SamSuka
夏目なつめ
夏目なつめ

fantia


午後、縮小、巨大妻

「じゃあ行ってくるね」  おっとりとした美女が、ドアに手をかけ俺に言う。  午後2時15分、買い出しの時間だった。 「何か買ってくるものある?」 「ビール」 「まだ残ってるでしょ」 「ああ」  ふわっとした声音で、けれどにべもなく退ける美女。対する俺の声が上の空なのは、その後ろ姿を凝視しているからだ。はだけたノースリーブシャツに押し込められた乳房の存在感と、襟から覗く鎖骨の曲線。スキニージーンズをパツパツに張り詰めさせる、その豊かな尻のカーブ。結婚してから、更に嫋やかさを増した曲線美に思わず惚れ直す思いだった。  だがそんな俺に彼女は特に何を言うでもなく、 「ちょっと遅くなるかも。その時は連絡するから」  淡々とそう言って、蝉と太陽光の乱反射する外へと踏み出していった。 「……」  特に行ってらっしゃいを言うでもなく見送ってから、鍵を閉める。  冷房と夏の空気が混ざり合い、どことない倦怠感を覚えさせた。  ⁂  由紀乃との結婚生活も数年目に入り、軌道は緩やかに漸近曲線を描きつつあった。夫婦仲は良好だが、愛が日常に置換され、徐々にニュートラルにその色を変えていく。  つまりは、ごく健全な夫婦生活に入りつつあったのだった。 「あれ、なんだったんだろな」  ソファに座り、漫然とテレビを眺めながらこの間の情事を思い出す。尽きない情と愛をぶつけ合う、それはたしかに愛し合った俺たちの営みだったはずだった。  成熟した肉体に汗を塗れさせ、Gカップの胸を揺らす由紀乃。29歳の若々しくも熟れた肉体は肉感的で、真っ白な肌に繰り返し甘い何かがこみ上げてきた。それは由紀乃も同じだったはず。泣きぼくろのある穏やかな顔を切なげにゆがめ、絞り出すように喘ぎ声を漏らしていた。俺の下で濡れるしっかりとした肉体。それ全体で俺にしがみついている、その最中。  つと、無音の視線を俺に向けたのだ。  あれは、いったい何だったんだろう。どこか読めない、別のところに心があるような、俺の奥に何かを求めるような不思議な視線。  俺との行為に、満足できなくなったのだろうか?  わずかな不安に苛まれながら、画面を見るともなしに見る。  よほど外が暑いのか冷房の効きが悪いのか、快適になり切れない室温。気だるくソファに横たえビールを啜りながら見るサッカー中継も悪くはなかった。どちらを応援するでもなく左右に弾むボールを目で追い、時折思い出したように缶に口をつける。まあ、特に楽しい訳でもないが。  だから、アンニュイな観戦に飽きるのにそう時間はかからなかった。 「……何すっべかな」  片付けようかとも思ったが、綺麗に片付けられたリビングには埃一つない。何より、勝手にものを動かしたら由紀乃に怒られそうだ。  所在なく、うろうろと家の中を徘徊する。  とはいえ住み慣れた我が家、新奇なものなどあろうはずもない。  本を取り出してはめくり。  売れないCDがないかと探して。  挙句、ベッドのサイドテーブルを漁るに及んだ時。 「ん、なんだこれ」  ふと、妙なものに気づいた。  本や避妊具に混じって、何やら小さく丸いもの。 「……飲み薬?」  妙にビビッドでアングラなパッケージだが、栄養ドリンクの類ではないらしい。指先程度の小さな小瓶にはとろりとした液体が詰まっている。  ドラッグのじゃないだろうな……?  一抹の不安、同時に押し寄せる、こらえ難い好奇心。  生来、こういう子供っぽい好奇心は抑えられないたちだった。 「まあ、死にはしないだろ……」  どうせ大したオチはつかないだろうな、と思いながら。  スポイトから少し、指にとって舐めた時。 「…………な゛っ!!?」  訪れたのは、強烈な眩暈だった。  後悔したってもう遅い、明らかに危険な揺れに襲われて俺は、うずくまってその酔いをやり過ごそうとする。バクバクなる心臓を抱え、けれどすぐには波は収まらない。世界が膨満していくような感覚に襲われて、もう何が何だかわからないくらいだ。  そして、しばらくして。 「収まった、か……?」  立ち上がった時。  なぜか、服が脱げていることに気づいた。  それだけではない。  目の前には絶壁と、大樽のような小瓶。いや、それだけじゃない。周囲に広がるのは、大ホールほどに変貌した空間で。  それは、10倍に膨れ上がった世界。  縮んだ俺を取り囲む、巨人サイズの寝室が広がっていたのだ。  言葉もない。  混乱する脳内に小さく浮かんだのは、「縮小剤」の文字。  なぜそんなものがここに?  第一、どうしたら戻れるんだ!?  途方に暮れる、そんな俺に追い打ちをかけるように近づいてきたのは、地を震わす巨大な地響きだった。 「こ、今度はなんだ!?」  トランポリンのように跳ねる床。思わず足を取られそうになるのをグッと堪えてベッドマットの壁にしがみつく。何か巨大なものが近づいてくる、その事実に小動物の心臓は今にも張り裂けそうだ。けれど俺は、ただその襲来を待つことしかできない。  半ば絶望する俺。  そんな俺に、ドアの影から姿を現したのは。 「ただいま~。……あら?」  鉄塔さえ可愛く思えるほどの巨大な躯体。  それは身の丈1600㎝に迫る巨人と化した、我が愛妻。  目も眩むほどの巨大女神となった、由紀乃の姿に他ならなかった。 「ゆ、由紀乃、助けてくれ! 薬を飲んだら体が、由紀乃、由紀乃……?」  慌ててその足元に駆け寄り、足を叩いて懇願する俺。だが自分のくるぶしにも届かない夫を見て自失したのか、おっとり美女は何も言わない。  無理もないか。  こういうハプニングにはいかにも弱そうな由紀乃のことだ。もうその顔は巨乳に隠されよく見えないが、きっと当惑しているに違いない。  そう思えば自然と落ち着いてきて、俺は妻から一歩離れる。  そして、妻の顔を見上げれば。 「ステキ……♡♡」  由紀乃が、陶然とした面持ちで俺を見下ろしたのだ。 「ゆ、由紀乃……?」  既に熟知しているはずの妻に、こんな顔があっただなんて。そう思わせるほどに由紀乃の表情は艶美だった。色っぽく、淫らで、物欲しげで。普段おっとりしているはずの由紀乃がまるで、雌豹のような目つきで俺を見下ろす。それも、わざとむちむちの体を誇示するような至近距離で。 「お、おい? なんか言えって、な、なあ?」  妙な雰囲気に気圧されて、思わず後ずさる。だが、たかが5㎝後退しただけでは何の意味もない。そしてそのまま掴み上げられてしまえば、俺はその細い指に絡みつかれ、指一本動かせはしなかった。 「由紀乃……?」  妻を見上げようとして、思わずギョッとする。  だって目の前には、ガスタンクのような巨大な乳房が二つ。ただでさえパツパツなのに、このサイズでは途方もなく巨大に見えるのだ。まるで部屋いっぱいにつまったビーズクッションのように豊満で柔らか、だのにその弾力は若々しく、シャツ越しにでもその丸みが伝わってくる。今やノースリーブシャツは汗でブラさえ透ける始末で、そのどんぶりのような丸みで俺を圧倒してきた。全身を挟めばもう包み隠されてしまいそうな汗ばみおっぱい。むんむんと沸き立つ巨女フェロモンを吸い込めば、既に俺は酩酊しかけていた。 「素敵……♡ ずっとこうなればいいなって思ってたの♪ でも自分から縮んでくれるなんて……♡♡」 「お、おい、何を言ってるんだ?」  丸太のような指で顔を撫でられ、必死で押し返そうとしても顔を撫でられ可愛がられてしまう。もう俺は、妻の指一本にも敵わないのだ。おまけに当の妻は発情気味。途方もなく巨大な体で俺を見下ろし、性的な視線を俺に絡みつかせている。妻に求められること自体は願ってもない。けれど、けれどこんな体格差じゃ、まるで俺がオモチャみたいじゃないか!! 「は、離してくれ! 戻す方法知ってるんだろ? 早くしてくれ! お、怒るぞ!」 「ふふっ♪ 元に戻してあげませんよ~だ♡ 怒れないようにしてあげる♪ ほら、ぎゅ~っ♡」  言うが早いか、襲ってきたのは10倍体格差の巨大な抱擁。今や片乳1000キロは超えるおっぱいで挟むように、俺を抱きしめたのだ。汗ばみエッチな香りのする濡れおっぱい。それに裸の体を包まれて、思わず歓喜が押し寄せる。  けれど続いて襲ってきたのはとてつもない乳プレスで。 「やめ、柔らか、じゃなくて、潰され……!!」  ギュウウゥ……っと抱きしめる、妻の抱擁は圧倒的で、背骨が折れるかとひやひやするほど。だのに乳房の弾力がとてつもないボリュームで俺を押し包み、思わず心が溶けかけるのだ。汗ばみブラが透け、どこまでが肌かわかってしまうのも股間によろしくない。そして艶めかしく背筋をまさぐられれば、俺は抱擁だけでどこか犯されたような気になってしまう。 「ゆ、由紀乃……!」  肺を潰され、アロマを嗅がされ、息も絶え絶えに呻く。が、夫の苦しげな声に腕を緩めることなく、どころかそれを楽しむような声音で由紀乃はただ。 「ちっちゃい……♪ かわいい……♡♡」  そう言ったのだ。 「か、かわいい……?! まて、由紀乃、動くな、む、胸が……!!」  ただでさえ豊満な胸は、もはや体がまるごと乳房に包まれてしまうサイズ感。当然股間を両サイドから包むのはぎっちり詰まった美女のお乳で、暴発の危険に声が上ずる。  けれど由紀乃は。 「動けなくなってる♡ これが大きいってことなのね♡」  “むに……♡ すり……♡”と身をよじり、爆乳を俺に押し付けるのだ。 「由紀乃、由紀乃ぉ……!!」  ダメだ。  出る。  ハグされただけで、イカされる……!  思わず痙攣しかけた、その時。 「……はぁ♡♡」  ようやく満足したように、由紀乃は俺を解放した。 「な、何をするんだ?! それにこの薬、お前一体何を……??」  だが未だ陶然とした面持ちで俺を見下ろす由紀乃は、クスクス笑うばかり。こんなに楽しげな由紀乃、久しぶりに見たかもしれない。その媚笑があまりに美しくて俺は、怒るべきか笑うべきかもわからずただ見惚れてしまう。立ち尽くし魅了される俺。一方巨大美人はその哀れさに何かを掻き立てられているようだ。  そして、ねっとりと舌を潤すと。 「今まで黙ってたけど……私、サイズフェチなの♪」 「さ、サイズフェチ?」 「ずっと我慢してたのよ? あなたそんなの興味なさそうだし。でも、もう我慢しなくていいかなって……♡」 「待て、何を言ってる!?」 「こういうこと♪」  そう言ってジーンズをズリおろせば。 「あはっ、ぐちょ濡れになっちゃった♡」  “むんわぁ……♡♡”と湯気立つようなアロマの奥、見えたのはトロトロと蜜を滴らせる女性器だった。俺を見下ろしハグしただけで限界まで蕩け切り、小男をぶち犯したくてキュンキュン疼いているのだ。 「待て、待て待て、この体格差だぞ?! こんな体でどうしろっていうんだ!?」 「うふふっ♪ た~っぷり教えてあげる♡ でも、あなたにとっても悪くはないと思うわよ?」 「……どういうことだ?」  そう言うと、ベッドにその肢体を横たわらせる由紀乃。  それから、俺を下腹部の上に乗せて見せると……。 「おっきな私の体、感じてみたくない?」  艶めかしい肢体を撫でて見せるのだ。ぶっとい太ももと内股のライン、安産型の尻に腰、巨乳の豊満さを誇示するような指使いは淫らと言うほかなく、普段のぽわぽわした由紀乃からは想像もつかない凄艶だった。  ダメだ。  エロ過ぎる。  山のような女体から、目が離せない……!!  不可抗力だった。  気づけば俺は、乳に抱き着き。 「…………♡♡」  思いっきり、そのふくらみに吸い付いていたのだ。


More Creators