SamSuka
夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


巨乳ロリに果ててイくまで

「……あの、この薬じゃ戻らないん、です、よね?」  処方箋を受け取りながらの、いつもの問答。  俺の無駄な言葉に、女医も笑う。 「無理ですね。進行は止められても、根本的な治療には至りませんし」  研究医も不足してるんですよね〜などと呟きながら、紙切れをよこす。くるりと振り向き、浮かべた微笑も楽しげだ。 「じゃあ、服用は忘れずに。飲まなきゃ、止まるものも止まりませんから」  ゆったり脚を組んでご忠告。そのヒールは、しかし、目前にいる男に、先端を突きつけた。  身の丈100cmにも満たない小男が、恨めしげにそれを見上げる。そしてずっしり重そうな太ももが目に入り、慌てて顔を背けた。 「また来週いらしてください。お大事に」  クスリと笑いながら、席立つ俺に一言よこす。エサくらいはやろうとでも言わんばかりだ。  高額医療にかかれば、少しは変わるかと思っていた。地位を得た。金を稼いだ。金を積んだ。そんなこと、彼女らには関係ない。必死な金ヅルが一人、増えただけだったのだ。  受付、そびえる女性の間に座り俯いた。目の端にちらつく、どでかい太もも。対して、俺は子供の脚のようだ。形こそ成人男性の脚、だが、圧倒的に太さが足りない。挙句、となりに幼児が座り見下ろされた時、いよいよたまらず俺は立ち上がった。 「18番さーん。あれ、18番さーん?」  呼ばれてもこの有様。高いカウンターで俺が見えない。バイトの少女は当惑し、それからやっと小さな手が伸びているのに気づく。  カウンターに金を出そうと苦闘すれば、バイトの娘にも笑われた。帰り際には、気をつけて帰ってね、と、労いの言葉まで頂戴する。  キッと睨みつけてその驚き顔を見たときは、してやったりと思った。けれどその後が怖くて、そそくさと逃げ出す。重い戸を開き、雑踏、巨人女性の闊歩する大路へ飛び込んだ。  これが、小人であるということだ。  それでもまだ、人として扱われるだけ御の字というものかもしれない。  男に蔓延する縮小病に、際限はない。どこまでも縮んでいった男たちがどうなるかなど、当事者と女性たちしか知らないのだ。病気で男性社会は蜂の巣になり、あとは治療を求めて貢ぐ男と嘲る女。    それでも、人間であるだけマシなのかもしれなかった。  その先を知るのに、そんなに時間はいらないのだから。 §  散々だった。  巨大女性の中、薬を抱き半泣きになって走り回ったからだ。  尋常じゃない女、女、女、何か催しがあったに違いなく、人通りはいつもにまして多かった。長い脚、俺をまたぎ越せそうな長い長い脚の林が動き蠢き、猛スピードでこちらに突っ込んでくる。それをかわせば別の脚。そして蹴られては蹴られ、倒れては踏まれそうになる。  その度に、彼女らは謝ってくれた。気遣ってすら貰えた。礼節ある彼女らは皆大人で、街で出くわすだけならこれほどに暖かい。  しかし、それも気づいてもらえばこそだ。  無意識に繰り出される脚は、縮小病者には心底怖かった。一対一の人でなく、巨大な身体と小さな身体の衝突なのだ。そして、小さいというだけで傷だらけになる。俺たちを未だ非力な存在と思い、思いたがる女性にとって、自分の強大さははずかしいに違いない。それだけに優しく扱われ、それがなお悲哀を誘った。  結局、無事に帰れたのは一人の女性のおかげだ。  疲弊した小男に気づき、蹴られないよう、踏まれないよう、ゆっくりと俺の前を歩いてくれたのだ。それも、なるべく俺のプライドを損なうことなく、自然なそぶりで。  不意に訪れた平穏に安堵して、それから自分の前を進む同じ靴に気づいた。ストッキングをまとった脚が、強いて他より緩やかに歩を進めるのに気づいてしまう。そしてハッと目前を見れば、タイトスカートに包まれた尻がプリプリと揺れているのに出くわしたのだ。その事実を、どうしようもない気持ちで俺は拝受していた。  ついぞ礼の言葉も言えないまま、俺はフラフラと公園に逃げ込んだ。家はすぐそこ。もう恐れることもない。  ベンチに座った時の深いため息は、疲れ切っていた。  しばらくの間、俺は放心してそこに座した。  薬は握りしめてもうぐしゃぐしゃだ。帰って詰め直す必要がある。  そう、帰らねば。  そう思った矢先、ふと人影に気づく。  それは、所在無げな小学生の姿。  どうも、高学年の女子らしい。  証拠に、キャラもののTシャツやツインテール、ニーソックスはいかにも小学生らしい。  その分、その身の発達が不釣り合いに見えた。クラスに一人はいた、発育の良い女子小学生だ。すらりと伸びた背に、ちょこんと乗せるランドセルが小さく見える。ブラブラと揺らす脚も、小学生とは思えないほどに肉付きよく、地面につっかえている。おまけに、くびれ、豊かに膨らむ胸や尻。  嫌なものを見た。  男なら喜んでしかるべき肢体だろう。いわゆるロリ巨乳といったところ。  が、今の俺からすればどうだ? こんな辱めないだろう。  帰ろう。  帰って、値動きを確認して、それで、それで……。  そんな須臾の間がいけなかった。  不意に俺に気づいた彼女が、ニマーっと、不穏な笑みをうかべたのだ。  まずい。  これは良くない。  焦燥感に駆られて俺は逃げようとした。しかし、もう遅いらしい。  慌てて高いベンチから降りようとした時には、年端もいかない小娘はご自慢の脚でスタスタと間を詰めていた。 「おにーいさん♪」  少女型の影に包まれ、俺は恐る恐るそれを見上げた。例の美少女が、小生意気な笑みで見下ろしている。童顔を半分乳で隠して、随分楽しげだ。  優越感を覚えているのは明白。これまでさぞめぐまれた体で大人をからかってきたのだろう、それにももう飽いて、今度は小男に屈辱を与えようという魂胆らしい。  彼女はそれを隠そうともせず、デカイ体で俺の前に立ちはだかる。  避けて通ろうとすれば、どっかとベンチに腰を下ろして通せんぼ。反対から降りようとすれば、腕をついて俺に覆いかぶさる。腕の間、後ずさる俺を今度は背もたれが阻んでしまった。 「なーにしてるの? 暇なの? じゃあさ、ちょっと梨沙と遊んでってよ」 「何をバカな……。早くそこを退きなさい。これでも仕事があるんだ。ほら、早く」 「えー、つまんなーい」 「っ、何様だてめぇ……!」 「あはっ! 何様だって♪」  あからさまな対応に、思わず血がのぼる。成長しているとはいえ、その体は先の大人たちほどしっかりしてはいない。柔らかそうな体に筋肉はなく、その分軽く見えた。  しかし、押しのけようという気はすぐに失せた。  巨体が立ち上がり、俺の前にそびえ立ったのだ。  小学生らしい格好。意図的だ。未熟な魂に、不相応な武器。それを遺憾なく発揮するための出で立ちだった。  縮小病の貧相な俺に、ドンっと自身の発育を見せつける。しかも、子供の格好で。それがどれほどの屈辱を味あわせるか。これまでの経験から彼女は熟知していた。近くで見れば見るほどの大迫力。まるでボールを詰め込んだように乳という球はシャツを引っ張り上げ、ブラのラインさえ浮かばせていた。  不意に飲み込んだ冷たい空気のように、その甘い形は心の弱いところをつつく。なぜこんなことを? その内側から抉られるような感触とともに、けれど確かに感じたのは痺れる高揚だ。  ニマニマ笑う小生意気な顔が見下ろす。俺など、自分の胸にも手が届かず、スカートにさえ隠される小男だ。何をしたって構わない。嫌という程美脚の長さを見せつけ、ニーソで締め付けたムチ感に釘付けにする。小学生の脚に見とれるチンケな男を、心いくまで嘲笑するつもりだ。これ以上の愉悦はないだろう。ただただ呆然と見上げる俺に、自分がどれほど巨大に見えたか。考えるだけで笑いが止まらない。  けれどそれは、梨紗の想像以上の光景だった。  ニーソの光沢が目前を揺れる。ぶっとい太ももは、ニーソのゴムが食い込んでぷにっと柔らかい。絶対領域のむき出しの肌が、しかも二本もそびえ立つのだ。堂々とした美脚がスカートの闇へと伸びていく。その中からは縞々のショーツが覗き、不釣り合いなほどに子供らしい模様を輝かしていた。 「ちーびっ♪ なに人のパンツ見てるの、よっ!」  そして俺にぶっといももで回し蹴りを加える。  それは軽い所作。  それだけで、俺は勢い良くベンチに叩きつけられる。当然だ。俺の何倍も重たい肉の塊に、猛スピードで衝突されたのだ。俺にとっちゃ数メートルの巨人、体重は数百キロにも思える大女。いくら12あるかないかの娘とて、その軽い戯れは強烈だった。 「ふん。……あれ、何これ。薬?」  ものも言えずのたうつ俺から、後生大事に抱えたそれをもぎ取った。  途端、血の気が引く。  あれがなければ、縮小は止められない。医者はオーバードーズを厭って、また出してくれるかもわからない。何をしでかすかもわからぬ幼女に、とても渡していいものではなかった。 「さ、触るな! 返せ、返せったら!」 「あははっ♪ なら取ってみてよ」  梨沙は自身の顔の前にそれを揺すってみせる。それだけで、俺の手の届くギリギリの場所だ。さらに、掴もうとすればひょいと持ちあげ、戻しては持ちあげの繰り返し。ぴょんぴょん跳ねる俺をからかって、梨沙は薬をチラつかせては取り上げた。 「あははっ♪ ちーびっ♪ 立ってるだけなのに、手も届かないの? ほら頑張れ頑張れ! ……きゃっ!?」  必死になればなるほど、足元はおろそかになる。そして蹴躓けば、俺はあの凶暴な乳クッションに飛び込んでしまった。  ズニィっと、顔から胸、その全てがものすごい抱擁感に埋没する。この時ばかりは小さな体に感謝してもいいかもしれない。しかし、左右に潰れた乳房は途端猛烈な弾力を発揮して、膨らみだけで俺を跳ね返した。  鈍い声が上がる。  しかも次の瞬間とんできたのは、打って変わってひどく硬い靴底だった。 「ちびっ! 何触ってんのよ! へんたいっ、へんたいっ、へんたいっ!!」  スニーカーが容赦なく俺に降ってくる。足だけで俺の上半身は泥だらけだ。胸から腹まで、子供らしい靴底が跡をつける。 「ふんっ、ケーサツでも呼んでやろうかしら。ほら、謝りなさいよ。ごめんなさいって。……って、あれ? 生きてる? おーい」  無論、そんな受難に遭えばタダでは済まない。とっくに俺は気絶していた。幼女の足で失神するなど恥でしかない。しかし、ご覧の有様だった。 「……やっば。これ、見つかったらまずいよね。とにかく、こいつどうにかしないと。でも……」  年相応に狼狽する梨沙。  それから体を襲う浮遊感に、けれど、俺が気づくことはなかった。 §  凶暴な肉体。  凶暴な精神。  与えてはならない二物を天は与えてしまったらしい。  そのせいで俺はもう一度、失神する羽目になる。  あれから、少しの後。  拉致してなお、梨沙は傲然としていた。 「誰にも話さない! そうだ、金、金だってやる! だから帰らせてくれ!」  はじめ語気荒く罵った俺も、本当に帰れないのではと惧れると態度を変えるほかなかった。 「は? 小人から施しなんか受けるわけないじゃん」  そして、この返答だ。それは素の反応で、どうも本気で梨沙に分別はついてないらしい。病者であるだけのに、もはや矮人としてしか認識できないのだ。  さっきの親切な女性たちからは天地の差。これだから子供は嫌なのだ。途端に、この小娘が恐ろしく見えた。  リビング、ゆったりとソファに腰掛ける幼女は俺を見下ろし、どう料理してやろうかと困り顔に不遜な笑みをたたえる。  その目に射すくめられたのか、恐怖に怯えたか。 「……あーはっ♪」  縮小の発作が起こる。絶望が広がる。薬はもうない。  膨らんでいく部屋、せり上がっていくソファ、それと共に、女性の体がさらに巨大になっていくのだ。 「あ、ゎ、わあああ!!」  目の前にそびえるふくらはぎが、どんどん、どんどん太くなっていくのをみて俺はパニックに陥った。さっき俺を蹴り飛ばした子供の脚、それが、より強く巨大になっていくのだ。蹴られたら、そう思うだけでもう立ってなどいられなかった。 「こーらっ。どこ行くのよ。……ったく」  背後で重々しい一歩が響いた。俺を追ってくる。一歩、一歩。学校の廊下を軽快に歩くその足が、小人の俺にはもう象のそれより重々しい。  見知らぬ家の中を、俺は走り回った。体は小さくなり続け、もう机の下をくぐり抜け、椅子さえ脚の間を通れる始末。60cmとない体で、逃げ場所を探すのだ。  廊下を通じるドア。たどり着いてもノブに届かない。  彼女の部屋の前。そこに逃げたって意味がない。  悠然と迫りくる地響きの中、俺は細い叫びを飲み込み風呂場へと転がり込んだ。  そして、行き場をなくすのだ。  「きゃはははっ! 逃げられるとでも思ったの?」  膝が笑う。手が震える。なんとか俺は、背後を見上げた。  目に飛び込むニーソの膝の丸さ。頭上に眩くかがやく絶対領域。それから上は、もう、近すぎてろくに見上げることもできない、5メートルにも見える巨幼女の体があった。  ニマニマ笑うその童顔が、ω型の胸の向こうから俺を見下ろす。 「ふふ、でも、ちょっと、怒ったよ?」  そして、足裏を向けほんの少し押し付けると。  虫をにじるように俺を踏みつけ出した。 「あははっ! ほら、もっと叫びなよ。助けなんか来ないんだから。ほら。ほら!」  クスクス笑いながら、俺にのしかかるニーソの足裏。しっとりしたその起伏が、容赦なく俺を押さえつける。胸を潰す母指球に、股間を捉える細い踵。それが楽しそうに、俺の上で弾むのだ。 「ほら、泣け、泣け、泣いちゃえ!! チビが何逃げてんのよ! 謝って。謝ってよ! 私に謝りなさい!」  ケラケラ笑いながら、女子小学生が俺を罵る。ゆさりと揺れる胸に、もう顔は隠され見えはしない。腰から上を覆い尽くす巨大な黒い塊は重くて重くて苦しくて、掴むその小指でさえ俺の手から余りそうだ。押し出された空気は戻ってこない。  そんなことをされて、平気なはずがない。


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