SamSuka
デアカルテ
デアカルテ

fanbox


空巣三兄弟の受難【三つの願い(4-1)】

「うーん」

朝。あどけない顔の少女が“伸び”をした。


ピッ、ピリッ。


「あれ? パジャマ、小っさくなった?」

“万歳”をした二の腕や肩から、布地の裂けるような音がした。


「最近は特に“何もしてない”んだけどなぁ・・・」

そう言いながら、少女はベッドから起き出した。


「ん・・・? え、えぇぇっ!?」

少女の寝室、ベッドの周りがこれでもかと散らかっていた。


「寝る前は確かに・・・」

少なくとも、寝る前に散らかしたりはしていない。流石にそれは覚えている。


「うーん、寝相が悪かったのかな・・・」

寝室には勿論、少女以外には誰も居ない。

諸般の事情により、少女は独り暮らしをしている。よって、家族が散らかしたということもない。

あるとすれば・・・・・。


「ま、良いや。もう一眠りしよ」

少女は再び、まどろみの中に落ちて行った。



――その、家の外。二人の男が物色するように家を遠目から見ていた。


「三郎、ここが目星を付けてた家だ」

「一郎アニキ、二郎アニキが言ってた家だな」


「そうだな。アイツが事前に下見に行って・・・ん? 三郎、“二郎”って誰だ?」

「え? アニキ、何言ってんだよ。二郎アニキだよ、じ・・・・・あれ? 誰だっけ」


「俺らは生まれた時からたった二人の兄弟だろ」

「・・・ん、そういやそっか。でも、ウチの親、二人兄弟なのに何で“一郎の後に三郎”って名付けたんだろ」


「んなこた知るかよ。それより、そろそろ忍び込むぞ」

情報源はともかくとして、男たち二人は事前に“対象”を調べてあげていた。


・親二人が居なくなってからは、娘の独り暮らし(居なくなった理由は不明)

・いつも、戸締りがしっかりしていない(何故か、玄関の扉が壊れたまま)

・昼間は、周りの民家には人が居ない


「周りの家も狙い所だが、俺の見立てじゃあ、“この家”が一番貯め込んでる筈だ」

「だろうね。娘が独りで暮らせるなんて、相当貯め込んでる筈だぜ」

もし仮に、周りの家から手を出して、それで万が一にもバレたら本命に警戒されてしまう。


「娘は昼間、家に居たり居なかったりだが、そこは問題じゃねぇ」

「ああ、任せとけアニキ。もし娘が居たとしても、俺が“相手”しとくぜ」

兄が実行役、弟が見張り兼、哨戒役といったところか。



「中は意外と広いな・・・」

「じゃあ、俺は一階から」

兄は、ニ階へ。弟が退路確保も兼ねて、一階から回り始めた。


「んー、何だ。意外に金目のモノが無ぇな」

クローゼットや書斎と思わしき部屋には、金品に関するモノは何も無かった。


「後は、ここか」

弟は、寝室の扉をソロリと開けた。

陽が昇る時間であるにも関わらず、部屋は薄暗い。窓はあるが、カーテンが閉められていて、光がほとんど入らない。


(・・・ん。何だ、“これ”

弟は声には出さなかったものの、驚きを隠せなかった。

寝室の中央にはダブルベッド。大人二人が並んで寝ても余裕がある大きさのベッドに女が一人、寝ていた。


(何てデカさだ・・・コイツが、娘なのか)

顔は、十代のあどけない少女のモノだった。


肩一杯まで布団を被っているので、細かい体型はわからない。・・・筈だった。

布団越しとはいえ、身体全体の凹凸はヒトのそれでは無かったのだ。


上半身はまるで天を突くように、スイカが2つ載ったような爆乳が盛り上がり、大きな山を形成している。

そして下半身は、太腿と思しき部分がビア樽のように隆起していた。


「これが女・・・いや、人間の身体か・・・」

明らかに、今まで見て来たヒトとは違う、別の生物としか思えない。


「うーーん・・・」

と、その時。少女が、“寝返り”を打った。


「・・・え」

布団から少女の右腕が飛び出る。

暗い中、薄明かりで照らされた少女の腕。それは、ヒトの腕とは思えない程の筋肉が過積載された剛腕。


仰向けに寝ていた少女の身体が、左側に回転するような寝返りだった。

男の胴体よりも太いであろう腕が、少女の左側に居た男の頭上に振り下ろされた。


「うごぁ」

ドゴォッ。バキバキッ・・・メゴォ。


一瞬。ホンの一瞬だった。


只の寝返り。特に、力は篭められていない。遠心力だけで振るわれた少女の右腕は、男の身体を半分にまで“圧縮”していた。


「ん、あ・・・?」

少女の手は、男の頭をサワサワと触れていた。

勿論、男の頭はプラモデルの変形ロボットのように、胴体に収納されている。


「抱き枕・・・?」

少女は寝惚けているのか、男の頭をムンズと掴むと一気に自分の方に抱き寄せた。


男は別に、小柄という訳ではない。普通に肉付きの良い成人男性である。

しかし、まるでクッションを引き寄せるように、少女は意識を眠らせたまま、男の身体を自分の身体に叩き付けた。


グシャァッ!


「おい! どうした」

異変を感じた兄の一郎が、音が立つのも構わず寝室の扉をバァンッと開けた。


「・・・なぁ!?」

「んぅ~~っ」

バキッ、バキャッ、バキバキッ!


兄が見たのは、“クッション”となって少女に抱き締められる弟の成れの果てだった。


「三郎ーっ!」

兄が寝室に入った時点で、弟はもうヒトの体を為していなかったのだが。

それでも一目で弟とわかるのは、流石は血を分けた兄弟といったところか。


「手前ぇっ! 弟を、放せっ!」

兄はもし、ここで踵を返して逃げ出して居れば、助かったかも知れない。


ドカッ、ドカッ。


男は弟を取り返そうと、少女の腕に必死に遅い掛かる。

しかし、その甲斐虚しく、弟は少女の腕の中で徐々に、徐々にその体積を小さくして行った。


「あれぇ? 抱き枕、“まだ在った"んだぁ・・・」

男を一人、肉塊に変えただけでは飽き足らず、少女は兄に照準を定めた。


「う、ぎゃあぁっ!!」

バキッ! バキャキャッ!!


少女が一掴みするだけで、男の身体の肉は潰れ、骨が砕けた。

末恐ろしいのは、少女は未だ、夢の中だということ。


「あ、やめ・・・おねが、い・・・やめ・・・」

男の声は次第に、小さくなって行った。


男としては、大声で助けを呼びたかった。空巣に入ったことなんて、バレたって良い。警察に捕まったって良い。

とにかく、今この場を逃げ出したかった。この絶望的な状況を打破したかった。


しかし、それは叶わない。


どれだけ渾身の力でタップしようと、少女が起きる気配は一向に無いのだ。

全力で殴っても、弟からどれだけ腕を引き剥がそうとしても、少女は無反応だった。


否。


少女と男の間に、余りに力の差が有り過ぎたのだ。蟻と象、どころではない。

ミジンコと地球。そのぐらいの筋力差。


男は『三野家』に空巣に入ったことを後悔しながら、他の兄弟“二人"と同じ運命を辿ったのだった。

Comments

ワンパターンになりがちだったので一度終わらせた所ではあるんですが、個人的には好きな設定のお話なので、細々と続きを書けたらと思っています。

デアカルテ

続きですね。 楽しく期待しています。

コメントありがとうございます。当面はこちらを中心に活動したいと思いますので、何卒宜しくお願い致します。

デアカルテ

いつも応援してます 筋肉娘系の小説はデアカルテさんの作品が一番好きです

名無しです


More Creators