その後の三つの願い02「寝起きのパジャマ」
Added 2019-12-13 14:37:00 +0000 UTC「・・・うぅ、ん」
少女が、ベッドからモソモソと起き出す。
「・・・あれ?」
気付くと、まだ外は明るい。・・・が、もう、太陽は沈み始めても良い時間だった。
二度寝のつもりが、かなりの時間が経っていた。
「ふぁ、あ・・・」
大きな欠伸。
ミチ・・・ミチチッ。身に着けているパジャマから、聞こえる衣擦れの音。
「・・・ん」
嫌な、予感。今、“それ”はやっちゃいけない。だけど。
「んぅ~~~っ・・・んぁっ!」
身体の奥底から来る欲求に任せて、私は思いっ切り“伸び”をした。つい、してしまった。
モリッ・・・モリモリ・・・モゴゴォッ!
ビリビリビリッ! ビリッ・・・ビリリィッ!!
「あ、あぁ~~・・・あ」
数日前まで。服として、“大きくなった私”をちゃんと包み込んでくれていたパジャマ。
それはまるで暴漢にでも襲われたかのような、見るも無残な姿になっていた。
肩口は裂け目程度で済んでいるものの、肩から伸びる袖の二の腕部分がほとんど無くなっていた。
パンプアップしているのか、力瘤も三頭筋も明らかにモリッと盛り上がっている。
胸元は、大胸筋という土台が上ずったせいで爆乳が押し出され、上着のボタンが粗方、弾け飛んでいた。
ズボンタイプのボトムは、穿く前はまるで丸太でも通せるかのような余裕があった。
なのに今となっては、太腿を動かすだけであちこちがピリッ、ビリッと裂け目を増やして行っている。
さっきの感覚は、紛れもなく【魔力】による身体の肥大化だった。パンプアップではなく、バルクアップ。
一時的な肥大化ではなく、恒常的な筋肉の成長。またしても、私の筋肉は成長してしまった。
「・・・でも、どうして」
正直、心当たりがない。
「・・・・・」
私は、散らかった部屋を見渡した。
「まさか」
物取りか何かが私が寝てる間に、寝室に侵入。そして、私は寝たまま、ソイツを・・・。
「・・・まさか、そんな」
にわかには信じ難い。
物取りや空き巣について、ではなく。
寝た状態の無意識で、人間をヤってしまったという、事実。
例えば、寝返りを打って、その次いでに枕や布団を自分の方に引き寄せる。
もし、その“行為”を人間相手にやっていたら。
例えば、もし仮に『私に【彼氏】が居た』として。
その【彼氏】と同衾して、たまたま【彼氏】を抱き締めちゃったら。
「え、と」
私は、確認するまでもない確認の為に、散らかった部屋の隅っこから掃除機を取り出した。
壊れて放置されていた、部屋用としては大型の掃除機。粗大ゴミに出さなきゃ、と思いつつも忘れ去られていた代物。
「・・・ん」
程良い大きさの“それ”を、私はおもむろに抱き締めた。
メキメキ・・・メリィッ。バキッ! バキバキッ、バキャッ!!
私の腕の中で“それ”は、掃除機だったかどうかすらわからない鉄屑に成り果てていた。
正直なところ、力なんて全く篭めていない。腕を内側に曲げただけでスイカ大の力瘤の盛り上がり、圧し潰してしまったのだ。
自動車を潰し、資材コンテナを持ち上げる私の超筋力。その超怪力を以ってすれば、鉄とかプラスチックなんて、ペッチャンコ。
人間の胴体と掃除機が同じ硬さかどうか、なんてことは知らない。だけど、“そう”したらどうなるか、は知ってる。
「・・・だって、ねぇ」
私は改めて、姿見鏡の前に“距離を取って”立ってみる。
一般体型を写すことしか想定されてない縦長の立て鏡では、私の全身は半分も写らないのだ。
“引き”で立つことで、ある程度ではあるものの何とか全身を写すことに成功した。
「“この身体”、だもんねぇ・・・」
2mを超えた身長だけど、頭のサイズはほとんど変わらないようで、9.5頭身・・・ぐらいはあるのかな。
いつの間にやら9.5頭身の超モデル体型。勿論、それは頭のサイズと身長を比較して、何頭身かってことにだけ注視した場合の話。
私の肉体には、その超長身の“縦幅”に有り余るぐらい、これでもかと搭載された筋肉。過積載なんてレベルじゃない。
ファッションモデルどころか、ボディビルダーですら及ばないような超筋肉。
「“こう”、かな」
私は見様見真似で、鏡に向かってボディビルのポーズを取ってみた。
上半身を前傾させ、お腹の前あたりに両手が来るよう両腕を『くの字』に曲げる、『マスキュラーポーズ』。
「んっ、く」
私としては、ホンのちょっと“力む”程度に力を入れただけだった。
グググッ! ブバァンッ!!
「うえぇ!?」
パジャマの生地が、“爆ぜた”。
比較的無事だった首回り、襟足部分の筋肉。つまりは僧帽筋が扇型にドカンと盛り上がり、襟ごと生地を弾き飛ばした。
パジャマの体を成していた肩や前腕部分も、三角筋や前腕筋の隆起でビリッビリッに裂けてしまっていた。
更に、振り返りながら背中を確認してみると・・・。
「・・・うそ」
僧帽筋から広背筋へのモコモコと続く筋肉山脈が露になっている。背中部分の生地が、完全に無くなっていたのだ。
因みに、胸元はボタンが全て弾け飛んだことで、却って生地そのものは無事だった。
まあ無事と言っても、パジャマの背面が無くなったことで、前面の生地は首から掛けて垂らしたマフラーみたいな感じ。
「もう、こうなったら・・・えぃやっ」
私はひと思いにと、敢えて渾身の力で『ダブルバイセップス』ポーズを取った。
ギュギュギュ・・・バリッ、ビリリィッ!
大きく盛り上がり過ぎるスイカ大の力瘤と前腕筋の擦れ合う音と、残った生地が千切れ飛ぶ音が重なった。
「気のせい、じゃないよね・・・」
前回測定した時と比べる意味もあったんだけど、やっぱりというか。明らかに、一回り大きくなってる・・・。
「ズボンももう、ダメだよね。じゃあ・・・んっ!」
最後に取ったポーズは、『アブドミナル・アンド・サイ』。何で最後かというと・・・。
ブボバァンッッッ!!
一回りどころか二回りも一気に太くなった太腿は、ズボンを一瞬で消し飛ばしてしまった。細切れの生地が宙を舞っている。
「うげぇ」
腹筋と脚を強調するポーズは私自身、初めてだった。初めてだけに、想像以上の結果に変な声を上げてしまった。
「我ながら、ここまでとは・・・」
二頭筋と三頭筋による前後にスイカが二玉も付いた上腕。そんな極太な上腕を更に上回る、超弩級の太腿。
多分、片腿だけで人間一人分の筋肉量を全て賄える。そんな、ビア樽腿。
私の中で、『太い』を超える最上級の形容詞が『ビア樽』になった瞬間だった。
身長:214cm(+3cm)
力瘤:118cm(+4cm)
太腿:126cm(+4cm)
Comments
コメントありがとうございます。ちょっとずつでも続きを書いていけたらと思っています。
デアカルテ
2019-12-13 22:17:40 +0000 UTC待望の続編ですね! 大きくなり続ける望ちゃん最高です
名無しです
2019-12-13 15:02:41 +0000 UTC