SamSuka
デアカルテ
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悪魔のアプリLv.14「握力:???kg」

「改めて思うけど、ホンッと凄い・・・わね」

「ちょっと、シミジミと言わないで」

明子は、私の身体を嘗め回すように見遣った。


私が身に着けているのは、ただのTシャツと短パン。ラフで余裕がある筈の、部屋着。

しかし、激しい運動をした訳でもないのに、あちこちがボロボロ。


袖は爆発でもしたかのように散り散りになってるし、短パンの両端にはスリットのような切れ目。

単純に、私の身体が部分部分で衣服に収まらなくなってしまったのだ。


「“それ”、『7XL』なんだっけ?」

「あー、うん」

明子が指摘したのは、Tシャツのサイズ。


メンズの『7XL』。身長220cmまでの男性を想定した、超特大サイズのTシャツ。

そんなTシャツに収まらない、私のカラダ・・・。


「二の腕が44cmってだけでも凄いのに、曲げると“これ”と同じになるんでしょ?」

「何処にあったの、それ」

明子は何処からか、“メロン”を持って来ていた。


「何か、冷蔵庫の隣に置いてあったよ」

あー、貰い物で放置されちゃってたのかな。気付かなかった。


「さっき測ったら、78cmだった」

明子は、持って来る次いでに巻尺で測ったっぽい。


「ほら、そのままだと明らかにメロンの方が大きいのに・・・」

明子は、私の上腕の傍にメロンを掲げた。

確かに、大玉のメロンと並べると私の上腕も心なしか細く見える。


因みに、明子の上腕は試しに測ったら22cmだった。

女子高生の二倍な上腕でも、メロンと比べると細いってことで。


「・・・・・」

チラッ。


「もぅ」

明子の、期待の眼差し。


「・・・んっ」

明子の催促を受け、渋々ながら私は右腕に力を入れつつ折り曲げた。


モゴォッ!


“既に可動域が確保されている”袖一杯に私の上腕は膨れ上がった。

“膨れ上がる”なんて表現自体、人体に似つかわしくない。しかし、それ以外に表現のしようがなかった。

敢えて別に例えるなら、流体金属製の風船。


「やっぱり、メロンより大っきい」

メロンのサイズが78cmとわかった時点で、既に計測済みの私の上腕の方が太いのは当然ではあるんだけど。

80cmオーバーの私の力瘤は、大玉メロンより明らかに一回りは大きかった。


「明子の胸回りとか大玉メロンとか、比較対象がおかしい気がする・・・」

「だ、大丈夫よ。ほら、“こういう人”とかと比べれば、まだ仁美の方が小さいし・・・」

そう言って、明子のスマホには大型の元横綱の画像が表示されていた。


身長200cmオーバー、体重200kg超え。

203cm、159kgな私より確かに、大きい。


「いや、確かにそうだけど・・・」

でもね、明子。元とはいえ、横綱と比較してる時点でやっぱり異常な気がする。


「そういや、“おかしい”で言えば、むしろ身体そのものは大丈夫なの?」

「・・・? “そのもの”、って?」

明子が言うには。


前より身長が14cmが伸びて、体重は一気に40kg以上も増えた。

体重40kgって、下手したら子供一人分。それだけ大きな変化が、一晩で身体に起こったのだ。

そんな急激な成長が身体に何らかの悪影響を起こしていないかどうか、ということ。


「うーん、何とも・・・」

私は、手をグーパーグーパーしてみたり、腰を捻ったり、屈伸運動してみたりした。


「無い・・・こともないか」

「どっか、おかしいの?」

これも、“違和感”なのかな。悪い意味ではないんだけど。


「身体が凄く、軽いんだよね・・・」

私はその場で、ピョンピョンッと飛び跳ねてみた。


私の身体の着地に呼応するようにドン、ドンッと床が揺れる。

そう、それだけ体重があるにも関わらず、試合前のボクサーのように軽やかに動ける(気がする)のだ。


「それに・・・」

私は、自室から『ハンドグリップ』を持って来た。


「それ、って」

「うん」

“あの”ハンドグリップ。

私はそれを、明子の目の前でギュウッと握り“閉めた”。文字通り、“閉じた”


「・・・? それ、どうなってんの・・・」

普通、ハンドグリップを握りながら閉じても、当然グリップ部分がガチッと閉まって終わり。

だけど今、私が握った部分には“グリップの影も形も無かった”。


「こんな、感じ」

「うげぇっ!?」

明子は、素っ頓狂な声を上げた。


開いた私の手の平には、“一本の鉄の棒”が在るだけだったのだ。

棒の端に、スプリングらしき鉄の塊があることから、“元”がハンドグリップだったことは何とか伺える。


「“こう”すれば、わかり易いかな」

私はグイ、グイッと指で一本の鉄の棒を、元の二本の鉄のグリップに選り分けて行った。


「そのグリップ・・・」

「あー、大丈夫よ。ほら」

私は、グリップに彫られている『No.』を明子に見せた。


「あれ? 『No.4』?」

「うん。実は、通販で買ったの」

こうなることを見越して、って訳じゃないけど、新しいのを買って置いたのだ。

明子の親戚から借りたのは、いつか壊しそうな気がしたし。


「だから、明子から借りたのは無事だよ」

そう言って、無事な『No.3』のハンドグリップを明子に見せた。


「でも、『No.4』って確か・・・」

前に一緒に調べたハンドグリップのラインナップ。その中でも最強の『No.4』。

閉じるのに必要な握力は、165kg以上。全世界で、達成者はたったの五人。


「あれ? やっぱ、ダメかー」

私は何とか元の状態・・・っぽい感じにハンドグリップを戻してみた。

だけど、バネが馬鹿になってしまったのか、反発力が全く無くなってしまっていた。


「165kgの握力が要るグリップを一瞬で・・・」

「あー、ははっ・・・」

ちょっと、ビビらせちゃったかな?


「す、っごーーーーいっ!」

「え?」

と思いきや。


「ねぇ、仁美。それって、世界一ってことじゃないの?」

「うん、まあ、そうなる・・・のかな」

もし、認定人が居れば、ギネスに載った・・・かも?


「“こんなこと”も出来るよ」

私はそう言って、おもむろに五百円玉を手に取った。


グニ。


「っ!?」

親指と人差し指に挟まれた五百円玉は、あっという間に二つ折りになった。


「まだまだ♪」

ググニ。


「っ!!?」

私は、二つ折りになった五百円玉を、“更に二つ”に折った。締めて、四つ折りの完成。

そして、四つ折りにした五百円玉を、丁寧に“元に戻して”明子に手渡した。


「う、っそ・・・」

明子は手渡された、歪に波打った表面の五百円玉を何度も裏返して、マジマジと見詰めていた。


「いつからやれるようになったの?」

伝説の“コイン曲げ”。それこそ昭和世代の某達人でしかやれないような、剛腕による荒業。


「うーん、今・・・かな?」

「え、今?」

今まで、“コイン曲げ”なんてやったことも、試したこともなかった。

バスケットゴールを持ち上げた時でさえ、そんなことは考えもしなかった。


「何だろ、今なら“何でもやれそう”な気がする」

そのぐらい、全身にこれでもかと力が漲っている感覚がある。


もし、“こんな風”に成る前。一番最初の状態を『自転車(ママチャリ)』とするなら。

自転車しか乗ったことなかったのに、いきなりスポーツカーに乗って軽くアクセル踏んだらどうなるか。

例えるなら、今の私は大型トラック並みの重量(ウェイト)と、スポーツカー並みの排気量(パワー)がある、感じ。


普通の人なら鍛えた結果として強くなるんだから、私のこの感覚は異質なんだろうけど。

スピードが出ちゃうこと自体は別段、悪くない。むしろ、ワクワクしちゃう。


「握力がそれなら、腕力はもっと凄そう」

明子は、握力を発揮する瓢箪のように肥大化してる前腕を見て、更にその先に上腕を見た。


「う、・・・ん」

「ん? どしたの?」

明子が怪訝な表情を私を見る。


「家に在る物で重そうなのって、冷蔵庫とかぐらいなのよね」

そう言って、私は配線に気を付けながら冷蔵庫を“片手”で持ち上げた。


「後は、本棚なんだけど・・・」

続けて、本がこれでもかとギッシリ詰まった本棚を、これまた片手で持ち上げた。


「す、っご・・・」

「多分、“このぐらい”ならちょっと前の状態でも持ち上げられたと思う」

体感、100kg以上200kg未満な感じ。


例えばだけど、もし200kgぐらいのボウリング球があれば、お手玉ぐらい軽やかにやれそう。

まあ、詳しい数値はまた、“あそこ”に行けば測定して貰えるだろう。


「そこまで来ると、力加減とかで日常生活困りそうじゃない?」

「うーん。さっき、箸とかペンは軽く持てば大丈夫だったよ」

ただ、ペンに関しては握り折った経験が既にある。

注意してる時は良いけど、ふと気を抜いた時に折らずに居られるかどうか・・・。


「ってか、日常生活で思い出したけど、“制服”って着られるの?」

「・・・あ」

別に今は夏休みでも冬休みでも何でも無い。ただの、土日。週末。

週が明けたら普通に学校に行かなきゃいけないのだ。


全身の筋力による高揚感ですっかり忘れてた、けど。

203cm159kgの超絶マッスルボディは果たして、『6XL』の制服に通るのだろうか・・・。

Comments

感想、ありがとうございます。 何処かで区切りは付けようと思っているのですが、行ける所までは持って行きたいと思っています。

デアカルテ

加速していく成長、大好きです。 更なる成長楽しみです。

okita

感想、ありがとうございます。 折角なので、今作に関しては少しだけタガを外してみようと思っています。

デアカルテ

元横綱が200kg…フラグかな? 過去作でも200kgオーバーとなると少ないので期待ですね!

名無しです


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