「改めて見ると、凄いわね・・・」
素直に思った、素のままの感想。
私は別に、自己陶酔家(ナルシスト)ではない。
まして、自画自賛の意味合いもない。
“今後”の事を考え、詳細な数値でメモを残した事もあって。
否が応でも、自身の肉体と向き合わざるを得ないのだ。
「『Lカップ』なんてブラ、あるのかな・・・」
ネット検索すると、『L100』なんて物が。
「あるには、あるんだ・・・」
世の中って、本当に広い。
『L100』の場合、アンダーバストが『100cm』まで。
私は『188(L148)』なので、どれだけ延長ホックが要るんだろうか。
「まあ、それは追い追い・・・」
まだまだ、夏休みは長い。
暑い中、外出するぐらいならノーブラで部屋に居る方がマシ。
それよりも。
夏休みの間に、確認しておかないといけない事がある。
夏休み前は、このサイズで通学していた。
それが、たった一ヵ月半で身長が『50cm』も伸びました。
体重も『136kg』増えて、その内の大半が筋肉です。
なんてのは、まあ通らない。
何か危ない薬を使ったんじゃないか、とか。
人体実験のモルモットにされたんじゃないか、とか。
今のまま学校に行けば、絶対に問題視される。
「同じ・・・は無理でも、近いサイズにまで【ケア】しないと・・・」
その為にわざわざ、『ゴミ置き場』に通ったのだ。
五人の男たちの【魂】を、美味しく戴いてしまった。
「言ってしまえば、“体裁”の為・・・だもんねぇ」
夏休み明けの学校で騒がれたくない、その一心。
騒ぎになる覚悟があれば、今の身体のまま通学すれば良いだけの話。
「でも、ま。ヤッちゃった以上は、ね」
覆水、盆に返らず。
【魔人】化したとはいえ、我ながら邪悪だとは思う。
「でも、“どうやる”んだろ」
大きくなり過ぎた身体を、小さくする【アフターケア】。
一時的とはいえ、実数値として身長が縮んで、体重も減る。
生物学や質量保存の法則を完全に無視した、理外の所業。
【魂】を源流とする【魔力】があれば、それが可能になる。
「“今”なら、出来る筈なんだけど」
【魔人】化した私なら、【魔力】も行使出来る・・・筈。
問題は、ずっと【魔人】に任せっ切りだったせいで。
具体的な、やり方がわからないのだ。
マニュアルなしで自動車を運転しろ、って言われてる感じ。
「こう、かな・・・」
一先ず、頭の中で念じてみる。
「んー。だめ、かー」
小一時間経つも、何も起こる気配なし。
【魔人】にやって貰った時は直ぐにパァーッ、と光を帯びて。
意識はそのままに、身体が小さくリサイズされた。
「アイツ、どうやってたっけ」
【魔人】の所作を思い出してみる。
「『はぁんっ!』なんて、言ってたような」
呪文の類とか、そういうモノは無くて。
気合いというか、力んで行使していた印象。
「リキむ・・・。力む・・・ちから、・・・あ」
【魂】をゲットする時、いつもお腹から熱い迸りが走ったのを思い出す。
「丹田・・・」
東洋医学において、体内エネルギーの中心を指す。
踏ん張る時はお腹から、って話は良く聞く。
「小さくなぁれ。小さく、なーれー」
ティーン女子が嗜むような魔法少女アニメでも、最近は聞かなくなった呪文。
それを、『2m』超えな筋肉巨女が唱えている様は、異様という他ない。
「・・・あ、来た。そう、これこれ」
呪文に効果があった、訳ではなく。
純粋に、私自身が【魔力】の奔流を掴み取れた・・・んだと思う。
【魂】の流れを、血肉の結晶として【赤】をイメージするなら。
【魔力】は、どちらかというと薄い【紫の靄】なイメージ。
知覚、認識したからか。
【魔力】の流れが、目で追えるようになっていた。
お腹から溢れ出る【紫の靄】が、薄い膜のように全身に広がって行く。
潜水用のダイビングスーツのように、全身を厚みのある靄が覆う。
厚みがあるのに、“薄い”と表現したのは。
顔も含めて全身を覆われたのに、視界は良好だったから。
「お、おっ・・・」
靄が全身を覆ったと同時にパァーッ、と光って。
グググ、と全身が少しずつ縮んで行く。
「良い、感じじゃない?」
半ば置物と化していた、姿見鏡を見遣る。
見切れていた肉体が、徐々に鏡面に映って行く。
「靄は、映らないのね」
【魔力】は、物理法則外の代物だからか。
鏡には、【紫の靄】は一切映っていない。
私の身体が縮んで行く、超常的な現象だけが映る。
「・・・ん。え、何で。何で“映ってない”の」
全身の縮小リサイズ化は、もう終わった。
・・・ように、思う。
少し待ってみたけど、これ以上は変化しなさそう。
なのに、私の首から上が映っていない。
デュラハン、みたいな幻想的な怪物に成り果てた・・・のではなく。
単純に、現在進行形で首より上が見切れているだけなんだけど。
姿見鏡の高さは、『150cm』。
そのサイズで見切れるということは、つまり。
「全然、縮んでないじゃない!」
姿見鏡に、肩から下しか映らないという事は。
少なくとも、夏休み前より頭一つ分は高い計算になる。
「うそ、188もある・・・」
計り直した身長は、紛(まご)う事なく『188cm』あった。
「あ、いや。縮んでは・・・いるのか」
我ながら、表現に語弊があった。
【リサイズ】する前が、『221cm』だったので。
今が『188cm』だとすると、何と『33cm』も縮んだ計算になる。
初めてだったせいもあって、色々と手間取ったけど。
初心者としては上手く【魔力】を使えた、と思う。
「でも、これじゃ・・・」
思った通りの手段は、取れたものの。
思った通りの結果には、今一つ及ばなかった。
夏休み前との比較を見ても、夏休みデビューどころの話じゃない。
前は、力さえ入れなければガタイが良いバレー選手ぐらいだったのに。
二の腕は、曲げてなくてもモゴッと二頭筋が盛り上がってるし。
曲げようものなら、クラスメイト男子の胸周り並みなスイカ大の剛腕に。
お腹も、ダルンッと力を抜いていても、バッキバキに割れていて。
太腿なんて、歩くだけで大腿四頭筋がグリッ、グリッと動く始末。
ゲームのパラメータ風に例えるなら。
<夏休み前>
身長199 ⇒『-15%』デバフ(減少補正) ⇒ 171
<今>
身長221 ⇒『-15%』デバフ(減少補正) ⇒ 188
みたいな感じなのかな。
「もう、残ってないよね・・・」
もう一度、丹田に力を籠めてみる。
・・・が、何の反応もない。スッカラカン。
【リサイズ】の重ね掛けは、やはり出来ないようだった。
「仕方ない、か」
【魔人】も確か、前に言ってた気がする。
『前より大きいんだから、小さくなる度合いも減る』って。
「それじゃあ、と」
頑張ってもやれない事は、スパッと諦めて。
確認は、次の段階へ。
「ん、っしょ・・・」
元に比べれば小さくなったおっぱいを、ブラに収めていた。
とはいえ、トップ『137cm』の『Jカップ』なので、一般的には普通に爆乳。
「・・・ふぅ、入った」
延長ホックなしで、何とか既製品のブラを着ける事の成功。
「ん、良い感じ♪」
姿見鏡で、ブラ越しの奇麗な谷間を確認。
今の身長だと、普通に立っていてもちゃんと映るので楽。
『221cm』バージョンだと、お腹より上が見切れて映らないのだ。
「んぅ、ぁっん」
私は確認次いでに、つい自分の胸を揉みし抱いてしまう。
柔らかく撓(たわわ)な、爆乳(おっぱい)。
「小さくなって、これ・・・」
片乳だけで、バレーボールと同じぐらいの大きさがある。
しかも、未だに大きくなる可能性を秘めているというのだ。
「ここまではまあ、行けるよね」
ブラにショーツ、でインナーが済んで。
制服本体の試着に入り、スカートまでは問題なし。
「んぅ、っく・・・」
夏服の生地が薄いブラウスが、着れない。
前ボタンが、嵌められない。
「これ、で・・・なん、っとか・・・」
肺の中の空気を全て吐き出し、息を止め。
胸囲を極限まで小さくして、やっとボタンが・・・。
パァンッ!
「・・・あ」
止まったと思うも、一瞬だった。
ボタンは、銃弾を思わせる凄まじい速度で壁まで飛んで行った。
ビリッ、ビリリィッ。
「あ~、こっちもぉ」
ボタン嵌めで力が入ったせいか、袖口がビリビリに破けた。
勿論、袖を引き裂いたのは自慢の剛腕力瘤。
【リサイズ】した今の肉体でさえ、力加減を間違えると服なんてあっという間。
胸ボタンや袖だけでなく、肩口や背中も大きく裂け目が出来ていた。
「夏休みの間って、注文出来るのかな・・・」
学校指定の制服業者が営業しているか、確認しないと。
「次は、ちゃんとメモ取って数えないと」
残るは、最終確認。
【リサイズ】が“どのぐらい保つ”か、という実証実験。
【魔人】にやって貰った時で、数週間から一ヶ月といった感じだった。
それより長いかも知れないし、短いかも知れない。
厄介なのは、ある一定期間を経由すると一気に効果が切れるという点。
目視出来るようになった【紫の靄】を、潜水スーツに例えたけど。
【紫の靄】がどう変化して、どのタイミングで効果が切れるのか。
「まあ、まだ“夏休みは残ってる”し」
そう。
まだ、夏休みの期間は、残っている。
期間にして、数週間は有る。
つまり、新学期が始まる前までには。
高確率で、一度は効果が切れる計算になる。
「ゆっくりと、確かめなきゃ」
【魔力】は、もう残っていない。
だけど、最低でも後一回は、【リサイズ】を行う必要がある。
と、なれば。
「ふふっ♪」
私はつい、邪悪な笑みを浮かべてしまう。
また、あそこに行く目的が出来た。
こんなに、“嬉しい”ことはない。
力を振るって、【魂】を獲得し。
快感を味わいつつ、【魔力】を貯蔵する。
その全てが、今の私の愉しみなのだった。
デアカルテ
2025-11-06 09:16:24 +0000 UTCNogi_(°Д°)
2025-11-05 12:51:49 +0000 UTCデアカルテ
2025-11-05 03:56:09 +0000 UTCNL
2025-11-04 23:52:19 +0000 UTC