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筋肉ダメイド拡大記03「プロテインの効果」

――あれから、少し時間が経っただろうか。


芽衣子の身長が『2m』を超えた事も、すっかり忘れた頃。



「ん、っしょ」

芽衣子が居間に入ろうと、グッと屈み込む。


ミチ・・・ミチチッ。


「・・・ん」

芽衣子のメイド服から、布地が張り詰める音がする。


普段、僕は良く居間で寛いでいて。

芽衣子が家事で居間に出入りするなんて、只の日常風景なんだけど。


その時はふと、たまたま芽衣子の所作を見ていたこともあり。

頭の片隅に追いやっていた疑念が再び、表に出て来る。


「・・・なぁ、芽衣子」

「はい、何ですか」


「最近、ずっと“そんな感じ”で屈んで入ってるの?」

「はい。前に頭をぶつけてから、気を付けるようにしてます♪」

芽衣子は然(さ)も、得意気に語った。


前に測った身長は、『203cm』

『2m』の入口に入る時に屈むのはまあ、わからなくはない。


しかし、“ぬぅっ”と上体を起こした芽衣子の頭は、半分以上ドア枠を超えている。


「・・・・・」

「・・・どうしました?」

僕は、キョトンとしている芽衣子の目の前に立つ。


僕は、目の前に立った芽衣子に対し、水平に真っ直ぐ視線を送る。

そんなつもりはないにも関わらず、僕の目線は推定『Iカップ』爆乳に当たってしまう。


「ご主人様。もしかして、小さくなりました?」

「・・・なって、ないよ」

この遣り取りも、もう何度目だろう。

やっぱり、芽衣子の“ドジっ子”振りは未だ健在、なんだろうか。


「芽衣子、“お前が大きくなった”んだ」

やっぱり、“そう”だよな。


ホンの少し前まで、芽衣子と並んで立つと僕の目線は肩や僧帽筋辺りだった。

それが今や、胸元の大きな膨らみと同じ高さでしかないのだ。


「そう、なんですか? 私はてっきり・・・」

芽衣子は手慣れた所作で、肩の高さで右腕を折り曲げる。


「・・・“こっち”のことだとばかり」

グモモッボゴゴォッ!!


力を籠めると一回りどころか、二回り。

いや、三回りは大きく肥大化する超特大の力瘤。


「・・・っ!?」

何度も見て、慣れた筈なのに。

前より更に迫力を増した力瘤に、僕は圧倒される。


「ご主人様。測って、くれませんか?」

芽衣子は微かに頬を赤らめながら、僕にそう懇願した。

僕が前みたいに、目聡く筋量アップに気付いたんだと思ったようだ。


「・・・え。あ、うん」

以前より肩の位置が高くなり、芽衣子の上腕はまるでカーテンレールのようで。

そんな高さでありながら、僕の顔より数倍は大きい力瘤。


「・・・え」

僕は一瞬、巻尺の目盛りを見て目を疑った。


「どう、です?」

「・・・『125cm』

うら若き美少女メイドの、二の腕が。

僕の太腿(60cm)を両脚分揃えてもまだ足りないぐらい太く、大きくなっていた。


ミチッ・・・ブチィッ!!


「「っ!?」」

まさか、な事が起こった。

メイド服の肩口の生地が、ブッツリと裂けてしまったのだ。


「きゃっ・・・」

ハラリ、と支えを失ったメイド服の右半分が開いて行く。


「あぁっ・・・!」

芽衣子は咄嗟に、僕目掛けて左手で払おうとするも。


「・・・んぅ、くっ」

寸でのところで思い留まったのか、左手を翳(かざ)すに留めた。


「・・・っ」

僕の鼻先のホンの少し前に、芽衣子の大きな左手が置かれている。


「ご主人様! 当たって、ないですか?」

「う、うん。だ、大丈夫だよ」

芽衣子は胸元が開(はだ)けて、ブラジャーが見えてしまうことよりも。

僕に手を当てないことを優先してくれたようだった。


「う、後ろ、向いてるね」

「あ、いえ。そのままで、大丈夫です」

『ご主人様になら見られても構いません』と付け加えた。


芽衣子には何度か、その怪力を振るわれたことがあるけれど。

軽く押されただけで、僕の身体は数メートルは吹っ飛ばされてしまった。


軽く小突かれただけでも、僕の身体はピンボールのように弾き飛ばされ。

居間というピンボール台の上で何度も家具にバウンドして、ボロボロになっただろう。


「ご主人様。少し、離れて貰っても良いですか?」

「うん、良いけど・・・」

芽衣子は開(はだ)けた胸元を左手で抑えながら、右手を食卓に当てて。


「・・・ん」

右手が少し前に動いたかと思うと。


ドンッ・・・ブォンッ、ドガァッ!!


「うぉ、あっ!?」

「あぁっ・・・」

度肝を抜かれた僕と、“やり過ぎた”な表情の芽衣子。


「ご主人様、大丈夫ですか?」

「え、うん。食卓って、飛ぶものなんだな・・・」

かなりの重さな食卓は、芽衣子が軽く押しただけで滑空して吹っ飛び。


「すみません、ホントに軽くやったつもりだったんですが・・・」

食卓はソファにぶつかった反動で、引っ繰り返ってしまった。


「パワー、増した・・・?」

「最近、ウェイトを増やせるようになったんです」

それは、芽衣子の限界筋力の意味合いではなく。

『プラチナジム』に於ける、バーベル器具の搭載限界の話だった。


一般的なバーベル用のウェイトプレートは、『25kg』が最大。

だけど、『プラチナジム』には『50kg』の特製プレートが用意されていて。

他のジムではセット出来ないような超高重量を扱えるのが売りだった。


「確か、『750』だっけ?」

厚さが実に『7cm』もある『50kg』のウェイトプレートが、片側だけで七枚。

シャフトの両側合わせて十四枚なので、その幅は何と約『1m』!


シャフトや止め具やら諸々込みで、『750kg』という信じられないような超高重量。

芽衣子はそれを、片腕で挙げてしまう。


「いえ、今は『900』を挙げてます」

「・・・ぅえ?」

何と、『750kg』を挙げていたのが、既に過去の話になっていた。


「きゅ、きゅうひゃく・・・?」

『50kg』のウェイトプレートを左右に一枚ずつ追加しての、計十六枚。

単純なウェイトプレートの横幅だけで、『110cm』。


「あれ? 計算が合わないような・・・」

元のウェイトが『750kg』なのに、プラス『100kg』で何で『900kg』になるんだろうか。


750+100=900?


「それなんですけど・・・」

どうやら、芽衣子が毎回、余りにも超高重量を挙げ続けた結果。

バーベルシャフトは馬鹿になっていたらしく。


「シャフトを折っちゃいまして・・・」

「シャフトを、折った・・・?」

超高重量に耐え得る頑丈な筈のシャフトをグニュリ、と握り潰して。

完全に、真っ二つに圧し折ってしまったらしい・・・。


「てへっ☆」

芽衣子は、照れ隠しに頭をポリポリと掻いて誤魔化す。

軽く曲げただけの上腕にモゴォッと盛り上がる力瘤が、グリグリと動く。


「元々は古かったのもあって、新しくしてくれたんです」

『プラチナジム』としては、器具の破損をそのままにする訳にも行かず。

新調する次いでに、と特製のバーベルシャフトを用意。


驚くべきことに、新しいバーベルはシャフトだけで『100kg』あるらしく。


ウェイトプレート:50×8×2=800kg

バーベルシャフト:100kg


800+100=900kg


ということらしい。

やろうと思えば、『トン』超えのバーベルにも出来るらしい。


「パワーアップしたのって、やっぱりプロテインを飲んでから?」

「はい。効果覿面です♪」

幾ら筋肉が付き易い体質とはいえ、度が過ぎている。

やっぱり、何かしらか理由がある筈。


「凄く、良いプロテインなんだね」

「はい♪」

プロテインを褒めると、芽衣子は自分の事のように喜ぶ。


「そのプロテイン。出所は、“ウチの両親”だよね?」

「はい! ・・・・・あ」

芽衣子は、つい口を滑らせた。

しまった、という顔をしている。


やっぱり、そうか。



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