心地良い風を感じながら目を閉じ、先輩の事を思う。
「うっぷ…吐きそう…」
ぶっちゃけ飲みすぎたかもしれない
「ラースー大丈夫か~?」
わざわざ俺の様子を見に抜け出してきてくれた先輩が俺の背中を撫でてくれる。
「せぇ~んぱぁ~いっ俺はまだまだいけますよぉ~?全然大丈夫れ~す!」
まだ思考はしっかりしているし、こんな風になるほど酔ってはいないのだが先輩に構ってほしくて過度に酔っぱらったふりをしてしまう。
先輩と飲み会ってか飲みに来れるなんて思ってなかったのもあってぶっちゃけテンションはめちゃくちゃ上がっている。
「そうか、それならいいんだ。そういえばさっき追加で運ばれてきた肉料理がめっちゃ美味かったから冷める前に食うぞ!」
「はははー先輩食い意地張ってるなー!」
そう言えば最初の乾杯以降先輩は食ってばっかりで飲んでない気がする。
流石に人前で酔っぱらうわけにはいかないと自制しているのか、それとも単に食い意地が張っているだけなのか…。
「ほんとだ!!めっちゃ美味いっすねこれ!!」
先輩に連れられて席に戻った俺は先輩が勧めてくれた料理をパクリ
…マジでうまい!!酒がすすむ~!
「だっろ~!!はぐっはぐっ」
先輩が料理を頬にため込んでハムスターみたいになってる…可愛い
「食えるのは今の内だからな!いっぱい食っとけよラース!」
「はーい」
バク食いしている先輩をしり目に俺はひょいひょい肉を摘まみながら酒を啜る
「先輩は飲まないんですか?」
肉の骨をニチニチしながらそう聞くと
「んなもん料理全部食った後に決まってんだろ!」
とモグモグモグモグ…
どうやら先程の回答は後者だったらしい。
美味しいもの食ってるときの先輩は元気だよなあ…
俺はなんだか嬉しい気持ちになりながら先輩に負けじと飯を食らう!
それにしてもから揚げとか焼き鳥とか出てくる料理がっつり系ばっかだな~
旨いけど!
あ!チャーハン出てきた!うまそう!
「あ~~」
だんだん腹が膨れてきて酒がグルグル回ってきた感じがする…
先輩に甘えたいな…あぁ…先輩が隣に居る…
幸せだな…。
酔っぱらったふりして先輩に寄りかかって抱き付いてもいいかな…あー先輩
せんぱい…
「んっ…」
少しだけ先輩に寄りかかって甘えてしまう…。
こんなに酔っていて気持ち悪いはずなのに理性を捨てきれない自分が憎い。
一度理性を吹き飛ばせるぐらい飲んでみたいな…
飲んじゃおうかな…
飲み会って言っても先輩と二人きりみたいなもんだし
せんぱいにしか迷惑掛からないだろうし…めちゃくちゃ度数高いの一気に飲んでぶっ壊れたい…。
そんな事をフツフツと考えながら先輩の肩に頭を預けていると
その頭にポンっと先輩の手が置かれた。
「大丈夫か?ラース」
そのまま先輩が軽く頭を撫でてくれる。
「ん~」
「お前今日飲みすぎだぞ?もう控えといたほうがいいんじゃないか?」
あー先輩優しいなー
「嫌ですよ…酔わなきゃやってらんないですよ!」
まだ半分ほど残ってるグラスに手を伸ばしながら体をゆっくり起こす。
「大体何でおれらだけ飲み会の日にち別なんですか!?ちゃんちゃらおかしいですよ!なんですか!?ハブられてるんですかっ嫌がらせですか!?」
「まぁ~別に~俺は先輩と二人っきりで飲めるんでぜんぜ~ん構わないですけどぉ~?」
「開催当日任務があったんだから仕方ないだろ?それに俺も嫌いな奴に合わずに済むし長ったらしい話も聞かずに済んだんだから寧ろ良かったよ」
「俺だって~先輩と二人っきりになれてうれしいですけど~でもでも任務だって後日に回してもいいような奴を急に吹っ掛けてきたじゃないですかぁ~!!この疎外感なんか許せませんよ俺は~~!!先輩と二人きりだからいいですけど!!」
「それに飲み会無くなった訳じゃないんだから別にいいだろ?経費から勝手に落として自由に飲んでいいらしいし、この際めちゃくちゃ贅沢してやる!!」
「そうっすね!!高いのジャンジャン言っちゃいましょ~!フゥ~!」
「あ~~でも~つまり先輩が飲みに行く決断してくれなかったら今こうして飲むこともできなかったわけじゃないですかぁ~!!あ~もう!」
「でももうお前いっぱい飲めたからいいだろ」
「嫌です!俺は先輩と飲みに来たんです!先輩と!!それなのに先輩食べてばっかりで全然飲んでないじゃないですか~!!先輩と飲むまで俺は飲み続けますからね!そしてぶっ壊れてやります!」
「ははは、やめとけ、俺だけじゃなくて店の人に迷惑掛かるから」
「嫌~~~で~~す~~~!!俺は先輩と飲むんだぁ~~」
「分かった分かった俺も飲むから、お前は一旦これでも飲んで落ち着け」
とうめいな液体…なんだろ…焼酎かな?
「ってコレ水じゃないですか!?いやです!俺はまだ酒を飲むんです!!わ~~~」
「だーめ」
徒労として手を伸ばした先のグラスをひょいッと取られそのまま全部飲み干されてしまった。
「あーーーー!」
でも先輩が飲んでくれた!!…うれしい!
「く~やっぱたまに飲むと上手いな!」
「へへへ~でしょでしょ~先輩もっと飲んでください~」
「あっ俺が注ぐのにっ注がせてくださいよ~」
「あはは、気持ちだけで十分だ、それにお前フラフラだぞ?溢されたら困る」
…俺そんなに酔ってるのか…?酔ってるように見えるのかな?
でも折角先輩が飲み始めてくれたのに俺だけ飲んでないのは嫌だっ
「んっそれぐらいできますよ~!」
「はいはい、じゃあお願いしようかな」
「やったー!」
確かに視界がふわふわしてるけど俺が注いだお酒を先輩が飲んでくれててとっても幸せだ
「うま~いぞ」
先輩がよしよししてくれたっわーい
「さてそろそろなんか追加で頼むかな~っと」
「あっ先輩なんか頼むんですか!?俺、これおすすめです!美味しかった!あとこれも!」
「はいはい、じゃあそれにしようかな」
「じゃあ俺はハイボールをですね」
やってきたお店の人に頼んでいる先輩を見ながらハイボールを催促したらオレンジジュースに変更された!酷い!!
「先輩~~!!子ども扱いしないでくださいよ~!俺はまだまだいけますからね~!!」
「そうだな、おっコレうまいぞ!ほら」
「またそうやって羽津らかして~~~んぐっ…おいしい」
でもこうして先輩と一緒に居られるのが凄く楽しくて嬉しい
「か~~うまっ!!もっと飲もっ」
「先輩飲み始めるのが遅いんですよ~も~」
「お前しかいないんだから自由に飲んだっていいだろ~」
「それもそうですね~あははーそんなわけでメニュー返してください先輩っ!!」
「暴れるなっテーブルひっくり返すぞ?」
「そんなわけないじゃないですか~」
「はいだーめ、俺が注文してやるから」
「うううーくそー」
もう先輩から酒を奪うしかなくなった俺は先輩の前に置かれたグラスを奪い取り飲み干してしまう
「あっお前な~~」
「えへへ~ひっく先輩がいけないんですよ~俺から酒を奪うから~」
「あ~もうしょうがないな、一杯だけ付き合ってやるから好きなの選べほら」
そう言って先輩がメニューを見せてくれるが文字がぼやけてよく見えない…
「ん~?ひっく…あ~先輩のおすすめでいいですっ俺先輩と飲めるんなら何でもいいんで、ひっく」
しゃっくり止まらん…
「そうか…じゃあどうしようかなぁ、さっきお前に取られちゃったのにしようかな」
「うー」
頭がぼやぼやして気持ち悪い…さっき一気飲みするんじゃなかったかな
「ほら、ラースー来たぞーってか大丈夫か?無理しなくていいからな?ってかもう止めとけ」
あ…もう届いてたんだ…今軽く落ちかけてた…
「んっ…のみます…やです」
先輩とやっと飲める…視界の奥でぼやけるグラスに手を伸ばす
「はいはい…しょうがないな、ほら乾杯、お疲れ様」
先輩が俺が握ってるだけのグラスに軽く音を鳴らしてくれた。
「あ~」
あっ…先輩飲んでる…俺も飲まなきゃ…
「無理して飲むなよ?倒れられたら大変だからなって…おいっ」
俺は軽くグラスに口をつけてそのまま半分ぐらい一気に飲み干した…
気持ち悪いはずなのに美味しい…先輩と飲めたからかな?
すごく気持ちがいい…なんだか瞼が重くなってきて目的を果たせたみたいな満足感と幸福感に包まれている…
そのまま俺は倒れ込むかのように机に突っ伏した
あ…グラス落としちゃったな…まあいいか…
(ラース!!?ラース!!)
ぼやける視界の向こうで先輩が俺を揺さぶりながら名前を呼んでくれている
あぁ…うれしい…心配してくれてるんだ…
あっお店の人に謝ってる…俺もごめんなさい…しなきゃ…
「ラース!ラース!?大丈夫か??だから無理するなって言ったのに…はぁ…最後飲ませた俺も悪かったけど…ラースー??聞えてるか~~?ラースー?おーい!」
返事をしたり体を起こしたりすることが辛くて手で何とか聞こえてますよのアピールで親指を立ててみせる。
「はー取りあえずトイレ行こうかラース…立てるか?」
「ん…」
先輩が肩を組んで何とか俺を立ち上がらせてくれた…フラフラして気持ち悪い…視界が回る
ってか自分で立ち上がることすらできないぐらい酔ってるってヤバいなこれ…
わざわざトイレの個室にまで運んでくれた先輩が
「吐いていいからな?ってか自分でズボンとか下ろせるか?」
「さすがに…それっ…ぐらいは…うっぷ…だいじょうぶ…です…はぁ…はぁっっく」
「マジでヤバそうだな…なんかあったら近くに居るからすぐ呼べよ?扉叩くとかでもいいから…ったく飲みすぎだ馬鹿」
「ごめん…な…さい…うぷ」
「はーもういいから扉閉めるぞ?本当何かあったらすぐに呼べよ?」
「は…い」
先輩本当優しいな…
やっぱ先輩にズボン下ろしてもらうの手伝ってもらえばよかったかな…このままぶっ倒れそうだ
縺れる指で何とかズボンを下してから頭を抱えて座り込んでしまった。
「うっぷ…気持ち悪…」
頭ガンガンする…
結局俺先輩に迷惑かけちゃったな…
本当は先輩の方が酔いたかったはずなのに…
ごめんなさい…
「はー」
何かこのままお開きになってしまいそうな雰囲気だし…
あぁ…本当、俺なにやってるんだろ…
少し落ち着いて酔いが少し冷めてきたらどんどんネガティブな気持ちになってくる…。
そんな思考もなくなるぐらいに、この際酔いつぶれてしまえばよかったのに
「ははは…それこそバカだな…」
これ以上の惨事を引き起こす前に止められてよかった…グラス一個で事足りたわけだし。
「うっ…」
席戻った時吐いちゃったらヤバいから戻しとこ…
「はぁ…っく…はぁ…はぁ」
トイレットペーパーをティッシュ代わりに口元を拭く
少し吐いたらスッキリしてきた気がする…自分で立ち上がれるようになってきたし
(コンコン)
扉を叩かれて少しビクッと体が震えてしまう
「ラースー大丈夫かー?」
なんだ先輩か…・
「んっく…だい…じょうぶ…です」
優しいな…様子見に来てくれたんだ…
「うっぷ…もうちょっと吐いたらすぐ…でま…す」
「はー本当にお前は…今の内に吐いとけ、後で吐かれたら困る」
「は…い…」
先輩に吐くの聞かれるの恥ずかしいな…
と思いつつも競り上がってきたものを結局全部戻してしまった。
再度テッシュペーパーでお口をふきふきしてから、扉に手を付いて何とか自力で出ることができた。
「大丈夫か?」
本当に直ぐ近くに居てくれたらしい先輩が駆け寄ってきてすぐに肩を組んでくれる。
「ごめん…なさい」
「いいよ、取りあえず席に戻ろう…歩けるか?」
吐いたら大分スッキリしたのか自力で歩けるような気もしてきていたが先輩の行為に甘えさせてもらうことにした。
その後追い出されるようにして店を出る。
「先輩…どうします?…帰りますか?」
「ん~そうだなーお前はこんなんだし時間も時間だからなー」
「うううーごめんなさい」
折角楽しい飲み会だったはずなのに…あぁ…
「あーそうそう、ラース君には悪いんだけどコンビニ寄っていい?」
「はい?…」
「ぶっちゃけ俺は飲み足りないからさー!酒でも買いこんで今度は家で二次会的なことをしようかと、うちならどんなに暴れても文句は言われないだろうし!」
暴れる気かこの人は…!?ってかまだ飲むんだ
「あー!そうそう、ラース君はもう飲んじゃダメだぞ~?おつまみは食べてもいいからジュースでも飲んで大人しくしていなさい」
「あはは…さすがにもう飲みませんし飲めませんよ」
飲み会めちゃくちゃにしてしまった気分だったのに、先輩が思いの外まだまだやる気ってか元気で少しほっとしてしまう。
先輩もちょっと酔ってるのかな…?
「宅飲み久しぶりだなー!しばらくは休暇だし最高だな!ラース君!!」
「はっはい…」
逆にこんなにテンションが高い先輩を見ていると少し心配になってくる
「まぁまぁ、そんなにしょげ込むなって!俺怒ってないし、気にしてないから!」
そう言って先輩がバシバシ背中を叩いてくれる
やっぱ少し酔ってないか先輩?でもまぁよかった…先輩怒ってないんだ…ぶっちゃけ帰ったらお仕置きかと思ってた。
「まぁ、俺の言うこと聞かずに飲んだ分お仕置きするけどなー!」
「あははー!ですよねー!」
ニコニコハイテンションで言ってる先輩に釣られて俺も笑ってしまったが…ん?今何て言った?
「せっ…せんぱい!?…今」
「ほらほら!ラース君取りあえずコンビニ行くぞー!夜はまだまだこれからだからな!」
聞き違いだったことにしておきたい…
「あーあとこれから泣くんだから好きなもの沢山買っていいぞー!肉とかほら甘いものとか!」
そう先輩がまた肩を叩きながら急かしてくる…微妙に酔いがさめたとはいえまだグルグルお酒は回ってるんですよ!?もう…
ってかさっきから妙に先輩が優しいのが逆に怖い…泣くってお仕置きの事か??嫌な予感がする。
「そっそうですねー!おー!」
もう俺はやけになって先輩の少し高めのテンションに無理やり合わせて先輩についていくことにした。
「あっ!そういえばラース一人で歩けるか?大丈夫か?」
「あーそう言えば歩けてますね、もう大丈夫そうです!」
夜風にあたりながらのんびり歩いているお陰か大分酔いが覚めてきた気がする。
「へへへーワンチャン帰る頃には先輩とまた飲めるようになってるかもしれませんよ~?俺~?」
「さすがに止めとけ怒るぞ?」
「あははーですよねー」
ちょっとまずいこと言っちゃった気がしないでもなかったが、表面上の笑顔を顔に張り付けて俺は笑う。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それにしても先輩めちゃくちゃ買いましたねー」
一人で飲む量とは思えないほどにビニール袋の中身はパンパンだ。
肉とかおつまみもめっちゃ買った…まだ食うのかと思いつつ俺も好きなもの色々買ってもらっちゃったわけなのだが
「はははーそうだな!久しぶりに好き勝手飲めると思ったらつい」
「任務期間中は飲めないですもんね~!先輩」
「それにしても大分回復してきたみたいで良かったよ、一時はお前を引きずって帰る羽目になるかと思って冷や冷やしていたんだが大丈夫そうだな」
「あははーさすがにそこまで先輩に迷惑かけられませんよ」
まぁ一時はそうなってもおかしくないぐらい酔ってたけども…
「受け答えもちゃんと出来てるみたいだし頭も回ってるみたいだな」
「はい!先輩」
俺がニコニコしながら答えると
「良かった良かった、よしじゃあラース」
「はい、なんですか~?先輩」
「帰ったらお仕置きするからな…」
と酔いも一瞬で覚めるような声でそう言われて体がビクッと痙攣する。
やっぱりさっきのは聞き違いじゃなかったのか
「せ…せん…ぱいっ…」
ぶっちゃけ今日は怒られる内容がいっぱいありすぎて体が震えてくる、それに先輩やっぱり怒ってるじゃないか~~~あ~~~~俺のバカバカバカバカ
今からでも怖くなってきて涙が溢れてきた。
「まぁ、それで少しは酔いも覚めるだろうし、丁度いいだろ?ラース君」
よくない!全然よくない!!うぅう…まじで嫌だぁ…
どうせお仕置きされるんだったらもっともっと酔っとけば良かった…
そしたら少しは感覚も鈍ったかもしれないのに、今はちょっと頭ぐらぐらして気持ち悪いなってぐらいなだけだからお仕置きとかされたら頭にガンガン来るだろうし…あーーー本当に最悪だ…
マジで嫌だ…本当に嫌だ…やだ
「うっく…うわぁあせんぱいやだやだお仕置きやだわぁああやだ~~~~」
「はぁ…そこでごめんなさいの一言でも出てくれば少しは考えたんだがな!やっぱお仕置きだ…ってかここ外なんだからちょっとは声押さえろ」
「おれっおれひっく俺悪くねぇもっ精々グラス一個割っちゃったぐらいしかしてねえもんっやだっせんぱいやだぁあ!!」
「それだってお前が言うこと聞かずに無理してグイグイ飲んだせいだろ?しかも一気飲みばっかしやがって!」
「ちがうちがうっ!先輩がっせんぱいが飲まなかったのが全部悪いんだ~~~!俺悪くない~~!!やだやだやだやだ~~!!!」
あれ?俺何でこんな子供みたいな泣き言と言い訳してんだろう…思ってるより酔い覚めてないのか…?
こんなの先輩を余計に怒らせるだけだ。
「やだやだやだやだやだやだおしおきやだやだやだやだ」
「あーもう分かった分かった、ラーちゃんここお外だからお家でゆっくり話そうな?」
「ひっく…うん」
先輩が駄々を捏ねる子供を宥めるみたいに俺と視線を合わせてポンポン頭を撫でてくれる。
「あ~あとどっかフラフラーっと行かないようにおてても繋ごうかラース」
「んぅ」
先輩が俺の手を握ってくれる…
「わぁぁぁ…///」
ってか俺今先輩と一緒に手を繋いで歩いてるんだ!うれしいなー幸せだなー!!
「ふんふふーん♪」
鼻歌歌っちゃうぐらい幸せな気持ちになってきた…頭もふわふわして気持ちがいい
「あー!せんぱい重そうだから一個持ちますよー!」
「………あー…落としそうで怖いから軽いほうな」
先輩は少し悩んだ後余っていた袋を使って缶ジュースを二つだけ入れたものを俺に渡してくれた。
なんかいろいろと不服ではあるが少しだけでも持たせてくれるだけ嬉しい。
「せーんぱーい!帰ったら飲み会の続きですねー!ふへへ~」
なんだか色々もう吹っ切れて変なテンションになってきた俺は先輩の手をブンブン振り回しながら元気よく歩く
「あーそうだな……」
先輩が俺をちょっと心配そうな目で見てくれているがそんなのもう気にしないことにした。
少し遠めに家が見えて来る辺りでそういえば帰ったらお仕置きされるんだということを思い出す…
絶対めちゃくちゃ痛いよな…先輩あんななん十本もお酒入ってる袋二つも三つもぶら下げてるのにスゲー軽々と持ってるしな…
「うぅぅ…先輩…おしおきやだぁ…ひっく」
家が見えてきた途端、急に恐くなってきて足を止めてしまう。
「その話は帰ってからな、ラース」
「ひっく…うん」
先輩にほら行くぞとでも言われるようにクイクイと腕を引っ張られて俺はもう小さく頷くしかなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ただいまーっと、取りあえず俺は酒冷やしてくるから、お前はテーブルの上片づけてきて」
と先輩は帰ってきて早々に酒の袋をぶら下げて楽しそうに廊下の奥に消えてしまう。
一人玄関に残された俺は、今なら逃げられる…という思いが一瞬よぎったが大人しくテーブルの上を片づけるとこにした。
「はぁー…」
お仕置きやだな…
帰ってきたらもう俺は頭の中がお仕置きの事しか考えられなくなっていた。
道具使われるとか、帰る途中子供みたいに駄々こねちゃったから厳しくされるだろうなとか色々色々…
「さってと~ラース君ーって片付いてねえじゃん、しょうがねえな」
気が付いたら片づけていたはずの手が止まっていたらしい…また一つお仕置きの内容を増やしてしまった…。身体が若干震えてくる。
「まぁ、取りあえずこれでも飲んどけ、酔い覚ましも買ってきたから」
そう言って先輩が小さめの小瓶を渡してくれるが、俺は俯いたまま動けなくなってしまっていた。
「ラースく~ん?大丈夫か~??」
先輩に肩を揺さぶられても答えられないでいると
「はぁ…ったくしょうがねえな」
先輩は俺の腕を掴みグッと自分の方へ引き寄せるとそのままソファーに座ってその膝の上に俺の身体を引き倒した。
「うあぁ…ぁっあっ…」
何時もされているお仕置きの体制に怖くて声も出なくなってしまう。
バシン!!バシン!!バシィッ!!
「返事!ぐらい!しろ!!」
バシバシと三回ほど尻を打たれた、服の上からだというのにものすごく痛い
「うぁああ!はいっはいっはいぃいい!!」
俺は慌てて何度も叫ぶように返事をする
「はい、これ飲んでラース」
先程先輩が渡してくれたのに受け取れなかった小瓶だ…
「はい…」
返事をするや否や俺の口に無理やり小瓶を突っ込んで飲ませてくる。
「っあぁ!ごほっ!つっ!!さすがに自分で飲めますってんんぅっ」
「じゃあこれ持って大人しく全部飲んでほら」
「はい…」
渡された小瓶を何とか全部飲み干して先輩に渡すとそのままテーブルの上に返却された。
「さてラース君、少しは酔い覚めた~?頭回ってるか~?大丈夫か~??」
と先輩が俺の前で手を振りながらわざとらしく大きな声でそう聞いてくる。
「覚めましたっ覚めましたよ!その目の前で手を振るのやめてください」
「はい、じゃあこの指何本?」
「三本です」
「じゃあこれは?」
「二本…ってかそれぐらい分かりますから!」
「おー凄いなラース君!この難問を全問正解とはやるなぁ」
「せんぱーいーからかわないでください」
「じゃあもう俺の言ってること分かるな理解できるな~?」
「わーかーりーますよー」
「頭は?大丈夫?痛くない?気持ち悪いとかは?」
そう言えば頭痛もさっきからそんなに気にならないレベルになってきてるし気持ち悪いとかもなくなってるな…
「もう大丈夫です、ご迷惑かけました!はい!」
「よし、じゃあお仕置きしても大丈夫だな」
「はい??」
「えっちょっ先輩っ何してるんですか!?やだっちょっとやだって!」
お仕置きと言われて慌てる間もなくズボンも下着も下ろされてしまった。
「ご迷惑おかけした分ちゃんと反省しようかラース君」
バチンッ!!
「ひっだぁあああ!!!」
開始早々マジで痛くて俺は体を仰け反らせてしまう。こんなの連続でくらわされたら耐えられる気がしない
バチンッ!!バツンッ!!!バシッ!!
「いたいいたいいい!!先輩マジで痛い!!!いっだぁあああ!!!」
「ひぃいいっ!!!いだぁああっやっやっごめんなさいごめんなさいっいだああああ!!」
「謝るのが!おせえよ!!」
「あぁあああ!!!ごめんなさぁああいぃい!!ごめんなっいづぅううっぁあああ!!!」
「うぁあぁああ…ごめんなさぁああいぃいい…せんぱぁぁあああああ」
物の数十回も叩かれないうちにわあわあ泣きじゃくり始めてしまった、だってそれぐらい痛いんだもん
「ラース君なんで謝ってんの?何を悪いと思って謝ってんの?言ってごらん?」
「うっく…うぅうっ…酔っぱらってグラス割ったから」
「はぁ?」
「いぃいいいっだああああ!!!!!」
一瞬視界が白くなるぐらい痛たかったのであまりにも恐ろしくて先輩の方を震えながら見つめる。
「ひぃっ…ひぃっひぃう…」
「…ってか本当にそれを悪いと思ってそれに対して謝ってるって言うなら考え物だな?質問を変えようか、なんでお仕置きされてると思う?ラース君」
「せん…っぱいにっひぐっめいわく…かげたがらっ」
「いぃいいっぎぃいいいい!!!!」
「違う…次解答ミスったら膝組んでパドル持ってくるからな?」
「うぅっうぁああぁあっやだっぱどるやだぁああ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「だから何で謝ってるんだ?」
「うぐっ…ふっ…ぇぅっ…おっおれが酔っぱらって吐いたから?」
「はい、パドル決定なパドル持ってくるから俺が戻ってくるまでに何で怒られるか頭使って考えとけ」
「えっえっえっ??せんぱっやだっやだっ!!パドルやだ!!やだ!!反省じまず!!やだっごめんなさいっせんぱいせんぱいっ!!やだっお願いしますやだっやだ」
「そんなに嫌なら戻ってくるまでにちゃんと考えとけ…それが出来たら多少俺も考えてやってもいい」
そう言って先輩は必死にしがみつく俺を膝から無理やり引っぺがすと部屋を出ていってしまった。
はやくっ…早く考えなければ…パドルだけは絶対に嫌だ、あんなもの先輩に使われたら死んでしまう
えっと…えっと…俺が調子乗って酒飲んだから?…子供みたいな言い訳して外で騒いだから?あ…でもその前にお仕置きって言われてたからそれは違う…えっとこんなになるまで自制せずに飲んだから…?
あ…分かった…先輩の言うこと聞かなかったからだ…ってかよくよく考えると先輩そんなこと言ってた気がする。
うわぁああ~~なんで俺こんな簡単な事咄嗟に出てこなかったんだよ!俺のバカバカバカ!先輩余計に怒らせちゃったじゃないか…どうしよどうしよどうしよ
「さてと…答えは出たかな?ラース君」
自室から戻った先輩がパドルを握り締めて戻ってきた…そのまま近くに転がってる俺を無視してどっかりとソファーに座る。
「えっとえとっおっおれっが…先輩の言うこと聞かなかったから!!」
「あ~惜しいなラース君…正確には俺の言うこと聞かずに無理して人に迷惑かけるまで飲み続けたからだな、ぶっちゃけグラス割ったとか酔っぱらったこととかは怒ってないよ俺」
「あ…」
「さて…分かっただろう?ラース君お膝の上に戻ろうか、おいで?」
さっき手で数回叩かれただけの尻はまだヒリヒリと悲鳴を上げ続けている…それに先輩はまだパドルを握り締めたままだ
「うぅぅ…嫌だぁ…」
「ラース?またいう事が聞けないのか?膝を組むのはやめておいてやろうと思ったんだが仕方ないな」
「!!やだっ!!やだ!!行きます!!」
「じゃあ早く乗れ、次ぐずったら容赦なく膝組んで無理やり乗せるからな?」
「ひゃいっ…!ひぅっえぅう…ごめんっなさい…先輩」
俺は急いで立ち上がり息を殺して先輩の膝の上に飛び乗った。
「うぅぅぅぅぅ」
「反省しろよ…?」
「は…ぃ…ぃ」
俺は体をガチガチに強張らせながら爪を立てるようにして自分の腕にしがみ付きそこに顔を埋める。
パドルやだパドルやだパドルやだパドルやだパドルやだやだやだやだやだやだやだ
バチィイイイッ!!
「っ!!!!いっだぁあああああ!!!ひっひやだあぁあやだせんぱいむりやだあああ!!」
たった一回叩かれただけだというのに俺は両足をバタつかせて暴れまわってしまう。
「ラース…大人しくしろ…もっと痛くされたいのか?」
「やだぁああ…えっぐせんぱぁあいぃい…」
「だったら姿勢正せ」
「んぐっ…ひぅ…はい…」
バシィイイッ!バツンッ!!バチィイイッ!!
「いっぎゃぁああああぅぁあああっ!!!いひぃいいいいいい!!!」
「ッチ…ラース…手どかせ」
俺は反射的に尻を押さえしまった手をどかせないままフルフルと首を横に振る
「はぁ…膝組まれたいのか?」
「うややあぁあぁあ」
「じゃあ手をどかせ」
俺は無言で首を振る…こんなの耐えられるわけがない本当に無理だ痛い…死んじゃう
「はぁ…」
先輩はため息を一つついて無言のまま俺の腕を掴み上に押し上げる
「やっやだ!!やだ先輩やだ!!!やだやだやだやだやだああ!!むりっやだパドルやだああああ!!やあやああ」
反射的に俺はにもう一方の手を伸ばして尻を押さえしまう
「うぅううっうううっやあだぁあ…」
駄々を捏ねても許してもらえないことぐらい分かっているのに、こんな風になってしまうぐらい痛くて怖い…やだパドル無理っやだやだやだ
「大人しく受けられなさそうだし腕縛ろうかラース…出てくる言葉もごめんなさいじゃなくて嫌だばっかりだしな」
「ひぅっ…うっ…」
それでも俺が俯き黙ったまま尻を押さえ続けていると
「そんなに厳しくするつもりはなかったんだが仕方ないな…」
そう言って先輩は俺をどかして立ち上がり部屋から出ると長めのロープと薬を手に部屋に戻ってきた
先輩を本格的に怒らせてしまったことが分かった俺はガクガク震えだした身体を押さえながら涙目で先輩を見つめる。
「ほら、膝に乗れ」
先輩はソファーに座ると俺の腕を掴み恐くて全く動けなくなっていた俺をそのまま膝の上に横たえた。
「ラース…腕貸して、縛ってやる」
「うぁああ…ひっぐ…せんぱぁあいぃ…やぅうえっぐごめんなさいぃひっぐ」
「ラースほら、腕貸せ」
先輩にグッと腕を掴まれた瞬間に何かが決壊したような感じがしてドバっと涙が溢れてきた。
「うあぁああ!!ごめんなさいごめんなさああいごめんなさいいぃおれっおれちゃんどいい子に受ける!ごめんなさいぃいせんぱぁあいぃもっもおあばれだりじないっひっぐちゃんとはんせえっするいい子になるぅうごめんなさっごめんなさいぃい」
「はぁ…本当だな?ラース」
「はっいっ…ひっぐいいこにうけるっひっぐ…もぉしませっごめんなさいぃいうごとちゃんどきくひぅっせんぱいひっぐごめんなさい」
「んじゃあ縛るのはやめといてやる、後パドルも最後の仕上げまではしないでやるから大人しく受けろよ?いいな?ラース」
「ひぐっ…は…いっごめんなさいっごめんなさい」