SamSuka
デアカルテ
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筋肉の楽園01「M倶楽部」

「先輩、ホントに“そんな店”があるんですか?」

「おぅ、そうだぜ。黙って来いっ」

俺は渋々、会社の先輩に連れられ、繁華街の路地裏を歩いている。


会社の先輩との飲みの席でつい、俺は“性癖”を吐露してしまった。

もし会社で広められたら、次の日から出社拒否になるぐらいの“特殊性癖”。


仲が良い先輩なのでそんあ心配はないとは思うが・・・まあ、酒の席だし。


「あー、着いた。ここだ、ここ」

「ここ、が・・・」

路地を何本曲がったか、もう記憶にない。


とても、お店の入り口とは思えない、地下への階段。

その階段の傍の壁に、黒塗りのプレートで屋号が彫ってある。


『M倶楽部』?」

『M』と言えば、“一般的”に想像するのは『SM』だけど・・・。


「良いから、行くぞ」

「ああ、はい」

事あるごとに躊躇する俺を引っ張る形で、先輩は迷わず階段を下りて行った。


「嶋田様。ようこそ、お越し下さいました」

地下に似つかわしくない豪奢な扉を開けると、スーツ姿の女性がお出迎え。


「今日は“連れ”が居るんだが、構わないかい?」

「ええ。当店を気に入って頂けるのでしたら、【登録】させて頂きます」

そう言って、受付らしき女性は俺に一瞥だけすると、店内に通してくれた。


「受付の人は何で、先輩の名前を・・・。それに“登録”って・・・」

「ここは完全予約制、一見さんお断り。いわゆる、『秘密クラブ』って奴さ」

予約制ってことは、飲みの前から今日来るつもりだった、ってことになる。

てっきり、ぼったくりバーにでも連れて来られたかと思ったが、杞憂だったようだ。


内装は、一般的な高級クラブ然としていて、高そうなソファにテーブル。

店内を見渡すと、男性客がメインだった。というか、女性客は居ない。

少なくとも、今居る女性は皆、『キャスト』のようだ。『嬢』とも言う。


「どう、だ?」

「・・・っ!」

俺はつい、生唾を飲み込んだ。


『キャスト』の服装は、意外と様々だった。ユニフォームのようなものは無いらしい。

豪奢なドレスや、メイド風のドレス。OLスーツちっくな、ドレス。


こう書くと『コスプレ喫茶』を連想するが、ああいう類の安物さは全く感じない。

客が払う対価に見合った、何処かフォーマルささえ漂う、そんな衣装たちだった。


「・・・! ・・・っ」

「おいおい、目が血走ってるぞ」

右を見ても、左を見ても。“自分好みの女性”で、溢れ返っている。

バラバラな衣装の『キャスト』に統一感があるのは、“それ”が理由。


「本日は、【S:セイラ】が担当させて頂きます」

メイド風ドレスに身を包んだ、黒髪の女性が目の前でお辞儀をした。


「・・・っ」

モリッ。


「ふふ、本当にお好きなんですね♪」

俺の視線に気付いたのか、【S:セイラ】さんは肩の高さで“右腕を折り曲げた”。


「凄い、です」

するとモココッ、とテニスボール大の力瘤が盛り上がった。


そう。


店内の『キャスト』は全員、“筋肉モリモリ”なのだった。


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