SamSuka
夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


ロリお姉ちゃんにおかえりなさい

§  駅へ往く道中、美香の姿がふと目についた。  学期末、わらわらと群れなす女子児童に混じり、大荷物。周囲の児童より頭ひとつ抜けたベージュの髪。発育の良い小学生となれば、俺はすぐにそれが美香とわかった。 「よっ」 「あ、コウさん! こんにちは!」  声をかければ豊かな三つ編みを少し揺らし、発育良好女児が会釈した。可愛らしい笑み、大人しげな表情。そのお返しに、頭を撫でてやる。 「でかくなったなぁ」 「そんな、親戚みたいな言い方しないでください……」  唇を尖らせる長身幼女。  思えば美香も小学6年生。こんなやりとりもそろそろ終わりだろうか。何より、この子もすっかり大きくなった。その背もずいぶん伸びて、そろそろ俺の肩元に迫りそうだ。ふんわり笑う落ち着いた素振りに幼い三つ編み、小学生らしい吊りスカートの制服がアンバランスで、相変わらず不思議に見える。  何より……。  その胸にはドンっと大きな丸みが主張していた。  大きさは成人としても超一級。発育良好なロリのバストは、制服のシャツをパンパンに膨らませている。  その姿はもはや、子供と言うには憚られるほど。  けれど、可愛い妹分には変わりない。 「しばらく留守にするから、元気にしてるんだぞ」 「旅行、ですか?」 「勉強だな。交換留学ってこった」  大きなスーツケースを顎で示す。香はすごいですねと言って目を輝かした。小学生には海外も留学も未知だろう。尊敬に似た眼差しだった。ただでさえ私立の女子校通いの美香のことだ。夢見がちでナイーブで、海外に憧れでもあるのかもしれない。  「学校に挨拶して、今から出発だな。なにかあったら言えよ? なんとかしてやるから」 「はい……! そちらも頑張ってくださいね」 「おう」  重そうに荷物を担ぎ直しながら、美香は頷いた。特段重そうには見えないが、女子児童の腕力には少し酷なのか。いくら胸や尻が発達しても、筋肉はなかなか追いつかないらしい。 「ほら、持ってやるよ」 「でも、コウさんも大荷物です……」 「馬鹿、舐めるなって。高校生男子だぜ?」  ひょいと荷物を引ったくってから、駅へ歩き出す。 「は、はい!」  大きな俺の歩幅に、早足になって美香は追随した。  けれどそれも、小走りでやっとだったこれまでからすれば、軽いもの。  第二次性徴をいち早く済ませた美香は、大人と言って差し支えない体躯に育っていた。  いや、それ以上かも知れない。  既にその肢体は並の女を越えていて、巨乳にむっちりした肉付き、大人びた仕草も相俟って、大きな瞳とランドセルばかりが子供っぽい。いかにも発育良好女子小学生といった豊満な体に、俺自身少し驚いていた。    ようやく俺に追いつく美香。  その内、視界の端でデカい胸が弾むのに気付く。思わず赤面してから、妹同然の幼女に何をと首を振った。こりゃ、男が黙っちゃいないな。いずれ彼氏も出来るんだろうと思うと、少しさみしい気もした。    それから、駅で別れて。  それぞれ反対の電車に乗り、一路俺は海外へ。  最後に話せてよかった。  その程度に思って、エコノミークラスの硬い椅子に身を預ける。    気づけと言う方が無理な相談だ。  それがこれまでの関係を結んだ、最後の時だった。  次会う時、もう元の関係など不可能な段階まで、話は進んでいたのだ。  片方の喜びと他方の絶望は絡み合い、どうあっても、元には戻せそうにもないほどもつれてしまっていた。  俺は、終わった人間になってしまった。 §  ことのしだいは一瞬だった。  出先で良くない病にかかったのだ。  俄に流行りだしたそれは奇病ではあったが、食欲旺盛に人々に襲いかかり、半ば感染爆発の様相を呈す。  いや、食欲旺盛なのは病状自体も同じだった。  この病は人を喰う。猛烈な勢いで体力を奪うのだ。  消耗した体は自分自身を喰らいだした。昏睡状態は長く続く。動かかすに動かせない。日本なら治せたかもしれないが、ここぞとばかりに防疫はきちんと働き、帰ることも許されなかった。  結果。  帰国出来る状態になる頃には、既に病状は行くところまで行き着いていた。  己に貪り尽くした体はげっそりやせ細り、いや、骨も何もかもむしゃぶりつくされた後。縮むほか無いのは当然のこと。更地にされて再築されて、むしろ健康になったほどなのがお笑い草だった。  縮み切った俺の体。  矮躯はせいぜい100cm。  もう、治療出来るレベルは越していた。  どっちみち、治らないのだ。  これから施される治療だって、進行を抑える程度。  もう、行かなくてもいいんじゃないか。  帰国した時、俺はもう自暴自棄な気持ちだった。  それでも病院へ通ったのは、偏に怖かったから。  これ以上進めば、どうなってしまうのか。  昨日も今日も、その恐怖が俺を外へいざなった。  ひしひしと感じる縮小の事実。  今だって、落とす視線に白線はもはや長絨毯のごとくだ。跳び箱のような点線と相俟って、ここが単なる道ということすら信じられないほど。  トラックのような自転車に悲鳴を上げた。  留学先から来たのはもはや元の場所ではなくブロブディンナグ国。まるで変わってしまった世界に、心がまるで追いつかなかった。  そのうち、急にあたりが騒がしくなる。  黄色い歓声に舌足らずな言葉。  小学生の一団が近づいてくるらしい。  最悪だった。もう俺は、小学1年生の女子にも満たない体だった。100cmを超えるかどうかの体、それをよりによって小童の視線に晒すなんて、絶対に御免だ。  去ろうとする、その瞬間。  視界の端に見覚えのある影が映り、思わず二度見した。  美香だった。  破格のプロポーションに、あどけなさ残る少女の佇まい。赤いランドセルをちょこんと背に乗せ、しっかり肩紐を掴んでいる。  黒スカートから長い脚はすらりと伸びて、膝さえ覗くほど。吊りスカートの紐は胸に押されて浮きながら、ピンと張って巨乳の暴力に耐えていた。顔を見なければ、大人が小学生の格好をしているようにすら見える始末。その柔らかな三つ編みと、まだ伸びていない顔の丸みがようやく、子供なのだと教えてくれる。  その姿が、胸に刺さった。  この矮躯で会いたくはなかった。妹に恥ずかしい姿を見られるようなもの。  どこか、隠れる場所はないものか。  見回し、当座公園にでも入るべきか考えて。  そそくさと立ち去ろうとする。  いかにも不審な素振り。  それがいけなかったのだろうか。  美香はこちらに気づいたようだった。  公園の入口、その少し脇。  小走りになりかけた俺に、長い脚は一気に追いついてしまう。  俺を包む大人びたシルエット。  振り返れば、吊りスカートの浮いた肩紐が目前に伸びていた。  恐る恐る見上げると、見慣れた少女の顔。  しかしそれは、これまで見下ろしていたのとは打って変わって上空にあり、それだけで違って見えた。しかも、今は見えなかった乳の下半面がよく見えて、その巨大さが俺を圧迫する。  一瞬、美香とはわからないほどに、それは女性的な姿だった。  ストッキングをまとってチラリと覗く太ももに、しっかりとした胴、俺の顔より大きなロリ爆乳。幼く見えた三つ編みも、今となっては落ち着いた髪型となって長く伸び揺れている。そして何より、体格差が彼女を大人に変えてしまった。  発育は良いと思っていた。  しかしまさか、こんなにエロい体だったとは……。  呆然とする。  見上げる美香の顔は遠い。それだけでプライドがひしゃげられる思いだった。嫌だった。こんな姿を見下されるなんて。  美香はなんて言うだろう? 驚くだろうか。慰めるだろうか。それのどれも、たまらなく屈辱的だった。  小首を傾げこちらを見下ろす長身美少女。  それが、一気に腰をおろしてきたと思うと……。 「ボク、どうしたの? ママとはぐれちゃった?」  手を膝に突き、俺と目線を合わせようとしたのだ。 「……は?」  ニコリと笑む美香に、間の抜けた声を出す。  それは完全に、年下を気遣うお姉さんの態度。慈しむように笑いながら、不安がらせまいと声音は優しく、けれど、あまりの身長差にまだ目線はズレたまま。垂れた前髪を指で分け、柔和な目尻でニコリとこちらを見下ろしている。  俺を俺だと気付いてないのだ。  近所の高校生お兄さん。本来そうであるはずの俺に対し、全く、幼稚園児に対するような仕方で話しかけて来たのだ。 「大丈夫? 迷っちゃったのかな。お家わかる? お姉ちゃんが連れてってあげる!」  勇気づけるように明るく笑う美香。  あまりのことに自失する。  それから、俺は呻くように訴えた。 「違う、俺だ。コウだ。わからんか? あぁ、畜生……」  苦虫を噛み潰したような声。  かろうじてそれが幼女に届く。 「……え?」  その瞬間。  美香の顔は、ある意味傑作だった。  このときばかりは、この体になってよかったかも知れない。チビっ子と思っていた子供の、思わぬ言葉。それを未だ飲み込めない美香は微笑んだまま。そう、一瞬笑顔のまま固まって、”え?”と言ったまましばらく首を傾げて。  それから、口をおさえ一気に驚きの声を上げたのだ。 「ええ!? こ、コウさん? いや、でも、あれ、ホントだ……。え? あの、どうして……?」 「ば、バカっ! 大声出すな!」 「で、でも……」  ビリビリと耳を貫く少女の声に、思わず俺は悲鳴をあげる。人でも集まればなお具合が悪い。そんな俺の口ぶり、素振り、それが近所の敬慕する年上男性と符合して、なおのこと美香は動揺したようだった。  けれど、聡明な美香が気づかないはずがない。  ハッとして、おずおずと訊いたのだ。 「もしかして……、あの病気、かかっちゃったんですか……?」  訊きにくそうに言う優しい美香に、なんと言えば良いものか。  黙って首肯する他なかった。 「すごい……、コウさんが、こんなに小さく……。顔も、少し幼く見えます……」  確かめるように、美香はしゃがんで俺の顔を見つめる。  やめてくれと俺は呻いた。事実確認もこたえたが、なによりしゃがんだ美香の視線は、それでも俺より上だったのだ。  やや上目遣いに美香を見る。それから、おおきな両手で頬を包まれれば、なおのこと手の巨大さに泣けてくる。間近で見る美香の大きな瞳、その柔和ながら美しい煌めきに見入られて、俺は顔を背けたかった。  けれど優しく包む手の中で、俺は動くことも出来ず視姦に耐えるしかない。何より、初めての距離で見る美香は本物の美少女で、大人びていた。妹分としてしか認識していなかった少女の素顔に、俺自身魅入ってしまったのかもしれない。 「本当にコウさんです……。不思議、あんなに大きかったのに……。まるで弟みたい……」  普段少し重たげなまぶたを見開いて、やっとパチクリ美香は目を瞬かせた。それから戸惑ったように立ち上がって、そんなことを呟いている。 「だから言ってるだろ、いい加減にしないとおこ……」  怒るぞ、と言いかけて。  俺は美香の表情に思わず目を疑った。  それは慈母。  ふんわりと笑うその笑みが、なんとも優しく暖かく、それでいてイタズラっぽい光を秘めていたのだ。  これが、小学6年生のする表情なのか。  俺は、美香を子供とばかり思っていた。こんな顔をするなんて。俺は、本当の美香を知らなかったのか。  途端に目の前の女性がわからなくなった。年上のような視線で幼女に見られることなど、慣れているはずがない。しかも相手は美香なのだ。  退散するが吉だった。  俺は距離を取るように、美香から離れた。 「じゃ、じゃあ、行くよ。生憎、まだ病院通いの身でな」 「あれ、もう行っちゃうんですか? 美香、もう少しお話したいです……」  背を向ける俺。  しかし、美香は物足りないらしい。呼び止めて、一歩で俺に追いついてしまう。  背後にそびえ立つだけで、威圧感を覚える。  半ば逃げ出したい気持ちで、俺は歩みを進めようとし。 「いや、忙しいん……、んなっ!?」  一気にその場に縫い留められる。  そっ……、と後ろから美香が抱いてきたのだ。  思わず瞠目する。  何をされたのか、理解が追いつかない。  それでも感じるのは、美香の体の感触だった。  俄かにロリ空間に入る感覚、そしてむにぃ……と暖か柔らかな感触が、後頭部にのっかれば。美香が俺の頭のはるか上空、クスリと笑みを漏らすのが聞こえた。  もう、おっぱいにさえ届かないのか……!  頭に感じるのはせいぜい下乳まで。そしてスラリと長い脚の上、腰元は背の半ばでぴったりくっついている。小学生一年生ですらこんなに体格差はないだろう。泣きそうだった。 「おい、やめろって……」  もがいてみる。俺は男子高校生だ。女子小学生の何倍の膂力があると思ってる。握力だけで3倍は優に超える腕力の差。それが、少しばかり体格差が逆転した、ところ、で……!  小学生ロリの腕の中、男は必死に体を揺すって抵抗した。  腕を引っ張り前のめりに体重をかけ。  そして、前へ一歩踏み出すことも出来なかった。いや、直立する美香はピンと立ったままびくともしないで、嬉しそうにその体格差を楽しんでいたのだ。 「かわいい♪ もう私にすっぽりですね。ちっちゃいなぁ、かわいいなぁ、もう私の片腕にも負けない高校生さん♪ もう胸で隠れて見えないけど、小学生にハグされて恥ずかしがってるのバレバレです。こんなに簡単に翻弄されちゃうなんて、ちっちゃいって大変ですね♪」  鼻歌でも歌わんばかりの上機嫌。嬉しげに美香は体を揺すり、俺を振り回す。その度ゆっさゆっさと頭上でロリ乳が重く唸った。ボタンがちぎれるほどに張り詰めているシャツから、服の中の空気が柔らかく香って暖かい。  願わくばもっと感じたかった。制服の中に潜り込みたかった。でもそれは、女子小学生の服に甘えるという行為。巨乳ロリに包まれただけで、心が揺れ動いてしまうのが情けない。 「やめろったら……。離せよ、俺にも、プライドがあるんだって……」 「え〜、いいじゃないですか♪ コウさんがこんなにちっちゃいなんて、なんだかドキドキしちゃう……♪」  思わずカチンと来た。あまりの異変に傷心の所を、女子小学生に子供扱い。これで、何も思うななんてどだい無理な話だ。 「だから……っ!」  けれど、俄かに孕んだ怒気をしぼませるように、美香は身を丸めて俺を抱き込んだ。  それから、ぽそぽそと耳元で囁くのだ。 「ごめんなさい、ちょっと、ちょっとだけお姉さんごっこさせてください。お姉さんごっこ、私、夢だったんです……」 「いや、でも……」  女性の肌は、それだけで安心感がある。その上、子供の甘い香りと花のような大人の香り、それらのバランスが絶妙で、美香の纏う空気はどこまでも優しく心地いい。柔らかなものに包まれて、囁き声、少女の芳香。カサついた気持ちに、アロマセラピーを施された気分だ。  俺はいうべき言葉を失った。 「いや、まぁ、少し、だけなら……」 「本当ですか!?」  そして美香がパッと顔を輝かせた時。  俺はハメられたことに気がついた。 §    美香の部屋に通されて、ようやく俺は身に不安を覚え始めた。  今の美香は、何を考えているかわからないところがある。そもそも、美香の部屋に来ること自体久方ぶりのことだった。  まあ、小学生に警戒する必要もないが。  俺は、どこに身を落ち着けるべきかとあたりを見回した。部屋はたくさんのぬいぐるみがひしめいて、可愛らしい家具にパステル調のカーテン、まだまだ”女子の部屋”といった様子だ。それを下から眺めるのは、ずいぶん居心地悪く感じられた。 「それにしても、本当にちっちゃくなっちゃいましたね……。向こうの生活はどうでしたか?」 「それが、一週間もしない内にこのザマでな。すこし見学しただけで、観光する間もなかったよ」 「そうですか……。大変でしたね」  ああ、まったくだ。  そう言いかけたところで、不意に暖かなものに頭を包まれる。  見れば、そこには手をのばす美香。俺をヨシヨシと俺の髪を撫でていた。  驚いた俺は、思わず片手で払いのけようとする。けれど、幼女の腕は少しも動かない。ムキになって両手で掴めば、美香の腕の線は細く、脂肪も筋肉もまだまだ蕾、なのに、頭から引き剥がすこともできなかった。そのまま容易に振りほどかれてしまえば、後はニコニコと幼女に頭を撫でられるだけ。  ゆっくりゆっくり、美香は頭の輪郭を確かめるように俺を撫で続ける。その優しさはまるでお姉ちゃんのようで、なのに仕草は人形を愛でるかのごとく子供っぽい。俺は真っ赤になって俯いて、小学生の制シャツを上目遣いに覗くだけ。胸にさえ視線は届かない。  美香は幼女なのに。  たかが小学生の女の子なのに。  俺の頭など一掴みできそうな手は、頭半分をまるごと包んで撫で愛でた。確かめるように細い指先に髪を絡ませられる。頭の中に指が入り込む感覚に、思わずゾクッと身を震わせた。それから、指の背は頰を撫で、猫にするのと同じ手つきで顎をくすぐって……。 「えいっ♪」  両腕で脇下の胴を掴むと、一気に持ち上げた。  たかいたかい。  いともたやすく、12歳幼女は16の俺を持ち上げた。 「わっ!?」 「おっとと」  あまりの軽さに加減を間違えて、ほとんど宙に投げ出しそうになる美香。慌ててしっかり胴を掴むと、愉しそうに俺を見上げてくる。まだランドセルの似合う幼い顔。しかししっかり育った胸は、ω型に胸から張り出している。  その体躯は240cmもの超高身長。そんな巨女に持ち上げられて、俺は二階の窓から身を乗り出したようなもの。恐怖に襲われるのも仕方のないことだった。 「美香っ、おろせ、こ、こ……」  怖い、とは言えなかった。男らしさを目指す年頃だ。意地があった。 「あはっ、かっるーい♪ 1歳の赤ちゃんくらいかな? 年の離れた弟にもなりませんね♪」 「やめてくれ……」  ニコニコ満面の笑みで俺を掲げる幼女。うちわ大のほっそり手には、少しも力が入ってない。それがまた不安を誘う。 「いーやですよー♪ ちっちゃな男の子、ずっと欲しかったんです♪ オトナになったみたいで楽しいです♪」 「おいっ! 慰めるつもりじゃなかったのかよ!?」 「そうですよ? でもなんだか、こらえきれなくって♪」 「お前なぁ……」  キャッキャとはしゃぐ美香に言葉もない。が、幼い顔に満面の笑み浮かべているのを見ると、どうにも強く出ることが出来なかった。喜ぶ娘のために、矮躯の一つや二つ、貸してやってもいいんじゃないかと思ってしまったのだ。 「ふふっ、ありがとうございます♪ まわりは女の子ばっかりだから、新鮮で……。男の子の体って、角ばってるんですね。筋張ってるっていうか」 「はあ、そりゃどうも……」  フワフワした体を下ろされて、一気に俺は足元の世界に舞い戻る。  さっきまではまつ毛の一本一本まで見えたはずの美香、それが今じゃ天高くそびえる巨人だ。見えるのはスカートと、シャツを大きく押しのける下乳だけ。歓然とした様は伺えるが、それも、単に下半身から感じられる気配に過ぎない。完全に美香の体はフレームアウトしてしまっていた。  美香の威容を、まじまじと見上げてみる。むっちり太ももは俺と同じスケールでそびえ立ち、ストッキングも透けるほどパンパンに膨らませている。スカートをまとう腰幅だって、俺の肩幅を優に越え、半分さえ抱きおおせるかわからない。その後ろからは、たっぷりとした三つ編みがふわふわ揺れ、ベージュの髪をきらめかせていた。  そして、こんもり頭上に張り出す美香のおっぱい。いかにも重いものが詰まってそうに、シャツはパンパンに突っ張っていた。横乳あたりにはシワが寄り、まん丸な表面にむけぴっちり張り付いている。  全体として、いかにも女性的、なのに着ているのは小学生の制服。そのギャップをなぞるように、仕草も表情もオトナと子供を行ったり来たりして、俺は完全に翻弄されてしまっていた。 「見上げるコウさんもかわいい! すごい、夢見たい!」  両手で頬を包み”キャー!”とはしゃぐ美香。  頬を染め喜びにうっとり浸って、完全に興奮している。  「コウさんがこんなにちっちゃく……。不思議な気持ち! 夢みたい、こうなったら良いなって思ってたけど、まさか本当に……! ちんまりしてて、……可愛いっ!」 「おいっ! 可愛いっていうのはやめてくれ」 「もう、私の胸にも届かないんだ……。太ももより細いかも……。試してみたい、イタズラしたい!」 「おいったら!」  暴走する美香を怒鳴りつける。  しかし発育良好幼女は止まらない。 「このままにしたらどんどんちっちゃくなっちゃうのかな? どこまで行っちゃうんだろう、可愛い、可愛い……!」  いい加減にしろと、拳を握りしめる。  そして、衝動的に怒りをぶつけそうになった。  なった、のだが。 「こんなちっちゃい子なら何してもいいよね♪ やってみたいことたくさんあったんだ……♪」 「……は?」  俺はまたも虚をつかれてしまう。 「だってそうじゃないですか♪ みんな私のことエッチな目で見てくるんですよ? でもでも、男の人は怖いし……。コウさんがちっちゃくなって、とっても嬉しいです!」 「待て待て待て! お前、何言って……?」 「ふふっ、美香がコウさんのお姉ちゃんになってあげます♪」  何を言っても無駄だった。目に星を浮かべたままに、美香はすっかり浮かれている。 未熟な心に早熟なカラダ、早くから性に目覚めてしまった彼女が、どんな方向にたわんでいったか。想像もつかないことだった。少なくとも確かなのは、鼻を垂らしてエロ本に夢中だった俺なんかからは、遥かに進んだ性意識があったこと。子供の自分に吸い寄せられる男の視線、それを受けるうち男の幼稚さと、自身の艶姿を自覚しただろう。  女子校通いの小学生は、好奇心をどこまでも膨らませていた。そして、自由になる男一匹を見つけた時。培われた幼い母性と性意識は、格好のオモチャを見つけたに違いない。  未だ残る幼女然とした仕草と包容力ある肉体、態度が美香の周りに渦巻いた。美香にとって、体が小さい男なら子供なのだ。いや、オモチャなのかもしれない。無意識に溜め込んだ空想は、色欲を添えて立ち上り出す。 「ちっちゃくなったコウさん、美香がしっかり可愛がってあげますね♪」 「あのな、お前なんか勘違いしてないか? 俺は男だぞ? 怖い目に遭いたいのか?」 「だってコウさんはもう小人さんじゃないですか♪」 「あんまりバカにすると……」 「なら確かめて見ましょうか♪」  そして、待ってましたと言わんばかりにいそいそと、制服のシャツを脱ぎだした。 「なっ!?」 「着替えますね? ふふっ、でもちょっぴり、今日は特別な気分……♪」 「待て待て待て!」 「いやでーす♪」  こうなれば完全にペースは美香のものだ。  一日しっかり着込んだシャツを大きく開いて、中の空気を俺にぶちまける。そのまま、気持ちよさそうに湿った肌を外気に触れさせると、手早くそれを脱いでしまった。  無論、下着は丸見え。冗談みたいに大きな胸はどんぶりみたいなブラに支えられ、ずっしりその重みを誇っている。うっすら生肌を輝かせその女体は美しい。 「さ、コウさんも脱いじゃいましょ? そ・し・て♪ お着替えです♡」 「まさかお前……!」 「そのまさか♪」  しゃがんで俺の腕を掴むと、俺をベッドに押し倒す。  虚しい攻防も押さえ込み、無理やり自分の服を着せようというのだ。みるみるシャツを解かれた。貧相な体が見えたと思えば、すでにでっかい幼女の手の中、少女のシャツの袖口へと持っていかれた。  ダメだ、このままじゃ着せ替え人形にされてしまう。よりによって幼女の脱ぎたてシャツを着せられて、じっくり堪能されてしまう。いやだ、そんなのってない。ふた回りも小さなロリに、人間リカちゃん人形扱いなんて絶対に嫌だ!  けれど体格差は絶対だった。俺の意思なんてあってないようなもの。  スルリと袖を通される。 「……あはっ♪ ぶかぶか♪」  服に残るほぐれた空気に包まれて、俺はミカの抜け殻をまとっていた。  すっぽりと。


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