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秋刀魚
秋刀魚

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負けられないヒーローに超リアルな完全屈服敗北アクメシミュレーションを提供する仕事に就いた元ヴィランの話


 人間が異能力に目覚めるようになって大体1世紀くらい。異能に目覚めるかどうかが半々。運良く異能に目覚めても、そこから更に異能の内容ガチャ。

 もしこのガチャで当たりを引ければ、それだけで、一流ヒーローとしてそれはそれは大層な暮らしが出来るようになる。


 俺も一応、運良く異能に目覚めはした。

 無能力者として生きる残りの半分と比べれば、異能に目覚めるだけマシ。そうと頭では理解していても、自分の異能のショボさには呆れ果てる。何が「相手が深層心理で望んでいる光景を見せる」だ。


 幻覚系の異能はとても強力で、それでいて保有者が非常に少ない。だから自分の異能が幻覚系だと分かった時、流石の俺も飛び跳ねて喜んだ。

 同じ幻覚系の異能使いで言えば、ミラージュホロウなんかが有名だ。彼女は一流ヒーローとして、今も最前線で活躍している。俺もそんな風になれるんじゃないかと淡い期待をした。


 で、実際蓋を開けてみれば、俺の異能は彼女のソレの完全下位互換。何だよ、幻覚で見せられる内容は相手が望むシチュエーションで固定だなんて、汎用性のカケラも無い能力。期待しただけ損した、そんな感じだ。

 一応ヒーローを目指して専門学校にも通ってみたが、あまりにも異能の使い勝手が悪すぎて中退してしまった。

 卒業も出来ず、一般企業への就職に活かせる事など何も学べず、俺の手元には何も残らなかったが、強いて言えば異様に高かった学費だけが莫大な借金に姿を変えて残った。


 なんだコレは。本当に、何だ。

 この異能、ヴィランに全くと言っていいほど効かない。「今1番やりたいこと」を見せる異能なのに、アイツら全員「今1番やりたいこと」と「今やっていること」が同じ。大抵の場合、アイツらに幻覚の影響はほとんど無いし、行動を封じるような効果は期待出来ない。


 1番酷いのは人間性だ。俺は未だに、こんな有り様で居ながら、自分を「選ばれし幻覚系異能者」だと認知しているらしい。一度膨れ上がってしまった自尊心は、どれだけ落ちぶれても、中々元には戻らないものだ。


 人間関係が拗れてアルバイトも思うように続かず、日雇いを転々としながら、返済に追われる日々。

 単に金の為にやった犯罪だが、もしかすると俺は、俺の稀有な異能が活かせる世界を探していたのかもしれない。その最後の可能性、ヴィランに生きる道も、あえなくヒーローに捕縛されて消え去ったわけだが。


 俺は正規の手順に則り、後は大人しく裁判と収監を待つだけ、のはずだった。

 留置所の扉を開けたのは、警察でも弁護士でもなく、見慣れないバッジをつけた黒いスーツの男達だった。


◁ ▶︎


「はあ…………。俺の異能で、ヒーローのメンタルケアを? どうして、そんな」


 なんでも俺を捕縛しようとして失敗した無名の三下ヒーロー、フェアリードロップとかいうのが、俺に撃退された後、勝手に無様敗北妄想マゾ幻覚でイキ散らかした様をネットで拡散されて、派手に知名度を上げたらしい。


 ヒーローは負けられない。負けるとスポンサー契約を切られるからだ。

 だが負けられない戦いを続ければ続けるほど、人は甘美な敗北に焦がれる。これをカリギュラ効果という。やってはいけない事ほど、許されない事ほど、魅力的に見えるものだ。


 つまり、フェアリードロップの無様敗北マゾ妄想アクメを羨ましいと思ってしまったヒーローが、実は大勢居たらしい。


 で、俺に声が掛かった。


 ヒーロー個々人が望む最高の「敗北」を味合わせることができる男、として。


◁ ▶︎


「敗北アクメがしてみたいだとか、君、ハッキリ言ってヒーロー失格だろう。……自覚があるのかい?」


「ぐぅ゛う、゛う゛ッ、五月蝿いッ、早ぐッ、早くじろ゛ォ゛オ゛ッ♡♡♡♡ はやく゛ッ、ォ゛お゛ッ…………ッく、ぅ゛ッ♡♡♡」


 ミスティ・ルナ。大手スポーツ用品メーカーを始めとして8社と契約する一流ヒーロー。高身長、ツンとした美貌、メリハリの効いた豊満な身体で、モデルとしても活躍している。

 妄想シチュエーションは『潜入中に罠に掛かり捕縛され、読心系ヴィランに心中の密かな欲望「実は敗北アクメしたい」を赤裸々に読み解かれながら滅茶苦茶にされる』となっている。


「“何”を早くして欲しいのか、ハッキリと言ってくれないと分からんな」


「くぅ゛う゛ゥ゛ッ♡♡ 頭ん゛なか゛ッ、読め゛でりゅ゛くせ゛に゛ィ、い゛いッ♡♡♡ ォ゛お゛ッこれッ、ぉ゛お……ッ♡ イっ、ぃ゛いけなッ、イけな゛いッ…………ッもっと、もっと、強く゛ッ、ふ、ぅ゛……ッ♡♡♡」


 今ルナは全裸に剥かれ、両手足を拘束されて宙吊りにされている。それだけ。誰もその身体を触ったりはしていない。

 だが彼女の頭の中では、悪趣味な読心ヴィランが乳輪をいやらしくなぞっている。ガチガチに勃起していつでも乳首アクメ準備万端なマゾ突起を、けれどいつまでも触ってもらえない。


「ッ、く、ぅ゛…………ッ♡ 触って゛ッ♡♡ さ゛ぁ゛あッ♡ むりッ、も、もう゛ッ、我慢するのむり゛ッ♡♡♡」


 彼女自身、何を言えば良いのか、何を言わないと楽にして貰えないのか、理解している。何故ってそうだ、この責め具自体、彼女がずっと心の底から望んでいたことなのだから。


「“何”を、触ってほしいんですか?」


「ォ゛オ゛……ッ♡♡ ちくびッ♡ バカみたい゛に勃起じた自己開発済み゛マゾ乳首゛ッ、さっさと、本気でッ、捻り潰じてッ、意識ブッ飛ぶマゾアクメさ゛せでくださ゛い゛ッオ゛ッオ゛ッほォ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?!?!?♡♡♡♡♡♡ キタっ、きたキたきた乳首ッイグッ逝くッぅ゛う゛ゥ゛ーーーーッ♡♡♡ オ゛オ゛ォ゛ーーッ逝くイグイグイグッ♡♡♡♡ オ゛ッほッ♡ オ゛ォ゛ォ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ♡♡♡♡♡」


 勿論、彼女の乳首はやはり誰にも触られていない。彼女の身体が屈服なら敗北したという事実はどこにもない。

 けれどルナはベロを突き出し白目を剥きながら、念願だった敗北失神アクメをキメた。とても不細工な、幸せそうな表情で。


◁ ▶︎


「んぎ、ぎ……ッ、コレで、満足だろッ♡ キミ、さっさと人質を解放したまえ……ッ♡♡」


 ミラージュ・ベール。その素顔を知るものは居ない『透過』の異能を持つヒーローだ。衣服は消せないので、スポンサーロゴの印字されたマント姿で現場に現れ、それを脱ぎ捨て完全な透明体になるのがお約束の流れ。


 だが見えないだけで、身体能力は常人のそれと変わらない。例えばサーマルビジョンを装備した私兵部隊などが相手ならお得意の透明化は意味を成さず、こうして簡単に包囲され、捕縛されてしまうだろう。


 そして人質を解放する為に、ベールは透明化を解除し、姿を晒す事を求められる。今回の妄想シチュエーションはそういう内容だ。


「く、ぅ゛う…………ッ♡♡ あまりジロジロと見るんじゃない……ッ!!♡♡♡」


 ベールの異能では、衣服は消えない。

 透明化を解除すれば当然、全裸。

 可愛らしい顔、起伏に富んだ女性的な肢体。王子様めいた言葉遣いに似つかわしくない女性的な身体を晒してしまう。


「は、はァ……ッ!? ど、土下座って、そんなッ…………透明化を解除すれば人質は解放してくれる約束だろうッ! 気が変わったとか、そんなの許さなッ……いや、分かった、分かったからッ、もう文句は言わないから……人質に手を出すのだけは辞めてくれ……ッ!」


 それを出されては弱い。一般人を人質を取られている以上、イニシアチブは常に向こうにある。ベールは渋々、膝を突いた。


「ぐ、ぎぎ……ッ♡ 覚えていろよ貴公らッ、この恩はいずれ倍にして返してやる……ッ♡♡ 枕元に立つ姿見えぬ影に……ッ、一生怯えて生きるがいい……ッ♡♡♡」


 歯軋りしながらも、人質の為、表向きは服従を示して三つ指をつく。頭を下げ、屈辱的な土下座のポーズ。けれどその声音は明らかに、興奮で上擦っていた。


「コレで良いだろッ、早く人質を解ほォ゛ォォオ゛ッ!?!?♡♡♡♡ んぎッひッ!?♡ 踏むなッ、頭踏む゛な゛ッ♡♡ おお゛ォ゛ッほォ゛ーーーーッ!?!?♡♡♡」


 軍用ブーツの硬い底が、淫らな期待を隠せないベールの頭を踏み躙った。

 腰を跳ねさせ、身を捩り、けれど彼らに命令された土下座の姿勢は崩せないまま、ベールは意識をトばすまでイキ続けた。


◁ ▶︎


「ッ、くぅ…………ッ!!!」


 レイジ・バスター。その豪気な名前とは裏腹に、正体は鳳城切音。齢1◯にして鳳城グループを取り仕切る145cmのお嬢様だ。

 異能『獣化』を発動した際には身長2メートルを越え、獣めいた強靭な膂力により俊敏かつ豪快な戦闘を行う。


 肉弾戦において並ぶ者の居ない彼女が、信じ難いことに、同じく『獣化』を発動したと思しきヴィラン男に押されていた。俊敏性においては明らかに男が優っており、対する彼女は防戦一方。勝負は決まったかに見えた。


「く、ふッ……ッ! そんな拳じゃあ、私の“装甲”はブチ抜けません事よ……ッ!!」


 強がりめいて啖呵を切る。

 だが言葉通り、彼女がダメージを受けている様子はない。硬化した筋肉が、素早いだけが取り柄のジャブを悉く弾いているのだ。


 奴の攻撃は一つも通らない。だから防戦一方で構わない。耐え、耐え、耐えて、見つけた隙に最大限を叩き込む。


 だが、それが大きな判断ミスだった。


「────────ッ!!??」


 硬く握られた男の拳が、下腹部を抉る。彼女の防戦一方が致命の一撃を叩き込む隙探しだったように、男の俊敏な動きもまた、本命を通す隙を作る為のブラフだった。


「ッ、ぐ、ぉ゛ォ゛オ゛ッ♡♡♡♡ オ゛ッ、ォ゛オ゛────────ッ」


 どれだけ鍛えても、どれだけ強靭でも、そこが弱点であり続けるのは雌に生まれた性だ。分厚い筋肉を超えて子宮に響いた衝撃が、いわゆるポルチオに深いオーガズムを叩き込んだ。


「お゛ぉ゛ーーーーッ♡♡♡♡♡ 深ッ、ァあ゛ッ♡ あ゛ッ、が、はッ♡♡♡ いぎッ、イグッ、い゛ッ、ぃ、い゛ッ♡♡ キ゛ッ、ぃ゛いッ、ォ゛オ゛ーーーーッ♡♡♡♡」


 どんな男にも負けない膂力と、どんな男にも負けない財力を兼ね備えていながら、彼女が心の底から求めたのがコレ。

 自分よりも強いオスに捩じ伏せられ、言うなればメスの証である子宮を潰される。自分は生粋のメスであり、生まれながらにオスには決して敵わないのだと教え込まされる。


 待てど暮らせど現れる気配のない、理想のオス様を、彼女は求めていた。


「ッ、ギひッ!?♡♡♡ ぉ゛ぎゅ゛ッ、おほッ、お゛ォ゛おーーーーーーッ♡♡♡♡ ぉ゛ぴッ、ひ、ィ゛いッ、ォ゛おッ♡♡ お゛ォ゛ッほォ゛ーーーーーッ♡♡♡」


 変身も解け、ただ無力に地に伏す小柄な少女の姿を晒して尚、生身の腹を踏み躙られアクメする。執拗で、あまりに酷い仕打ちを、しかし彼女自身が求めている。


 オス様に子宮を踏んで頂いている、鳳城切音はそう思い込んだまま、床に寝転がって身体を痙攣させ続けた。


◁ ▶︎


 ────対象の捕縛が完了しました。


 ────生体情報同期……ヒーロー、アナスタシア。


 ────"トーメンター"起動シーケンスを開始します……。


 ────エネルギー充填12%……。


「……ッ、く、ぅ゛う…………離せッ!」


 アナスタシア。脅威的な自然治癒力による『不死』の異能を持つヒーローだ。

 そんな彼女だが現在、四肢を拘束され、完全に宙吊り。ボディスーツの乳と股だけ綺麗にぽっかりと穴が空いたような格好で、酷く無様な姿を晒している。


 これは処刑だ。

 決して死ねない彼女が望んだ、許容値を超えたアクメによる事実上の処刑。自称2000歳の知識が詰まった脳細胞を焼き殺す、この世で最も死に近い儀式だ。


 ────エネルギー充填25%……“弱”設定にてトーメンターを起動します。


 ────トーメンター、照射開始。


「────ッぴょオ゛ォ゛オ゛ッ♡♡♡♡♡ おこ゛ッ、ほ、ォ゛オ゛ッ♡♡♡ ご、おこ゛ッ、ォ゛オ゛ッ、ほーーーーッ♡♡♡♡ おぴょ゛ッ、ぎッ、おき゛ッ、ひッ♡♡ き゛ょッほォ゛ッ、ぴょ゛ぉッ、お゛ォ゛オ゛ーーーーーーーッ♡♡♡♡♡ お゛ォ゛おッ♡♡」


 無機質な装置から、ピンク色のレーザーがアナスタシアへ向けて照射された。

 アクメビームなどという、酷く馬鹿馬鹿しく、それこそ一笑に付すべき概念が、けれど確かに彼女を犯した。まだ弱設定だというのに、悲鳴にも似た無様な絶叫が響く。


 これは妄想なのだから、本人が知らないものは出てくるはずがない。であれば彼女の誇る知識とやらには、アクメビームの事も含まれているのだろう。決して死ねない彼女の2000年間が、浅はかな自慰の探究によって浪費されてきたのは最早間違いない。


 ────対象の性的絶頂を確認。


 ────生体情報を同期。


 ────“中”設定へ移行します。


「お゛っぴョお゛ォ゛オ゛ーーーーッ♡♡♡ ぉごこ゛ッ♡ おほッ♡♡ ごお゛ッ、ご、ォ゛おこ゛ほッ、ォ゛オ゛ーッ♡♡♡♡ ぎょ゛ッ、ごへッ、がぁ゛ッ、びょぎぴッ♡♡♡ おびょ゛ッ、ほ、ォ゛おッ♡♡ いキ゛ょおッ、ほひッ、ほォ゛おーーーーーッ♡♡♡♡」


 出力を増したビームが、身体の外から子宮を貫く。どんな自慰よりも強烈な快楽、アナスタシアの知り得るどれよりも強い絶頂が、彼女に無慈悲に襲い掛かった。


 ────生体反応の消失を確認。


 ────蘇生及び治癒能力の発現を確認。処刑失敗。推測される要因:出力不足。


 ────申請、出力“強”設定。


 ────認可されました。


 ────警告:最大出力照射を実行します。職員は速やかに室外へ退避してください。


 ────照射開始。


「ォ゛ッひ、ぎィ゛いッ!?♡♡♡♡ ピぎゃッはひ゛ッ、ほギょオ゛ォ゛おッ♡♡ おぎッ、ぎょほッ、ォ゛おッ、お゛ッ♡♡♡ おイ゛ぃギッ、ひぎゅッ、ぴョお゛ォ゛ッ♡ おひょホぉ゛オ゛ーーーーーッ♡♡♡♡♡ おひッ、おごごッ、ほ、ォ゛おッ、ほッ、ォ゛おッ、オ゛ぴォ゛ーーーーーーッ♡♡♡」


 子宮を灼くような熱が瞬く間に快楽へと変わって、その熱で脳が茹った。沸騰した。身体を必死に揺らして快楽を逃そうにも、四肢はガッチリと拘束されていて、もう意味の無い叫びを上げることしか出来ない。


 ────生体反応の消失を確認。


 ────蘇生を確認。


 ────繰り返しアクメ処刑を実行します。


「ォごこ゛ごッ♡♡♡ あキ゛ぎッ、ぐぎッ、ごひょッ、ォ゛ぎッ、ぎひッ、いぎゅッ♡ おごッ、おぴょォ゛オ゛ーーッ♡♡ イ゛ぃギッ、いひッ、ぴぎッ、ぅ゛うッ♡♡♡ おほッ、ォ゛ごオ゛ーーーーッ♡♡♡♡ イぎぎぎぎッ、がこ゛ッ、ほォ゛おッ、ォぴッ♡」


 ────生体反応の消失を確認。


 ────蘇生を確認。


 ────照射数を増やし、出力最大で処刑を続けます。


 与えられたアクメ処刑の指示を遂行する為、機械は無慈悲で無機質に動く。アクメビームが更に数機展開し、乳首、頭、アナスタシアの身体の至る所を至る角度から貫いた。


「ぴギょオ゛ォ゛オ゛ーーーーーーッ♡♡♡♡ おひッ、ォ゛ひ、ぉ゛オ゛ぐッ、おごッ♡ おピょオ゛ッ、おごッ、ォき゛ッおォ゛ーーーーーーーッ♡♡♡ おジゅッ、ぎュ、うォ゛ッ、ほひィ゛ッ、ぎひーーーーッ♡♡ イぎッ、きぎぅ゛ッ、ぎュい゛ッ、おほ゛ォ゛ッ♡ おごォ゛ぴョーーーーーーーーッ♡♡♡♡」


 気が狂うまで、あるいは彼女の度を越したマゾヒズムが満足し果てるまで、この拷問めいたアクメ処刑は続いた。


◁ ▶︎


「ォ゛オ゛お゛ーーーッ!? イヤっ、嫌ッ、嫌だッ、辞めろッ!!」


 叫ぶのはリナ・ハセガワ。

 ソラシル・テックの開発主任だ。

 彼女は現在、パワードスーツ「ステラ・ギア」の開発最高責任者として、試作スーツの実地運用試験中だ。


 だが不慮のアクシデントにより、パワードスーツの制御を失ってしまった。おそらくはライバル企業、転進重工によるハッキングだ。


「やめ゛ッ、辞めてくれ顔はッ、身体なら好きなだけ出してやるからッ、顔だけはッ!」


 駆動部に噛み込む危険性を考慮し、パワードスーツの中は全裸だ。

 そして現在スーツは装甲を展開し、中に格納した生身、つまりありのままのリナを晒している。そのうえ更にヘルメットまで開き始めたとなれば、この慌てようでも仕方ない。


「あ゛ァあーーーーーーーーッ、ヤダヤダヤダっ、くそッ、無理ッ、見られたッ、全部ッ!! あんの奴らッ、ガキみたいな嫌がらせしやがって、あ゛ーーもう゛ッ!」


 ヴィランを今まさに追い詰めようかというところで、なぜかスーツを開き、身体も顔も露わになったリナ。中継カメラも彼女に注目する。身体だけならまだいい。中に乗っているのがリナだと知るものは少ないから。

 だが、顔まで映ると別だ。行きつけの店にも当分は顔を出せなくなる。陥没乳首まで見られて、どんな顔で皆に会えば良いのか。


「はッ、はァ!? おまッ、え、まさかッ、ァあ゛ッ♡♡♡ いや、いやいやいやッ、無理ッ、絶対無理ッ、辞め、ろォ゛ッ♡♡ あ゛ぁあ゛あーーーーーーッ♡♡♡♡ アタシもなんで素直にクリ勃たせてんのッ♡♡ くそッ、てのひらでクリちゃん擦るの効くッ♡ くそ、ぉ゛オ゛ぉ゛ッ♡♡♡ 雑ッ、雑すぎッ、でも雑にされるの効くッ♡♡♡♡ くそッ♡」


 スーツの力に抵抗できるほど、リナは武闘派ではない。スーツの制御を奪われている今、スーツ側が手足を動かそうとすれば、リナの身体は素直にそれに従うしかない。

 リナではない何者かの意思で、リナの手は勝手に動かされ、ゴシゴシと乱雑に股を擦る。勃ち上がったクリトリスを潰して。


「お゛ほッ♡♡♡ あ゛ーーーッイグいぐっ、カメラの前なのにッ、くそッ、お゛ォ゛オ゛オ゛ーーーーーーッ♡♡♡♡」


 胡散臭い夢占いと違って、深層心理を必ず映し出す妄想催眠占いは非常に正確だ。リナ・ハセガワは、かつて中継で見た「カメラの前で身体の自由を奪われ辱めを受ける女」の事を、とても羨ましく思っていたらしい。

 でなければ、こんな幻覚は見ない。


「お゛ォお゛ッ♡♡♡ 見りゅな゛ッ♡♡ クソぉ゛お゛ッ♡ やめろッ、撮るにゃ゛ッ、見るのもダメッ、ォ゛ォ゛オ゛ーーッ♡♡♡ いぐッ、い゛ッ、いぎッ♡♡♡♡」


 卑しい女だ。本当は見てもらいたいくせに、見るな撮るなと拒むフリをする。

 自分から見てくださいと懇願も出来ず、かといって諦めることもできず、ただ心の奥底に欲望は眠り続ける。どれだけ真面目に振る舞おうと、どれだけ社会的地位を築こうと、その本性はどこまでも変わらない。

 メスはずっと、死ぬまでメスだ。


◁ ▶︎


「はぁ……ッ!?」


 フェアリードロップ。もはや説明するまでもなく、誰もが知る変態ヒーロー。

 一躍有名人となるキッカケとなった例の事件より、彼女は敗北妄想オナニーにすっかり耽溺していた。具体的には、毎晩潮が枯れ果て意識を失うまで自らを虐め倒してなお満足出来ず、この場所へ渋々足を運ぶほど。


「え、わざわざ口頭で“何をされたい”かアンタに注文しないといけないの!?」


 ドロップには分からない。これが本物のヒアリングなのか、はたまた既に幻覚なのか。


 正直、言いたくはない。どんな風に負けたいとか、どう負かして欲しいとか、ヒーローにあるまじき発言はしたくない。けれど、言いたくない事を無理矢理言わされるのは、とても屈辱的で、恥ずかしくて、気持ち良い気がして、自分の深層心理が実はそれを望んでいると言われれば、確かにそんな気もする。


 自分の本心が望んでいるシチュエーションなのだから、これは既に幻覚の中に違いない。ドロップはそう結論付けた。


「………………今日は四肢をベッドとかで拘束して、アタシが泣いて詫びて媚びるまで、乳輪だけじっくり触り続けてくれる?」


 口を開き、普段なら言えるはずもないことを、赤裸々と口に出す。

 幻覚の中だから、何を言っても誰にも知られないから。そう心中で言い訳して、それでも目の前に見える人間の姿にドキドキする。それが偽物のハリボテだと分かっていても、こんなヒーロー失格の宣言を聞かれてしまうのは、想像以上に酷く興奮した。


「……オナニーだとどうも手加減しちゃって、限界まで焦らせないから。今のアタシなら乳輪撫でだけでも簡単にイけるけど流石に本気イキまではしないから、2、30分も焦らせば泣いちゃうはず…………ッ、ふッ♡♡♡」


 ドロップは、絶頂していた。

 それも、かなり強烈に。普段のオナニーよりも遥かに深く。イッたのは多分、頭の中で普段イッている領域とは別の場所。乳首でイクのとクリでイクのが違うように、普段の脳イキと今の脳イキも、恐らく別物だった。


「ッ、嘘ッ、止まな゛ッ、あ゛ォ゛ッ♡ あォ゛オ゛オ゛ーーーーーーッ♡♡♡ ォほッ、ォ゛オッ♡♡ イ゛っでりゅ゛ッ♡♡♡」


 長い。他の場所より、絶頂が遥かに長い。イッたまま帰ってこられない。幸せな余韻でドロップはイキ続けた。


 ドロップには大きな誤算があった。


 ここは幻覚の中の出来事ではない。


 ただ偶然、自分の深層心理が望むのと同じような光景が現実の目の前に広がっていた。それだけだ。

 つまりドロップは、妄想による補正も何もなく、ただひたすら自身のマゾヒズムによって、淫らな告白だけで絶頂した。


 そもそも、自身の記憶と妄想が形作る幻覚の中で、自分の知らない絶頂など有り得るはずないのだ。

 その事実に、ドロップ自身も気付いた。


「ォ゛お゛オ゛ーーーーーーッ♡♡♡♡♡ いやッ、聞かれたッ♡♡ 幻覚じゃな゛かった゛ッ♡♡♡ いぐッ♡ こん゛なの゛ッ、だめッ、ヒーロー失格ッ♡♡ 失格でイグッ♡♡♡ オ゛ぉオッほッ♡ オ゛ッお゛ほォ゛ーーーッ♡♡♡♡ ゆる゛じでッ、止め゛てッ♡♡♡ 頭゛ッ、イギっばな゛じでッ、やばッ、おがじぐなりゅ゛う゛ッ♡♡♡♡ お゛きョお゛ーーーーーーッ♡♡♡♡♡ イグイグイググっ、全部ッ、全部イぎッ♡♡♡ ゆるし゛でッ♡♡ 誰が止め゛て゛ッ♡♡♡♡♡」


 気付いた絶望で更に絶頂した。

 ヒーローとしてやってはいけない一線を越えた。嬉々として敗北を語ってしまった。その背徳感で全身が絶頂した。


「オ゛ぎゅッ♡♡ オ゛ほォ゛ーーッ♡♡♡ お潮ッ♡ お潮とッ、りゃめ゛ッ、おひっこも出りゅ゛ッ♡♡♡ あ゛ぁ゛あ゛ッ♡ 出たッ、出ひた゛ッ♡♡♡ しーッ♡ ひーッ♡♡ おも゛らしッ♡ ぎもち゛ッ♡♡ ォ゛おッ、だめッ、ダメダメっ、癖になるッ♡ おもらしダメッ♡♡♡ あッ♡ あ゛ーーッ♡♡ だめッ、終わったッ♡ おわりッ、おしまいッ♡♡ アンタ゛なんがに゛見りゃれ゛ッオォ゛ッほォ゛オ゛オ゛ッ♡♡♡♡♡」


 絶え間無い絶頂の中で、ドロップは確かに、男が異能使用の構えを取ったのを見た。


「あ゛ーダメダメダメダメッ、イヤッ、絶対りゃめ゛ッ、幻覚だめッ♡♡♡ いま゛重ねか゛げじだら゛ッ死ぬ゛ッ♡♡ ほんとッ、ホントにイキぢぬ゛かりゃ゛ッ♡♡♡♡ ゆるッ、ゆッ、ぅ゛るじッ♡ ゆる、じて゛ッ♡♡♡ ほんとにッ、冗談じゃなッ♡ 全然ッアクメと゛まんな゛ぐでッ♡♡♡ ゆるじでッ♡ ごめッ、ピょお゛ォお゛お゛オ゛ーーーーーーーーッッ!?!?♡♡♡♡♡ 乳輪ッ♡ お゛ォ゛お゛ッ♡♡ こッ、んなッ、チク勃起させでん゛のにッ、触れッ、避けりゅなッ、指躱す゛なッ、乳首触れ゛ぇーーーーーーッ♡♡♡ オ゛ぉ゛お゛ッほお゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーッ♡♡♡♡♡」


 幻覚が乳輪に触れる度、乳首が更なる絶頂を欲して強く張る。脳が絶えず深くイキ続けているのに、身体は絶頂を求めて飢えている。相反する感情で、ドロップは涙を流しながらただ嬌声を上げるしかなかった。

 それから12時間たっぷり、ドロップは待ち望んだ敗北を噛み締めた。


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