MGガール05「中2:①測定」
Added 2022-12-09 15:00:00 +0000 UTC「健ちゃん、学校行こう」
「うん」
小学校時代から続く、朝の一緒の登校風景。
中学二年になり、僕と真理奈は別クラスに分かれた。
てっきり、疎遠になるかと思いきや。真理奈は必ず毎日、来てくれる。
「今日、だよな」
「うん、そだね」
僕は、半袖姿の真理奈を見て、シミジミとそう言った。
中学二年になって最初の、衣替え。
長袖から半袖になり。丁度、時期を同じくして『測定』が行われる。
身体測定と、体力測定。
身体測定は、身長や体重など。過去にあった、胸囲の測定はもう無くて。
体力測定は、握力や50m走にハンドボール投げ。背筋力測定は要綱から消滅。
測定そのもの自体に、特に思うところは無い。
僕も真理奈も基本、インドア志向で運動はどちらかというと、苦手。
面倒だなぁ、と思うぐらい・・・なんだけど。
少なくとも“今の真理奈”を見て、そう理解する者は居ない。
「最近、身体で何かあったりしない?」
思春期の急激な身体の成長は、成長痛を伴うことがあり。
個人差はあれど、人によってはかなり苦しむらしい。
「うん、健康だよ? いつも通り、身体が軽い」
そう言って、真理奈は腕をグルングルンと回した。
「・・・・・」
モモッ、モモッと二の腕辺りが膨らんだように見える。
・・・のは気のせい、なんだろうか
まあ、僕がヒョロいだけなのか、真理奈が凄いのかは今日、わかる。
ざわ・・・ざわ・・・
「今日、紅世さんがどうなるか、楽しみ」
「絶対、運動部に勧誘してやる」
登校すると、ホームルーム前からクラスメイトたちはザワ付いていた。
各々の思惑に違いはあれど皆、今日の測定を楽しみにしているらしい。
正確には、真理奈がどんな記録を出すか、に注目が集まっていた。
そう。
徐々にではあるが、真理奈の凄さが露見しつつあった。
豊満なのに逞しい、帰宅部の女子中学生。
運動部に入らず、格闘技の経験も皆無。
長袖のセーラー服を着ていれば、まだ目立たない。
しかし一度、半袖に着替えると。
生地が薄いこともあり、周囲がギョッとするぐらいの超絶ボディが顔を覗かせる。
ウチの中学校は、一クラスを男女のグループに分け。
一日掛けて、そのグループ単位で測定項目をこなして行く。
例えば、『2-1女子』が身長測定なら、『2-2女子』は体重測定。
『2-1男子』は50m走で、『2-2男子』はハンドボール投げ、みたいな感じ。
そこで偶々だけど、僕のグループは真理奈のグループとニアミスした。
丁度、持久走でトラックを何周も走らされる中、真理奈たち女子グループが見えたのだ。
「あれ、紅世さんじゃない」
「そうだね。相手は、陸上部かな?」
外周トラックの内側にある、50m走の二人用のレーン。
その左側に陸上部員の女子。そして、右側に真理奈。
陸上部員の女子は、半袖短パンの体操着。
腕や脚は引き締まっていて、如何にも速そうな感じ。
一方の真理奈は、長袖長ズボンのジャージ姿。
本来ならゆったりサイズのジャージが所々、パツパツになっている。
暑くなって来る季節ではあるが、ジャージ着用も問題ない。
薄手の体操着だとブラ透けがあってか、嫌がる女子も居るのだ。
『よーい・・・』
体育の先生がストップウォッチを掲げて、合図を送る。
「何か、凄い対照的だな」
長距離走なんて怠いと言わんばかりに、クラスメイトが話し掛けて来た。
「・・・はは、だね」
それに合わせ、二人がスタート体勢を取るんだけど・・・。
陸上部女子は、締まった身体で屈み、クラウチングスタート。
真理奈は、直立不動で両手だけ小脇に置く。いわゆる、徒競走スタイル。
『・・・スタート』
スマートなアスリート女子と、背が高く体格の良い女子。
どちらの脚が速いかは、一目瞭然・・・の筈だった。
「・・・あれ」
「・・・ん?」
両手を前後に振る、理想的なフォームで先行している陸上部女子。
そのまま行くかと思いきや、中盤辺りから真理奈が追い縋る。
「え、マジかよ」
「あんな、フォームで・・・」
繰り返すが、僕も真理奈も基本、インドア志向。
陸上競技も球技も、得意じゃない。
その証左か、真理奈はいわゆる“女の子走り”をしていた。
両腕、正確には両肘が身体の内側に振られる、“ぶりっ子走法”。
衆人環視の中で走るのが恥ずかしい、という訳ではなく。
単純に、ちゃんとした走り方が身に付いていないだけ。
そんな、明らかにロスの激しいフォームなのに、グングンと加速して行く。
「え、え・・・」
「・・・抜いた」
ゴール手前、5mぐらいの位置だったろうか。
真理奈は“女の子走り”のまま、ガチ走法の陸上部女子を抜き去ってゴールした。
ざわ・・・ざわ・・・
「タイム、どうなったんだ」
女子たちが先生のストップウォッチを見て、ザワ付いている。
しかし、別クラスのしかも、男子グループの自分たちには知ることが出来ない。
「どうだったん、だろうね」
僕は、後で真理奈に聞けば良い、ぐらいに思っていた。
しかし、それだけでは終わらなかった。
「つ、疲れた~っ」
「はぁ、はぁ・・・」
男子グループの持久走が終わり、その休憩時間。
「お、あっちはハンドボール投げか」
真理奈のグループは、ハンドボール投げに移行していた。
「えぃっ!」
さっき、真理奈に惜敗した陸上部女子が、今度は豪快にハンドボールを投擲。
『25m』
ハンドボールが着地したポイントを、先生が読み上げる。
「おおっ、凄ぇ。俺らより飛んでんじゃね」
「だ、ね」
男子で一番飛ばした記録でも、確か30mぐらい。
僕なんて多分、20m行くか行かないか、だろう。
「今度は、紅世さんか」
女子グループは同じ順番で回しているのか、次は真理奈だった。
「あれ、違くね?」
「あー・・・」
ハンドボールは大体、上手投げで投げる。
重さはそれなりだけど、どちらかというとドッヂボールの要領。
何が言いたいかと言うと、真理奈はいわゆる『砲丸投げ』のポーズを取っていた。
右手を順手にして、手の平全体でハンドボールを添えて持つ感じ。
「ん、っしょ」
真理奈は右手に持ったハンドボールを投げ・・・いや、そのまま押し出した。
ビュンッ!
「・・・え」
「え・・・?」
野球のフライのように、ハンドボールは空高く打ち上げられた。
「あれ、何処まで上がるんだ」
「凄・・・」
凄まじく、滞空時間の長い、フライ。
昔、ドーム球場で天井にフライボールが当たったことがあったっけ。
本当に、それを思い出させるような、大飛球。
「いつ、落ちて来るんだ」
「あ、そろそろ」
ハンドボールはやっと、放物線の頂点に達したのか、自由落下を始めた。
ドズンッ!
「・・・え」
「え・・・」
僕たちは、グラウンドにドゴッと穴を穿ったハンドボール。
その“位置”を見て、唖然とした。
『ご、55m!』
体育の先生も、つい声が大きくなってしまう。
ざわ・・・ざわ・・・
ざわ・・・ざわ・・・
陸上部女子が、ドッヂボール式上手投げで、25m。
帰宅部女子が、砲丸投げ式押し投げで、55m。
野球で例えるならライナー性の打球より、フライが飛んだことになる。
最近、流行りの打球速度で言えば、どれだけの差があったのだろうか・・・。
因みに、僕のハンドボール投げの記録は、21mだった。
Comments
感想、ありがとうございます。 測定項目は以前と現在で違ってる部分もあり、どう表現して行こうか迷う所ではあります。
デアカルテ
2022-12-12 02:39:10 +0000 UTC更新お疲れ様です。 敢えてだと思いますが、胸囲測定や背筋力測定の項目がないのが良い意味でやきもき(ワクワク)します。 今後そのあたりがどのようにして数値化(データ化)されるのかを楽しみにしています!
sunagimo7
2022-12-12 00:29:26 +0000 UTC