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筋肉の楽園04「M:ミイナ」

「へー、そんな事があったのか」

「ええ、そうなんです」

道すがら、俺は先輩に前回あった事を話していた。


「そういや、背の高いキャストが居た気がするな」

先輩はどうやら、【L:レイコ】さんの接客は受けた事がないらしい。

多くの人に薦めたい反面、自分だけが知っていたいと思う、二律背反。


「先輩って、どういうキャストが好みなんですか?」

「ん、俺か?」

昼間の会社どころか夜の居酒屋ですら聞けない、ディープな話題。


「俺はなぁ、“何でも御座れ”だぜ」

先輩は、親指を立てながらニカッと笑った。


「何でも、って・・・」

「そりゃあ、お前ぇ。何でもは、“何でも”だよ」

先輩の持論は、『筋肉に貴賤(きせん)は無い』だった。


細マッチョだろうが、バルキーだろうがお構いなし。

拘らないのが、拘り。


「まあ、ぶっちゃけて言えば、顔が好みかどうかかな」

「うわぁ・・・マジ、すか」

今のご時世、ネットで炎上しそうな発言ではある。

いや・・・むしろ、清々しい程にルッキズムの権化とも言えるか。


「大丈夫だよ。お前の【L:レイコ】ちゃんは取ったりしねぇから」

「いや、そんな・・・」

まだ、単に気に入ったって話をしただけに過ぎない。


「俺からすりゃあ、もっと色んなキャストと同席した方が良いと思うけどな」

実際、【指名権】は幾らお金を積んでも買えない。

【ポイント】を貯めて、『10pt』使う以外の手段が無いのだ。


お店としては、何度も通う“常連”相手のサービス設定。

それだけ、多くのキャストを見て欲しいという意図があるのだ。


“たった一回や二回”の来店、一目惚れで決めるのではなく。

様々なキャストと触れ合った上で“推し”を決めて欲しい、という店の方針。


「それはまあ、わかりますけど・・・」

先輩には悪いけど、俺はバルキー派なのだ。


夜のお店である以上、みんなルックスは綺麗で可愛い。

それであれば、俺は“筋肉の好み”で決めたいと思うのだ。



「嶋田様。ようこそ、お越し下さいました」

地下に降りて豪奢な扉を開けると、いつもの受付嬢がお出迎え。


「本日は、【特別デー】となっております」

「本当ですか!?」

先輩の目が突然、爛々と輝く。


「おい。今日は来て良かったな」

「え、何の話です?」

そもそも、【特別デー】って何の事だろう。


「入れば、直ぐにわかる」

「入れば、って・・・」

店内は一見、いつも通り・・・に見えた。

客の多さは普段通りだし、間取りが変わっていたりもしない。


「・・・うわぁっ!?」

しかし、『筋肉嬢(キャスト)』の衣装が全く違った。


ブレザー制服に、セーラー服。OL風なブラウスに、タイトスカート。

チャイナドレスには、ガッツリとスリットが入っていたり。


「何です、これ・・・」

「今日は、“コスプレデー”って所か」

その通りでございます、と受付嬢は微笑んだ。


「でも、先輩。今日来るまで、そんな事は一言も・・・」

「だって。俺も、聞いてないからな」

一見さんお断り、完全予約制の『M倶楽部』。

その予約を取った先輩が聞かされていない、なんて事があるんだろうか。


「会員規約にも書いてあったろ。ちゃんと読んだのか?」

「あ、いや・・・」

会員証兼ポイントカードとは別に、規約が書かれた小冊子も手渡されている。

・・・が、流し見してしまって、ちゃんと読み込んではいなかった。


「・・・お前。詐欺にだけは、気を付けろよ」

「だ、大丈夫です。覚えてますよ」

言い訳しつつ、記憶の奥から何とか引き摺り出す。


【会員規約】※抜粋

●予告なく、【特別営業】を行う場合があります。

●お客様の集中を避ける為、【特別営業】に関するお問い合わせは受けていません。


事前に【特別デー】がバレてしまうと、その日に客が集中してしまう。

客商売として、過ぎた混雑はサービスの低下に繋がる。


懸念としては、客側がゲリラ開催の【特別デー】を嫌った場合。

その場合は、『値引きチケット』を貰えて、予約も別日に振り替えてくれるそう。


「【特別デー】だからって、帰った客は見た事ないけどな」

まあ、そりゃそうだろう。


只でさえ、外では滅多にお目に掛かれない筋肉美女たちが居て。

更に、多種多様なコスプレで接客してくれるのだ。


こんなの、ご褒美以外の何物でもない。



「本日は、【M:ミイナ】が担当させて頂きます」

席に通されると、お決まりの挨拶で『筋肉嬢』がお出迎え。


「おー、ミイナちゃん。ご無沙汰だねー」

「嶋田さん、お久し振りです。なかなか来てくれなくて、寂しかった♪」

恐らくは営業トークだろうけど、先輩はニヤケ顔で満更でもない感じ。


「今日の私、どうです?」

「ブレザー制服って、またマニアックだね」

【M:ミイナ】さんは所謂、ブレザータイプの学生服を着ていた。


「えー、何その反応。それって、褒めてます?」

「いやいや、勿論。凄く新鮮で、良い感じだよ」

【M:ミイナ】さんは、初めて来た時に先輩の相手をしていた。

先輩越しに少し会話したぐらいだけど、それなりにバルキーだった筈。


だけど、今着ているブレザーのせいか、身体の厚みはそれ程でもなくて。

チェックのスカートも太腿を覆い隠しているので、パッと見は女子高生。


「私、着痩せするタイプなんですよね」

ブレザーを脱ぐと、中には白いブラウスを着ていた。


「すご・・・っ」

ブラウスの胸元はドンッと膨らんでいて、ボタンの隙間が大きく空いている。

赤い下着らしき物が、チラッと見えてしまっている。


「ミイナちゃん。それ、サイズ合ってるの?」

「うーん。これでも、『XL』なんだけどぉ」

丈は足りているので、サイズ自体は間違っていないように見える。


「じゃあ、さ。力瘤、見せてよ」

「えー、いきなり? まあ、良いけど」

先輩は【M:ミイナ】さんに接客慣れしているのか、グイグイ行く。


「・・・ん」

【M:ミイナ】さんは、肩の高さで長袖を『くの字』に曲げる。


モリッ・・・ミチチ、ビリィッ!


「・・・あ」

元からして、半袖だとアリアリと目立つ力瘤を持つ【M:ミイナ】さん。

曲げればどうなるかは、自明の理。然も有りなん。


砲丸と見紛うような、丸々と盛り上がった上腕二頭筋。

【L:レイコ】さん程ではないとは言え、普通の男では並ぶべくもない。


「“今は”、着痩せする所を見せたかっただけなのに」

「はははっ。ごめん、ごめん。ボトル入れるから、許して」

折角のコスプレデーなのに、いきなり着破いてしまっては元も子もない。


「本当は、“後から”やる筈だったのよ。もう、嶋田さんの意地悪っ」

「・・・へ?」「後から・・・?」

先輩も予想してなかった回答なのか、俺と顔を見合わせる。


「ふふっ・・・」

【M:ミイナ】さんは俺たち二人の反応を見て、不敵な笑みを浮かべる。

水割りを作り終えると、ボトルを少し離れた所に置いた。


「・・・んぅ」

おもむろに、豊満なバストの下辺りで両拳をグッと握る。


グググ・・・モリ、モリリッ。


汗・・・は、掻いているように見えない。

純粋な肉体の隆起で、徐々にブラウスが【M:ミイナ】さんの肌に張り付いて行く。


ミチ、ミチチッ。


「・・・ふぅんっ!」

ピチチッ・・・ブッ、バァンッ!


「「っ!!?」」

【M:ミイナ】さんは、上半身の筋肉でブラウスをビリビリに引き裂いてしまった。


「どう? 凄いでしょ♪」

「どう、って・・・」「凄い、なんてモンじゃないですよっ」

俺たち二人は、まさかのパフォーマンスに狂喜乱舞した。

勿論、他の席の客に迷惑にならない程度、ではあるけれど。


「でも、服を破いたら下着が・・・あ」

【M:ミイナ】さんは、ブラウスの中に水着を着ていた。

赤く見えたのはブラジャーではなく、いわゆる赤ビキニだった。


「【M:ミイナ】ちゃん、ちょっと大きくなった?」

「そうなの。わかります?」

【M:ミイナ】さんの事を見慣れた先輩が言うんだから、間違いないだろう。


「そろそろキツくなって来てたから、行けるかな?って思って」

『XL』って、メンズだったとしても大きい部類のサイズ・・・の筈。


今、俺が着ているワイシャツは『M』サイズ。

男女のサイズ差って確か、二つ分ぐらいだから同じ物だと想定して。


じゃあ、このワイシャツを着破れるかって言えば到底、無理な話。

改めて、この『M倶楽部』の『筋肉嬢』の凄さを思い知る。


「でもねー。今日は、“この程度”で驚いたらダメなの」

「どういうこと?」

これ以上、もっと凄いパフォーマンスを見せてくれるって事なのかな。


「“この界隈”には、ね。上には上が、居るの」

「それ、って・・・」

まさか、【L:レイコ】さんの事なんだろうか。

それなら、俺は既に凄さを味わっている。


「期待の“超大型”新人、よ♪」

「・・・え、新人?」

【L:レイコ】さんってベテランまでは行かなくとも、新人・・・じゃないよな。


ぬぅっ。


「「・・・っ!!?」

突然、俺たちどころかテーブル全体に、大きな影が覆い被さる。


「あら、丁度良い所に来たわね。自己紹介して」

【M:ミイナ】さんが、そう促す。


「初めまして。私、【L:ルーナ】と申します」

見上げるような巨大な影を纏った人物は、そう名乗ったのだった。

Comments

感想、ありがとうございます。 次の回で、怪力シーンは入れたいと思っています。

デアカルテ

筋肉娘のコスプレとはなんで素敵なサービス(°▽°) そして期待の超大型新人!まさに文字通りなんでしょうね!ルーナさんの見た目とても気になりますし、このお店のキャスト達の怪力シチュもめちゃくちゃ見てみたいです٩( 'ω' )و (このお店はキャスト同士で怪力披露とか力比べとかしたりするんでしょうか) とても素敵な引きで、次の投稿がとても楽しみです(°▽°)

Nogi_(°Д°)


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