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デアカルテ
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X型女子03「T型JK2:闖入者撃退」

「ちょっと、部外者の方はご遠慮下さい」

「うるせぇ! 俺は天下の○×新聞の記者様だぞ」

木造の旧校舎に男の怒号が響き渡る。


「教室はここか」

新聞記者を名乗った男が、木造の扉は横にガラッと開いた。


「っ!? うぉ・・・みんな、デケぇ」

「ちょっと、何この男。いきなり失礼なんだけど」

美樹が、教室への闖入者を見て言った。


「確か、凄くデカい・・・あ、居たっ!」

「え、浩子。知り合い?」

広い教室に、数える程しか置かれていない机と椅子。

しかし、そこに腰掛けるのは全員、2mオーバーの巨女たち。


「うぅん、知らない」

その中でも一際大きな、浩子が答えた。


「コイツだ、この女だ。コイツが・・・」

「浩子、何かやったの?」

浩子はプルプルと首を振った。


「お前、さっき俺の車を・・・あんなっ」

「・・・あ」

浩子は、思い出したと言わんばかりの顔をした。


「通学路に車が停めてあって邪魔だったから・・・つい」

「つい?」


「塀に立て掛けちゃった」

浩子は“てへ”と舌を出してはにかんだ。


「・・・へ」

「立て掛けた?」

教室の中に居た男性教師や、新聞記者を追い掛けて来た事務員さんが揃って、驚いた表情。


「だって、思い切り歩道に乗り上げて停めてたから・・・」

事実、新聞記者は通学路のしかも、車道に面する歩道を塞ぐ形で車を停めていた。

歩道が塞がれている為、学生は車道を歩かなくてはならなかったのだ。


「ちょこっとだけでもズラそうと持ち上げたら、持ち上がっちゃったんでそのまま・・・」

「この女、どんだけ怪力なんだ! 俺の車を完全に裏向きに塀に立て掛けやがって」

つまり、学校の塀の傍の歩道に違法駐車していた車を、クルッと引っ繰り返す形で浩子は持ち上げてしまったのだ。


「そんな、怪力だなんて酷い。全部、持ち上げた訳でもないですし・・・」

「車の中に積んでた俺の取材用の器材がグチャグチャになったじゃねぇか」


「何だ、アンタが悪いんじゃん」

美樹が新聞記者の男に的確なツッコミを入れた。


「う、うるさいっ! それに何だ、上から見下ろしやがって・・・」

新聞記者は、身長170cmぐらい。体型は中肉中背の中年男。

仕方なく教卓近くまで出て来た身長256cmの浩子と比べると、巨人と小人。


浩子は、胸元の高さでさえ、2mを優に超える。

170cm“程度”の男の頭は、浩子の胸元にさえ届かないのだ。


「じゃあ、これでどうですか」

浩子は、木造の誇り塗れの床に、膝を付いた。


「ちょっと、浩子! そこまでやんなくても」

「良いの、私が悪いんだし」

浩子は美樹を制し、新聞記者の男に膝立ちで相対した。


「な・・・っ」

「・・・あれ」

膝立ちの浩子と、普通に立つ新聞記者の男。

目線の位置、というか頭頂部の位置はこれでもまだ、浩子の方が高かった。20cmぐらい差がある。


「てめぇ、馬鹿にしてやがんのかっ!?」

「そ、そんなつもりは・・・」

浩子は穏便に済ませようと歩み寄った筈なのに、却って怒らせてしまい狼狽している。


「じゃあさ、浩子。“高い高い”してあげれば」

「・・・え、“高い高い”?」

“高い高い”とは。いわゆる、親が子供をあやすアレである。


「おい、そこのお前。何言って・・・うぉっ」

男が美樹に反論している隙に、浩子が男の両脇にそれぞれの手を添えた。


「うん、わかったー」

そのまま、大の男をいとも簡単にむんずと持ち上げる。


「お、おい。放せっ」

男は足をバタバタをバタつかせるが、浩子のホールドがガッチリと脇に嵌り、身動きが取れない。


「オジサンも、私と同じように“見下ろせる高さ”にしてあげますね」

「おい、やめ・・・」

浩子は“今日初めて”、両手に力を籠めた。その力をそのまま、上方向に開放する。


「うおぉぉぉっっ!!?」

スガアァッ!!!


「・・・あ」

「「ひぃっ!?」」

浩子の“やり過ぎちゃった”な声と、教師と事務員さんの恐怖の声。


「あはははっ! 浩子、やり過ぎーっ」

美樹は座席に座ったまま、爆笑していた。


新聞記者の男は、“天井に突き刺さっていた”。


木造の旧校舎だったことが不幸中の幸いだったのか、もしくは不運だったのか。

新聞記者の男は浩子の剛腕によってロケットのように射出され、3mの高さの天井まで飛ばされたのだ。


もし、校舎が鉄筋コンクリート製で、硬い天井だったなら男の頭蓋は柘榴のようにグシャッと潰れていただろう。

勿論、木製とはいえ天井を支えるぐらいの分厚い天板なので、男の頭部のダメージはそれなりなのだが。


男の身体はお腹あたりまで天井に突き抜けていて、手と下半身がプラーンと垂れ下がっていた。


「あああ、ご、ごめんなさいっ」

浩子は、天井に刺さった男に対して、頭を下げた。



実は、浩子が破壊したのはこの男や、天井だけではない。


転入初日、浩子はいきなり扉を壊した。

教室入り口の扉を開けたまでは良かったのだが、“そのままの体勢”で入ろうとしてしまったのだ。

高さ2mの扉に対し、浩子は身長256cm。そのまま入られる訳もなく・・・


バギャッ!


「あ」

扉の上枠を、浩子は顔面でぶち破ってしまった。


天井に突っ込んだ男は、頭部および上半身を数十ヵ所も縫う大怪我をしていた。

しかし、扉の枠をぶち抜いた浩子の顔面は軽い擦り傷程度でほぼ無傷だったのだ。

そもそもが、身体の作りが違うのだ。


次いでに言えば、浩子は座る度に椅子をその巨尻で持って圧し潰した。

231kgもの体重を支えるには、一般的な机や椅子では物足りないのだった。


「せんせー、いつになったらちゃんとした教室で授業受けられるんですかー」

「いや、はは。もう少し待って下さい・・・ははっ」

美樹の質問に、現代国語教師・国村(52歳)は苦笑いするしかなかった。


教室の扉や机、椅子は彼女たち【X型女子】の一挙手一投足で簡単に潰れてしまう。

今日に限ってはついに、天井まで。マスコミという新聞記者のおまけまで付いた。


尤も、巨王学園は政府の援助・指定を受けており、こういったトラブル、荒事は政府専任の者が担当する。

それに、そもそもが取材禁止なのだ。新聞記者の男の処遇は推して知るべしだった。


現国教師・国村は、教室の備品同様、自分も潰されるか。

それとも、彼女たちが“それ用に誂(あつら)えた”教室に移動するか。


どちらが先かは神のみぞ知る、と諦観した。

Comments

感想ありがとうございます。 今年も例年通り、ボチボチUPして行ければと思います。今年もよろしくお願いいたします。

デアカルテ

X型女子の日常生活楽しみにしてました。 一挙手一投足が気になります。 今年もよろしくお願いします。

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