SamSuka
デアカルテ
デアカルテ

fanbox


MGガール01「小4:遭遇」

それは、ある晴れた日の夜だった。


住んでる団地では、隣同士。小学校も同じクラスで、席も隣同士。

いわゆる幼馴染な女の子、紅世真理奈(ぐぜまりな)。


僕と真理奈ちゃんは、世間で話題の流星群を一目見ようと、裏山に向かった。

裏山はそれなりの高さなのだが、手入れされておらず、森に覆われている。


小学生だからこそ、小さい身体を駆使してやっと、辿り着ける頂上。

そこで、二人だけで流星群を楽しむ・・・筈だった。


「あれ、何だろう・・・」

「真理奈ちゃん、どれ・・・?」

幾つもの光の筋が夜空に走ったと思った、その瞬間。


ドォンッッ!!!


という轟音と共に、僕たちの身体は吹っ飛ばされ、ゴロゴロと転がった。


「何、で・・・」

流星群が堕ちる、なんて聞いたことがない。

隕石でも落ちたのかと思い、周りを見回すと・・・


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ」

そこには、“少女だったモノ”としか言えないような“塊”と、血溜まり。


『&%)&)’?)#|’(』

「・・・・・?」

何か、が聞こえる。

それは、その何かが発した“音”だと気付いた瞬間、周りは目を覆うような眩い光に包まれた。


―――。


「健ちゃん、健ちゃん」

「・・・う」

僕は気を失っていたのか、真理奈ちゃんに身体を揺すられていた。


「あれ・・・? 真理奈ちゃん、どうして・・・」

確か、さっき・・・。


「健ちゃん。折角の流星群なのに、寝ちゃダメじゃない」

「あ、れ・・・夢?」

僕は、夢を見ていたんだろうか。


「・・・ん? “それ”、何?」

真理奈ちゃんの左手首に、ブレスレットのような物が装着されていた。


「・・・あれ? 私、こんなの着けてたっけ・・・健ちゃん、知ってる?」

「いや、知らない」

幾ら幼馴染でも、アクセサリーをいつ着けたかまでは知らない。

でも、確かに団地を出る時には着けていなかったような・・・。


『%&$#・・・ガー、ピーッ』

「「・・・!?」」

ブレスレットの真ん中には“赤い石のようなモノ”が付いていて、そこから音がする。


『ア、あー。調整・・・完了』

「え、日本語・・・?」

僕たちはスマホを持たずに家を出た。なので、通信手段は持ち合わせていない。


『君たち、驚かずに聞いて欲しい』

「「・・・っ!?」」

スマホの音声ガイドのような、機械的な声色。

にも関わらず、かなり流暢な日本語に凄く違和感。


『君たちの内、女性体の方には悪いことをした。完全にこちらの不注意だった』

「何を言って・・・」


『しかし、安心して欲しい。“元通りに動ける”よう、治しておいた』

「え、なおして・・・? “治して”ってこと?」

真理奈ちゃんがいつの間にか身に着けていたブレスレットから声が聞こえる、とか。

それがいきなり、語り掛けて来た、とか。


情報過多で、小学生の頭では理解が追い付かない。


「真理奈ちゃん。身体、大丈夫?」

「・・・身体? うん、平気だよ」

僕に聞かれて、真理奈ちゃんは伸びをしたり、屈伸したり。


『無論、問題ない筈だ。また同じ事態にならない様、正しく処置してある』

「オジサン?で良いのかな。誰なの」

どうも、お化けや妖怪の類ではないらしい。


『“規約”で答えることは出来ない。まもなく、通信も出来なくなる』

「何それ」

“受け答えがある”ということは、通話の先に“相手が居る”ということ。

しかし、取り付く島もない様は、異質な感じさえする。


『その腕輪には自動回答装置が備わっている。当面、持っておくことを勧める』

「えっと、それは・・・」

つまり、スマホの音声ガイドみたいに聞けば答えてくれる、ということなんだろうか。


「明日は晴れますか?」

「真理奈ちゃん、何聞いてるの」

オカルト的なモノではないとはいえ、超常的な現象に遭っているのは間違いない。

そんな最中、真理奈ちゃんは明日の天気を質問した。


『雨です』

「・・・え、雨?」

確か、明日の天気予報は『晴れ』だった筈。


「それ、大丈夫なの? 捨てた方が良いんじゃ・・・」

「ううん。何か気に入っちゃったから、着けてる」

拾い物?とは違うんだろうけど、得体の知れない物ではある。

しかし、真理奈ちゃん自身は気に入ってしまったらしい。


「真理奈ちゃんを、どう“治した”の?」

僕は、ダメ元で何が起きたのかを聞いてみた。


『肉体の欠損、及び、遺伝子情報の欠落を修復しました。同じ事態はもう起こりません

「健ちゃん、何て言ってるの?」

勿論、真理奈ちゃんは聞こえなかった訳じゃない。

ブレスレットの回答の意味がわからないのだ。それは勿論、僕もそう。


「やっぱり、それ壊れてるよ」

僕も真理奈ちゃんも学力は学年通り、小学四年生レベル。

意味を理解しろ、というのが無理な話だ。


いや、もし大人になって、この言葉を思い出したとしても、同じ疑問を持ったかも知れない。

それぐらい、荒唐無稽な回答だった。


僕らはお互い、流星群を見に行って綺麗なブレスレットを拾った、ぐらいの感想でその日は帰ったのだった。



因みに、次の日。


天気予報が軒並み外れるぐらいの、まさかの大雨だった。


More Creators