※こちらのお話を先に読んでおくと、お話が分かりやすいです。(https://fallen02side.fanbox.cc/posts/7148023)
5日までは忙しいので、単話更新となります。
5日からはまだ複数更新頑張りますので、しばしお待ちを。
「──なるほど。私を見かけたという言葉を聞いた時は、この世界にも“お父様”に該当する存在がいるのかと思ったけれど……どうやら隣接次元から迷い込んできたようね」
目前に現れた存在を視認し、ラストはこの世界に飛ばされた時以来の、驚愕の表情を浮かべる。同行しているスロウスは、あるいはこの見知らぬ世界……科学文明が異様な発達を遂げ、神秘が闇の中に息づく世界を見た時以上に、驚嘆しているようにも見えた。
そこに立っているのは、ラスト自身……妖艶な美女の姿をしたホムンクルスであった。
身に纏う装束の黒の色合いがより濃い、胸元の露出が控えられている、多少ながら相手の方が顔立ちに大人びたものを感じさせるなど、差異が無いわけではないのだが、それは相手が自分自身だからこそ“分かりすぎてしまう”……つまり相手も自分だと認識してたことで初めて感じ取れる違いであった。
錬金術における禁忌、人体の錬成……その失敗作として生み出されたのが、ホムンクルス。
ラストは恋人を再生しようとした男が生み出した存在を、スロウスは母を復活させようとした兄弟が生み出し存在を、それぞれベースに生み出されている……逆に言えば、変身能力の類でも持ち合わせていない限りは、ホムンクルスの外見はそれぞれ固有となるはずであり……ラストとまるで同じ外見となると、元になった女の縁じゃくらいしか可能性が無い。
だが、それなら……相手もラストのことを“私”と評するのは、何なのだ?
「何者なの……? この世界では、錬金術は広まっていないはず……」
「そう見えるわよね、一見すれば。けれど、この世界は……私も、この世界の出身者ではないけれど……“私”(あなた)が思っている以上に、広大で未知なる神秘に満ちているわ。何が言いたいか、伝わるかしら……そんな世界で、私の顔をして跋扈されるのは迷惑なの。捕えて、リカ様の元へ連れて行かせてもらうわ」
“ラスト”の全身から強い殺気は噴き出す……それは、ラストやスロウスのような、殺人や破壊工作に慣れ切った存在ですらも、心胆を冷えさせるほど強烈なものであり、目前の“ラスト”が極めて危険な存在であることを示していた。
最初に飛び出して攻撃を仕掛けたのは、スロウスの方だ。これは別に仲間意識によるものではなく、“ラスト”がこちらへ語り掛けている間、長く伸びた爪を見せていたことから、彼女の攻撃方法が同行者であるラストと同じものだと判断したからだ。
周囲の水分を半端に取り込むことで、無数の残像を作り出しながら、下半身だけをゲル状に変化させることで頭部を動かさず移動し、まるで瞬間移動を行っているように誤認させる……身体の液状化を能力とするスロウスらしい戦法であった。
ラストの持つ“無敵の矛”は、手の先端を超高速で伸縮させて、あらゆるものを貫通・切断するというもの。物理的な攻撃手段が通用しないスロウスは、天敵だと言える……はずだった。
「──“旋指旋巻撃”」
「なっ……ばわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ぎゅるるるると伸縮の方向性を調節することで、弓のように自らの手を“引き絞り”、ドリル状に回転させながら放つ“ラスト”。
確かに貫かれてもダメージは無いが……“回転”のエネルギー自体はスロウスは逃れることが出来ず、むしろ高速で回る手の内側に引きずられるように、その体が何度も何度も破砕されながら回り続ける。
それは間違いなくラストと同じ能力であったが、ラストには無い発想による攻撃であり、回転の熱でぶしゅぶしゅと“沸騰”させられたうえで目を回しているスロウスの惨状に、相手が恐るべき脅威だと悟らざるを得ない。
「くっ……このぉっ!」
ほとんど悔し紛れにラストは自身の“無敵の矛”を放つが、恐るべき影法師と化している“ラスト”は、スロウスに放ったのとは別の方の腕でそれを受け止め、伸縮によって伸ばした腕の中に閉じ込めてしまい、その状態で力を込めることで、ラストの限界まで伸ばして可塑性を失った腕をへし折ってくる。
「あうぅぅぅっ……な、なっ……わ、私の腕がぁ……!?」
「年季が違うのよ、お嬢ちゃん……あなた、私と同じ顔をしている癖に──六年、いや、七年といったところかしら。どちらにしても、大した時間を生きていない……私(あなた)の強みは知略と情報よ? そして、それは長く生きなければ決して洗練されない……眠ってなさい」
ラストの体の防御力自体は、ホムンクルスの中でも並以下のものだ。
強烈な一撃を受けて昏倒したラストとまだ泡立っているスロウスを見つめ、“ラスト”は極めて妖艶かつ淫蕩な笑みを浮かべて見せていた……。
※
──本来、それは美に対する形容詞として相応しくないものだ。
しかし、それでもなお……“ラスト”の現在の主人である、リカ・F・ウェイトリィという少女の外見を言い表す時には“邪神の如き美貌”という言葉が、もっとも簡潔にそのアンバランスな魅力を伝えられるものだと、少なくとも妖艶なホムンクルスは信じている。
「他の世界から流れ着いた、不完全な“賢者の石”で駆動するホムンクルスとしての、平行存在のラストさん……それに、ラストさんとも多少の因縁があった、エルリック兄弟の母親をベースにしたスロウスさん、ですか……確かにとても、興味深い存在ですね」
金色の髪、整った容姿、落ち着きのある声……けれど、目の下に細かく走った“切り取り線”を思わせる疵のせいだろうか、リカという女性を長く見つめているものは、心の動きが不安定になっていき、やがて精神の均衡を崩すことになる。
それはつまり……既に常人から外れた感性を持ち合わせた“化け物”のラストにとって、極めて心地よい外見ということでもあった。
「はい、リカお姉様。“賢者の石”が不完全な者である上に、どちらも子供のように幼い精神性しか持ち合わせませんが、ラストの方は私と同じパーソナリティと考えれば、教育次第で大いに役立てるかと。それに、例のグリード……匂宮オリセが妻帯したメズールという個体に対して、スロウスの能力は有用かと思われます」
“ラスト”からのプレゼンを受け、リカは嫣然と微笑んで見せた。
リカの住まう屋敷、その一室でのやり取りである。
“賢者の石”由来の力を封じる“ヴィクター鉱石”の鎖で、そこにはラストとスロウスが拘束されていた。
スロウスの方は、先に情報を聞き出すべく“ラスト”に延々と手マンを受けたせいで、今は呆然と意識を取り戻せずにおり、自分たちの情報を引き出されたことに、ラストは小さく歯噛みする。
「(こんな奇妙な世界に迷い込んで……あの『瑠璃宮』とかいう化け物どもから何とか逃れたと思っていたら、自分と同じ顔の化け物に遭遇するなんて……スロウスはもう、陥落させられたも同然と見た方がいいわね……)」
「許可が下りたわ。良かったわね、“私”? あなたのその力を“お父様”ではなく、これからは“お姉様”に使いなさい?」
このラストはリカの配下となっている“ラスト”と異なり、創造されたのは“お父様”の手によるものではないのだが、そこまでは“ラスト”の知るところではない。
リカに抱きしめられて、それだけで雌の顔になって腰をヘコつかせ始めるスロウスを横目に、“ラスト”は本来ならば脱げないはずの自身のドレスをたくし上げ……そして、極めて勇壮な肉竿を露わにする。
“この世は悪に厳しすぎる、反省もなく自戒もなく改心もなく、邪が栄えることがあってもいい”……そんなリカの思想に賛同した配下たちの中でも、多くの怪女たちを管轄し、従える立場にある“ラスト”は、リカの持つ権能によってこれを与えられている一人でもあった。
「なっ……!? あ、あなた、なんてモノを備えてるのよ!?」
「ふふっ、両性具有は神の似姿だと言うじゃない? ただの見せかけの女体などより、遥かにいと高き姿だと思うけれど……」
「ま、まさかとは思うけれど……仮にも“色欲”を担当する私を、そんなもので堕とせると思っているんじゃないでしょうね……?」
「あら、七年しか生きていない子供がよく言うわね。安心なさい……色欲としての、経験の差を見せてあげる」
その黒髪を乱暴に掴まれ、喉奥へと肉竿が挿入される。
口内に広がるのは、青臭い精の匂い……しかし、そこにはそれなりに自分自身で把握していた、甘い己の体臭が混ざっている。
ホムンクルスであるラストには容易なことだが……やらないだけで……人間は基本的に、自分の性器を自ら愛撫することは出来ない。だからこうして、舌で直接的に“己の味”を知るという経験は、大罪を名に冠しておきながら、ラストにとっても初めての経験であった。
じゅぼっ♥ じゅぼっ♥ じゅぽっ♥
淫らな水音に混じるのは「あひぃぃぃっ♥」と小娘のように泣かされるスロウスの嬌声。仮にも経産婦をモデルにしているには、その声はあまりにも慎みが足りなさすぎ、そして実際に腋を丸見せにするような間抜けな姿勢で、ガニ股で腰を振る姿は娼婦紛いにしか見えなかった。
「はひぃぃぃ~っ♥ やっ、やめっ……♥ 私はぁっ♥ 母であることを、否定して……己の個性を、出そうとぉっ♥ ふんほぉぉぉぉっ♥ イグの止まらないぃぃぃっ♥ こ、この体も♥ 私を形成する人間の遺骸すらも、こんなにも脳を焼く性行為を知らないぃぃ~っ♥ はひぃぃぃぃぃ~っ♥」
美しい少女にホムンクルスが子供のように組み伏せられ、種付けの姿勢で抱き潰されている光景は、妖艶な演技をしたところで、七年しか生きていないラストの官能を滾らせるのは十分すぎた。
しかも、相手が己自身とは言え、精を注がれる機会すらもある……そう意識を目前の相手に集中し直したとことで、どろどろの精液が注ぎ込まれ、ラストの喉からは「お゛っ♥ お゛ほぉぉぉぉぉっ♥」とケダモノの断末魔のような声が響いた。
注ぎ込まれる、精の味。濃厚な子種が、口の中でぴちゃぴちゃと跳ねまわり、一度の射精で以て腑の底まで“自分自身”の精液の匂いで満たされてしまう。
「あおぉっ……♥ くっさ♥ にがぁぁ……♥ へぇぇぇぇ……か、体が染め変えられるぅっ♥ こ、こんな……ホムンクルスとしての体が、淫らに作り変えられてしまうぅぅっ♥ あ、あなたも同じホムンクルスなのに、どうしてぇぇ……♥ はぁー♥ はぁー……♥ 体が熱いぃっ♥ ザーメン、ザーメン、求める気持ちが止まらないぃぃっ♥」
「同じホムンクルス、ねぇ……外見は似ていても、どこまで行っても“出来損ないのリストア”でしかないあなたと、完璧な賢者の石によって構成された私では違う……そして、私は“賢者の石”の力で以て、あなたを真のホムンクルスへと変えてあげるわ♥ 偉大なるリカお姉様と、そして私の為に……我ながら淫売めいたこの体、捧げなさいっ♥」
「んひぃぃぃぃぃいーっ♥」
体の奥を、単に人間を模そうとして失敗したから備わっているだけの、昨日の何もない子宮をぐりゅぐりゅと押しつぶされて、ラストは舌を突き出してながら喉を見せて仰け反り、その体が快楽に打ち震える。
完全にリカによってハメ潰され、夢中で見た目は年下の少女の唇に吸い付き、べろべろと真っ赤な舌を這わせているスロウスの姿が、ラストの理性を削り取っていく。
「さあ、堕ちなさい……自分自身の伴侶として堕ちるのよ、ラスト♥ そうね、同じラスト同士ではこんらんするだろうし、あなたは今日から“ラスト・ワン(ラストの所有物)”と名乗りなさい♥ 返事っ♥」
「お゛っほぉぉぉぉぉぉっ♥ ど、どうし、てぇぇぇっ♥ しきゅっ、子宮がぁぁぁっ♥ こんな気持ちいいの、しりゃないぃぃぃっ♥ んへぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ♥」
「くくく、その嬌声がもう返事のようなものね……さあ、注ぎ込むわよ、霊液を♥ 妊娠させる以上に、もう二度と私から離れがたくなるほどの、変異をあげる♥」
どくどくと熱い精液の形で、エリクシルが成り損ないの体を巡り……忽ちの内に本物の人外としてのホムンクルスに再構成していく。
同じ顔に口づけをする“ラスト”……否、今や唯一のラストは、ラスト・ワンの鼻水と涙を垂らすアヘ顔に、己を穢しているような背徳感を覚えつつ、念入りに膣を広げる為に腰を振り続けた。
※
「──今回は、新入りのお二人にも私たちが“何をしたいか”をご理解いただく為に、ラスト・ワンさんとスロウスにも動いてもらいましょうか」
ラストは主であり“お姉様”であるリカから恭しく命令を拝聴しながら、その左右を別々の女性に占拠されていた。
「お姉様と同じ顔だからといって、あまりベタベタしないで頂戴。少し前まで成り損ないだった癖に」
「ほほほ……並行同位体というのは唯一無二の絆よ。あなたは他にも姉妹がいるんだから、そっちに行ったら? ああ、前に殺されたから顔を出しにくいのかしら?」
片方は並行世界のラストことラストワン、もう一人は青いドレスを身に纏う黒髪の年若い少女だ。スロウスも今はラストのことを“お姉様”と慕って指揮下に入っているが、争いに巻き込まれたくないようで遠巻きに見つめている。
「ラスト・ワン、それにメデューサ。主の前で非礼は許さないわ」
「申し訳ありません、お姉様♥ 下品なファントムが牙を剥いてきたので♥」
「お姉様、そのような虚飾の名ではなく、どうぞ“ミサ”とお呼びください♥ ラストお姉様には、その権利があります♥」
部下に慕われるのは、個性が強すぎた集団の指揮官をしていた身としてはありがたいが、我が強いことには少しだけ辟易する。
再びリカに向き直ると、ラストは改めて標的を確認する。
「それで今回は……野良の人造人間を回収するということで、よろしいですか?」
「ええ。完璧な人間を作ろうとした狂気の果て、良心を持たない怪物しか作れなかった……実に哀切な成果物。あなたがたホムンクルスと根を同じくする、完璧な生命の探求、そのきざはし。とある博士の最高傑作──人造人間100号さんを、ここへ連れてきてください……」
屋根が高い
2024-03-02 09:22:51 +0000 UTCソウシップ
2024-03-02 09:06:28 +0000 UTC屋根が高い
2024-03-02 08:19:47 +0000 UTCとろがけ
2024-03-02 08:13:17 +0000 UTC