この母屋から離れた格技室にはもう、二人しかいない。
ろ組頭領である泉は、別室で自身の生徒たちに座学を教えている。
切なげな呼吸とともに獣の盛り声のような醜い呻き声が絞り出されている。
「うぅ…、あれ…?そうか、私…イ…ッ!」
ゆっくりと体を起こそうとするが、腹に痛みが走る
「無理しないで、シノブちゃん。泉さんは大丈夫って言ってたけど、それにしても、よかったぁ~」
シノブが目覚めてホッとする楓。
近接格闘術の訓練で耐久力に難のあったシノブを強化するため、腹打ち稽古をしていた楓であったが、シノブが途中で失神してしまい看病に当たっていた。
「今日の合同訓練はもう終わったから、シノブちゃんが動けるようになったら、帰っていいって、無理なら寮に泊まっても大丈夫らしいけど…」
起き上がることが出来たシノブを背に身支度をしていた楓。
しばらく返事が無いので振り返ると、シノブは再びボクシンググローブを嵌め、お腹を無防備に曝け出して立っている。
「シノブちゃん、無理は良くないよ。動けるなら帰ろう?」
楓の心配をよそにシノブは真な眼差しで
「楓さん、もう3分だけ突き合ってください」
シノブの気迫に圧倒され、楓はこの言葉の本当の意味を理解せず渋々了承してしまうのである。
それから、3分後。
ポムッ!
「う゛ッ!」
ドズッ!
「卯゛ゲェッ!」
グボッ!
「オ゛ヴッ!」
ドプッ!
「卯゛ッ!」
ドチュ!
「卯゛ッ!」
あれから、何発かシノブの腹にパンチを放った楓だったが、やはりシノブは蹲ってしまった。
介抱しようと肩を抱いたところで腹部に鈍痛が走った気がした。
気が付くと、楓はシノブの肩にしがみ付き、パンチを受けていた。
外したはずのトラ耳カチューシャまで身に着けている。
それに体が熱い…。その証拠に腰をくねらせながら、シノブのパンチを催促している。
後にシノブ渾身の当て身で気絶させられ、口移しで丸薬を飲まされ、ねっぷり腹をマッサージされ、強制的に立たされ腹打ちをされていたことが分かり、丸薬も媚薬の一種であったことが判明した。
当然、音速丸はしばらく身動きが取れない程、楓に凹々にされたことは言うまでもない。
End.
CA Juug
2023-03-09 19:36:52 +0000 UTC