女王様は臭いのがお好き?
Added 2023-02-25 15:55:26 +0000 UTC綺麗な薔薇には棘がある。 誰が言い出したのかは知らないが、これは彼女――クズハも例外ではない。 毛利(もうり)クズハ。 背はすらりと高く、艶やかな黒髪は腰の辺りまで伸びている。 顔立ちも整っており、身に纏う妖艶な雰囲気が見る者を虜にする。 だが、彼女には誰も知らない秘密(とげ)があった。 今、その秘密(とげ)が1人の少女へと突き立てられようとしていた。 * 聖芳風(よしかぜ)女学園。 淑女の育成を目的として創立された、俗にいう「お嬢様学園」だ。 この学園の2年生である私――毛利クズハにとって、この学園は美しい蝶たちの舞う最高の花園だ。 しかし、その花園の一員である私は、彼女たちのような蝶ではない。 同じように例えるなら、私はハナカマキリ。 花園に紛れて獲物を狙う狩人である。 放課後になると、私はよく学園の裏庭へとやってくる。 お目当ては大きな木の陰に置かれた、ボロボロの木箱だ。 大きさは大人2人が余裕で入れるぐらいで、昔はゴミ箱として使われていたらしい。 「よし、大丈夫ね」 周囲に誰もいない事を確認し、私は木箱に背を向けてスカートをたくし上げる。 この木箱の正面には、腰より少し低い位置に直径15cmほどの穴が空いている。 私はその穴にお尻を近付け、お腹に力を込める。 直後、 ブッフウウウォォォォーーーッッ!! お尻から溢れ出した臭気の塊――オナラが木箱の中に流れ込む。 この学園では「公衆の面前での放屁」が校則で禁止されている。 その上、学園の敷地に対してトイレの数が非常に少ないため、我慢できなくなった生徒たちがこの木箱の中にオナラをするのが長年の慣習となっているのだ。 「んっ!」 ブブブオオオォォォーーッッ!!ブブブウウウウウーーーッッ!! 「ふぅ・・・」 続けて2連発のオナラを放ってから、スカートを戻して木箱の穴に顔を近付ける。 「んんっ、今日も最悪(さいこう)に悪臭(いいにお)いね」 鼻の奥を抉ってくるような悪臭(におい)が私の頭を痺れさせる。 私はまだ飲めないが、おそらくこれから出会うどんなお酒もこれほど私を酔わせてはくれないだろう。 それだけ私にとって「女の子のオナラ」は最高の嗜好品なのだ。 とはいえ、自分のオナラでは、その魅力も半減してしまう。 やはり自分以外の、それも可愛い女の子のオナラでなくては―― 「この箱の中に入ってみようかしら?」 口に出してみて、すぐに頭を左右に振る。 いくら女の子のオナラが魅力的とはいえ、この箱の中に入るなんて馬鹿げている。 こんな埃っぽい箱の中では、オナラの純粋な悪臭(におい)を味わう事ができないでないか。 やはり女の子のオナラを嗅ぐなら、お尻に顔を押し付けて心行くまで悪臭(におい)を堪能したい。 「まあ、叶わぬ夢だけどね。さて、そろそろ行きましょうか」 オナラの悪臭(におい)が薄まってきたところで、私は着衣を正して裏庭を後にした。 * 数日後、ある休日の午後。 私の願いは思ったより早く叶えられた。 「まさかこんな物が存在するなんて・・・!」 寮の管理人から受け取ってきた大小の2つの小包を抱え、私は胸を躍らせる。 差出人の名前は、桐生(きりゅう)エリカ。 私の秘密を知る数少ない友人である。 (これさえあれば・・・) 逸る気持ちを抑えながら、小さい穂の小包を開封する。 中に入っていたのは、目薬ほどの大きさの茶色い小瓶。 アロマオイルのラベルが貼られているが、これはあくまで偽装に過ぎない。 (さあ、始めましょうか) 居ても立ってもいられず、すぐさま行動を開始する。 「メグミ」 「どうしたの、クズハちゃん?」 私の呼び掛けに応じたのは、身長150cmほどしかない小柄な少女。 君原(きみはら)メグミ、私のルームメイトだ。 濃い茶色の髪をいわゆる姫カットにしており、その可愛らしい顔立ちはどこか小動物を連想させる。 「ちょうどいい時間だし、そろそろお茶にしない?」 「いいですね。それじゃあ、支度してきます」 「あっ、今日は私が支度するから、メグミは座ってて」 「えっ、でも・・・いいんですか?」 「勿論よ」 メグミの言葉に頷いて、私はお茶の支度すべくキッチンに向かう。 この時、袖の中にあの小瓶を忍ばせる事も忘れない。 私はコーヒー派だが、今回はメグミの好みに合わせるとしよう。 茶葉を蒸らし終わったところで、ポットの蓋を開けて小瓶の中の液体を数滴、紅茶の中に投入する。 後は蓋を閉め、ポットを軽く揺らして掻き混ぜれば準備完了だ。 「お待たせ」 「ありがとう、クズハちゃん」 「ふふふ、御礼なんていいわよ。いつもメグミにやってもらってるんだから」 そう言いながら、私は紅茶とクッキーの載ったトレーをテーブルに置き、それぞれのカップに紅茶を注いでいく。 「どうぞ、召し上がれ」 「いただきます」 メグミがカップを手に取り、ゆっくりと口へと運ぶ。 カップの縁がメグミの口に触れ、コクリと小さく喉が鳴る。 (第1段階は成功ね) 後は薬の効果が出てくるのを待つだけだ。 エリカによれば、あの薬は10分ほどで効果が出てくるらしい。 (後9分50秒・・・) これまでの人生で、最も長い10分だ。 「んっ・・・」 9分45秒ほど経ったところで、メグミが小さく声を漏らした。 同時に、左手でさり気なくお腹を押さえ始める。 「どうしたの、メグミ?」 心配しているのを装っていても、自然と口角が持ち上がっていくのを止められない。 だが、今のメグミにはそれに気付く余裕はないようだ。 「ご、ごめんなさい。私、ちょっとお手洗いに・・・」 メグミが立ち上がろうとしたところで、 ガシッ! 私は彼女の腕を掴んで制止する。 「お手洗いに行く必要はないわ」 「えっ?」 戸惑うメグミの隙を突いて、私は素早く彼女を背後から羽交い絞めにする。 「ク、クズハ、ちゃん・・・?」 「我慢しないで出しちゃっていいわよ、オ・ナ・ラ」 耳元で囁くと、 「っ!?どうしてそれを・・・」 メグミがわかりやすく驚いた表情を浮かべた。 「今飲んだ紅茶に、ほんの少しお薬を入れておいたの。オナラがブーブー出て止まらなくお薬をね」 「そ、そんな・・・!どうして・・・」 前述のように、この学園では「公衆の面前での放屁」が校則で禁止されている。 だが、どうでもいい。 「私ね、女の子のオナラが大好きなの。特に、メグミみたいな可愛い女の子のオナラがね」 私はメグミのオナラを嗅ぎたいのだ。 「や、やめて、クズハちゃん・・・」 メグミが消え入りそうな声で懇願してくる。 だが、それは完全に逆効果だ。 その恐怖に歪む顔が、瞳に浮かぶ涙が、私の嗜虐心を掻き立てる。 「さあ、そろそろメグミのオナラを堪能させてもらいましょうか」 「きゃあっ!?」 メグミをベッドに押し倒し、そのまま彼女のお尻に顔を埋める。 「ダ、ダメ、クズハちゃ・・・っ!?」 私の鼻先がお尻の中央に息づく窄まりに触れた瞬間、 ブブブブブウウウゥゥゥゥッッッ!!! 人肌の熱風が私の顔を包み込んだ。 「ん~~~~~っ!」 まるで頭を棍棒で殴られたような衝撃。 強烈な硫黄臭が鼻の中を暴れ回り、頭の中でバチバチと火花が散る。 「クズハちゃん、大丈夫!?」 頭上からメグミの心配そうな声が降ってくる。 こんな状況でさえ私の心配をするというのが何とも彼女らしい。 だからこそ、 「大丈夫よ。それよりメグミの可愛いオナラ、もっと嗅がせてちょうだい」 私も正直に答えて、校則指定の白いショーツを剥ぎ取る。 露わになったメグミの菊蕾はキュッと閉じており、押し寄せてくるオナラを必死に食い止めていた。 「頑張ってるわね。でも、無駄よ。こうすると――」 私はメグミの努力を称賛しつつ、舌の先端で菊蕾をツンツンとつついてやる。 「ひゃあっ!?」 効果は覿面だった。 ブブブブウウゥゥゥーーーッッッ!!! すぐに菊蕾は決壊し、大量のオナラが噴き出してくる。 「っっっっっ!?」 1発目以上に強烈な硫黄臭が鼻へと流れ込み、視界が黄土色に染まる。 「ああっ、これ、この悪臭(におい)よ!この悪臭(におい)が嗅ぎたかったのよ!」 歓喜のあまり、意図せずして声を上げてしまう。 想像通りの、いや、想像以上に強烈なオナラだ。 メグミのような可愛い女の子がこれほどの臭気を生み出した。 その事実だけで、私の脳細胞がトップギアに入る。 「もっと!もっと嗅がせて!メグミのくっさいオナラ!」 さらにオナラを味わうべく、舌を細くしてメグミの菊蕾に捻じ込んでいく。 「ダ、ダメ、クズハちゃ・・・んあああああっ!?」 ブッブウウウウウウウウウーーーッッッ!!! メグミの上の口からは甘い声が、下の穴(くち)からは強烈な臭気が同時に溢れ出す。 「ふふふ、ウンチみたいな悪臭(におい)が混じってるわね。もしかして便秘なの?」 「・・・」 私の問い掛けに、メグミは答えない。 だが、赤みを増した顔が何よりの答えだ。 私はさらに舌を腸内へと侵入させていくが、舌先に触れるものはない。 どうやら便秘といっても軽度のもののようだ。 「ふぅ、さすがに舌が疲れてきたわ」 「・・・」 私が腸内から舌を抜くと、メグミが目に見えて安堵の表情を浮かべる。 しかし、それは完全な糠喜びだ。 舌が疲れたのなら、責め方を変えればいいのだから。 「ちょっと失礼するわね」 私は一旦メグミのお尻から顔を離し、ショーツを脱ぎ去る。 「ク、クズハちゃん、何を・・・?」 「さあ、第2幕を始めましょう」 私はメグミの上にシックスナインの態勢で覆い被さり、自分のお腹をメグミのお腹に押し付ける。 直後、 ブボボボオオオォォォォォーーーッッッ!!! 爆音と共に、猛烈な臭気が私の顔を呑み込む。 同時に、 ブビビビビビィィィィィィ~~~ッッッ!!! 私のお尻からも豚の鳴き声のようなオナラが噴き出した。 「あぁっ!」 「んんっ!?」 歓喜と苦悶。 私たちの口から正反対の声が漏れる。 「どうかしら、メグミ?私のオナラもなかなかのものでしょう?」 「く、臭い・・・も、もうやめて、クズハちゃ・・・むぐっ!?」 メグミの言葉を遮るように、 ブブブッブウウウウゥゥゥーーーッッッ!!! 私は彼女の顔にお尻を押し付けながら特大のオナラを放つ。 間を置かず、 ブブブオオオオォォォォォーーーッッッ!!! メグミのお尻からもオナラが噴き出してくる。 「くんくん・・・メグミのオナラは本当にいい悪臭(におい)ね。じゃあ、私もお返しに・・・んっ!」 ブブブッブウウウウウウウーーーッッッ!!! 「んむうううううっ!?」 お尻の下でメグミの顔がビクビクと痙攣しているのがわかる。 メグミの状態を確認するため、私は少しお尻を持ち上げてみる。 「ク、クズハちゃん・・・も、もう許して・・・」 メグミが息も絶え絶えといった様子で懇願してくる。 「ふふふ、少しやり過ぎたみたいね。ほら、深呼吸して」 私に言われるまま、メグミが大きく息を吸い込もうとする。 そのタイミングを狙って、 ブボオオオオオオオォォォォォーーーッッッ!!! 私はこれまで以上に強烈なオナラを放ってやる。 「んんっ!?」 私の鼻にまで抉り込んでくるような猛烈な悪臭(におい)。 「っっっっっ!?」 それを思いっ切り吸い込んだメグミは身体を大きくビクンッと震わせたっきり、そのまま動かなくなってしまった。 どうやらオナラの悪臭(におい)に耐え切れず、気絶してしまったらしい。 しかし、 プスウウウウ~ッ・・・ブウウウウウ~ッ・・・。 意識を失ってなお、彼女のお尻からはオナラが次々と漏れてきている。 「さて、これからどうし・・・あっ」 何気なく部屋を見回してみると、エリカからのもう1つの贈り物が目に留まった。 先に開けた薬を手にした喜びで、完全に存在を失念していたのだ。 「こっちには何が入っているのかしら?」 期待感に胸を膨らませつつ、残っていた大きい方の小包を開封する。 「こ、これは・・・!」 そこには、さらに現状を楽しくするアイテムが入れられていた。 * ――メグミ視点 顔に妙な違和感を覚え、私は目を覚ました。 眠っている間に、とても嫌な夢を見てしまった。 ルームメイトのクズハちゃんにオナラをさせられ、自分もクズハちゃんのオナラを浴びせられる夢だ。 「えっ?」 次の瞬間、私は違和感の正体に気付いた。 顔全体をマスクのようなものが覆っていたのだ。 風邪の時に着けるようなものではなく、かなり本格的な防毒マスクだ。 それだけでなく、両手足がベッドの支柱にロープで固定されている。 つまり、今の私は完全に身動きを封じられているのだ。 「あっ、気が付いたみたいね」 問い掛けながら、クズハちゃんが私の顔を覗き込んでくる。 彼女の浮かべる嗜虐的な笑みに、今までの出来事が紛れもない現実だと思い知らされる。 「驚いた?このマスク、私のお友達がくれたものなの」 そう言いながら、クズハちゃんが私の顔に被せられたマスクを撫でる。 次の瞬間、 「むぅっ!?」 私の鼻を強烈な発酵臭が襲ってきた。 「ふふふ、どうやら気に入ってくれたみたいね。このマスクは顔とお尻がパイプで繋がってるの。つまり――」 ぐいっ! ふいにクズハちゃんが私のお腹を圧迫する。 すると、 ぶむうううううううううううううううっ!!! お腹に残っていたガスがお尻から一気に噴き出し、パイプを伝って私の顔を包み込む、 「むううううううっ!?」 「どう、自分のオナラの悪臭(におい)は?このマスクはこんな事もできるのよ」 クズハちゃんが私のお尻に触れると、パイプの先からほんの少しだけ空気が入ってきた。 どうやらパイプの先を私のお尻から外したらしい。 何をするのかと疑問に思ったのも束の間、 むっすううううううううううう・・・っ! また顔を強烈な悪臭(におい)が包み込んだ。 クズハちゃんがパイプの先を自分のお尻に繋いでオナラを放ったのだ。 「次はメグミの番♪」 楽しげに言って、クズハちゃんが再びパイプの先を私のお尻に繋いでお腹を圧迫してくる。 ブシュウウウウウウウウウウウ・・・ッ! 「んむううううううっ!?」 臭い! 自分のオナラとはいえ、鼻を取ってしまいたくなるほど臭い! 「また私のオナラ・・・んっ♪」 ブオオオオオオオォォォォォ~~~ッッ!!! 「むうううっ・・・」 自分とクズハちゃんのオナラを交互に浴びせられ、急速に意識が遠退いていく。 まるでオナラの海に沈んでいくような錯覚。 (そ、そうだ、気絶しちゃえば、楽に・・・) 「そうは行かないわよ」 突然、視界がパッと明るくなる。 クズハちゃんが私の顔に着けていたマスクを外したのだ。 新鮮な空気を吸い込んだ事で、薄れていた私の意識が覚醒する。 「気絶するのはまだ早いわ。まだ私が満足してないもの」 そう言いながら、クズハちゃんがマスクを装着する。 さらに、パイプの先を私のお尻に繋ぎ、心臓マッサージでもするかのように私のお腹をぐいっと押し込んでくる。 「っ!」 ブウウウウウウウウウウウウ~~~ッッ!!! 私のオナラがパイプを伝ってクズハちゃんの顔に浴びせられる。 「んんんんっ!?」 あれだけ臭いオナラを嗅いでいるにもかかわらず、クズハちゃんは嬉しそうな声を上げている。 「ク、クズハちゃん、私の、その・・・臭くないの?」 「とっても臭いわよ。でも――」 ぐいっ! 「っ!?」 ブブブブブブブブブブブブーーーッッッ!!!! 「その悪臭(におい)がいいのよ!この鼻の奥を抉ってくる感じ・・・たまらないわ!」 クズハちゃんが興奮した様子で捲し立ててくる。 「あ、ああ・・・」 ダメだ。 私の知っているクズハちゃんがどんどん遠くへ行ってしまう。 「クズハ、ちゃん・・・」 いつの間にか頬を涙が伝っていた。 * ――クズハ視点 「クズハ、ちゃん・・・」 「あっ・・・」 ゴーグル越しにメグミの涙を目の当たりして、私の中の嗜虐心が急速に冷めていく。 「・・・」 無言でメグミのマスクを外し、そのままゴミ箱へ放り込む。 「ク、クズハちゃん?」 「・・・」 メグミの呼び掛けに応えず、私は部屋を出る。 それから何処をどう歩いたのか、気が付くと寮の屋上へと来ていた。 (メグミを泣かせちゃった・・・) 手の中にある薬の入った小瓶を見詰める。 これを手に入れたせいで、完全に有頂天になってしまった。 「怨むわよ、エリカ」 いや、彼女を怨むのは筋違いだろう。 すべては私自身が招いた結果なのだから。 「自業自得とは、正にこの事ね」 自嘲気味に笑って、私は持っていた小瓶を柵の向こうへと投げ捨てた。 * ずっと屋上にいる訳にも行かず、私は部屋に戻ってみた。 正直、メグミに追い出されるぐらいの事は覚悟していた。 しかし、 「お、おかえり、クズハちゃん」 少しぎこちないものの、メグミはいつもと同じように私を迎えてくれた。 「た、ただいま」 だから、私もいつもと同じように応じたが、それが限界だった。 「・・・」 次の言葉が続かない。 それはメグミの方も同様らしく、気まずい沈黙の時間が続く。 結局、会話といえる会話もないまま、次の休日がやってきた。 「・・・」 「・・・」 今日も私たちの間に会話は、ない。 「少し、出掛けてくるわ」 部屋に渦巻く重苦しい空気に耐え切れず、私は部屋を出ようと立ち上がる。 特に行く宛などないが、此処に居続けるよりは―― ブバスッ!! 「っ!?」 ドアノブに手を掛けた瞬間、背後から爆音が聞こえてきた。 慌てて背後に向き直ると、 「・・・」 すぐ後ろに顔を真っ赤にしたメグミが立っていた。 「メ、メグミ・・・?」 状況が呑み込めずに呆然としていると、 ブボォッ!! また爆音が聞こえてきた。 発信源はメグミの腰の辺り。 「ぐっ!?」 一拍遅れて、強烈な悪臭(におい)が私の鼻に流れ込んでくる。 「この悪臭(におい)・・・メグミ、まさか・・・」 「う、うん。私のオナラ、だよ・・・」 メグミが消え入りそうな声で言う。 「でも、どうして・・・」 「その、クズハちゃんと仲直りしたくて・・・」 「メグミ・・・」 「私のオナラ、嗅いでくれる?」 メグミが不安げに問い掛けてくる。 勿論、私の答えは決まっていた。 * ベッドで仰向けになった私に、メグミが上下逆さに覆い被さってくる。 ちょうど以前とは正反対の格好で、目と鼻の先に白いショーツに包まれたメグミのお尻がある。 「本当にメグミのお尻は可愛いわね」 「んっ・・・」 私がお尻を撫でると、メグミがくすぐったそうな声を漏らす。 「さあ、早く嗅がせて。あなたのオナラ」 「うん、行くよ・・・んんっ!」 メグミが可愛らしく息んだ直後、 ブブブブウウウーーーッッ!! 彼女のお尻から大音量のオナラが放たれた。 「っ!?」 この間とは比べ物にならないほど濃密な臭気が鼻の中を盛大に暴れ回る。 「メ、メグミ、この悪臭(におい)は・・・」 「クズハちゃんのために、今週ずっとお肉やニンニクをいっぱい食べたの。気に入って、もらえたかな?」 「ええ、最高よ!もっと、もっとあなたのオナラを嗅がせて!」 「いくらでも嗅がせてあげるよ。でも――」 ふいにメグミが私のお尻に顔を押し付けてくる。 「私にもクズハちゃんのオナラ、嗅がせて」 「わかったわ。一緒にオナラしましょう。行くわよ。せーのっ」 「「んんっ!」」 私たちの声がユニゾンし、 ブブブブブブブブブブブブゥーーーッッ!!! ブボボボボボオオオォォォォォーーーッッッ!!! 続けて放屁音がユニゾンする。 いや、この表現は的確ではない。 私のオナラはメグミのオナラによって完全に掻き消されてしまったからだ。 「っっっっっっ!?」 メグミが私のために熟成させてくれた極上の臭気。 それを胸いっぱいに吸い込むと、頭の中がオナラの、いや、メグミの色に染め上げられていく。 「ごほっ、ごほっ、えほっ・・・メグミ、大丈夫?」 咳き込みながら、覆い被さっているメグミに問い掛ける。 「う、うん、とっても臭いけど、クズハちゃんの悪臭(におい)だから・・・もっと嗅がせて」 「わかったわ。でも、その代わり・・・」 「わかってる。私もいっぱい嗅がせてあげるね」 私たちは互いに頷き合い、 ブブブブブブーーーーーーーーーッッッ!!! プウウウウウウウウゥゥゥゥゥ~~~ッッッ!!! 同時に相手の顔に特大のオナラを浴びせる。 「んんっ!」 メグミの上げる苦悶の声に、少しずつ喜悦の色が混じり始める。 一方、 ブウウウウウウウウウウウーーーッッッ!!! ブボボボボボボボオォォォォォーーーッッッ!!! 「っっっっっ!?」 私は声にならない悲鳴を上げていた。 メグミは私のために肉やニンニクを1週間も食べ続けていた。 そのオナラは彼女自身が思っている以上に、凄まじい臭気と化していたのだ。 それでも、 ブスウウウウウゥゥゥゥゥーーーッッッ!!! ブブブッフウオオオオォォォォーーーッッッ!!! 私は必死に意識を繋ぎ止めながら、オナラを吸い込み、オナラを浴びせる。 ブビビビビビビビビィーーーーーッッッ!!! ブブブッブブッブブブッブブゥーーーッッッ!!! 私たちが吸い込み切れなかったオナラは周囲の空気を汚染し、部屋中をオナラの悪臭(におい)に染め上げていく。 そう、此処は来る者すべてを拒絶する私たちだけの空間。 だが、それも長くは続きそうにない。 ブブッスウウウウウウウウーーーッッッ!!! プッフィィイィィイィィイィイィィ~~ッッ!!! 「っっっっっ!?」 メグミのオナラの凄まじさに、私の身体が耐えられなくなってきたのだ。 全身がビクビクと痙攣し、視界がぐるぐると全速力で回っている。 フッスウゥゥゥゥ~~・・・。 「クズハちゃん?」 急に私のオナラが弱まったからか、メグミが怪訝そうに呼び掛けてくる。 「だ、大丈夫、よ・・・」 何とか声を絞り出す。 「も、もっと、嗅がせて、メグミの、オナラ・・・」 「う、うん。じゃあ、行くよ・・・ふんっ!」 私の必死さが伝わったのか、メグミが力いっぱい息んでくれる。 直後、 ブブブッブウウウウウウウウウーーーッッッ!!! 彼女の放った本日最大のオナラが私の意識を刈り取った。 * 私が意識を取り戻すと、既に1時間近くが経っていた。 「大丈夫、クズハちゃん?」 ベッドの傍らに座っていたメグミが心配そうに問い掛けてくる。 「ええ、大丈夫よ」 笑顔を作って応じながら、私はゆっくりと上体を起こす。 少し眩暈はしているが、そんな事より重要な事がある。 「ごめんなさい、メグミ」 メグミにきちんと謝る事だ。 「あの時、私はメグミの気持ちなんか少しも考えてなかった。そのせいで、メグミを泣かせて・・・本当にごめんなさい!」 「クズハちゃん・・・」 メグミは突然の謝罪に戸惑っているようだった。 少し間を置いて、 「私も、ごめんね。クズハちゃんのために頑張ったら、少し臭くなり過ぎちゃった」 顔を朱に染めながら、メグミが悪戯っぽく笑ってみせてくれる。 その笑顔を見て、 「あっ・・・」 気が付くと、頬を涙が伝っていた。 もう見られないと思っていた。 失ってしまったはずの笑顔。 それが今、私の目の前にある。 「ど、どうしたの、クズハちゃん!?」 「ううん、何でもないわ。ありがとう、メグミ」 込み上げてくる愛しさに突き動かされるように、私はメグミの身体をそっと抱き締めた。 * その日から―― ブブブッシュウウウウウウウウ・・・ッ! ブブウウウウウウウウウウウウーーーッッッ!!! 週末になると、私たちの部屋には爆音が響き渡るようになった。 「くんくん・・・あぁっ、メグミのオナラ、とっても臭いわ・・・」 「クズハちゃんのだって、とっても臭いよ」 ベッドで互いのお尻に顔を押し付け、相手のオナラの悪臭(におい)を貪る。 ブッスブウウウウウウウウーーーッッッ!!! ブブブブゥーーーーーーーーーーーーッッッ!!! 2人だけの秘密の宴。 ブブブッブウウウウウウウーーーッッッ!!! ブウウウウウウウウウウウウウーーーッッッ!!! それは、2人の腸内(おなか)が空になるまで、いつまでも続く。 終