「芽衣子、おはよう」
「ご主人様。おはようございます」
朝起きると、メイドの芽衣子が食卓の傍に立っている。
食卓には、二人分の朝食が並んでいる。
僕より先に起きて、準備をして待ってくれていたのだ。
「いつも、ありがとう」
「いえ、そんな。これが、お仕事ですので♪」
そう屈託なく微笑む芽衣子の笑顔に、いつも癒される。
かつては“ドジっ娘”だった芽衣子も幾分か、落ち着きを持ったように見える。
自宅というには余りにも広い家に、僕は芽衣子と二人暮らし。
僕の両親は、仕事の関係で1年の大半を海外で過ごしていて。
今のところ、帰国して落ち着こうなんて考えは毛頭ないらしく。
せめて身の回りの世話を、と住み込みでメイドを雇ってくれた。
実際の雇い主、『主人』は両親ではあるんだけど。
芽衣子は、僕を本当の『主人』であるかのように接してくれる。
――と、ここまで書けば、十代男女の仲睦まじい日常生活・・・のように見える。
「芽衣子、身体の調子はどうだい?」
「・・・? 至って、健康ですよ♪」
そう言いながら、芽衣子は『ジョッキ』に入った“白い液体”を一気に飲み干す。
「それ、ひょっとして・・・プロテイン?」
「あ・・・え、っと。はい、そうです」
朝食に合わせてプロテインを飲む事に遠慮があるのか、少し口籠る。
「そう、か」
僕はつい、ジョッキを傾ける芽衣子の左腕に視線を向けてしまう。
僕より大きな手と、“まだ”普通レベルの手首。そこまでは良い。
その手首から、まるで『徳利』のように急激に太くなる、前腕。
肘という関節で一旦は細くなるものの、そこから伸びる二の腕は。
力を入れず軽く曲げただけで、その腕は巨大な『大玉スイカ』のように膨れ上がる。
メイドになったばかりの芽衣子は普通に、平均的な身体だった。
身長172cmの僕と比べて一回り小さく、可愛らしいメイドさん。
僕の両親が興味本位で、海外土産として送って来た、秘薬。
『滋養強壮』。
『体力増強』。
そんな、エセ健康食品にありがちな謳い文句を信じ、芽衣子はそれを飲んで。
その結果、芽衣子の生活・・・いや、身体は一変した。
僕より身長が20cm以上高く、体重は二倍以上。
部屋の入り口が『2m』なので、いつも頭をぶつけそうで冷や冷やする。
バレーボールやバスケットボール選手のように縦に長いだけでなく。
数値が示す通り、芽衣子はその身体のボリュームも凄まじい。
胸周り『161cm』は実に、僕の胸板(80cm)二枚分。
僕が前後に二人並んでようやく、芽衣子の上半身と同等なのだ。
それでいて、ウェストは僕とほぼ同じ・・・。
恐ろしい程に、見事なまでの逆三角形な筋肉ボディ。
「今ってリストは『300』、カールは『750』なんだっけ?」
「そうですね。ジムで積めるウェイトだと、それが限界なんです」
芽衣子は、プロテイン以外は僕と基本的に同じ献立。
流石に量は多いものの、何か特別なメニューを採っている訳ではない。
だけど、芽衣子は身体のサイズに見合うどころか、それ以上の怪力を有していた。
“リスト”とは、『リストカール』の略で。
バーベルウェイトを両手で持ち、手首を返すトレーニング運動を指す。
一方で“カール”と略したのは、いわゆる『バーベルカール』。
両手で持ったバーベルを、上腕筋を作用させて持ち上げる運動。
芽衣子はそれを、どちらも片手で行う。
つまり、片手の手首の筋力だけで『300kg』を挙げ。
片腕の筋力だけで実に、『750kg』もの途方も無い超高重量を挙げてしまうのだ。
「ご主人様がカッコイイって褒めてくれる“この身体”、もっと磨き上げたいです♪」
僕より少し先に食事を終えてしまい、手持ち無沙汰だったのか。
芽衣子は肩の高さで右腕を盛り上げ、グッと力を籠める。
グモモッ・・・モリモリッ、モゴゴォッ!!
『113cm』という超特大の、力瘤。
芽衣子が着ているのはカスタムしたメイド服なので、袖は存在しない。
ダランと伸ばした状態ですら、『78cm』もの剛腕なのだ。袖なんて、通らない。
そんな馬鹿げたサイズでありながら脂肪は少なく、薄くコーティングされている程度。
巨大な上腕二頭筋には幾つも血管が走り、浮き上がっている。
「相変わらず、凄っ」
「えへへっ♪」
可愛らしい笑顔と、その顔より巨大な力瘤のギャップが凄まじい。
肥大化し過ぎて前腕筋との隙間がなくなり、ギュギュッと筋肉同士が擦れ合っている。
因みに、握力『200kg』はあくまで、測定可能な最大値でしかない。
『粘性』に富んだ鉄を引き千切る握力が実際に幾つなのか、想像も付かない。
片腕リストカール『300kg』、片腕バーベルカール『750kg』。
ラットマシンで『1.5トン』を挙げ、レッグプレスで『2.5トン』を圧し挙げる。
鋼鉄製の金庫を抱き潰し、軽トラックを片手で投げ飛ばしてしまう。
人間の限界を超えたかのような、超・超怪力。
僕はこの時、まさか。
これ以上の“先”があるなんて、思いも寄らなかった。
デアカルテ
2024-05-12 00:25:03 +0000 UTCルールバント
2024-05-10 10:13:38 +0000 UTCデアカルテ
2024-05-08 13:08:19 +0000 UTCデアカルテ
2024-05-08 13:08:04 +0000 UTC名無しです
2024-05-08 11:29:11 +0000 UTCsunagimo7
2024-05-08 10:05:48 +0000 UTC