町に不審者が現れたとの情報を受け、美少女仮面は現場に急行した。
ビル建設中の工事現場に逃げ込んだらしい。今日は休日らしく作業員は見当たらないので、人知れず戦闘を行うには好都合な状況だった。
しかし土地は広く物陰も多い。不審者の捜索は困難を極めそうだ。
端から順に調べていこうとした時、突如身体と足に長いものが巻き付けられ、その勢いに押されて地面に伏してしまう。
「痛ぁッ──なっ、何これ!?」
見ると鉄球付きのワイヤーが美少女仮面を縛り上げてしまっていた。
「油断したな美少女仮面。どうだ、俺の鉄球ワイヤーに手も足も出まい」
この奇妙な武器の持ち主と思われる男──例の不審者が姿を現した。
「くっ……こんなのすぐに外してやる……!」
「無駄だ。クククッ、その鉄球は一つあたり100kgを超えている」
この小さな玉に自分の倍近い重量がある。ワイヤーの締め付けはスーツの特殊な繊維によって痛みが軽減されているものの、重さへの抵抗は美少女仮面本人の筋力のみで行わなければならない。
「このっ、このぉっ……!」
手間取っている間にも不審者は美少女仮面に歩み寄っていた。
瞬く間にさらに抵抗できない格好に縛り直された美少女仮面は、その首に巻き付けられたワイヤーによって苦しめられていた。
「細い首だなぁ。この鉄球をちょっと蹴り転がせばあっという間に息の根が止まっちまうぜ?」
「や、やめ……あ……ッ」
縛られた手足は重りのせいでとても振り解けそうにない。
「ヘッヘッへ、命を握られてる感覚はどうだい?」
いやだ、こんな所で死にたくない。
どんな悪にも屈さず気丈に戦う美少女仮面も今は心の中で悲痛な叫び声を上げるしかない。美少女仮面は応援が駆けつけ事なきを得るまでの間、自身の無力さを思い知らされるのだった。