてくるようになった。

「うわあああ……すごーい!」

「な? 言ったとおりだったろ?」

「観光ガイドにも何も乗ってなかったのに、シンジはよく知ってたね?」

「ふっ。色々伝手があるんだよ……いやあ、ここまで凄いとは思ってなかったけどな」

 それは妙に明るい声で話す、一組の男女だった。

 カシャカシャという音はカメラのシャッター音だろうか。

(観光客……!? 秘湯巡りが趣味のカップル……?)

 いずれにしても、非常にまずい。

 私もなっちゃんも完全な裸だ。私に至っては首に首輪を巻いていることもある。

 見つかったら、最悪動画や写真に撮られて、それを拡散されてしまうかもしれない。

 見て見ぬふりをしてくれる善人である保証はどこにもないのだから。


 絶体絶命の窮地に、私となっちゃんは立たされていた。


つづく


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