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筋肉の楽園05「L:ルーナ」

「ル、ルーナ・・・さん?」

「そんな、畏(かしこ)まらないで・・・。ルーナ、って呼んで下さい」

【L:ルーナ】さ・・・ちゃんは、ペコリと頭を下げた。


ペコリ、というよりは。身体を深々と九十度に曲げた、姿勢の良いお辞儀。

にも関わらず、【L:ルーナ】ちゃんの頭は俺の遥か上に在った。


「その、何て言うか・・・」

「ふふっ♪ 凄いでしょ」

【M:ミイナ】さんが、まるで自分の事のように誇らし気だ。

兎に角、大きいとしか言い表しようがなかった。


【L:レイコ】さんも確かに、デカかった。

その感想は、今でも変わらない。


それでも僕や先輩、【M:ミイナ】さんとか他キャストと比べて、という注釈が付く。

一般的な成人と比較した上での、相対値。


【L:ルーナ】ちゃんは“縦方向”に、巨大だった。


身に纏うチャイナドレスのスリットから覗く脚は、凄まじく長い。

単純な股下でさえ、俺の座高より何センチも上に位置している。


【L:レイコ】さんが、八頭身の長身美女なら。

【L:ルーナ】ちゃんは、九頭身な“超大型”美女。


緩くウェーブの掛かった黒髪のロングヘア。

垂れ目に泣きボクロという、何処か“ママ味”のある美人。


「何か・・・その、スポーツでもやってたの?」

【L:レイコ】さんを除けば、この場の誰よりも大きな体格。

それでいて、【L:レイコ】さんとは路線の異なる、ムチムチッとした身体。


陸上競技のような、体脂肪的な意味で絞った感じがなく。

有酸素運動で鍛えた、厚みのある筋肉。


「はい。学生時代は、バレーボールをやってました」

『通(どお)りで、道理が行った』と、先輩は一人で勝手に得心している。

とは言え、俺も彼女の佇まいには納得が行った。


「“ました”、ってことは・・・」

「はい。今は、やってません」

趣味の郊外活動で、文字通りの『ママさんバレー』に混ざる程度らしい。


「私、球技そのものが余り得意ではなくて・・・」

彼女は、お腹辺りで両手を組んで身を竦(すく)めた。


むぎゅうっ。


「へぇ、“球”技が・・・」

太い二の腕に挟まれる形で、チャイナドレスの胸元がドンッと前方に飛び出す。


“それ”は決して、バレーボール選手だから、ではないだろうけど。

乳房一つ分でバレーボール一個とタメを張る、ビッグなバスト。


「あらあら・・・」

【L:ルーナ】ちゃんは俺の視線に気付く、も。


「うふふっ♪」

「は、ははっ・・・」

俺はバツが悪くなり、つい苦笑い。


「【L:ルーナ】ちゃん、ごめんね。俺の後輩が、嫌らしい目で見ちゃって」

「いえ、慣れっこですので♪」

好きなだけ見て下さい、とまで言われてしまった。


「何だ? “前みたい”に、突き飛ばされるとでも思ったのか」

「え、いや。はは・・・」

以前、【S:セイラ】さんに押されてソファーを滑った事があった。

一般的な成人体型の俺を片手で突き飛ばすぐらい、この店の『筋肉嬢(キャスト)』はパワフル。


「でも、身構えていれば、大丈夫ですよっ」

俺は気恥ずかしさからか、張らなくて良い意地を張ってしまう。


「【L:ルーナ】ちゃん。“サービス”の一環だと思って、さ」

「えー、と。じゃあ、『何処を見てるんですかぁ♪』っと」

彼女としては軽いスキンシップ、ぐらいの力加減・・・だったんだろう。


どんっ。


「へ・・・っ? うぉあっ」

俺は、長ソファーの上を“滑空”した。

サーブされるバレーボールの感覚って、こんな感じなんだろうか。


「だ、大丈夫ですかっ!?」

慌てて、【L:ルーナ】ちゃんが駆け寄る。


「だ、だいじょ・・・」

彼女の右手が俺の背中を支えた、と思った瞬間。


「うぇっ!?」

一瞬で、俺の全身は宙空高く持ち上げられた。


「何処も、怪我してないですかっ?」

【L:ルーナ】ちゃんは右手一本で、俺を“お盆持ち”しながら。

空いた左手で、俺の全身を弄(まさぐ)っている。


「ちょ、高っ。く、くすぐったい」

「あ、ごめんなさい」

彼女は“俺を持ったまま”、ペコリと頭を下げた。


「う、うぉっ!」

俺の身体が、宙空で一メートルぐらい上下する。


横に吹っ飛ばされ、縦に揺られて。

まるで、ジェットコースターに乗ったかのような気分。


「す、凄い“力持ち”だね」

背丈や体格は様々、『筋肉嬢(キャスト)』毎に個性はあるけれど。

共通しているのは筋肉の凄さ。そして、それに付随する筋力の強さ。


「うふふ、そうですか?」

チャイナドレスの肩口から伸びる左腕を軽く折り曲げる、と。

モゴォッ、と大きな力瘤が盛り上がった。


「レイコ先輩には、敵わないかもですけど」

バルクもカットも、確かに【L:レイコ】さん程ではないにしろ。

それでも、ハンドボールと見紛うぐらいには大きな力瘤。


背が高ければ腕や脚が長くなり、搭載する筋肉の“余地”も増える。

言い換えれば、筋量を増やす難易度が上がる。


パッと見のシルエットで言えば、厚みは【L:レイコ】さんが勝る。

だけど、体重・・・もしくは、筋量に関して言えば良い勝負なんじゃないだろうか。


「でも、その・・・本当に大きいですね」

【L:ルーナ】ちゃんと向かい合って、立って並ぶと。

俺の目線の先に、バレーボールバストがドンッと迫って来そうな勢い。


「うふふ、照れちゃいます♪」

【L:ルーナ】ちゃんが身を捩(よじ)る度に、爆乳がぶるんっと揺れる。


「今日は折角の【特別営業】ですし、軽い“余興”でもどうですか?」

突然の提案。


「余興?」

『筋肉嬢(キャスト)』たちと楽しくお喋りしながら酒を呑む、がいつもな感じ。


当然ながら、お触りはNG。

『クラブ』なので、そういう営業で間違っていない。


「もうっ。もう少し、自然に提案しなきゃ」

「す、すみません~」

【M:ミイナ】さんが、【L:ルーナ】ちゃんにフォローを入れる。

大柄な超大型新人だけど、接客面ではまだまだこれから・・・な感じなのだろうか。


「“多少の触れ合い”なら、今日はオーケーなの」

【M:ミイナ】さん曰く、卑猥にならない程度ならスキンシップも可能らしい。


「こほんっ。では、改めまして・・・」

【L:ルーナ】ちゃんが、テーブルにドンッと右腕を置いた。


「私の“右腕を倒せたら”、一つだけ【身体値】を公開します」

「腕相撲とは、違うの?」

【L:ルーナ】ちゃんは、肘を付いて右腕を置いている。

体勢的には、どう見ても腕相撲な感じ。


「腕相撲で勝負したら、私でも瞬殺されちゃうのよ」

【M:ミイナ】さんが、苦笑いしながらそう言った。


「【M:ミイナ】ちゃんが、瞬殺・・・?」

先輩が、目を見開いて驚いている。


それもそう、か。【M:ミイナ】さんは、先輩のお気に入り。

パワーの度合いも勝手知ったる何とやら、だろう。


「筋肉の彫り(カット)なら、負けないんだけどね」

ブラウスを着破ってしまい、上半身は赤ビキニのみ。

そのせいもあり、逞しい上半身が露わになっている。


「私だって、その辺の男には負けないんだけどね」

グッと右腕を折り曲げると、バッキバキに筋張った力瘤が盛り上がる。


「それは、つまり・・・」

勝負は、腕相撲ではなく。

あくまで、【L:ルーナ】ちゃんの“右腕を倒す”こと。


「全身を使っても・・・?」

「ふふっ、はい♪」

右腕を置いたまま、【L:ルーナ】ちゃんは優しく微笑んだ。


「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

【L:ルーナ】ちゃんの人柄のせい、なのかな。


不思議と、馬鹿にされたような感覚はなかった。

冷静に考えれば、『腕相撲では相手にならない』と言われたに等しい。


しかし、俺の身体は、片手でヒョイッと持ち上げられ済み。

【M:ミイナ】さんの話がなくても、違和感はなかっただろう。


「ぬぐ・・・ぅっ!」

「・・・♪」

両手で引いてみる。


「ふぅん・・・っ!」

「・・・♪」

全身で、体重を掛けるように押してみる。


「んぅ、ぐ、あ、あぁっ!」

つい、大きく声を荒げてしまった。


「はぁ、はぁ・・・っ」

スーツの上着を脱ぎ、シャツの袖を捲り。

俺自身が思う限り、ありとあらゆる力の掛け方を試してみても。


「うふふ」

ホンの数分とはいえ、全力を出し続けるには余りに長い時間だった。

それでも、【L:ルーナ】ちゃんの右腕は微動だにしなかった。


「ふー、降参」

今、気付いたけど。

テーブルの上のグラスやらボトルは一切、“片付けられていなかった”。


最初から、負ける想定をしていなかったことになる。


「まるで、岩か何かを相手にしてるようだったよ」

つい、その気なく嫌味な表現になってしまった、と思った。


「あ、ごめ・・・」

「うふふ、このお店では誉め言葉です♪」

【L:ルーナ】ちゃんは、特に気にしていないよう。


「頑張ってくれたご褒美、あげても良いんじゃない?」

【M:ミイナ】さんが、まさかの俺の為にフォローを入れてくれる。


「お客さん。その代わり・・・ね?」

「う・・・」

詰まる所、『ボトルを入れてくれたら』が交換条件だった。


「おい、【M:ミイナ】ちゃんがここまで言ってくれてるんだ」

「う、先輩まで・・・」

完全に外野な筈の先輩まで、俺にボトルを強要する始末。

それって、パワハラなんじゃなかろうか・・・。


「じゃあ・・・」

と言い掛けた、矢先。


「おい。そのゲーム、俺にもやらせてくれよ」

別のテーブルで飲んでいた客が、突然絡んで来たのだった。

Comments

感想、ありがとうございます。 ルーナは、アンケ主体で描いたキャラなので中々難しい面がありますが、喜んで頂けて幸いです。

デアカルテ

とても!とても素敵な展開ですね!! ルーナ嬢のポテンシャルもめちゃくちゃ良い!! ルーナ嬢をはじめこのお店に努めている女性たちのデータとかとても気になりますね...あとは学生時代の活躍とか・・・(//△//)このシリーズとても癖に刺さっているので毎回の更新とても楽しみにしています!今回もありがとうございましたm(-人-)この先の展開もとても楽しみです٩( ᐛ )و

Nogi_(°Д°)


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