SamSuka
デアカルテ
デアカルテ

fanbox


筋肉ダメイド拡大記09「絃子再来」

ピンポーン。


「・・・?」

突然、玄関のインターホンが鳴った。


ピンポーン。


「はーい」

再度鳴るインターホンに、声だけ返す。

こういう時、真っ先に出てくれる芽衣子は車庫の掃除中。


「仕方ない」

来客程度、わざわざ芽衣子を呼び戻すまでもない。


「えー、っと。どちら様ですか」

「お兄ちゃーん」

玄関先で呼ぶのは、何処かで聞いた事のある声。


「ひょっとして、イトコ?」

「うん、そうだよー」

扉の先の主は、僕の従兄弟だった。

と言っても、年下で女の子。その名も、『絃子(いとこ)』。


絃子は高校受験を控えていたこともあり、暫く会っていなかった。

時期的にもう、高校に入学したんだっけか。


「ねぇ、開けてー」

「わ、わかった。ちょっと待って」

僕は、いつぞやの事を思い出す。


中学生の時、ウチに何度か通った際にドアノブを引き千切り。

剰(あまつさ)え、そのドアノブを握り潰して仕舞った。


あれから、かなりの時間が経ったけれど。

『アマゾンの秘薬』が切れたとはいえ、まだ成長期。


有り余る膂力で、玄関をまた壊されては敵わない。

玄関を壊されると、修理がもう大変なのだ。


「ひ、久し振・・・」

僕はガチャッ、とドアを開ける。


「・・・り、ぃっ!?」

ドアを開けるや否や、僕は度肝を抜かれた。

ドア枠から、絃子の鼻から上が見切れているのだ。


ウチの玄関ドアは大きくて、『2m』はあるんだけど。

あれから更に大きくなった芽衣子ですら、顔から下は収まるのに。


「ね、入って良い?」

「あ、ああ・・・」

絃子がヌゥッ、と屈んで玄関を潜るように入って来る。


「お兄ちゃん、久し振り♪」

「・・・・・」

絃子の全身を見て、再び度肝を抜かれた。


ノースリーブのシャツにスカートという、シンプルな出で立ち。

それだけに、余りにもな“筋肥大(バルクアップ)”振りに驚く。


僧帽筋の盛り上がりで、両肩まで扇型の山が出来ていて。

袖なしだからこそ着る事が出来た、と言わんばかりの巨大な肩と腕。


「お、大っきくなったな・・・」

「どう? 凄いでしょ」

腰に手をやり、絃子は胸を張った。


嘗(かつ)ての『Jカップ』爆乳は、更に大きくなったのか。

シャツの胸元をピンと張らせ、ボタンの隙間からブラがチラチラと見える。


「今、『213』あるよ」

「・・・え」

それは勿論、身長の話。


第二次性徴な、成長期の真っ只中。

とはいえ、中学二年の時点で『205cm』あったのに。


「“わたし”、綺麗になった?」

絃子はまるで、口裂け女みたいな質問を投げて来た。


「あ。これじゃ私の顔、見えないよね」

僕と絃子は、狭い玄関の中で至近距離で向かい合った為か。

上背の差が大きくて、僕の目線の先には絃子の胸元しか映らない。


「これで、どう?」

絃子は、僕の両脇をムンズと掴むと。


「ちょ、おい・・・っ」

いとも簡単にヒョイッ、と持ち上げてしまう。


「お、降ろし・・・っ」

「だーめ♪」

上背の差を埋めるべリフトされた僕は、足をバタバタさせるも効果なし。

床から『40cm』近く宙空に浮かされた状態で、為すがまま。


「“わたし”の事、ちゃんと答えてくれないと放さないよ」

中学生の時、絃子は自分の事を『あたし』と言っていた。

いつの間にか、一人称が『わたし』に変わっている。


今までなら、身体の変化を見せたくて飛び込んで来そうものなのに。

何処か、落ち着き払った印象。


「・・・・・」

長い髪をポニーテールに纏めた、切れ長の瞳。

顔立ちも前よりハッキリとしていて、鼻筋もスッと通っている。


芽衣子が、童顔で実年齢より幼く見える“可愛い系”の美人だとするなら。

絃子は、“綺麗系”な美少女・・・いや、美巨女と言った所だろうか。


『男子三日会わざれば刮目して見よ』という格言があるが。

まさに目の前の絃子は、その格言通りの変貌を遂げていた。


「綺麗に、なった?」

「もうっ、何で疑問形なの」

絃子は目の前でプーッ、と膨れた。

この辺の反応は、まだまだ可愛い年下の女の子な感じ。


「これでも、学校じゃ“筋肉美人”で通ってるのに」

身長(タッパ)に美貌(ルックス)、それに超が付く筋肉ボディ。

入学して即、色んな意味で有名人なのは間違いだろう。


「クラスの男子は、子供ばっかで詰まんないけどね」

今日日の男子高校生なんて、女子に比べれば成熟は遅い・・・のかな。


「この前も、告白して来た男子が居たんだけど・・・」

「へぇ・・・」

絃子の体格に物怖じしないのは、凄いと思う。

高校生からしたら、絃子は見上げるぐらいの超長身の筈。


「何でか理由を聞いたら、“胸を触りたいから”だって」

高校生男子なんて、まあそんなものか。

頭の中は遊ぶかエロか、の二択でもおかしくない。


「あったま来たから・・・」

「え、まさか・・・」

絃子のパワーで、もし殴ったりなんてしたら・・・。


「腕相撲で勝ったら好きにして良い、って言ってやったの」

「は、はは・・・」

以前ですら、バーベルカールで『750kg』を挙げる腕力を持っていたのに。

高校生が相手なら、十人が束になっても敵わないだろう。


「お兄ちゃんも、試してみる?」

脇腹を持たれている関係上、両サイドに二の腕があるんだけど。

軽く曲げられた絃子の上腕は、前よりも更に太くなっているように見える。


「へへーん。わたしの腕、遂にメートル超えたよ」

「・・・へ?」

花の女子高生、弱冠十六歳の少女の腕が『1m』を超え・・・た?


「見て見てー」

僕を右手一本で保持したまま、左腕を肩の高さで折り曲げる。


モゴゴォッ。


「っ!?」

絃子の腕が、大玉スイカ並みに大きく膨らんだ。


いや、“膨らんだ”という表現は正確ではないかも知れない。

風船みたいな丸さとは真逆な、堀の深いゴツゴツとした岩のような力瘤。


「絃子。ひょっとして、“何か”飲んでる?」

只の第二次性徴で、ここまで筋肉が大きくなったとは考え辛い。


「お兄ちゃん、何言ってるの。『入学祝い』でくれたじゃない」

「・・・え、入学祝い?」

そんなの、いつ渡したっけ・・・。


「・・・あ」

そう言えば、ウチの両親が前に“何か言ってた”ような・・・。


「てっきり、お兄ちゃんが持って来てくれると思ってたのに」

“それ”は、宅配便で絃子宅に届けられたらしい。

勿論、僕は手配なんて一切していない。


『ウチら家族から、で入学祝いは送っておいた』


「思い出した」

ウチの両親、確かにそう言っていた。

だから、個別に何もしなくて良い、とも。


「それって、やっぱり・・・」

「うん。【神のプロテイン】だよ!」

考えれば、普通にわかる事だった。


『アマゾンの秘薬』の一件で、ウチの両親と絃子の間にホットラインが出来て。

芽衣子と同じく、絃子にも勧めていただけの話。


「絃子は、その・・・良いの?」

「ん、何が?」

【神のプロテイン】という特殊さは、置いておくとしても。

『プロテイン』を摂取するという事は、身体を大きくする目的に他ならない。


「身体、とか」

「うん。凄く、絶好調だよ」

絃子が身体を動かす度に肩や腕がモリッ、モリッと盛り上がり。

生地が少ない筈のノースリーブシャツからミチ、ミチッと音が鳴る。


「久し振りに、芽衣子さんにも会いたいな」

「多分、もう直ぐ戻って来ると思うけど」

定期化した車庫の掃除も、そろそろ終えて戻って来る頃合い。


「へへん。楽しみ♪」

僕同様、芽衣子とも暫くは会っていなかったのかな。


「ね。待ってる間、腕相撲でもしない?」

「え、腕相撲って・・・さっき言ってた?」

そうだよ、と言葉短めに肯定。


「え、でも・・・」

僕の体力は、高校生男子と比べてもそう大差ない。

むしろ、運動部な部活男子の方が強いぐらい。


「お兄ちゃんはサービスで、最初から全身使って良いから♪」

そう言って、絃子は有無を言わせず寝そべった。


「・・・ま、まあ少しだけなら」

久し振りの再会なのと、入学祝いを直接届けなかった負い目もある。

少し付き合うぐらいなら、と僕も床に寝そべる。


「・・・っ」

絃子に向かい合ってわかる、絃子の腕の巨大さ。


床に肘を着いて置かれた、『1m』超えの上腕。

それはそのまま、大玉スイカを床に置いたかのようなデカさだった。


スイカと違うのは、桃のように頂上部が二つに割れている事。

文字通りの、『上腕二頭筋』による隆起。


「芽衣子が来るまで、だからね」

「えー。もし勝ったら、『おっぱいタッチ』して良いんだよ?」

絃子は、僕を挑発するように空いた左手で胸元をムニュッ、と揉んだ。


「や、やらないよ。それに、どうせ勝てないし」

「やる前から、それって。何か、男らしくないなー」

大人だからこそ、『TPO』を弁えていると言って欲しい。


「ま、良いや。さ、始めよっ」

「あ、おいっ」

絃子は、ゆっくりと少しずつ、僕の手を倒して行く。


「ぬぅ、ぐ・・・ぁっ」

わかってはいたけど、全く歯が立たない。


「ほら、ほらー」

ただ、手加減されていることは直ぐにわかった。

絃子と僕の筋力差なら、一秒と掛からず瞬殺も可能だろう。


「お兄ちゃん、もっと頑張って」

そうはせずに、時計の短針(時針)が刻むが如く。

カクッ、カクッと小刻みに僕の腕が倒されて行く。


「ぬぐぅ、んっ!」

僕は既に両手どころか、全体重を掛けているのに。

絃子の腕の傾きを一切、止める事が出来ない。


それは、まるで巨大なブロック塀が倒れて来て。

必死に全身の抑えているかのような、感覚。


――と、その時。

ガチャッ、と扉が開いて。


「あら、絃子さん♪」

車庫の掃除を終えたのか、芽衣子が居間に戻って来た。


「あ、芽衣・・・子ぉぁっ」

「ちょ、お兄ちゃんっ」

僕は芽衣子に気を取られたのか、バランスを崩してコテンと転んでしまう。


「ご主人様、大丈夫ですか?」

「あ、ああ。平気、へーき」

殆ど自分から転んだようなものなので、大したダメージはない。

もし、絃子が本気だったら、この程度は済まなかっただろう。


「もうっ。何で、“勝手に負けちゃう”のよっ」

「・・・え」

まさかの、勝者である絃子からのクレーム。


「いや、でも。あのまま続けても、結果は同じだし」

「でも、どうなるかわかんなかったじゃない」

そんな要素、あったか?


あれから、どう展開した所で僕に勝つ目は無かったように思うけど。

それとも、自分で勝ちを決めたかったって感じなんだろうか。


「絃子さん、お久し振りです♪」

「芽衣子さん、久し振り-」

女子二人がキャッキャウフフ、と再会を喜び合っている。

絃子が跳び上がる度に、床がドスンッドスンッと揺れているけど・・・。


「芽衣子さん、凄く大きくなってる・・・」

再会もそこそこに、絃子は芽衣子の身体を触り捲っている。


「勝ってると思ってたのに・・・」

絃子は何度も、自身と芽衣子との間で視線を行き来させた。


絃子の自己申告が正しいのか、身長は絃子の方が高い。

しかし、それ以外の部位は全て、芽衣子の方に軍配が上がる。


「わたし、頑張って大っきくなったのに」

絃子は、肩の高さで力瘤を盛り上げる。

大玉スイカなメートル二頭筋がモゴゴォッ、と再び隆起する。


「あら。絃子さん、凄いです!」

「芽衣子さんも、ほら。盛り上げて見せてっ」

私ですか、と良く理解しないまま、芽衣子も力瘤を盛り上げた。


モゴゴゴォッ!


「・・・っ!」

『125cm』という超ビッグサイズな力瘤に、絃子は目を丸くした。


「やっぱり、負けた・・・。『102cm』もあるのに」

絃子は、芽衣子と並んで立って力瘤を比べ合っている。


「・・・・・」

僕からすれば、『125cm』も『102cm』も大差ないように見える。


両者、二人共。どちらの腕も、僕の胴回りより遥かに太い。

天上人が、お互いを比較しているイメージ。


「でも、パワーなら・・・」

「・・・?」

絃子は何故か、僕の方を見遣る。


「ねぇ、芽衣子さん。腕相撲しない?」

絃子は再び、そんな提案をした。


「え、良いですけど・・・」

芽衣子は芽衣子で、許可を求めて僕を見る。


「お兄ちゃん。やっぱり、『おっぱいタッチ』したくない?」

「いや、だから。それは・・・」

僕はもう、結婚やら何やらが出来る年齢。

従兄弟とはいえ、年下の胸を揉んで社会的に無事で済む訳がない。


「芽衣子さんと腕相撲で勝負して、私が負けたら揉ませてあげる」

『おっぱいタッチ』・・・触る、から揉むにランクアップしてる。


「絃子さん、それは流石に・・・」

芽衣子からも、ストップが掛かる。


「身内同士のスキンシップだから、大丈夫だよ。それに、私の方が強いし」

何だろう。

絃子は何故か、芽衣子に張り合おうとしている。


「ご主人様、良いんですか?」

「うー・・・ん。まあ・・・」

僕は、芽衣子に“目配せ”をした。


「オッケー。じゃあ、やろやろっ」

見た目は美女然とした絃子だけど、こういう根っ子の所はまだ子供なのかな。


テーブルを退けて広くした床に、二人が寝そべる。

とは言え、両者共に『2m』超えの巨体。床に余った空間はほぼ無い状態。


「・・・・・」

どちらも、上腕囲が『1m』を優に超える。

単純な『1m』の球体だとしても、直径は『30cm』オーバー。


上腕の構造的に、高さ『30cm』で済む筈もなく。

二人の力瘤は、立った状態の僕の膝ぐらいまで隆起している。


「お兄ちゃん、号令お願い」

「わ、わかった」

超重量級な二人が向かい合う凄さに気圧されつつも。

何とか、二人に組み合った両手に手を置き。


「レディー、ゴー」

と号令を掛けた。


「「・・・っ」」

二人の吐息音だけが、周囲を包む。


「すご・・・っ」

恐らくだけど、地上最強の筋肉女子二人による頂上決戦。

それだけの迫力が、二人の上腕から感じ取れる。


「ん、ぐぅっ」

しかし、少し経った頃だろうか。

徐々に、腕が傾いて行く。


「んぅ、あぁっ」

バンッ、と遂に床に手が着いた。


「負けちゃいました」

芽衣子の右手が、床に着いていた。


「これで、揉むのは無しだね」

「・・・・・」

勝った当の絃子は、何処か不満気な表情。

不味い、気付かれたかな・・・。


「芽衣子さん、本気じゃなかったよね?」

「い、いえ。そんな事は・・・」

芽衣子は、言い淀む。


咄嗟に目配せした意図を、以心伝心で酌んでくれた芽衣子。

“上手い具合に負けてくれた”と思ったんだけど・・・。


「じゃあ、もっかいやろ」

「わかりました」

差し出す絃子の手を、再びが芽衣子が組み合う。


「今度は、“わたしが勝ったらお兄ちゃんに胸を揉ませる”から」

「え」「ちょ」

僕と芽衣子が同時に驚いた隙に、絃子がゴーの掛け声で再戦を開始した。


「ん、ぐ・・・」

「・・・んぅっ」

さっきとは、空気がまるで違う。

大型の肉食獣同士がぶつかり合うような、緊迫感。


「・・・っ」

空気がビリビリと揺れる、のはこういう事を言うんだろうか。

明らかに、両者共に本気。ガチで、フルパワー。


「ぬ、ぎぃ・・・っ」

「ん、んぅっ」

一戦目とは、真逆の展開だった。

徐々に、少しずつ芽衣子の腕が押して行く。


「ぬぐぅっ、あぁっ」

絃子の美人顔に似付かわしくない、踏ん張りの気合い声。


「う、っそ。つ、っよ・・・」

それが、絃子の断末魔の台詞だった。


お互いの剛腕で以って、全力を出し合った結果。

バンッ、と絃子の右手が床に着地していた。


「もー。芽衣子さん、強過ぎだよー」

「絃子さんも、凄く強かったです」

汗ばんで、肩で息をしている芽衣子を初めて見た。


勝敗を分けた点を探すのであれば、やはり力瘤の差、だろうか。

二人の上腕サイズの差、『23cm』は女子一人分の腕周りと同じ。


サイズが大き過ぎて感覚が狂うけど、一人分の腕の差は大きい。

純粋な筋力比べなら、単純に筋肉量が多い方が勝つ。


「お兄ちゃん、覚えておきなさいよ」

「え。何で、僕なの」

絃子は何故か、負けた悪役みたいな台詞を僕に吐いたのだった。

Comments

感想、ありがとうございます。 200kg超シリーズは、何処かのタイミングでまた続きを書きたいと思っています。

デアカルテ

感想、ありがとうございます。 二人の対決は書いてみたかったので、書けて良かったです。

デアカルテ

腕相撲シチュ大好きなのでとてもありがたい!勝負が決まるときのセリフが絶望感あって良いですね(°▽°) 筋肉怪力女子のいる学園も覗いてみたいですね!きっと生意気してる運動部を懲らしめたりしてるんじゃないかと妄想してますw

Nogi_(°Д°)

投稿お疲れ様です もし機会があれば200kg超の彼女の続きを見たいのでまた書いていただけると嬉しいです

NL


More Creators