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その後の三つの願い09「リサイズ」


「改めて見ると、凄いわね・・・」

素直に思った、素のままの感想。


私は別に、自己陶酔家(ナルシスト)ではない。

まして、自画自賛の意味合いもない。


“今後”の事を考え、詳細な数値でメモを残した事もあって。

否が応でも、自身の肉体と向き合わざるを得ないのだ。


「『Lカップ』なんてブラ、あるのかな・・・」

ネット検索すると、『L100』なんて物が。


「あるには、あるんだ・・・」

世の中って、本当に広い。


『L100』の場合、アンダーバストが『100cm』まで。

私は『188(L148)』なので、どれだけ延長ホックが要るんだろうか。


「まあ、それは追い追い・・・」

まだまだ、夏休みは長い。

暑い中、外出するぐらいならノーブラで部屋に居る方がマシ。


それよりも。


夏休みの間に、確認しておかないといけない事がある。


夏休み前は、このサイズで通学していた。


それが、たった一ヵ月半で身長が『50cm』も伸びました。

体重も『136kg』増えて、その内の大半が筋肉です。


なんてのは、まあ通らない。


何か危ない薬を使ったんじゃないか、とか。

人体実験のモルモットにされたんじゃないか、とか。


今のまま学校に行けば、絶対に問題視される。


「同じ・・・は無理でも、近いサイズにまで【ケア】しないと・・・」

その為にわざわざ、『ゴミ置き場』に通ったのだ。

五人の男たちの【魂】を、美味しく戴いてしまった。


「言ってしまえば、“体裁”の為・・・だもんねぇ」

夏休み明けの学校で騒がれたくない、その一心。

騒ぎになる覚悟があれば、今の身体のまま通学すれば良いだけの話。


「でも、ま。ヤッちゃった以上は、ね」

覆水、盆に返らず。

【魔人】化したとはいえ、我ながら邪悪だとは思う。


「でも、“どうやる”んだろ」

大きくなり過ぎた身体を、小さくする【アフターケア】。

一時的とはいえ、実数値として身長が縮んで、体重も減る。


生物学や質量保存の法則を完全に無視した、理外の所業。

【魂】を源流とする【魔力】があれば、それが可能になる。


「“今”なら、出来る筈なんだけど」

【魔人】化した私なら、【魔力】も行使出来る・・・筈。


問題は、ずっと【魔人】に任せっ切りだったせいで。

具体的な、やり方がわからないのだ。


マニュアルなしで自動車を運転しろ、って言われてる感じ。


「こう、かな・・・」

一先ず、頭の中で念じてみる。


「んー。だめ、かー」

小一時間経つも、何も起こる気配なし。


【魔人】にやって貰った時は直ぐにパァーッ、と光を帯びて。

意識はそのままに、身体が小さくリサイズされた。


「アイツ、どうやってたっけ」

【魔人】の所作を思い出してみる。


「『はぁんっ!』なんて、言ってたような」

呪文の類とか、そういうモノは無くて。

気合いというか、力んで行使していた印象。


「リキむ・・・。力む・・・ちから、・・・あ」

【魂】をゲットする時、いつもお腹から熱い迸りが走ったのを思い出す。


「丹田・・・」

東洋医学において、体内エネルギーの中心を指す。

踏ん張る時はお腹から、って話は良く聞く。


「小さくなぁれ。小さく、なーれー」

ティーン女子が嗜むような魔法少女アニメでも、最近は聞かなくなった呪文。

それを、『2m』超えな筋肉巨女が唱えている様は、異様という他ない。


「・・・あ、来た。そう、これこれ」

呪文に効果があった、訳ではなく。

純粋に、私自身が【魔力】の奔流を掴み取れた・・・んだと思う。


【魂】の流れを、血肉の結晶として【赤】をイメージするなら。

【魔力】は、どちらかというと薄い【紫の靄】なイメージ。


知覚、認識したからか。

【魔力】の流れが、目で追えるようになっていた。


お腹から溢れ出る【紫の靄】が、薄い膜のように全身に広がって行く。

潜水用のダイビングスーツのように、全身を厚みのある靄が覆う。


厚みがあるのに、“薄い”と表現したのは。

顔も含めて全身を覆われたのに、視界は良好だったから。


「お、おっ・・・」

靄が全身を覆ったと同時にパァーッ、と光って。

グググ、と全身が少しずつ縮んで行く。


「良い、感じじゃない?」

半ば置物と化していた、姿見鏡を見遣る。

見切れていた肉体が、徐々に鏡面に映って行く。


「靄は、映らないのね」

【魔力】は、物理法則外の代物だからか。

鏡には、【紫の靄】は一切映っていない。


私の身体が縮んで行く、超常的な現象だけが映る。


「・・・ん。え、何で。何で“映ってない”の」

全身の縮小リサイズ化は、もう終わった。

・・・ように、思う。


少し待ってみたけど、これ以上は変化しなさそう。

なのに、私の首から上が映っていない。


デュラハン、みたいな幻想的な怪物に成り果てた・・・のではなく。

単純に、現在進行形で首より上が見切れているだけなんだけど。


姿見鏡の高さは、『150cm』。

そのサイズで見切れるということは、つまり。


「全然、縮んでないじゃない!」

姿見鏡に、肩から下しか映らないという事は。

少なくとも、夏休み前より頭一つ分は高い計算になる。


「うそ、188もある・・・」

計り直した身長は、紛(まご)う事なく『188cm』あった。


「あ、いや。縮んでは・・・いるのか」

我ながら、表現に語弊があった。


【リサイズ】する前が、『221cm』だったので。

今が『188cm』だとすると、何と『33cm』も縮んだ計算になる。


初めてだったせいもあって、色々と手間取ったけど。

初心者としては上手く【魔力】を使えた、と思う。


「でも、これじゃ・・・」

思った通りの手段は、取れたものの。

思った通りの結果には、今一つ及ばなかった。


夏休み前との比較を見ても、夏休みデビューどころの話じゃない。

前は、力さえ入れなければガタイが良いバレー選手ぐらいだったのに。


二の腕は、曲げてなくてもモゴッと二頭筋が盛り上がってるし。

曲げようものなら、クラスメイト男子の胸周り並みなスイカ大の剛腕に。


お腹も、ダルンッと力を抜いていても、バッキバキに割れていて。

太腿なんて、歩くだけで大腿四頭筋がグリッ、グリッと動く始末。


ゲームのパラメータ風に例えるなら。


<夏休み前>

身長199 ⇒『-15%』デバフ(減少補正) ⇒ 171


<今>

身長221 ⇒『-15%』デバフ(減少補正) ⇒ 188


みたいな感じなのかな。


「もう、残ってないよね・・・」

もう一度、丹田に力を籠めてみる。

・・・が、何の反応もない。スッカラカン。


【リサイズ】の重ね掛けは、やはり出来ないようだった。


「仕方ない、か」

【魔人】も確か、前に言ってた気がする。

『前より大きいんだから、小さくなる度合いも減る』って。


「それじゃあ、と」

頑張ってもやれない事は、スパッと諦めて。

確認は、次の段階へ。


「ん、っしょ・・・」

元に比べれば小さくなったおっぱいを、ブラに収めていた。

とはいえ、トップ『137cm』の『Jカップ』なので、一般的には普通に爆乳。


「・・・ふぅ、入った」

延長ホックなしで、何とか既製品のブラを着ける事の成功。


「ん、良い感じ♪」

姿見鏡で、ブラ越しの奇麗な谷間を確認。


今の身長だと、普通に立っていてもちゃんと映るので楽。

『221cm』バージョンだと、お腹より上が見切れて映らないのだ。


「んぅ、ぁっん」

私は確認次いでに、つい自分の胸を揉みし抱いてしまう。

柔らかく撓(たわわ)な、爆乳(おっぱい)。


「小さくなって、これ・・・」

片乳だけで、バレーボールと同じぐらいの大きさがある。

しかも、未だに大きくなる可能性を秘めているというのだ。


「ここまではまあ、行けるよね」

ブラにショーツ、でインナーが済んで。

制服本体の試着に入り、スカートまでは問題なし。


「んぅ、っく・・・」

夏服の生地が薄いブラウスが、着れない。

前ボタンが、嵌められない。


「これ、で・・・なん、っとか・・・」

肺の中の空気を全て吐き出し、息を止め。

胸囲を極限まで小さくして、やっとボタンが・・・。


パァンッ!


「・・・あ」

止まったと思うも、一瞬だった。

ボタンは、銃弾を思わせる凄まじい速度で壁まで飛んで行った。


ビリッ、ビリリィッ。


「あ~、こっちもぉ」

ボタン嵌めで力が入ったせいか、袖口がビリビリに破けた。

勿論、袖を引き裂いたのは自慢の剛腕力瘤。


【リサイズ】した今の肉体でさえ、力加減を間違えると服なんてあっという間。

胸ボタンや袖だけでなく、肩口や背中も大きく裂け目が出来ていた。


「夏休みの間って、注文出来るのかな・・・」

学校指定の制服業者が営業しているか、確認しないと。


「次は、ちゃんとメモ取って数えないと」

残るは、最終確認。


【リサイズ】が“どのぐらい保つ”か、という実証実験。


【魔人】にやって貰った時で、数週間から一ヶ月といった感じだった。

それより長いかも知れないし、短いかも知れない。


厄介なのは、ある一定期間を経由すると一気に効果が切れるという点。


目視出来るようになった【紫の靄】を、潜水スーツに例えたけど。

【紫の靄】がどう変化して、どのタイミングで効果が切れるのか。


「まあ、まだ“夏休みは残ってる”し」

そう。


まだ、夏休みの期間は、残っている。

期間にして、数週間は有る。


つまり、新学期が始まる前までには。

高確率で、一度は効果が切れる計算になる。


「ゆっくりと、確かめなきゃ」

【魔力】は、もう残っていない。

だけど、最低でも後一回は、【リサイズ】を行う必要がある。


と、なれば。


「ふふっ♪」

私はつい、邪悪な笑みを浮かべてしまう。


また、あそこに行く目的が出来た。

こんなに、“嬉しい”ことはない。


力を振るって、【魂】を獲得し。

快感を味わいつつ、【魔力】を貯蔵する。


その全てが、今の私の愉しみなのだった。

その後の三つの願い09「リサイズ」 その後の三つの願い09「リサイズ」 その後の三つの願い09「リサイズ」

Comments

感想、ありがとうございます。 リサイズは、行動を起こす上での動機付けの理由が大きいかも知れません。

デアカルテ

リサイズ!良いですね(^^)デバフ込みでも十分強いでしょうし、その状態での活躍や、デバフを徐々に解いて相手を絶望させるといった展開とか妄想しちゃいましたw

Nogi_(°Д°)

感想、ありがとうございます。 リサイズ関連は迷った部分なんですが、続編書くならやれた方が良いかなと思った次第です。

デアカルテ

投稿お疲れ様です 魔人がいないからもうリサイズは出来ないのではと思っていましたが出来ましたね もし機会があれば個人的に望ちゃんのビキニを見てみたいです・・・!

NL


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