SamSuka
デアカルテ
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悪魔のアプリLv.06「握力:70kg」

「明子、おはよ」

「おはよう、仁美・・・ぃっ!?」

明子は、私の姿を見るなり、素っ頓狂な声を上げた。

朝のホームルーム前で、教室内はワイワイガヤガヤの真っ最中。明子の声は、喧騒にかき消された。


「その、何て言うか・・・。昨日より凄くない?」

「やっぱ、そう・・・だよね」

私は未だに、『これが夢なら・・・』そう思っていた。


ウチの学校の女子制服は、オーソドックスなセーラー服を採用している。

季節柄、長袖と半袖どちらでも大丈夫なんだけど、今日に関しては長袖一択だった。


学生服って基本、成長を見越して大き目に購入するもの。今まで、丈は普通に余っていた。

しかし、薄手の生地とはいえ、今着ている私の制服はボディスーツの様相を呈していた。


胸元や腕周りなんてもう、ピッチピチ。寝間着の二の舞になりそうなぐらい、パツパツに生地が張ってる。

二の腕の膨らみで布地が引っ張られて、袖口から手首が完全に見えてる。


「筋トレでも、始めたの?」

「いや、別に・・・」

明子は明らかに、私のお腹を見て、そう言った。薄っすらとじゃない、“しっかり”と割れたシックスパック。

上着自体も、胸が布の大半を持って行っちゃって、裾が上がって腹筋が一ブロック分ぐらい丸見え。


「脚の“それ”も、筋肉だよね」

「あー、うん」

スカートからチラチラッと覗くのは、膝の上あたりで谷間を作る文字通りの太い腿。


「自然な着こなしで“ギャルファッション”・・・なんちて」

ギャル系の先輩とかだと、スカート丈を詰めて裾上げした状態でミニスカっぽく穿く人は居る。ヘソ出しのミニスカ。

今の私も、スカートは膝上でヒラヒラ。自然と穿いただけで、ちょっと前までは膝下まであったスカートが“こう”なった。


「・・・・・」

「ちょっと、ボケたんだから笑ってよぉ」


「でもさ。ここんとこ数日で“これ”って、おかしくない?」

「う、ん。だよね」

明らか、というか。あからさま、な変化。思春期、成長期と言っても、余りにも急激な“成長”。


「朝来た時とか、他のみんなの反応はどんなだったの?」

「うーん、“ちょっと驚かれた”ぐらいかなぁ」

普段、良く話す明子は私の変化に気付いたけど、他のクラスメイトからすると、そんなでも無かった・・・のかな?

力瘤も腹筋も、思いっ切り“脱力”してると目立たない・・・ような気もする。


「今日、体育だっけ」

「うん」

ウチの学校って、2クラス合同で球技をやるカリキュラムがある。

今日の体育授業は午後。男子がグラウンドでサッカーで、女子は体育館でバレーボール。


「流石に、着替えの時は目立つんじゃない?」

「でも、今日は“道具出し当番”だから」

球技の際、授業で使う道具を事前に用意する必要がある。バレーボールだと、“ボール籠”を出したり。

それを、クラス内の持ち回りで当番を回しているのだ。


「そっか。じゃあ、私も手伝う」

「うん、ありがと」

午後一番の五時限目が設定されているのも、準備時間を見越している。当番者は昼休みの内から着替えて動き出さないといけない。


――で、昼休み。


早々にお昼ご飯を終え、私と明子は体育館の更衣室に移動した。


「ちょっ・・・凄くない?」

私の自慢の声・・・ではなく、明子の驚きの声。


「すっご。ムッキムキなんだけど」

「えー、そっかな・・・」

着替え途中の私の身体を覆うのは、ブラジャーとショーツだけ。そんな私・・・いや、正確には私の肉体を、明子はマジマジと見ていた。


「おっぱい大っきいのに、腹筋バキバキ。って、うわ! 背中も凄い」

「え、うそ・・・」

そういや、背中はチェックしてなかった。腹筋が凄いなら、背筋も凄い・・・のかな。


「ねぇねぇ。何か、ポーズ取ってみてよ」

「えー、ポーズぅ?」

ポーズ・・・って言われても。ボディビル?のボの字も知らない私には、難しい要求。


「“こう”とか、“こう”いうの? 後、“こんなの”とか」

そんな私を見兼ねてか、明子はふん、ふんふんっと幾つかポーズを取って見せた。


「じゃ、あ・・・」

私は見様見真似で、明子がやった“ポーズ”を再現して行く。


「・・・んっ」

先ずは、“1つ目”。


『ダブル・バイセップス(両・上腕二頭筋)』


まあ、ポーズと筋肉の呼び方は後からネットで調べたんだけど。肩の高さで曲げた両腕に、モゴォッとリンゴ大の上腕二頭筋が盛り上がる。


「うわぁ、凄っ!」

カシャッ、カシャッ!


「ちょっ、何撮ってるの!?」

明子は、女子高生らしからぬ力瘤姿の私をスマホのカメラで撮り始めた。


「良ーから、良ーから。さ、続けて」

「もうっ! ・・・えぃ。“これ”、何かエッチな感じしない?」

次に、“二つ目”。


『アブドミナル・アンド・サイ(腹筋と脚)』


頭の後ろで両手を組み、お腹を見せつつ。足をクロスさせて、両腿に力を篭める。

モリリィッと、大腿四頭筋が大きな筋肉の山を四つ、作り上げた。


カシャッ、カシャシャッ!


「ちょ、連写ッ・・・! もう、“これ”で最後だからね」

最後に、“三つ目”。


『モスト・マスキュラー(最も・逞しい)』


前屈みになった私の上半身には、僧帽筋・三角筋・上腕二頭筋の筋肉山脈が盛り上がった。


「運動部の男子とかと比べても充分、タメ張れるんじゃない」

「流石にそんなことは・・・」


「ほいっ」

ピロン、と私のスマホから通知音が鳴った。


「うわ、凄っ・・・」

私は、自分が撮られた写真を見て、つい変な声が漏れてしまった。


「でも。どうせ、見せ掛けの筋肉だよ」

「そう? じゃ、“これ”試してみたら」

明子はいつの間に着替えたのか、既に体操服姿だった。体育倉庫から持って来たのか、手には『握力計』が握られていた。


「んぅ! ・・・ほぃ」

明子は手本を示すかのように、グリップを握って見せた。


「・・・20kg。体力測定の時と変わってないや」

私と明子は、背格好も体力も同じぐらい。実際、体力測定の数値はほとんど一緒。


「私だって、同じぐら・・・」

どうせ結果は見えてるから、と私は『握力計』を受け取った。グリップを目一杯、握る。


グググググッ!


「・・・ぃぃっ!?」

「う、っそ・・・」

『握力計』のアナログ目盛りは、“68kg”を指していた。


「多分、何かの間違い・・・」

持ち手を変え、今度は左手でグリップを握った。


ググググ。


「・・・65kg」

「ちょっと、落ちた・・・ね」

誤差、というか。左右の筋力差、というか。それは逆に、数値が正常であることの証左だった。

因みに、高校生女子の平均握力は、26~27kg。男子でも、39~43kg。


「じゅ、柔道部とか野球部に、70kgとか80kgある先輩が居た・・・はず」

勿論、男子の話だけど。ましてや、プロのスポーツ選手なら100kg近い人なんてザラだろう。


「でも、ウチら・・・ってか、仁美って帰宅部だよね」

「う・・・・・」

『握力計』は、何度握っても65~70kgの間の数値を出し続けた。

Comments

感想、ありがとうございます。 最終的にはいつもの私の他作品と同じところまで行ってしまいそうですが、じっくり書いて行きたいです。

デアカルテ

感想、ありがとうございます。 まだ序盤?なので、匙加減は緩めにしています。

デアカルテ

割と現実的な線のパワーアップも今後の成長の過程って感じでいいですね

名無しです

お疲れ様です。 同級生の反応が楽しいです。 今回の成長の割と現実的な限界ギリギリ感も好きです。 今後も成長が楽しみです。

okita


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