「健ちゃん、いらっしゃい」
「うん、入るよー」
玄関開けたら、二秒で“カノジョ”の家。
恋人同士、彼氏彼女。
あれから、半年が経過したんだけど。
僕たちの関係は、実はそれまでと余り変わりが無かった。
『あんたたち、まだ付き合ってなかったの?』
とは、僕や真理奈の両親の談。
機を見てそれとなく伝えたら、星さんと同じ事を言われた。
“節度”さえ保っていれば、好きにして良いとまで言われる始末。
『“そういう行為”は、自分でお金を稼いでから、ね』
と、念は押されている。
これに関しても、星さんも全く同じ意見だった。
尤も、高校生の男女にお小遣い以上のお金は無く。
専ら、“家デート”がメインになってしまうのも止む無し。
「“私の脚”なら、何処でも連れてってあげるよ?」
「まあ、気が向いたらね」
短パンから伸びる自慢の太腿に、つい目が行ってしまう。
内腿(内側広筋)が股下に楕円を描き、外腿(外側広筋)が身体外側に楕円を描く。
前も逞しかったけど、今はラグビーボールの特大版みたいな凄さ。
この剛脚ならぬ健脚は、半径『50km』なら余裕で走り切ってしまう。
しかし、高校の通学始めの頃みたいに、担がれて移動は勘弁願いたい。
「何か、“スラッと”した?」
「う、うぅん。そ、そんなことないよ?」
何だろう。何処か、含みのある返事。
高校二年を控えた、春休み。
久し振りに会ったから、だろうか。真理奈の身体の印象が違って見える。
「ま、良いから。入って、入って」
ケーキもあるから、と僕を招き入れてくれた。
「相変わらず、行ってるの?」
「うん」
居間の食卓で、ケーキをつつきながら近況確認。
それは、『ジム』と『研究所』の両方の意味だ。
『ジム』では、筋力トレーニングを主にやって。
『研究所』では、筋力測定を主にやっているらしい。
「だとしたら、何か“縮んで”ない?」
「・・・え? いやぁ、そう?」
さっきに続いて、何処か歯切れが悪い。
グニャリ、グニャ・・・
「・・・っ!?」
「そう、かな。はは・・・」
真理奈は、ケーキ用のフォークを手で弄んでいる。
「ちょ、真理奈」
「・・・ん?」
どうやら、真理奈は気付いていない。
グニョ、グニョリ・・・
「・・・それ、何してるの?」
「それ、って? ・・・あっ」
真理奈の手の中で、金属製の塊が出来上がっていた。
言う迄もなく、元は金属製のスプーンだったモノだ。
「あ、あれ。おっかしぃな・・・」
ワザと、そうやったようには見えない。
この半年、真理奈の“物体破壊”の回数は減った。
星さんの指導の成果もあって、力加減は格段に上手くなった筈。
「真理奈。“何か”、やってる?」
「え、いや。その・・・」
言い吃(ども)る、真理奈。
「そうとも言うし、そうでないとも言うし」
間違いなく、何か隠してる。そう思った、矢先。
『報告します。間もなく、【圧縮】が解除されます』
突然、【腕輪】から機械音声が聞こえて来た。
「え、うそ」
【圧縮】って、まさか。
「な、何で?」
『身体的な【成長】が【圧縮】規定値を超えました。リセットされます』
【腕輪】の回答に思い当たる節でもあるのか、真理奈は急に立ち上がる。
ムク、ムクク・・・
最初、目の錯覚かと思った。
「ちょ、やだ」
という、真理奈の無駄な抵抗の声。
ムクッ、ムクムク・・・ミチッ
太く逞しい太腿が膨らみ、“特大”の短パンにスリットを刻み。
「うそ、待っ・・・」
呼吸、というよりは。真理奈の全身の、血流が行き交う度に。
ムククッ、モコッ・・・ピリッ
肩や二の腕が盛り上がり、これまた“特大”のTシャツの袖を強引に広げ。
「ちょ、胸・・・あんっ」
胸も大きくなっているのか、乳首と思われる突起がTシャツに浮き上がり。
モリ、モリモリッ
「だめ、止まんな・・・」
背も伸びているのか、お腹を隠していたシャツの裾が上がって行き。
露出した六分割の腹筋が、徐々に“六隆起”の超腹筋にビルドアップ。
「うあぁ、あぁんっ!」
真理奈は遂に我慢出来なくなり、筋肉の躍動に任せて力んでしまった。
モリモリモリリィッ、ビリッ! ビリビリッッ!!!
「あー、ん。やっちゃった・・・」
「それ、『7XL』?」
うん、と真理奈は小さく頷く。
「あぁ~あ。折角、後でお披露目しようと思ってたのにぃ」
真理奈は、自分の身体を確認するように手をグー、パーしている。
「・・・・・・っ」
「もう、健ちゃんのエッチぃ♪」
上半身を覆っていたTシャツは散り散りに弾け飛び。
ノーブラだったのか、乳房どころか上半身がほぼ一糸纏わぬ状態。
しかし、僕には、露わになった豊満な乳房も。
乙女の柔肌を凝視するエロ男子を揶揄する軽口も、入って来なかった。
「・・・す、っご」
元々は、脂肪が多めだった柔らかさのある筋肉だったのが。
星さんを思わせる程に絞られ、それでいて更に大きくなっていた。
「へへーん、どう?」
真理奈は手始めに、と右腕を折り曲げる。
もう慣れたと言わんばかりの、『バイセップス』ポーズ。
「で、っか・・・」
モゴォッと盛り上がる力瘤は、大玉スイカそのものだった。
「やっと、『90cm』行ったよ」
真理奈は誇らし気に、そう言った。
遂に、彼氏の胸囲より太くなった、“彼女”の力瘤。
「“これ”で、刺してみてみて」
無意識で丸めたフォークを、今度は丁寧に“コネコネ”して元に戻し。
所々、波打った金属製フォークを僕に手渡す。
「い、行くよ?」
「どんとこい」
僕は真理奈に言われるがまま、三又の鉾の如くフォークを振り下ろす。
ゴンッ。
「うわぁっ」
僕は、身体ごと弾き返されてしまった。
見た目は大玉スイカだけど、中身は巨岩とも言うべき二の腕。
「太腿も、好きにして良いよ?」
そう言って、真理奈はズイッと僕の方に左脚を差し出す。
「太っ・・・と。手が、回んない」
遂にメートル超えを果たした、『102cm』の超太腿。
僕の両手では覆い切れずに、両腕で抱き付いてやっと。
因みに、僕の全体重を掛けても、片脚すら全く動かせない。
「【活動服】を【展開】して」
真理奈がそう指示すると、バシュッと全身を競泳水着が覆った。
布地が装着される圧力で、胸元がプルンッと揺れる。
「“ここ”もぉ、サイズアップしたんだよ♪」
僕を挑発するような、真理奈の目線。
「布越しなら、触って・・・良いよ」
「・・・っ」
ここは、紅世家の居間。春休みの平日の、昼間。
少なくとも後、数時間は邪魔が入らない。
「・・・・・っ」
「真理・・・」
その刹那。ピンポーン、とインターホンが鳴った。
「そういや、宅配便が来るんだった」
「そ、そうだったんだ」
僕は直ぐに我に返り、真理奈から離れる。
「ざ~んねん。『Iカップ』爆乳を触るチャンスだったのに」
「・・・まさか」
ひょっとして、真理奈はわかっててやったんじゃ・・・。
筋力差を抜きにしても、何処か手玉に取られてるような気がする。
「もうっ。健ちゃん、怒んないでよぉ」
「お、怒ってないよ」
真理奈に悪気がないのは、頭ではわかっている。
だけど、思春期男子としては、エロ方面で疑似餌を使われるのはちょっと複雑。
「“ここ”、座って良いから」
真理奈は二人掛けのソファーに腰を下ろす。
その筋肉ボディの重さのせいか、ソファーがズブゥッと沈み込む。
「と言っても」
二人掛けなのに、真理奈はソファーのど真ん中に鎮座していた。
大きく逞しい真理奈が座ると、ソファーがまるで玉座の様に見える。
「スペースが・・・」
もし仮に、真理奈が端っこに座ったとしても。
僕一人分の空間は確保出来ないように思える。
「だからぁ、“ここ”」
身体を開いて、“来い来い”と手招きのジェスチャー。
「・・・?」
「もうっ」
伝わらなくて痺れを切らしたのか、真理奈はスッと立ち上がると。
「うぉっ!?」
長い腕を伸ばし、僕の背中に右手を添える。
僕の背中に当てた右手をクイッと返すだけで、僕の身体は宙に浮いてしまう。
僕はあっという間に“お盆持ち”され、真理奈の身体前面にストンッと置かれた。
大昔のドラマで・・・確か、“あすなろ抱き”って言うんだっけか。
「この“体勢”ってさ。普通、男女逆じゃない?」
「だって、逆だと健ちゃんが潰れちゃうじゃん」
前に聞いた時の体重で、『160kg』ぐらいだっけ?
「私って今、『217kg』あるからね」
「に、にひゃくっ!?」
二百キロ越えの体重って、もう相撲取りぐらいしか思い付かない。
海外出身の、超大型力士。それも、過去に数人居た程度。
「あー、お相撲さんを想像したでしょ」
僕の頭の直ぐ上で、真理奈がブーッと口を尖らす。
その所作で“力加減が緩んだ”のか、脇腹からミシッと軋む音がする。
僕の身体は今、両脇腹を真理奈の上腕二頭筋で完全に固定されていて。
金属製のフォークでビクともしないモノを、僕がどうにか出来る訳もなく。
「健ちゃんが良いなら、前後代わるよ。ってか、やっていーい?」
真理奈も本当は、僕に背中から抱き締めて欲しいらしい。
冗談半分、真面目半分な感じ。
「後頭部の感触を、もっと味わいたい・・・です」
「素直でよろしい♪」
さっきから僕は後頭部には、ふよんっという柔肉の感触が当たっている。
「そろそろ出来ると思ったの。“おっぱい枕”」
トップバスト『140cm』という驚異的な胸周りの、『Iカップ』枕。
「背、伸びたんだ」
「うん。『186cm』になったよ。星さんまで、後もうちょい」
星さんの身長は、『189cm』。体重は、未だに教えてくれない。
【圧縮】した状態で“少し縮んだ”見た目だった、ってことは。
裏を返せば、本来の身長が伸びたってことになる。
地味に、ヒップが『123cm』もある。僕のお尻(82cm)の約1.5倍。
真理奈が僕の上に載ったとしたら、僕の下半身なんてペシャンコ。
「でも、さ。何でこんなに身長が伸びたの?」
「さぁ」
去年、街のチンピラと事を構えた一件で、身体に色々と衝撃を受けて。
その結果、一度止まった筈の身長が『3cm』伸びた。
「・・・負荷」
そう。真理奈の身体は、まだ・・・。
『高負荷』が掛かると、未だに成長する余地を残している。
「まさか・・・」
「て、てへっ?」
真理奈は、ワザとらしくペロッと舌を出した。
何と、ずっと【圧縮】による『高負荷』を受けながら生活していたのだ。
学校生活や、僕と遊んでいる時は勿論。『ジム』のトレ中も。
筋力養成ギプスを装着して二十四時間、平然と活動していた。
「だって、服が直ぐに足りなくなるんだもん」
「あー、そうか」
身体を【圧縮】するのは、何も筋力鍛錬の意味だけではなく。
『7XL』の特大サイズですら入らなくなるような事態を避ける為でもあったのだ。
通販とかで僕たちが買える範囲だと、やっぱり『10XL』辺りが最大で。
身長が2m超えの超大型体型な人が着る用の、スーパービッグサイズなんだけど。
真理奈の腕は伸ばした状態でも、上腕二頭筋が台形に隆起していて。
力瘤を盛り上げなくても、僕のウェスト並の『59cm』もある。
『10XL』のシャツを用意したとしても、袖周りは『57cm』。
無理に袖を通した所で、少しでも腕を曲げればバースト。
「下はスカート穿けば良いけど、外でノースリーブはヤダ」
年頃の女子のファッションとして、常に肩が出るのは違和感ある。
メートル超えの太腿については、既に短パン以外は穿けない。
真理奈はパンツルックを好まないので、そこは問題なし。
「後、【圧縮】してると“力加減”が楽だったの」
【圧縮】は筋力にも負荷を掛けるらしく、最大筋力も落ちていたらしい。
「手の甲なら、大丈夫だよ」
真理奈の右手の甲に、僕の右手を当ててみる。
身長差がそのまま現れた、僕より一回り大きな真理奈の手。
「・・・んっ!」
「やん、くすぐったい」
40kg程度の僕の握力では、真理奈の手はビクともしない。
これがもし逆なら、僕の右手はピンポン玉ぐらいまで圧縮されている。
「握力『441kg』って、何が出来るか想像付かない」
最早、バグッてるとしか思えないような数値だ。
「ん~、とね。この前、コンクリートなら割れたよ」
「・・・へっ? コンクリートを、割った・・・?」
コンクリートって、1平方センチメートル辺りで240kgの加重に耐えるらしい。
真理奈の手の大きさと超握力を考えれば、やれてしまう・・・のかな。
「腕力『780kg』は、片腕で軽自動車を持ち上げられるってことだよね?」
「ん~、ちょっと違うかも」
【腕輪】の腕力数値は、正確には『屈曲力』のことらしくて。
いわゆる、腕を折り曲げて上腕二頭筋が縮む時に発揮する筋力。
「筋トレの『アームカール』が近いかなぁ」
片手なら、ダンベルカール。両手なら、バーベルカール。
『アームカール』には競技が存在しないので、非公式記録ながら。
片手カールだと110kg、両手だと200kgが最高記録らしい。
真理奈の筋力は、単純計算で常人の約七倍ってことになる。
「片腕の上腕二頭筋だけで、『780kg』・・・」
今、僕の両脇を抱える真理奈の剛腕に力が籠められれば。
左右からそれぞれ、『780kg』もの高加重が掛かることになる。
「持ち上げるだけなら、“軽じゃないの”も挙げたよ」
「持ち上げる“だけ”、って・・・」
それっていわゆる、普通車を持ち上げるって意味・・・なのか。
重量挙げで言う所の『デッドリフト』が、“持ち上げ”重量に近いらしく。
世界記録が『502kg』なので、七倍すると『3.5トン』・・・。
「職員さんの、レクサ・・・ルだっけ?なら挙げたよ」
それって、『レクサス』の事かな・・・。
もし本当にそうだとしたら、車体重量は『3.3トン』。
僧帽筋(肩)、広背筋(背中)、大殿筋(尻)、ハムストリングス(太腿)。
これらの筋肉に加えて、上腕二頭筋(腕)も作用させているのだろう。
「色々と、身体は大丈夫なの?」
常時、【圧縮】状態なのもそうだけど。
自動車を持ち上げたりって一体、どういう測定なんだ。
「うん、平気。久々に解放したけど、身体中に力が漲ってる」
その漲ったパワーが溢れた結果、フォークを無意識に潰した訳だけど。
「【腕輪】さん。測定の様子って、記録してたりしない?」
『空間記録しています。モニターに再生しますか?』
お願い、と真理奈が指示すると居間にある大型液晶テレビに電源が入り。
ブゥンッ、と『研究所』と思しき場所が映し出された。
「あれ、ここって・・・」
研究所というよりは、その入り口付近というか。
『切浦さんっ、忘れ物~っ』
真理奈が、誰かのスマホらしき物を手に持って駆けて来る。
「これ、どういう状況?」
「えー、っとね・・・」
てっきり、研究所内の実験施設でも映し出されるのかと思いきや。
所員の切浦さんが、徹夜明けの勤務上がりで自家用車で退社。
真理奈が、切浦さんのスマホがデスクに置きっ放しなのに気付き。
「え、まさか。これ、走って追い掛けようとしたの?」
「うん。まだ出たばっかりだったし」
いつぞやの、原付バイクとの追い駆けっことは訳が違う。
100mを7秒(50km/h換算)で走る、自動車が相手。
『・・・あ!』
“モニタ”の真理奈が何かに気付いたのか、一気に全力で駆け出す。
「これ、どうしたの?」
「切浦さん、運転席で寝落ちしちゃったみたいなの。居眠り運転」
徹夜勤務の疲れが祟ってか、ついウトウトと居眠り運転。
そんな状態なら、少しでも仮眠を取ってから帰宅すべきだったと思うが。
「・・・って、待って。“ここ”から、それが見えたの?」
「うん、そうだよ」
真理奈は、キョトンとした表情。
僕が驚いたのは、真理奈と車の距離。目算で、100m以上。
そんな距離で、真理奈は車の狭い運転席内を視認したのだ。
「慌てて、急いで止めなきゃって」
【腕輪】の字幕表示を信じるのなら。
切浦さんの足は運悪くアクセルに載ったままで。
徐々に加速して行く車に、100mのアドバンテージ込みで真理奈は追い付く。
『ふぐぅ、ううっ・・・んっ!』
真理奈が車の後部バンパーに取り付き、加速していた車を停めてしまった。
ギャリギャリッ・・・ガリガリッ!
『3.3トン』の鉄の塊を動かす駆動輪は、未だに回転している。
その推進力を、真理奈はその腕力のみで止めている。
『切浦さんっ、切浦さんっ!』
真理奈は両手が塞がった状態なので、呼び掛ける事しか出来ない。
しかし、当の切浦さんは運転席で突っ伏したまま。
『もうっ! ・・・なら、うぐぅあぁっ!!』
初めて見る、真理奈の全力で渾身のリフトアップ。
巨大な物体を持ち上げるその様は確かに、『デッドリフト』そのもの。
ズゥンッ、ドズゥンッ!
「これ、ほんとにキツかったんだから」
全身の筋肉をこれでもかと盛り上げ、轟音を立てながら女の子が歩く。
『3.3トン』もの重量を持ち上げた為か、歩く度に地響きが起こる。
結局、車輪が空転するよう壁に車を立て掛け。
真理奈はその剛力で、運転席のドアをバキィッと引き剥がした。
『切浦さん、大丈夫ですか!?』
『う、うぅ・・・んっ』
真理奈が起こすまで、その切浦さんはグッスリだったらしい。
『あぁっ、俺のスマホがぁっ!?』
『あ、あれ?』
真理奈の右手には、細かい破片にまで分解されたスマホだった残骸。
真理奈は、右手に切浦さんのスマホを握ったままなのをスッカリ忘れて。
そのスマホごと、車を持ち上げて歩いていたらしい。
『それどころじゃあ、ないでしょ』
後から駆け付けた星さんに、切浦さんはコッテリと絞られたそうな。
めでたしめでたし、で済ませて良い話・・・じゃないんだろうなぁ。
「・・・ねぇ」
「ん?」
僕の身体は変わらず、“あすなろ抱かれ”状態。
相も変わらず、身動き一つ取れない。
「今って、力入れてるの?」
「んーん、全然」
真理奈は、キッパリと否定した。
「大事な、大事な健ちゃんの身体だもん。優しーく、抱いてるよ」
「そ、そう。ありがと」
車相手に馬力で勝ってしまう、真理奈の筋肉ボディ。
僕は、そんな“人間重機”に挟まれていると言って良い。
僕たちはお互い、高校生の間は“一線を超えない”事で同意している。
両親や星さんに釘を刺されるまでもなく、“不測の事態”が起こり得るからだ。
そのせいもあってか真理奈は、よりスキンシップを求めるようになった。
この“あすなろ抱き”は、その練習や訓練の意味合いもあるだろう。
(でも、これって。真理奈が満足しない限り、僕は解放されないんじゃ・・・)
「ん? 何か言った?」
「あ、いや。何も・・・」
“上映会”は、まだまだ続く。
デアカルテ
2024-10-16 07:22:32 +0000 UTCデアカルテ
2024-10-16 07:22:07 +0000 UTCNogi_(°Д°)
2024-10-15 13:29:45 +0000 UTCNL
2024-10-15 08:53:33 +0000 UTC