「うーん、何か無いかなぁ・・・」
真理奈は自室で一人、椅子に座り思い悩んでいた。
タンクトップに短パンという、お決まりになりつつある部屋着。
布面積が少ないせいか、全身の筋肉が否が応でも目に入る。
「やっぱり、大きいよね・・・」
特に視線を送るまでもなく、視界に入る二の腕。
ダランと伸ばした状態でさえ、こんもりと盛り上がる力瘤の主張が激しい。
『41cm』という剛腕は、間もなく健ちゃんの太腿(48cm)を上回る勢い。
「太腿も・・・」
今度は、大腿四頭筋がこれでもかと盛り上がる太腿を見る。
健ちゃんの胴周り(68cm)より太い、『77cm』の剛脚。
高い木に掛かった風船を取れるぐらい、空高くジャンプ出来る脚。
一方で、その脚はペダルを踏み抜き、自転車を破壊してしまう。
「・・・ふぅ」
ちょっと前までは、普通の人より“少しだけ”力が強いかな、と思う程度だった。
ググ・・・メキ、バゴギャッ。
「・・・あ」
気付いた時は、既に遅し。
「あーあ・・・」
物思いに耽りながら、いつの間にか左手に持っていたマグカップ。
陶器製のマグカップは、手の中で粉々に砕けていた。
「お気に入りだったのに・・・」
分厚い陶器の破片を手に取ると一瞬で、グシャッと粉微塵に弾ける。
鋭利に尖った破片であっても、陶器程度では傷一つ付かない手。
「仕方ない」
ゴリッ、ゴリッとまるで砂糖菓子のように、破片を粉々に粉砕して行く。
測定値『289kg』を有する超絶的な、握力。
それを以ってすれば、マグカップだったモノはホンの数秒で“砂”に早変わり。
「流石に、ね・・・」
真理奈自身も、“少し強い”では済まない異常な筋力に自覚が芽生えつつあった。
例えば、軽く出す感じで入れた握力を、全力の『三割』と仮定する。
普通の人なら、それが10~20kgぐらいの所が。
真理奈だと、90kg近くの圧力を加えてしまうことになるのだ。
リンゴなら、一発で砕けてしまうし。
少しでも力を入れ過ぎれば、マグカップのように簡単に握り潰してしまう。
「太い、よね」
手首はそれ程でも無いのだが、そこから徳利のように急激に太くなる前腕。
握力は一般的に、その前腕筋群の量で決まると言われる。
「・・・・・」
そのまま何となく、自分の二の腕を見遣る。
太いと思った前腕筋群でさえ、只の土台としか思えないぐらい巨大な上腕。
「んっ、と」
片手間で、力を入れながら右腕を折り曲げてみる。
モゴゴッと特大の力瘤が隆起し、一気に太くなる二の腕。
「『55cm』か・・・」
勿論、力瘤周りのサイズが、である。
更に言えば、パンプアップ時は『59cm』なので、過少申告。
『59cm』と言えば、ハンドボールの外周とほぼ、同じ。
高校生になったばかりの女子の上腕が、ハンドボールと同じ大きさ。
「瘤、なんてレベルじゃないよね」
力の瘤で力瘤、とは良く言ったものである。
人体で、力を冠するのは二の腕のみ。力の象徴。
「硬っ・・・た」
右上腕二頭筋を、左手で思いっ切り握ってみる。
力を籠めると薄っすらと血管が走り、岩のようにカチコチになる力瘤。
『289kg』もの超握力でさえ、凹ませることすら出来ない。
「『457kg』ってホント、なのかな・・・」
前腕筋群より倍近く太い、二の腕。
既に、片手では覆い切れないぐらいの大きさがある。
『457kg』はあくまで、【腕輪】が算出した測定値でしかないのだが。
握力の『289kg』と比較すれば至極、真っ当な数値のように思えて来る。
「・・・うーん」
真理奈はつい、“伸び”をしてしまう。
腕や脚にこれだけ筋肉が付いていて、背筋が貧弱な訳もなく。
メギャッ。
「・・・あ」
今度は、座っていた椅子の鉄の背もたれが圧し折れた。
「おっと、と・・・」
後ろに倒れまいと右脚を踏ん張り、左脚を椅子の足に絡める。
グニャリ。
「え、うそ」
今度は、脚力に耐え切れず、鉄の足がひん曲がってしまう。
「あ、あ、あ・・・」
背もたれが無くなり、足の曲がった椅子に支えは無く。
「きゃっ」
ドッズゥンッ!
「痛ったぁ・・・」
椅子から落ち、床に思い切り背中やお尻を打ち付けてしまう。
「・・・くないや」
大音響で床に落ちて。背中もお尻も、しこたま打ち付けた筈なのに。
痛みという痛みは、全く感じない。
「背中にお尻、何とも無い・・・?」
短パンを脱いで、姿見鏡に背を向けて立つ。
タンクトップの下がショーツ一枚という、かなり恥ずかしい格好。
「あれ、ホントに何ともない・・・」
鏡越しに、後ろ目に背中を見る。
打ち身で赤くなるどころか、擦り傷一つ付いていなかった。
「これが、今の私の背中・・・」
真理奈自身、マジマジと自分の背中を見るのは初めてだった。
「折角だし・・・んぅっ」
真理奈は見様見真似で、腰に手を当て背中を広げる姿勢を取る。
いわゆる、ボディビルで言う所の『バックラッドスプレッド』。
首の僧帽筋から背中の広背筋が、幾重もの段差を隆起させる。
かなり大きめで余裕があった筈のタンクトップが、ピチピチに張り付く。
Tバスト:115cm
Uバスト:89cm
ウェスト:69cm
トップバストからアンダーバストを経ての、ウェストへの体型の流れ。
サイズの変移は見ての通り、文字通りの逆三角形。
「何か、鎧を着ているみたい」
僧帽筋や三角筋、菱形筋や大円筋が犇めき合う様は、まるで“鎧”のよう。
「まあ、背筋はパンチとかしなきゃ大丈夫だよね・・・」
この筋肉から放たれるパンチなら、サンドバッグぐらい貫通してもおかしくない。
「お尻はまるで、岩ね・・・」
キュッと縊れたウェストの直ぐ下には、ゴツゴツッとした大殿筋。
ショーツという薄い布では覆い切れない、岩のような『105cm』のお尻。
大殿筋は主に、走ったり登ったりする動作に作用する。
原付バイクに追い付き、高くジャンプ出来るのはこの“岩尻”のお陰である。
「だけど、腕力は・・・」
特大の力瘤は主に、腕を曲げる際に筋力を発揮する。
背もたれの支柱が折れ、足もグニャグニャに曲がった鉄の椅子。
椅子の呈を為さなくなったそれに、真理奈はおもむろに抱き付いた。
メギ、メギョ・・・
真理奈が抱き締める度に、鉄の椅子はどんどん“飲み込まれて行く”。
ゴギ、ゴギュギュッ!
正確には、Gカップ巨乳と“ハンドボール”剛腕に挟まれ、圧縮されているのだ。
グギャッ、グギャギ・・・ギギギィッ!!
「“こう”、なっちゃうってことだよね・・・」
少し前まで椅子だった筈の鉄は、フリスビーのように平らになっていた。
片腕で、『457kg』。
単純計算で、両腕合わせて『914kg』。
その内、何割を発揮したかは、真理奈自身もわからなかった。
ただ一つ確かなのは、全力まで程遠いぐらいの力しか入れていないということ。
中一の時にやった“擽りゲーム”みたいに、健ちゃんに抱き付いたりしたら。
両腕合わせて『900kg』超えの超怪力が、健ちゃんの身体に掛かることになり・・・。
「でもやっぱ、想像付かないや~」
どのぐらいの力ならスキンシップが出来るか、想像するも答えは出ない。
今まで、健ちゃん以上の重い物なんて、持ったことがないのだ。
「握力ですら・・・」
握力計を右手で握り、少しずつ力を入れて行く。
デジタルの計器盤は直ぐに、『***』表示。
「カンストだもんなぁ」
『七割』ほどの力を籠めるだけで、握力計はカウントストップ。
握力計を使った力加減の練習は、もう出来なくなってしまった。
力加減を少し間違えるだけで、計測値が数十キロは増える。
数値の増え幅が大き過ぎて、調整出来るレベルではないのだ。
そのせいか、ふと気を抜くとマグカップのような事が起こる。
「ねぇ、私みたいにチカラが凄い人って他に居たりするのかな」
真理奈はつい、【腕輪】に語り掛けてしまう。
『居ます』
「・・・え」
まさか返答に、真理奈は驚く。
「え、嘘。何処に」
『“こちら”の規則等を鑑みて、数や所在等は回答出来ません』
変なところで律儀なのね、と真理奈は落胆。
『電子回線経由で、間接的に接触を図る事は可能かも知れません』
「え、どゆこと。ってか、何これ」
どうやって操作したのか、真理奈のスマホに見知らぬウェブサイトが表示されていた。
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_/MG&STガールズ_/
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「MG&STガールズ・・・? 何か、夜のお店みたい・・・」
黒が基調の如何にもな、怪しい風体のウェブサイト。
『詐欺等の犯罪に類するサイトではありません』
【腕輪】が何を以って、そう判断したのか謎である。
「えーと、何々・・・」
『こちらのサイトは、筋肉や筋力に秀でた女性が意見交換、交流するサイトです』
一先ず、真理奈は怪しいという感想には蓋をしつつ。
サイトを閲覧して行くと、表題の女性の目撃談などを語る場のようだった。
「あれ、ここは入れない」
唯一、一か所だけ『ID』と『パスワード』を求められるリンクがある。
「えーっと、アカウントを取得するには・・・何これ」
昨今、ウェブサイトのアカウント登録は、複雑さを増している。
いわゆる、別人への成り済ましを防ぐ為には止むを得ないのだが・・・。
「動画? しかも、筋肉もしくは怪力であることを証明する動画、って・・・」
何、そのニッチな要求は、と真理奈は思った。
「他に、何か方法は無いの?」
『このサイトが一番、確度が高いです』
本当に【腕輪】に言われるがまま、“変な動画”を上げて良いもの、だろうか。
後々、ネットに公開されて恥を掻かされたりしないものか。
「仕方ない、か」
逡巡していても始まらない、と真理奈は意を決して。
「こう、かな」
テーブルの上にスマホを固定して、動画撮影モードに切り替え。
「で、っと」
鉄球タイプの鉄アレイの両端を持ち、胸元で構えた。
「ん、っと」
両手に力を入れるとグニャリ、グギャリと鉄アレイが徐々に圧縮されて行く。
「ついでに“こう”して、っと」
テニスボール大の鉄球が合体したかと思うと、真理奈は力任せに捏ね。
ゴギュ、ゴギュッとソフトボール大の一つの鉄球を作り上げてしまった。
工作で粘土細工を作るかのように、鉄をこねくり回してしまう筋肉女子高生。
インパクトは充分だし、問題無い筈。
『アカウントが登録されました』
無事、登録が出来た模様。
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_/【M子】
_/『この前は、久し振りに軽トラックを持ち上げて楽しかったです』
_/
_/【Wish】
_/『軽トラだと、800kgぐらいですか? 良い運動ですね♪』
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「・・・え」
いきなり、突拍子もない書き込みを見付け、真理奈は唖然とした。
「え、え。軽トラックを、持ち上げ・・・?」
『軽トラック』という単語と、『持ち上げ』という動作が結び付かない。
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_/【Wish】
_/『私は鋼材でウォームアップした後、いつもコンテナ挙げてます』
_/
_/【M子】
_/『コンテナを挙げるなんて凄いです。私もいつかやってみたいです』
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「え、コンテナ・・・?」
港とかにあって、大型トラックや貨物列車で運ぶ、あのコンテナの事なんだろうか。
「あー、うん。あれかな。そういう“サイト”なのかな」
『SNS』にも、色々ある。一昔前なら、『アバター(化身)』。
今なら、『Vチューバ―』なんてのも。
会員サイト内限定で各人、何らかの役割を演じている、と言った所か。
「えーっと、じゃあ・・・」
とは言え、新参者がいきなり何かを演じるのはハードルが高い。
一先ずはハンドルネームを考え、書き込んでみることにした。
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_/【マリ】
_/『はじめまして』
_/
_/【M子】
_/『新しい方ですね。はじめまして』
_/
_/【Wish】
_/『はじめましてー』
_/
_/【H.F】
_/『こんにちはー』
_/
_/【BSG】
_/『こんにちは』
_/
_/【STAR】
_/『初めまして』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「意外と居るのね」
チャットではない筈なのだが、皆オンラインなのか反応があった。
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_/【マリ】
_/『最近、力が強くなって困ってるんです』
_/
_/【STAR】
_/『強くなる、というのは? 筋トレをやり過ぎたり、とか?』
_/
_/【マリ】
_/『いえ、筋トレはやったことがなくて。おかしいですよね?』
_/
_/【H.F】
_/『まあ、世の中広いですから。ふとした切っ掛けで、なんてこともありますし』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「他にも居るんだ・・・。あ、そういう“呈”なのかな」
何処までが演じている、いわゆる“ノリ”なのか、わかり辛い。
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_/【H.F】
_/『お困りというのは、何かあったんですか』
_/
_/【マリ】
_/『前に幼馴染とスキンシップして、怪我をさせそうになったことがありまして』
_/
_/【Wish】
_/『なるほど、人間相手だと怪我で済まないレベルに力が強くなったと』
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「あ、この人、鋭い。まるで、ホントに経験したことあったりして」
まさかね、と真理奈は独り言ちた。
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_/【マリ】
_/『今どのぐらい力なのか、実感が沸かなくて』
_/
_/【M子】
_/『ジムに行くとかは、どうでしょう』
_/
_/【Wish】
_/『ジムのウェイトで足りるなら、それもありですね』
_/
_/【H.F】
_/『今、どのぐらい力が強いんですか』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「うーん、どう書こう・・・」
本当の事を書く必要はないが、そもそも【腕輪】の測定値に現実味がない。
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_/【マリ】
_/『測って貰ったら、400キロって言われました』
_/
_/【M子】
_/『ベンチプレスですか?』
_/
_/【マリ】
_/『いえ、片腕の測定値です』
_/
_/【STAR】
_/『片腕で400キロ。それは凄い』
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「サバ、読んじゃった」
乙女心か、真理奈は九分の一ほど、筋力値をサバ読んだ。
九分の一とはいえ、実に50kgもの重量なのだが。
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_/【M子】
_/『両腕で900キロだと、ジムでは足りなさそうですね』
_/
_/【マリ】
_/『そうなんですか』
_/
_/【Wish】
_/『バーベルだと500キロぐらいが限界ですね』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「そう、なんだ」
恐らく、街のジムでの話だろう。
高校生になったばかりの真理奈には、街のジムは金銭面でもハードルが高い。
「学校に、あるかなぁ」
ボクシング部みたいな格闘技部もあるので、高校にジムがあってもおかしくはない。
しかし、街のジムと比べて、ウェイトが充実しているとは思い難い。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/【BSG】
_/『それだけの力なら、車ぐらいは持ち上げられそう』
_/
_/【M子】
_/『軽トラなら持てると思いますよ』
_/
_/【Wish】
_/『廃車が置いてる所とかがあれば、試してもいいかもしれませんね』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「軽トラ、持てちゃうんだ・・・」
そう言われても、やはり実感が沸かない。
花の女子高生と、軽トラック。余りにも、似つかわしくない。
因みに、軽トラックは無積載の車体重量のみなら、700~800kg。
荷物を最大まで積んで、1.1~1.2トン。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/【Wish】
_/『違法駐車してる車を持ち上げて移動させちゃうとか』
_/
_/【STAR】
_/『それ、トラブルになりません?』
_/
_/【Wish】
_/『ですね。すみません、冗談です』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「勝手に、はダメだよねぇ・・・」
車なんて、街に何台でも溢れ返っている。
かと言って、それを勝手に持ち上げて良いか、と言われればノーだ。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/【BSG】
_/『でも、有事の際なら仕方ないと個人的に思います』
_/
_/【STAR】
_/『といいますと?』
_/
_/【BSG】
_/『轢き逃げ犯を追い掛けて、止めたことがあります』
_/
_/【マリ】
_/『轢き逃げ犯の車を持ち上げたってことですか?』
_/
_/【BSG】
_/『はい。逃げようとするので仕方なく』
_/
_/【M子】
_/『それは凄い。カッコいいです。スーパーヒーローみたい』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「何それ、カッコいい。漫画とか映画みたい」
スーパーパワーを使って悪人を懲らしめる、なんてアメコミみたい。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/【STAR】
_/『まあ、まずはジムに行ってみるのがいいかも』
_/
_/【マリ】
_/『そうですね。ありがとうございます』
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「まあ、そうなるよね・・・」
最終的には、至極真っ当な結論に至った。
「ジムかー」
女子高生かどうか、以前に。
「そういや、筋トレってしたことないや」
腹筋ですら、一度も試した経験が無い。
お腹を摩(さす)ると、鏡で見るまでもなく、バッキバキに割れた腹筋の感触。
「チャンスがあれば、かな・・・」
部活はまだ、何処にするか決めていない。
健ちゃんと相談して、学校にジムがあるか確認してからでも間に合う。
「車、か・・・・・」
真理奈は、改めて自分の腕と脚を見遣る。
『900kg』超えの腕力に、原付バイクの追い付く脚力。
この二つを持ってすれば・・・。
腕力の力加減をどうするか、という難問は頭の片隅に追いやられ。
いつしか、真理奈の頭の中は別の興味が擡(もた)げ始めていた。