肉の日の喪女08「喪女の成長」
Added 2024-11-28 15:00:00 +0000 UTC「う、うぅ・・・」
何か、凄く寝苦しい。
ミチ・・・。
「うぅ~・・・ん」
仕方なく、寝返りを打つ。
ミチチッ。
幸い、ベッドはもう撤去しちゃって。
床に直敷きした布団なので、何かを抱き潰す心配はないんだけど。
・・・ピ、ピリッ。
「ん、んぅ・・・?」
“何か”が、張り詰めるような感覚。
感覚と言っても、第六感的なモノではなくて。
物理的に、締め付けが・・・。
「んっ、んぅ~~っ!」
半分だけ寝起きしたような夢うつつの状態で、“伸び”をする。
バリィッ!
寝間着がわりに着ている『Tシャツ』から、“何かが開いた”ような衝撃。
「んん!?」
流石に目が覚め、バッと起き上がる。
「あぁっ・・・」
『Tシャツ』の胸元の生地が、パックリと観音開きになっていて。
ブラに押し込んだおっぱいが露わになっていた。
「・・・ん? あれ、何か・・・」
国内メーカー製ではギリギリ、“吊るし”で買えるサイズの『Gカップ』ブラジャー。
可愛らしさとかのデザイン性より、頑丈さを重視した無骨な縫製。
「・・・私、何か。こう、ムチッとしてない?」
胸の柔肉がブラからハミ出して、おっぱいが今にも零れそう。
「何で・・・」
ブラのサイズは、ちゃんと合っていた筈なのに。
大きいカップサイズのブラジャーは、フレームが鉄製のワイヤーで。
おっぱいがフレームに抑え付けられて、ボンレスハム状態。
「ひょっとして、太っ・・・」
そう言おうと身体に少し力が入った、瞬間。
ビリッ。
「・・・え」
明後日の方向、という程ではないけれど。
半袖の先っぽ辺りから、布地が裂ける音がした。
「う、っそ。何で・・・」
腕は、曲げていない。にも関わらず。
私の上腕は“そのまま”の大きさで、半袖に裂け目を入れていた。
「一晩、寝て。起きただけで太るとか、あるの・・・?」
そう言いながら、ふと窓の外を見る。
朝というよりは、どちらかというと午後の昼下がり。
「今、何時・・・」
誤って握り潰したりしないよう恐る恐る、スマホを手に取る。
『XX月1日 15:38』
「・・・って、え。えぇ!?」
画面の時刻表示を見て、我が目を疑う。
【肉の日】の翌日、どころではなく。月が変わっていた。
何と、あれから一晩どころではない時間が経過していたのだ。
「私、どんだけ爆睡してたの・・・」
晴れて、無職になったこともあり。時間的な制約がないとはいえ。
幾らなんでも、寝過ぎ。体内時計の帳尻が合わない、そんな感覚。
「・・・ふぅ」
昼下がりとはいえ、寝起きなので。
先ずは目を覚まそうと、熱いコーヒーを入れて一息付く。
「でも、何で・・・」
男物のオーバーサイズな、【2XL】の『Tシャツ』。
着心地の良かった寝間着は、見るも無残な状態だった。
スーツやワイシャツならまだしも、伸縮性がある筈の生地なのに。
私の色んな意味でワガママなボディは、それに収まらなくなっている。
「ひょっとして、“また”? 【お肉】付いちゃった・・・?」
いわゆる、無駄肉。一般的に、『駄肉』と呼ばれたりする脂肪。
・・・ではなく。この場合、指すのは文字通りの、【筋肉】。
学生時代の思い付きで、人より多く食べるようになり。
いつしか、それが趣味になり。今では、普通に大食いレベルの食事量で。
食べた何割かが【筋肉】になるのは仕方ない、と諦めてはいても。
それ以上に脂肪が付けば、せめて筋肉が目立たなくなると思ったのに。
「沢山、お肉を食べたら。それがそのまま、筋肉に成った・・・とか?」
そんな、馬鹿な。幾ら何でも、有り得ない。
「・・・まさか、ね」
私は、破け次いでに。肩の高さで右腕を折り曲げつつ。
「・・・んぅっ」
力を籠める、と。
バンッ!
「っ!?」
『Tシャツ』の袖が、爆ぜた。まるで、風船が破裂したかのような音。
布地が弾け飛んた証明に、袖だった切れ端がハラハラと舞っている。
「・・・いやいや。そんな」
私は無くなった袖からコンニチワした、上腕二頭筋を見遣る。
それはもう、『力瘤』ではなく。正しく、【上腕二頭筋】だった。
何故、力の『瘤』と表現するか、と言えば。
本来なら、二つの頭である『長頭筋』と『短頭筋』が脂肪でコーティングされて。
あたかも、一つの大きな『瘤』であるかのように見えることに起因する。
ボディビルダーでもない限り、見た目通りの『力瘤』で。
私も勿論、そのタイプの筈・・・だったんだけど。
「二の腕の筋肉って、“こう”なんだっけ・・・」
私は初めて、【上腕二頭筋】が二つの筋肉の山であることを知った。
何故か、私の上腕はそれとわかるぐらい、二頭がちゃんと隆起していた。
「硬い・・・」
グーで殴ると、ゴツゴツッと硬い岩同士を打ち付けたような音。
どう見ても、脂肪は薄くなっていて。
触る前から、プニプニッとした感触でないことは明白だった。
「お腹は・・・」
さすさす、と擦(さす)ってみる。
私のお腹は、いわゆる『シックスパック』みたいな割れ方はしてなかった。
ああいうのは、常日頃から腹筋運動をやって脂肪を削った人の特権。
「何、これ・・・」
ゴリッ、ゴリッと硬い岩肌を手で触っている感触。
私の腹直筋は、上腕二頭筋と同様に肥大化していた。
筋肉量が増えたことでボンッと隆起して、結果的に六つのブロックが出来上がった。
「寝る前は、ここまでじゃなかった気がする」
刃物で刺されたこともあり、何度も触って確認したのだ。
皮膚の薄皮一枚が切れただけで、その下の腹筋は無事だった。
「硬、った」
こちらも、グーで殴ってみると。
ゴッ、ゴッと。又しても、岩同士が打ち付け合ったような音がする。
「背中は・・・」
こういう時、ワンルーム六畳の狭い部屋は困る。
寝床と食卓だけで、大半のスペースを占拠してしまい。
女子の部屋なのに、姿見鏡を置く余裕がない。
そもそも、ウチにガラス製の物は一切置けないんだけど。
正確には、“置いていた”が正しい。
ビールを飲むにはガラス、って感じて置いていたコップやジョッキは。
全て、握り潰してしまった。実際、『リンゴ潰し』より握力は要らないらしい。
仮に、握り潰してしまう事には目を瞑るとしても。
ガラスって、割ってしまうと後片付けがかなり面倒なのだ。
「仕方ない。スマホで、っと・・・」
スマホを録画モードにして、スタンドに立て掛ける。
「こう、かな・・・」
カメラに背を向け、もう慣れてしまった『マスキュラ―ポーズ』を取る。
「んぅっ」
力を籠めると、背中越しに広背筋が大きく肥大した感覚。
バリィッ!!
と、胸元や袖と同じく、『Tシャツ』の背面も大きく弾けた。
「あ、普通に脱げば良かったんじゃ・・・」
つい、“手癖”みたいな感じで、『Tシャツ』を破いてしまった。
日常的に『筋肉シャツ破り』が出来ちゃう女子って、どうなんだろう・・・。
「うわっ。お、っきぃ・・・」
スマホの動画で確認した背中は、我ながら凄かった。
文字通りの、『逆三角形』。
僧帽筋の三角形と合わせれば、菱形に見えなくもない。
「・・・あ。あぁっ」
動画を良く見ると、ブラジャーのホックが外れていたことに気付く。
「高かったのに・・・」
いや、外れたというよりは、金具がグシャッとひん曲がっていた。
背中の筋力は遂に、ブラの金具を破壊するにまで至っていた。
因みに、この時の私は気付いてなかった。
むしろ、完全に忘れていたんだけど。
何発も撃たれた筈なのに、いわゆる『銃創』は何処にも無かった。
『赤痣』が六つあるので、全弾命中していたのは確かなんだけど。
そんな銃弾すら効かないような広背筋に、良く今まで保っていたと言える。
「何だろ。何か、こう・・・全体的に」
改めて、というか。自分の姿を客観視したのって、何年振りだろう。
新卒の時に、今の『Gカップ』ブラを買ったのを最後に。
身体の採寸どころか、洗面所以外で鏡を見たことすらなかった。
「でっか・・・大っきくなってない?」
正直、お肉・・・筋肉が付いたってレベルじゃなかった。
「良く、“これ”で入ってたわね・・・」
太った、訳では決してなく。明らかに、逞しくなっている。
増えた内、脂肪は二割ぐらいで。残り八割は、確実に筋肉。
「でも。何でまた、急に・・・」
ここ数か月、諸々の理由で給料が少なく。
食費を削った関係で、食事量を抑えざるを得なかった。
その結果、ステーキ屋の【肉の日】チャンレジメニューに月一で通い。
今回みたいなトラブルに巻き込まれた訳だけど・・・。
「それって、つまり・・・」
いわゆる、『リバウンド』って奴なのかな。
ダイエットで食を細くしていた所に急に食べると必要以上に太る、って現象。
遭難して飢餓状態を経験した人が肉付きが良い体質に変化した、なんて事例も聞く。
「でも、リバウンドで筋肉が付くなんて、ある・・・?」
脂肪だけが付いたなら、間違いなくリバウンドなんだろうけど。
とは言え、筋肉に関する知識なんて持ち合わせが無く。
考えても答えは出ないので、一先ずは置いておくとして。
「というか、着る物・・・」
いわゆる、『お洋服』な外着は多分もう入らない。
そもそもブラジャーがダメなのに、入る訳がない。
「どうしよ・・・」
途方に暮れたせい、って訳じゃないんだけど。
つい、手に持つマグカップに力を入れてしまう。
ミシ・・・バゴォッ!
左手の指を引っ掛けていた取っ手がポキッ、と折れ。
右手で持っていたカップの“胴体”をそのまま砕き割ってしまう。
「うわ、っちゃ!」
反射的に、大きな声が出ちゃう。
幸い、零れたコーヒーは温くなっていて、火傷する程じゃないのは助かった。
「でも、何で・・・」
陶器製のマグカップって、意外と頑丈・・・だった筈。
少なくとも、グラスや空き缶よりは硬い。
全力で握り締めたのなら、まだしも。
今まで、少し力を入れたぐらいじゃ何ともなかったのに。
「・・・んっ」
ゴリ、ゴリッと陶器の破片を握り込んでみる。
『落雁』とかの砂糖菓子みたいに、磨り潰された粉がパラパラと落ちた。
「力、強くなってる・・・?」
無職になったことで、社会的には堕ちて行っているのに。
反比例するかのように、私の筋力は天井知らず・・・なのかな。
Comments
そう仰って頂けると有難いです。続きが書け次第、アップしようと思いますので、今暫く他の拙作でお楽しみ頂ければと思います。
デアカルテ
2024-12-04 05:52:22 +0000 UTCそうなんですね、承知です! 喪女さんの活躍もとても楽しみですが、間が空いても楽しみが続くので全然大丈夫です٩( 'ω' )و
Nogi_(°Д°)
2024-12-02 13:31:53 +0000 UTC感想、ありがとうございます。 良い肉の日(11/29)までの連載を一区切りと思って始めた作品だったので、一先ずはここまで書けて良かったと思います。
デアカルテ
2024-12-02 05:05:01 +0000 UTC感想、ありがとうございます。 実は、次の展開に迷っている部分がありまして・・・ひょっとすると少し間が空いてしまうかも知れません。
デアカルテ
2024-12-02 05:03:56 +0000 UTC!!さらなる成長とは...来月の29日が楽しみです(^^)
Nogi_(°Д°)
2024-11-29 11:39:43 +0000 UTC大食いによって筋肉とおっぱいが成長・・・! 今まで見かけた事がなかったのでとても新鮮でした! いい肉の日に・・・しかも今年は金曜日なのでいい筋肉の日に素晴らしい作品が見れました!
NL
2024-11-28 15:41:40 +0000 UTC