MGガール25「高1:⑭披露」
Added 2024-09-14 15:00:00 +0000 UTC「こんな広いグラウンドが・・・」
建物から外に出ると、だだっ広いグラウンドが広がっていた。
学校のグラウンドの凄く広いバージョン、というか。
「下は、土なんですね」
いわゆる陸上トラックのレーンが、白線で引かれている。
「そうよ。コンクリやアスファルトだと割れちゃうから」
星さんの脚力だと、全力を出せばアスファルトを削ってしまうという事だろうか。
流石に、真理奈はそこまでのレベルにはなっていない・・・と思う。
「じゃあ、ここで・・・」
「そうよ。“今の私”を見て貰おうと思うの」
『プラチナジム』では見せていなかった、星さんの本気。
真理奈から見れば、色々な意味での先輩になるのだろう。
「先ずは肩慣らしならぬ、“脚慣らし”からかな」
一周『400m』で設定された楕円形トラックのスタートラインに、星さんが立つ。
「じゃ、行くわよ」
実感が持てるだろうということで、僕はストップウォッチを渡された。
「よーい、どんっ」
まるで、運動会の駆けっこのような合図に、僕はスタートボタンを押す。
タッタッ、タッ・・・ビュンッ
軽快なフォームで、星さんは駆けて行く。あっという間に、半周地点を通過。
「えっ、速っ・・・」
この時点で何と、『007.***』表記。
中間タイムとは言え、『200m』地点の記録が『6秒台』。
「どう、かしら」
「記録は、『12.681』・・・です」
『400m』を走り切ったタイムが、まさかの『12秒台』。
因みに、世界記録は次の通り。
【世界記録】
男子 女子
400m走 43秒03 47秒60
100m走 9秒58 10秒49
確か、人間の体力だと『400m走』は最後まで全力が保てないらしい。
実際に『400m走』の100m毎の区間タイムは、『100m走』より落ちる。
「息は、切れないんですか?」
星さんの息は、全く上がってなくて。疲れた様子もない。
『400m走』を全力疾走しても、未だ余力が残る無尽蔵の体力。
「ちゃんと、全力は出したわよ」
僕の意図を読み取ったのか、星さんは答えた。
「時速換算だと、『110km/h』ぐらいかな」
高速道路で、自動車相手に追い越し車線を走る事が出来るレベル。
“慣らし運転”の時点で、既に人間のレベルではない。
「二人とも、そこで見ててね」
そう言うと今度は、星さんだけ建物の壁の傍まで移動して。
蹲(しゃが)むと、一気に上方向に跳び上がった。
「うわ。たっか・・・」
『垂直跳び』をしただけの筈なのに、星さんは三階の高さに居て。
三階の窓に向かって、ヒラヒラと手を振っている。
『バイセップスポーズ』のサービスまでしてから、自由落下で着地。
マンション換算で、実に『9m』近い高さをジャンプしたことになる。
「あんな、跳べるんだ・・・」
真理奈は、物欲しそうに星さんを見詰めていた。
非公式とは言え、真理奈も『4m』級のジャンプは出来る。
しかし、星さんはその倍以上を軽々と跳んでしまった。
「次は・・・準備するから、ちょっと待っててね」
そう言って、倉庫に向かった。
「な、何・・・あれ。モノリス?」
星さんは、馬鹿デカい鉄板のような物を担いでいた。
片手で一枚ずつ両手で二枚を、軽々と扱っているけど・・・。
「ん、っしょと」
グラウンドの端っこに、ズゴォンッ!と一枚ずつ丁寧に置いて行く。
持って来た二枚を重ねて置くと、また倉庫に戻り。
再び、同じ様に鉄板を二枚抱えて出て来た。
「それ、どのぐらいなんですか・・・?」
人間が運べるようには到底思えない、巨大な鉄板が十枚重なって並ぶ。
「ん-、とね。一枚あたり、『600kg』ぐらいかな」
細かい端数は忘れちゃった、と星さんは苦笑した。
【寸法】
横(横幅):2m
縦(高さ):2m
奥(厚さ):30cm
重さ:600kg程度
前面が正方形で厚みがある、特殊な鋼板らしかった。
衝撃実験とかに使うらしいけど、初めて見るので良くわからない。
「多分、あれ。私は片手じゃ持てない」
真理奈は、そう呟いた。
それは裏を返せば、両手だと持てる、ってことになるんだけど。
真理奈が片手では持てない、軽自動車並みの超重量を軽々と・・・。
「次は、“これ”ね」
驚くのはそこじゃないよ、と言わんばかりに手に持つボールを見せてくれる。
それは、プロ野球で良く見る硬球だった。
「これ以上、距離を取れないのが難点なのよねぇ」
星さんは、シミジミと愚痴を言った。
グラウンドの端に、隙間なくギチッと置かれた鋼板十枚。
厚さ30cmの十倍なので、実に3mもの厚みとなる。
星さんは、逆サイドの端っこに硬球を手に持って立っている。
陸上トラックの位置から見るに、『200m』ぐらいだろうか。
「まさ、か」
そう思った、瞬間。
「じゃ、行くよー」
離れた位置で見物する僕らに向かって、星さんがスタートの合図。
「てぃっ」
如何にも球技が不得手な女子、を思わせる駆け声と投球フォーム。
シュンッ・・・バァンッッ!!!
しかし、投球フォームとは裏腹に超高速の弾丸ライナーが飛び。
「うわっ!?」
およそ『2秒』ぐらいで鋼板に着弾し、“爆発”した。
「てっきり、貫通するかと思っちゃった」
真理奈は、星さんの超怪力に全幅の信頼を寄せているようだった。
デッドボールとかで、人体に当たれば骨ぐらいは折ってしまう硬球でも。
『6トン』もの鋼材が相手では、流石に敵わなかったと言った所だろうか。
「・・・ん。いや、待って」
冷静に考えて。
『200m』の距離を『2秒』で到達する速度は、時速換算で『360km/h』。
野球界における最高記録が確か、『169km/h』。二倍、どころじゃない。
因みに、野球選手の遠投での記録は『160m』が最高らしい。
星さんはそれ以上の距離を、水平な弾丸ボールで投げてしまえるのだ。
「紅世さん、聞こえたわよぉ~」
「あ、あれ。え、えへへ・・・」
かなり離れているのに、小声にも関わらず聞かれていた模様。
というか、耳が良過ぎる気がする。
「なんて、ね♪ “こっち”が本番かな」
新幹線並みの超剛速球が、然も肩慣らしと言わんばかりに。
今度は、硬球より倍以上は大きい鉄球を持ち出して来た。
「二人にも馴染みのある、普通の砲丸よ」
直径13cm、重さ7kg。外周、40cm。
片手で扱う物だけど、手には余る大きさ。
馴染み深いかは疑問だけど、体力測定の定番。
オリンピックの種目にもなっていて、世界記録は『23m56』。
「てやぁっ」
またしても、掛け声だけ聞けば気が抜けてしまいそうになるけど。
ヒュゴゥッ!!
「す、っご・・・」
大砲の砲弾と化した鉄球が、凄まじい速度で飛んで行く
硬球より速度は落ちるもの、弾丸ライナーなのは変わらず。
ズッガガガ、ギャギャギャ・・・ギャリギャリ、ゴガ。
鉄が鉄を破壊する轟音が辺りに響き渡り、止まった。
「どう、なったんだろ・・・」
「あれ。星さん、まだ何かやるのかな」
穴が開いた鋼板に向かって、星さんがスタスタと歩いて行く。
「何処まで行ったか“確認”しないと、ね」
星さんはこちらに向けてウィンクをすると、鋼板に取り付き。
「・・・んっ」
今日初めてかも知れない、“力み”を見せた。
空いた砲丸大の穴の縁に両手を引っ掛け、少しずつ“広げて”行く。
グギャッ、グガギャッ!
厚さ30cmを物ともしない、山のような力瘤が両腕に盛り上がる。
巨大な鋼鉄の板が、徐々に。徐々に、真っ二つに引き裂かれて行く。
「え、え・・・え?」
女性の・・・いや、人間の腕力が。
分厚い鋼鉄を新聞でも引き裂くかのように、分断しているのだ。
「星さん、凄い・・・」
真理奈はウットリと、恍惚とした目で星さんを見ている。
真理奈が惚れ惚れするぐらい、星さんの超怪力ショーは凄まじかった。
『600kg』だった鋼材が『300kg』ずつに分かれると、力の行き場がなくなり。
半分の状態でさえ巨大な鉄塊が、左右に吹っ飛んで行く。
それはまるで、海を割るモーゼのように見えた。
ただ、塩水ではなく鋼鉄の海なんだけど。
「あぁーん、七枚か~」
七枚目の鋼板を引き裂いた所で、星さんは八枚目に埋まった砲丸を見付けた。
星さんというスーパーウーマンによる『超怪力砲丸投げ』の結果は、七枚。
鋼板十枚の内、“無事に済んだ”のは二枚だけ。
「そうだ」
星さんは、何かを思い付いたようで。
「紅世さん。“片付け”、手伝ってくれないかしら」
「え、私ですか? 良いですけど・・・」
真理奈は呼ばれて、タッタッタッと駆けて行った。
「片付け、って。一体、何を・・・」
僕は遠目で、星さんから手順を説明される真理奈を見ていた。
すると、星さんと真理奈は二手に分かれて。
「うぇっ!?」
二人はそれぞれ、左右に放り出された鋼板を持ち上げ、“畳み”始めた。
グギャッ、グギ・・・グニャリ。
「えぃ・・・や。あ、これ楽しいかも」
『300kg』の鋼板なら、確かに真理奈でも充分に扱えるとは思う。
だけど、そうは言っても・・・。
「~~っ♪」
「~っ♪」
グギギャ、ガゴ・・・ガゴンッ、と鼻歌交じりに鋼材が折り畳まれて行く。
「ごめんなさいね。クールダウンに付き合わせちゃって」
「いえ! 凄く楽しいですっ」
姉と妹が居間で、家事作業で洗濯物を畳むかのように。
筋肉女子二人が、分厚い鋼板を折り曲げ。
手で圧し潰し、コンパクトに纏めて行く。
「そうだ。キャッチボール、してみない?」
星さんは突然、そんなことを言い出した。
「まさ、か・・・」
硬球は爆発四散し、砲丸は七枚目にまだ埋まっている。
「“これ”、で」
鋼板を畳む際に思い付いたのか。ギュ、ギュッと捏ねて行く。
勿論、捏ねているのは『300kg』の鉄塊。
「わぁ、凄いです」
星さんの手には、武骨な鉄球が載っていた。
人が乗るバランスボールぐらい大きな、巨大な鉄球。
「じゃ、行くわよ」
そーれ、とバレーボールのサーブみたいな軽やかな掛け声で。
巨大な鉄球を、十メートル近く離れて立った真理奈目掛けて放り投げる。
「ちょ、まっ・・・」
女子高生に鉄球が落下、なんて事故が起きたら。
下敷きになった女子高生は先ず、助からないだろう。
「はーい」
僕みたいな一般人の心配をよそに、真理奈は軽やかに片手キャッチ。
実は、ゴム製のバランスボールなんじゃないかと誤解しそうになる。
「ちょっと、真理奈っ。星さんも」
僕は慌てて、二人に駆け寄る。
「ん?」
「どうかしたかしら?」
真理奈も星さんも、キョトンとした顔。
「そんなの、危ないですって」
人以外の何か向かって、物を投げるとかならまだわかる。
だけど、今はお互いに向けて、『300kg』の鉄球を投げ合っているのだ。
『300kg』を持てるのと、それを生身で喰らって無事なのかどうか、は別。
「健ちゃん、心配してくれてありがと。だけど・・・」
真理奈は丁度、鉄球をキャッチしたところで。
左手で鉄球を持ったまま、空いた右手で近くに置いてある鉄塊を持ち上げた。
「見てて、ね。もう、“このぐらい”なら簡単に出来ちゃうの」
「・・・っ!?」
真理奈は、僕の目の前で“お手玉”を始めた。
一つは、球体の鉄球。もう一つは、立方体の鉄塊。
形状は異なるが、どちらも『300kg』もの超重量体。
真理奈が扱う様は軽やかだけど。
空を切る度にブォンッ、ブォンッと轟音が鳴る。
例えば、もしこれが地面に置かれていたとしても。
僕では全身を使っても1ミリも動かせない、巨大物体。
「よっ、ほっ」
それを、真理奈は器用に空中で弄(もてあそ)ぶ。
文字通り何度も、何度も“手玉”に取っている。
「は、はは・・・っ」
僕は、その場にへたり込んでしまう。
「健ちゃん、どしたの?」
「あらら・・・」
グラウンドにお尻を付けた状態で、足腰が上手く動かない。
僕は、立ち上がれなくなってしまった。
「貴女の怪力振りを見て、腰を抜かしちゃったのよ」
「えー。健ちゃん、それって・・・」
真理奈はプーッ、と可愛い顔を膨らませる。
「私を見て、ビビッたってことぉ?」
更に、両手を腰に当てて不満をアピール。
「ちょ、真理・・・」
真理奈の両手が腰にあるということは、巨大物体がフリーになってる訳で・・・。
ドゴォンッ! ドズゥンッ!
「うわぁっ!」
と、二つの巨大物体が大きく地面を揺らした。
まるで、地震でもあったかと誤解してしまう程の、地揺れ。
「そ・う・だ♪」
腰を抜かして立てない僕を見て、星さんはニヤリと妖しい笑み。
「私たちを見て腰を抜かすなんて・・・。お姉さん、悲しい」
真理奈の不満アピールに続き、星さんの悲嘆アピール。
真理奈は兎も角、星さんのは非常にワザとらしい・・・。
「どうやら。貴方には、凄さよりも・・・」
そう言って、星さんは肩の高さで右腕を折り曲げ。
「“素晴らしさ”をわかって貰わないといけないよう・・・ねっ!」
僕に目線を送りながら、両腕に渾身の力を籠める。
モゴ、モゴゴォッ! ・・・ギュ。
『ダブルバイセップス』で強調される、大玉スイカな上腕。
クールダウン中とは思えない程にパンプアップした、特大の力瘤。
「今って、何センチかしら?」
『『107cm』です』
星さんの【腕輪】が、そう回答した。
アラサーとか女子高生とか、男女や年齢など関係なく。
これ程の太さと力強さを兼ね備えた上腕二頭筋は、他に在るだろうか。
「腹筋も自慢なの、よっ」
頭の後ろで両腕を組み、下半身を前に出す『アドミナブル・アンド・サイ』。
・・・ギュギュ。
実は、後から聞いたんだけど、星さんが今着ているのは水着ではなく。
ワンピース水着と同じ形状ながら、防弾防刃の特殊素材製【活動服】。
通常の水着よりも、遥かに分厚い生地にも関わらず。
星さんの六つの腹筋はハッキリ、クッキリと隆起していて。
「お腹も凄いですけど、脚が・・・」
大蛇のような大腿四頭筋がドンッと盛り上がり、血管が浮き捲っている。
星さんって乙女の秘密とばかりに、頑なに教えて貰えくれないんだけど。
体重はきっと、百キロ台後半の真理奈より遥かに重い、と想像している。
下手をすれば『2**kg』な超筋肉ボディを、『9m』も跳ばせる太腿。
そのサイズは実に、パンプアップ時の最大で『120cm』にもなるという。
「あ、そうか」
さっきから、“何かが擦れ合う”音が聞こえていて。
ずっと気になっていたんだけど、やっと回答に辿り着いた。
力瘤もそうだけど、星さんは筋肉の各部位が大き過ぎて。
『ボディビルポーズ』を取る度に筋肉同士が擦れ合って、音が出ていたのだ。
「後は、背中ね」
僕らに背中を見せ、強調するように盛り上げる『ラットスプレッド・バック』。
真理奈の背中が富士山なら、星さんはエベレスト。
星さんの背中は逆三角形どころか、“逆三角錐”と言える程に凄かった。
「“それ”、破れないの凄いですね」
腹筋部分の生地は、まだ競泳水着ぐらいの厚みが感じられたけど。
異常とも言える広背筋の隆起は、同じ生地なのにレオタードのように薄く見える。
「そりゃあ、もう。何度も、改良を重ねた結果ですもの・・・」
星さんは遠い目をして、そう言った。
真理奈や星さんだけでなく、全てのトレーニーに共通する悩み。
シャツの袖や胸回りにズボンの腿回りが、筋肥大で入らないのだ。
「・・・それで。どう、かしら?」
「凄かった、です・・・」
一流のトレーニーによる、即席のボディビルショー。
こんな至近距離の特等席で見られる機会なんて、早々ないだろう。
「ん~、何だろう。何処か淡泊な感想ねぇ・・・」
「いや、そう言われましても・・・」
星さんは、まだ何処か不満気だった。
「ひょっとして、キミ。私の『Gカップ』では満足出来ないんじゃ・・・」
星さんは、トップバスト『160cm』の『Gカップ』。
真理奈は、トップバスト『130cm』の『Hカップ』。
真理奈が現時点で唯一勝っているのが、ブラのカップサイズだった。
「紅世さん。彼は、貴女のお胸が好きなんですって・・・」
「え、いや。何を言って・・・」
星さんは品を作って、ワザとらしく泣くポーズ。
「えー、ほんとぉ? やったー」
「ちょ、真理奈も何で服脱いでるの」
頃合いを見て着た筈の服を脱ぎ、再びの赤いビキニ水着に。
「サイズでは負けてるかもだけど、むんっ」
真理奈は、星さんに負けじと『ダブルバイセップス』。
更に続けて、『アドミナブル・アンド・サイ』。
「確かに、“スタイル”は真理奈の方が好きかもです」
「そっかぁ。まあ、男の子ならそうなっちゃうか」
僕は敢えて、ボディビル用語としての『スタイル』を使った。
純粋な、ボディビルコンテストの観点で言えば。
星さんは、バルク(筋量)もディフィニション(絞り)も、どちらも完璧。
だけど、真理奈はまだ弱冠の16歳。同い年の、女子高生。
そんな真理奈の方が、胸が大きくウェストはキュッと縊れている。
「背中も、見て見てー」
真理奈は僕に背中を見せ、『ラットスプレッド・バック』のポーズ。
こうして見ると、星さんと比べても筋量は負けていないように見える。
ミチ、ミチッ。
「・・・ん?」
何だろう。“何か”が、軋む音。
「んぅっ!」
真理奈がより一層、広背筋に力を籠める。
モリッ、モゴゴォッ!
・・・ピキッ、ピキキッ。
「え、ちょ・・・」
合金製で頑丈、って言ってた筈だけど・・・。
バキャッ・・・
「・・・あ」
あの時は、パンプアップさえしなければ大丈夫。
そのぐらいには“余裕がなかった”んじゃ・・・。
「真理・・・」
パッキィーンッ!と、ビキニトップを繋いでいた鎖が、弾けた。
「・・・あ」
「あらあら・・・」
ハラハラ、ハラリと真っ赤なビキニ水着が地面に落ちて行く。
不幸中の幸いなのは、真理奈が僕に見せていたのは背中だった事だろうか。
「キャーッ!」
高一女子らしい悲鳴を上げ、真理奈は蹲(うずくま)ってしまう。
「う、うぅぅ・・・ぅ」
「・・・ん?」
何だろう。真理奈が、唸(うな)っている・・・?
「うわぁぁぁんっ」
「・・・え」
泣い・・・た?
「健ちゃんに、裸見られたぁ~っ」
「え、いや・・・」
僕の沽券に関わるので、誤解の無いように書くが。
真理奈は今、ちゃんと水着の下は穿いている。
ビキニ水着のトップスが外れてしまった訳だけど、僕から見えるのは背中。
露わになった乳房は、一切見ていない。
「責任、取っでよ」
真理奈は、涙声で呟いた。
「健ちゃん。裸見だんだから、責任取っでよ」
「“責任”って・・・」
ひょっとして、“海での事”を言ってるんだろうか。
あれから、半日しか経っていないのに・・・。
「真理奈。“そういう話”は、後で二人っきりになった時に・・・」
「・・・だめ。今じゃないと、だめ。今が良い」
身体は大人以上だけど、未だに幼い部分のある真理奈。
【腕輪】を外させようとした時もそうだったけど、一度スイッチが入ると言う事を聞かない。
「んん、ぅんっ・・・ふぅ」
人生で初めての事なので、咳払いをして喉を整える。
「真理奈。・・・紅世、真理奈さん」
「なに」
いつの間に泣き止んだのか、いつもの声で真理奈が聞き返す。
「好きです。付き合っ・・・」
「うん! 私も好きっ」
僕が言い終わるのを待たず、真理奈の即答。
「・・・て、うぶっ!?」
真理奈は一瞬で立ち上がり、更に振り返るや否や。
僕にガバァッと抱き付いて来た。
「ちょ、真理奈っ。ぐ、ぐるじ・・・ぃっ」
裸を見た云々は、何処へやら。僕は今、真理奈の素肌に触れている。
『Hカップ』爆乳な生のおっぱいに、僕は埋もれていた。
「柔らか・・・く、ぐる・・・し」
ぱふんっ、という擬音の、今まで味わったのことないような天国感。
その一方で、ギチギチッと万力のように後頭部を締め付ける圧迫感。
「ギ、ギブ・・・ッ」
僕は、真理奈の背中をパン、パンッと“タップ”した。
「あ、ごめん・・・だいじょぶ?」
大丈夫だけど、大丈夫じゃない。そんな、感覚。
「お、おめでとう・・・ってことで良いのかな?」
直ぐ近くで傍観していた星さんが、空気を読みつつ発言。
「ってかさ。貴方たち、付き合ってなかったの?」
「え。あ、いや・・・」
高校生の男女が、二人きりで海水浴。幾ら、幼馴染でも。
普通に考えて、“何もない”関係なら二人きりでは行かない。
「まあ、“お姉さん”に高校生の恋愛観は良くわからないけど」
この期に及んで、星さんは“お姉さん”を強調している。
「晴れて、二人が“そういう関係”になったのなら・・・」
色々とやり易くなる、と星さんは不敵に笑うのだった。
Comments
感想ありがとうございます。 アンケートで、筋肉怪力美女同士の力比べを見たいってご意見があったので描写してみました。デート中のトラブル解決は書いてみたいシチュですね。
デアカルテ
2024-10-01 00:20:50 +0000 UTC怪力女性たちの見せつけ最高です! 真理奈ちゃん達も晴れて正式にお付き合いですかね? デート中のトラブルを真理奈ちゃんの怪力で解決とか妄想しちゃいますw
Nogi_(°Д°)
2024-09-29 02:09:34 +0000 UTC