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MGガール05「中2:①測定」

「健ちゃん、学校行こう」

「うん」

小学校時代から続く、朝の一緒の登校風景。


中学二年になり、僕と真理奈は別クラスに分かれた。

てっきり、疎遠になるかと思いきや。真理奈は必ず毎日、来てくれる。


「今日、だよな」

「うん、そだね」

僕は、半袖姿の真理奈を見て、シミジミとそう言った。


中学二年になって最初の、衣替え。

長袖から半袖になり。丁度、時期を同じくして『測定』が行われる。


身体測定と、体力測定。


身体測定は、身長や体重など。過去にあった、胸囲の測定はもう無くて。

体力測定は、握力や50m走にハンドボール投げ。背筋力測定は要綱から消滅。


測定そのもの自体に、特に思うところは無い。

僕も真理奈も基本、インドア志向で運動はどちらかというと、苦手。


面倒だなぁ、と思うぐらい・・・なんだけど。

少なくとも“今の真理奈”を見て、そう理解する者は居ない。


「最近、身体で何かあったりしない?」

思春期の急激な身体の成長は、成長痛を伴うことがあり。

個人差はあれど、人によってはかなり苦しむらしい。


「うん、健康だよ? いつも通り、身体が軽い」

そう言って、真理奈は腕をグルングルンと回した。


「・・・・・」

モモッ、モモッと二の腕辺りが膨らんだように見える。

・・・のは気のせい、なんだろうか


まあ、僕がヒョロいだけなのか、真理奈が凄いのかは今日、わかる。


ざわ・・・ざわ・・・


「今日、紅世さんがどうなるか、楽しみ」

「絶対、運動部に勧誘してやる」

登校すると、ホームルーム前からクラスメイトたちはザワ付いていた。


各々の思惑に違いはあれど皆、今日の測定を楽しみにしているらしい。

正確には、真理奈がどんな記録を出すか、に注目が集まっていた。


そう。


徐々にではあるが、真理奈の凄さが露見しつつあった。


豊満なのに逞しい、帰宅部の女子中学生。

運動部に入らず、格闘技の経験も皆無。


長袖のセーラー服を着ていれば、まだ目立たない。


しかし一度、半袖に着替えると。

生地が薄いこともあり、周囲がギョッとするぐらいの超絶ボディが顔を覗かせる。


ウチの中学校は、一クラスを男女のグループに分け。

一日掛けて、そのグループ単位で測定項目をこなして行く。


例えば、『2-1女子』が身長測定なら、『2-2女子』は体重測定。

『2-1男子』は50m走で、『2-2男子』はハンドボール投げ、みたいな感じ。


そこで偶々だけど、僕のグループは真理奈のグループとニアミスした。

丁度、持久走でトラックを何周も走らされる中、真理奈たち女子グループが見えたのだ。


「あれ、紅世さんじゃない」

「そうだね。相手は、陸上部かな?」

外周トラックの内側にある、50m走の二人用のレーン。

その左側に陸上部員の女子。そして、右側に真理奈。


陸上部員の女子は、半袖短パンの体操着。

腕や脚は引き締まっていて、如何にも速そうな感じ。


一方の真理奈は、長袖長ズボンのジャージ姿。

本来ならゆったりサイズのジャージが所々、パツパツになっている。


暑くなって来る季節ではあるが、ジャージ着用も問題ない。

薄手の体操着だとブラ透けがあってか、嫌がる女子も居るのだ。


『よーい・・・』

体育の先生がストップウォッチを掲げて、合図を送る。


「何か、凄い対照的だな」

長距離走なんて怠いと言わんばかりに、クラスメイトが話し掛けて来た。


「・・・はは、だね」

それに合わせ、二人がスタート体勢を取るんだけど・・・。


陸上部女子は、締まった身体で屈み、クラウチングスタート。

真理奈は、直立不動で両手だけ小脇に置く。いわゆる、徒競走スタイル。


『・・・スタート』

スマートなアスリート女子と、背が高く体格の良い女子。

どちらの脚が速いかは、一目瞭然・・・の筈だった。


「・・・あれ」

「・・・ん?」

両手を前後に振る、理想的なフォームで先行している陸上部女子。

そのまま行くかと思いきや、中盤辺りから真理奈が追い縋る。


「え、マジかよ」

「あんな、フォームで・・・」

繰り返すが、僕も真理奈も基本、インドア志向。

陸上競技も球技も、得意じゃない。


その証左か、真理奈はいわゆる“女の子走り”をしていた。

両腕、正確には両肘が身体の内側に振られる、“ぶりっ子走法”。


衆人環視の中で走るのが恥ずかしい、という訳ではなく。

単純に、ちゃんとした走り方が身に付いていないだけ。


そんな、明らかにロスの激しいフォームなのに、グングンと加速して行く。


「え、え・・・」

「・・・抜いた」

ゴール手前、5mぐらいの位置だったろうか。

真理奈は“女の子走り”のまま、ガチ走法の陸上部女子を抜き去ってゴールした。


ざわ・・・ざわ・・・


「タイム、どうなったんだ」

女子たちが先生のストップウォッチを見て、ザワ付いている。

しかし、別クラスのしかも、男子グループの自分たちには知ることが出来ない。


「どうだったん、だろうね」

僕は、後で真理奈に聞けば良い、ぐらいに思っていた。

しかし、それだけでは終わらなかった。


「つ、疲れた~っ」

「はぁ、はぁ・・・」

男子グループの持久走が終わり、その休憩時間。


「お、あっちはハンドボール投げか」

真理奈のグループは、ハンドボール投げに移行していた。


「えぃっ!」

さっき、真理奈に惜敗した陸上部女子が、今度は豪快にハンドボールを投擲。


『25m』

ハンドボールが着地したポイントを、先生が読み上げる。


「おおっ、凄ぇ。俺らより飛んでんじゃね」

「だ、ね」

男子で一番飛ばした記録でも、確か30mぐらい。

僕なんて多分、20m行くか行かないか、だろう。


「今度は、紅世さんか」

女子グループは同じ順番で回しているのか、次は真理奈だった。


「あれ、違くね?」

「あー・・・」

ハンドボールは大体、上手投げで投げる。

重さはそれなりだけど、どちらかというとドッヂボールの要領。


何が言いたいかと言うと、真理奈はいわゆる『砲丸投げ』のポーズを取っていた。

右手を順手にして、手の平全体でハンドボールを添えて持つ感じ。


「ん、っしょ」

真理奈は右手に持ったハンドボールを投げ・・・いや、そのまま押し出した。


ビュンッ!


「・・・え」

「え・・・?」

野球のフライのように、ハンドボールは空高く打ち上げられた。


「あれ、何処まで上がるんだ」

「凄・・・」

凄まじく、滞空時間の長い、フライ。


昔、ドーム球場で天井にフライボールが当たったことがあったっけ。

本当に、それを思い出させるような、大飛球。


「いつ、落ちて来るんだ」

「あ、そろそろ」

ハンドボールはやっと、放物線の頂点に達したのか、自由落下を始めた。


ドズンッ!


「・・・え」

「え・・・」

僕たちは、グラウンドにドゴッと穴を穿ったハンドボール。

その“位置”を見て、唖然とした。


『ご、55m!』

体育の先生も、つい声が大きくなってしまう。


ざわ・・・ざわ・・・

 ざわ・・・ざわ・・・


陸上部女子が、ドッヂボール式上手投げで、25m。

帰宅部女子が、砲丸投げ式押し投げで、55m。


野球で例えるならライナー性の打球より、フライが飛んだことになる。

最近、流行りの打球速度で言えば、どれだけの差があったのだろうか・・・。


因みに、僕のハンドボール投げの記録は、21mだった。



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Comments

感想、ありがとうございます。 測定項目は以前と現在で違ってる部分もあり、どう表現して行こうか迷う所ではあります。

デアカルテ

更新お疲れ様です。 敢えてだと思いますが、胸囲測定や背筋力測定の項目がないのが良い意味でやきもき(ワクワク)します。 今後そのあたりがどのようにして数値化(データ化)されるのかを楽しみにしています!

sunagimo7


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