SamSuka
夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


ラブミーラフリー

§  家族が出来た。  飛び切りの美少女で、高身長の白人娘。  義妹だった。 「Nice to meet you!」 そう言って手を差しだした、その姿を今なお鮮明に覚えている。ベージュ色のツーサイドアップ、瞠目するほどの可憐な少女。綺麗な髪を2房のツインテールに結んだその姿は、一見してカナリアを思い起こさせるかわいらしさだった。 「ナ,nice to…」 「ちょっと、日本語話せるって!」 そういうとクスクス笑う少女。いきなりの英語に緊張してしまう、そんな義兄を面白がる姿はいかにもティーンエイジといった感じ。細長い体を折って笑うクスクス笑う、その屈託のないさまが愛らしい。  なんというかわいらしさだろう。  パッと花開くような明るい笑顔。  どうも、ひとめぼれしてしまったらしい。 「こっちは長いんだっけ?」 「そうよ? 中途半端に英語が残ってるけど……、ちゃんと勉強したんだから!」 フフンと胸を張るニナ。からかうようにいたずらっぽく笑う、そんな様まで目を奪われて、なんだか、なんだかドキドキしてしまう。 ドキドキする、のだが……。 抱いたのは一抹の不安。 ペースを崩され、すでに付け焼刃の兄の立場はガタガタだ。 ——もしかしてこの娘、かなり手ごわいんじゃないか? ほどなく的中する嫌な予感。 だがそれも、美少女と会えた悦びで忘れてしまう。高校から一人暮らしなんて始めなければよかったと、後悔するほどだ。 アメリカから来ただけあって、まだ成長途上なのに俺と背はそう変わらない。正面から俺を見据えて、ニナは言った。 「ヒロだっけ。私はニナ。よろしくね」  そう言って差し出された細く柔らかな手に、ときめかなかったと言えば嘘になる。  これほどの美少女と家族になれるなんて。  そんな事実が嬉しくて、思わずにやけてしまう程。    だから、思った なんで、家族なんだ。  妹じゃなきゃ、素直に好きになれたのに。  長く続く煩悶。  顛末は、意外なもの。 §  混雑した雑踏でも、ニナは容易に見つけることができた。  明るいベージュの髪色、ふわふわ揺れるツインテールに腰まで届く長い後ろ髪。 間違いない。 「おーい、こっちこっち!」 こっちに気づいて、パッと笑顔を向けるニナ。  久しぶりに会えて、思わず頬が綻ぶ。  俺は小走りニナって近づいて。  近づいて。  近づいて……。 「あ、あれ……?」  近づくにつれ、スラリと伸びていく少女の体。華奢で細身に見えたその肢体は、けれどどうも様子がおかしいようで……。 「ん? What’s up?」 「で、デカくなってないか……?」 違和感の正体に気づいた時には、俺はもう見下ろされていた。14歳の美少女、それもヒールも履いてない義妹、それに腰を折って顔を覗き込まれていたのだ。 「前は俺とそう変わらなかっただろ……!」 「前って……、もう半年以上前でしょ?」 「で、でも、こんなに伸びるもんかよ!」  俺より15センチは高い色白娘。フフンっと胸を張ればなおその差は歴然。目の前に来る胸さえ豊かに膨らんで、とても中学生のそれとは思えない。 「ティーンの成長甘く見ないでよ? もう伸びしろの無い兄さんとは違うんだから♪」 「俺だってまだ17だ! この前までプレティーンだったくせに……」 「そ? まあ誤差よ誤差」  肩を竦めるニナ。これが西洋人の成長ってやつなのか。いや、ニナが特殊なんだろう。多分。そう思いたい。 そんな俺の葛藤を知ってか知らずか。“ていうか……”とこぼしニナはクスッと笑う。 「どっちかっていうと、ヒロがちっちゃいのよ」 「なっ!?」 「ヒロ、何センチよ? 160㎝ある?」 「お前なぁ……」  背を比べるように頭の上で手を振り笑う洋ロリ娘。ずいぶん口も達者ニナったものだ。しっかり主張する胸が、なお生意気だった。 悲しいかな、妹の軽口を笑って受け流せない自分がいる。後付けとはいえ、いや、後付けだからこそ、兄貴としての沽券が軋むのだ。 「もしかして、もう始まったの……?」 「……ん、まあ。で、でも、そんなに縮んでないぞ!」 「ふーん? ま、元気出してって」  揶揄うように背を叩く高身長少女。  俺は、鼻白んだように頭を掻いた。 ⁂  家賃のわりに広い部屋は、ニナが入ってきた途端手狭なものとなった。 「思ったより綺麗ね」 「片づけたからな」 178㎝の圧迫感を背に覚えつつも、部屋が一気に明るくなったのが嬉しい。声が上ずってしまうのがその証左だ。 「まあ、縮まないうちに片づけとかないと大変だしね」 「……まあな」  煮え切らない返事に肩をすくめ、ニナはベッドに座り込む。布団を工面しなきゃ。……俺のベッドじゃ、足がはみ出てしまうかもしれない。  一方のニナは、すでに寝転がりゴロゴロと心地を確かめていた。 「お前、勝手になぁ……」 「What’s the matter? これから私も住人よ? いいじゃない。それにそのうち、私のものになるんだし」 「暴君かよ!?」  大仰に反応してしまうのは、浮ついてしまう心のせいか。いくら家族とは言え、この美少女とはちょっと前まで、赤の他人だったのだ。それも、ファッション雑誌から飛び出てきたようなスタイリッシュな娘、それが家にいるというだけで、胸の高鳴りを抑えきれない。 ニナがあたりを見回すたび、アイボリーのツインテールからフワリと香りが花開く。まだあどけなさ残る童顔に、ツーサイドアップの髪型がよく似合っていた。 「お茶持ってくるよ」 「私ジュースがいいな♪」 「ね・え・よっ!」  仕切り直すようにそそくさとキッチンへ退散し、息をつく。パッと明るい女の子、それは間違いないのだが、ニナはイタズラっぽいところがあった。おちょくってくるというか、生意気というか……。  まして、俺は縮小病の身。  果たして、どこまでマイペースガールに伍すことができるのか。不安が頭をもたげてくる。  とはいえ。  グラスを携え戻った時、その姿を見ただけで嬉しくなってしまうのだ。  そこにいる、義妹の白人美少女。 少し背中を丸め、浅くソファに腰掛けている。フーンとあたりを見回すのは素の表情、家族に見せるそれだ。なんだか嬉しくなる。 「とにかく、来てくれて助かったよ。少なくとも、ろくに家事は出来なくなるからな」 「困ってるんでしょ? 当然よ」 「ただでさえチビなのに、これ以上縮んだら目も当てられないからな」 「食費が浮いていいじゃない」  嫌味のつもり、だが、ニナは軽く受け流す。  続けて曰く。 「……ママたちは、ハネムーンで夢中だしね」 「ラブラブか」 「ヌガーみたいに」  辟易したように鼻を鳴らす美少女。耐え兼ねて、逃げ出してきた面もあるだろう。親父らも全く勝手なもので、突然の再婚に反発し俺が逃遁しても、さしたる反応もなかった。今ごろは、ナカヨシで頭がいっぱいと見える。さしもの小生意気ティーンとて、耐え兼ねて当然だ。 「まあ、ゆっくりしてくれ」 「Thanks! はー、やーっと落ち着けた♪」  ぐいーっと伸びをする。細腕の中、寄せて膨らむ発育良好な胸。アメリカンバストを見せつけられ、思わず赤くなる。  ……やっぱり生意気だ。無意識に主張するエロいボディに、俺は直視さえできない。  こんな外国美少女が俺の妹だなんて。街行く海外旅行客の美女が、突然振り返り家族になったような衝撃だ。しかも、スラリとしたその娘は年下ときた。どこか幼く無邪気な面影に、それでも俺は恋愛感情のようなものを抱いてしまうのだ。  夢のようなシチュエーション。けれど、いざ身に降りかかると俺はドギマギしてどうにも大胆に動けない。ニナは、こんなに伸び伸びしているのに。  実際のところ。  ニナは俺のことをどう思っているのだろうか?  178㎝美少女の姿を、無意識に目で追ってしまう毎日。  妹なのだ。まだ中学生なのだ。そんな風に見てはいけない。  そう思いつつ、どうにも彼女が気になって堪らない。廊下を歩くニナの、ふわりと流れる髪の色、軌跡に残る華やかな香り。彼女が来て以来照らされたように明るくなった部屋の中、こっそり後ろ姿を眺めてしまう。  もちろん、そんな狼藉ばれないはずもなかった。 「ちょっと、ずっと私のこと見てるよね?」  腰に手を当て、呆れたように言うニナ。廊下ですれ違った折、チラリと振り返った瞬間ニナと視線がかち合ってしまったのだ。腰を折って俺に顔を近づけ、詰問するように問いかける。対する俺は、突然顔を近づけられてドギマギするばかりだ。 「ご、ごめん……」 「気づかないと思った? 目つき、いやらしいよ?」  からかうように乳房を寄せ上げれば、俺の視線はそれに釘付けだ。  おまけにみっともなく勃起してさえいるのだから、ますますニナの嘲笑を誘ってしまう。  なんて生殺し。  思わず、物欲しげな顔になってしまう。  それがまずかった。 「なに、シたいの?」  突然、壁に手を突き俺に覆いかぶさるニナ。俺は頭一個分違う身長差で壁ドンされ、思わずヒッとひるんでしまう。一瞬遅れで状況に追いつけば、“何を”と怒りに任せ突き飛ばそうした。  そんな腕を掴まれて。 「暴れちゃダ~メ♪」  壁に押し付けられてしまうのだ。  それだけで、俺はどんなに頑張っても逃げられなくなってしまう。  嘘だと思いたかった。でも、俺は14歳の妹にすら抗えない。  そんな義兄をあざ笑うように、ニナが俺の手を強引に胸に押し付ければ……! 「……ッ!」  手のひらからむっちり溢れる巨女の乳房。若々しい柔らかさと、外国人特有の弾力が手の中で重く揺れる。一気に心拍数が跳ねあがった。ブラのラインが手に焼き付く。華やかな体香に、力が抜ける。 「な、な、何を……!?」  ニナは答えない。 ただ、屈みこむように俺の瞳を覗き込み、色素の薄い髪で視界を遮断すると。 唇を近寄せ。 近寄せて……。 「……ぷっ」 「……え?」 「くっ、ふ、あは、あはははは!」  一気に噴き出したのだ。 「何、本気でレイプされると思ったの? 真っ青になって、抵抗すらできないんだ?」 「お、お前……!」 「弱っち♪ それとも本当にセックスしてほしかった? 年下のティーンに犯されたいなんて、ヒロってヘンタイね♪」  髪を揺らしケタケタと笑う白人美少女。一方、口をパクパクしたまま俺は言葉も出ない。未だに心臓は早鐘を打って止まらず、恐怖に足がフワフワする。  腕力で負けたのか? 妹に? 14歳に? 女子中学生に? 突然のことで気が抜けたからだと思いたい。 けれど。 今なお体を折って笑う長身を見上げ、その細腕を見て。  蘇る記憶は、俺の無力が本物だと教えている。  確かに、俺は病気だ。縮小病だ。けれど、体力は落ちていないはずだった。  でも、でも、でも……。 「フフ、いいこと知った♪」  ニナに襲われたら、俺は縮んでなくても抗えない。骨格からして違うのだ。  それだけが確かなことだった。 § 非日常は続く、つつがなく。 縮小は、待ってはくれなかったのだ。  徐々に始まった病状は突如走り出し、一気に進展してしまった。  そしてニナとの身長差に騙されて、気づいた時にはすでに10センチ以上縮んでいた。 「お互い、気づかなかったな……」 「えっと、……sorry♪」  明るく言って、はぐらかそうとするニナ。一方の俺は、その胸の影に隠れるように義妹をねめつけている。いや、視線を遮られ顔すら拝めない始末だった。小学生と長身女性が並んだようなもの。ニナはまだ、中学生だというのに。 「まあ楽しんでみようよ。こんなこと普通ないって。ポジティブポジティブ♪」 「他人事だからってな……」  まあまあ、と言って頭を撫でてくるニナ。腰を折って子供にするような素振りが、さらに俺のプライドを傷つける。  第一。  楽しんでいるのはむしろ、ニナの方だったのだ。 「Bon apetite♪ はい、あ~ん♪」  嬉々として、俺に飯を食わす我が義妹。  俺を、膝の上に載せて。 「……」  押し黙ってしまうのは、羞恥か屈辱ゆえか。  なぜって、身動きする度ブルンッと乳が揺れ動くのだ。ニナからは見えまい、だが、俺にとってはその何十倍もの存在感だった。もう、軒先に雨宿りしている気分だった。身長差60㎝強の逆転身長差は、兄妹を母子に変えてしまった。  でも、俺にとってそれは、母親の乳房なんかじゃない。  絶世の美少女が揺らす、色白おっぱいなのだ。  わかっているのかいないのか。バストの膨らみの下に収められ、子供のように匙で飯を食わされる。これが毎日繰り返されれば、さしもの俺もどうかなりそうだった。  或いは。  トイレを手伝われ。  寝る時も一緒。  日中は抱かれてテレビを観、ゲームを遊び、たまにからかわれる。  一体、俺はニナの何なのか。  悶々とする日々が続いた。  ニナと家族になりたい気持ち、ニナを女の子として見てしまう気持ち、そのどちらも本物だった。 一方のニナはそれを特に気にも留めず俺で遊ぶのだ。  堪らなかった。  ついに耐えかねたのは、数日の後。 「なあ、赤ちゃんみたいに扱うのやめてくれよ」  歩くニナの背に叫ぶ。対するニナは、“え~?”と笑ってろくに取り合わない。とうに、対等な会話など失われていたのだ。  俺は肩を落とし、未練がましく後をついていくだけ。  床を踏む足が立てる、かすかな揺れを感じ。  見つめるのは、プリプリ揺れるニナのお尻。スカートの下端から覗いてしまうほど、スカートを押し広げている。  本当にデカい。14歳なのに生意気にアメリカンサイズでスイカみたいだ。何を食えばこんなに育つのか。どんなショーツを穿いているんだろうか。スカートの中で、きっとパツパツに引っ張られていることだろう。  いや、違う。 気にするべきはそこではない。 ——なんで、そんなものが目の前にある?  まさかと思った。見間違いだと思いたかった。けれどもう、俺はニナの尻さえ目の前に来る身長になってしまっていたのだ。 それをよく知っていたのは、寧ろ義妹の方だった。 「ねぇヒロ~? 何見・て・る・の、よっ!」  そして、尻を突き出せば。 「……へ?」 飛んできたのは、ずっしり詰まったアメリカンヒップ。黒ショーツさえきつく食い込む尻が、俺めがけ突進してきたのだ。


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