そしてゆっくりと先輩の両手は伸びてきた。優しく僕の頭や頬を撫でる。
そのまま先輩は僕を引寄せ、二人は再び熱く深い口づけをした。やがて互いの唇が離れたあと、僕は彼女を黙って見つめた。先輩は真っ赤な顔をして優しく微笑んでいる。いよいよその時が来たんだ。
「…いいですか?」「…お願いします…。」
二人とも敬語だった。
さてとここで僕はふと冷静になった。果たしてこのままの状態で、目視確認も出来ず、僕の凸は先輩の凹を探り当てることが出来るのだろうか?
童貞特有の不安と焦燥が僕を襲う。しかし幸運なことにそんなプレッシャーにも我が愚息は全く屈しなかった。健気な程にそそり立つことをやめない息子から逆に僕は教えられた気がする。
「親父よ!今ここで諦めたら俺達の毎夜続けたあの自主トレは一体何だったんだ?!」
息子よ!お前の言うとおりだ!父は男になる!この父は今童貞を捨てるのだ!僕は遮二無二突き進んだ。
そこからの事の運びはスムーズとは言えないかもしれないが、目も当てられないという程でもなかったと思う。僕の先っちょが先輩の秘所に触れる度に先輩は可愛く喘いだ。さっきと同じでより彼女が感じていると思うほうに僕は攻め入ればいいだけだった。
ヌルリ。ある所を突いたとき息子の頭までが埋まった。
「う、アンっつ!」先輩の喘ぎもひときわ高い。
「ここだ…」僕は確信を持って自分の宝刀を初めて女性の肉壁に深く滑らせていった。
「うッ、あああああ、いっ、痛ッ、う…いっ、あんッ…つッ!!」
様子がおかしい?僕が深くもぐるごとに上がっていっていた彼女の快楽がどこかで確実に苦痛に変わった。
「そんな?間違えた??」しまった。ドジを踏んだ。大体童貞のクセに今までが上手くいき過ぎたんだ。慌てて僕は自分のモノを彼女から引き抜く。
「ああっ!…ま、待って!だ、大丈夫だからっ!」彼女が止める前に僕は彼女から引き抜いた自分の肉棒を見つめていた。一瞬我が目を疑ったがそれは事実だった。僕のアソコには彼女の愛液に混じって薄く混濁しながらもハッキリと赤い血が絡まっていた。
どうしようもないほどの罪悪感にかられ僕は彼女に向き直る。彼女は涙を目に溜めながらも、恥ずかしそうに微笑んで言った。「おどろいた?……こんなオバさんなのにね………初めて…なんだ…」
なんてことだ!僕はなんてことをしてしまったんだ!!彼女のバージンを奪ってしまった!こんな愚かな男達の前で、こんな馬鹿げたショーの中、さらにどうしようもなく愚かなこの僕が!本当なら一点の染みもない、完璧に幸福な風景の中、彼女の相手に相応しい完璧な男性に、彼女が心から愛する相手にこそ捧げるべきモノを、
僕は永遠に奪ってしまったんだ。
どうにも出来ずに僕は彼女を抱きしめた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!」
まるで母に叱られた子供みたいに泣き叫ぶ。
対して彼女も母のように僕の頭を優しく撫でながらささやいた。
「…どうして……あやまるの?…」
「だって僕は!だって僕は僕のことしか考えないで…!こんな、こんなところで!こんなタイミングでぇ!そ、それなのに初めての人が先輩で良かったなんて!本当に僕は僕のことしか考えてなくて!貴女のことなんてまるで!まるで…」いよいよ感情を抑えきれなくなった馬鹿な男の子は泣き叫ぶのを止められない。それでも彼女はあやすように駄々っ子を撫で続けた。
「…新城くんも…わたしが…初めて…なの?」
先輩の顔の横に顔を埋め、泣きじゃくりながら僕は大きくうなずいた。
僕の頭を優しく撫で続けていた先輩の手が止まり、続けてポンポンと2度軽く肩の辺りを叩かれた。それは仕事で外回りに出かけるときの合図ととてもよくにたテンポだったので、僕は思わず顔を上げ、先輩を見た。彼女のクリッとした目がジッと僕を見つめている。
「嬉しい」
そう言って今度は彼女が僕に抱きついた。
そのときの笑顔は演技では無さそうな、なぜか僕は少しだけそう思ったんだ…でも…でも、まさかな…
「あ、あっ、ツっっ!…アアン」
「アッ、くっ!…ゥウンッ!イっ…!」
僕はなるべくゆっくりと、優しく挿入を繰り返したが、彼女に負担がかかっているのは明らかだった。
「だ、大丈夫ですかっ?」
「あ…う、うん…気持ち…いいよ…」
さすがの鈍い僕でもそれが嘘だってことぐらいは分かる。
なんとかしなくちゃ。早くこんなデタラメなショーなんて終わらせて彼女を助けなきゃ。どうする?僕が中出しで果てたということにして、終わりにするのはどうだろう?まさかいくら非道なあいつらだって僕の精液の確認まではしまい。いやしかし、あの勘の鋭い親分に果たしてそんな愚策が通用するだろうか?どうすれば…どうすれば…。
いつしか先輩の痛々しい喘ぎが遠のき、僕は惰性で腰を振っていた。新城周、セックスの中でセックスを忘れた。
「新城くんっ…っつ!」
痛みによがりながらも僕の名を叫んだ先輩に、僕は我に引き戻された。
「ハァ…ハァ…お願い…もっと私を見て…もっと私に触れてよ…うっ、…つぅ…う、うんっ!…お願い…します…もっともっと私を感じて…でないと…わたし…あっ…アン…」
可憐…だった。可愛いかった!美しいかった!!このセックスを終わらす方法?簡単だ。俺が本当にイけばいいんだ。余りに突然で、あまりに衝撃的過ぎて、僕は今なにが起きているかすら飲み込めていなかった。僕は今、大好きな人とひとつになっていたんだ。
そしてもう一度、文字通り本腰を入れた、ゆっくり、優しく、だが深く彼女の中に潜りこんだ。何度も。何度も。
「ううーっ、あっ、いっ…気持ちいいっ!気持ちいいよぉ!新城くん…ぅん!うん!!」
「せ、先輩っ!好き…」そのまま勢いで言おうとしたがそれは流石に冷静な僕が邪魔をした。こんな状態で彼女に引かれてしまっては元も子もない。「い、いや…キス!キスして…いいですかっ!」それでも不安に怯えながら言った。キスして絶頂を迎えるなんて、まるで本当の恋人同士みたいじゃないか?1日限りのラッキーヘブン。神様僕のワガママを叶えてください!
僕の想いが天に届いたか意外にも先輩は言葉ではなく態度でそれを示してくれた。僕の頭を両の手で抱きかかえ、噛みつくような激しい接吻がやって来た。絡んだ舌の先からは僕の深いひと突きに合わせて吐息が漏れる。それはそのまま僕の口内から脳まで駆け上る。
満足だった。幸せだった。たとえ1日だけでも。これが全部嘘だったとしても。欲求のカップは満たされ、いよいよその表面張力を破ろうとしていた。絶頂の瞬間が迫っていた。
「あああああ!い痛っ…っい、いいいっ!気持ちいいよぉ!新城くぅん!」
僕がもし、先輩のように美しく、先輩のように可愛い声をしていたなら、同じ気持ちを同じように叫んでいただろう。快感という快感が下腹部へと溜まり、もはや射精は目前だった。イクと確信したならば、ほんの少しだけ冷静になる。このまま先輩の中で射精してしまっていいのか?処女は妊娠しないなんて言うけれど、果たして100パーセントそうなのか?先輩が僕の子を宿す?嬉しいけれどそりゃあんまりだ。彼女を遺伝子レベルで汚してしまう。第一先輩が不憫だ。こんな偽りのセックスで、何故に酷男の妻になんてならなきゃならんのだ。…結婚かぁ…。いいなぁ…先輩…誰と結婚するんだろうなぁ。愛ある家庭も、愛する妻も、相思相愛のセックスも、また明日からの僕には無縁なんだろうけど、今日のこの1日の思い出が出来ただけ、それだけで僕には充分過ぎるほど充分だ。先輩。先輩。ありがとうございました、先輩。
もうひと擦りで出るかというそのとき、僕は先輩の中からいちもつを引き抜き、手で数回しごきながら発射した。またしても僕は大量に精液を撒き散らし、先輩の腹から、おへそ、いくらかは胸までをも汚した。
体が快感に支配され、それを拭き取ろうにも動かない。生身の人間とするセックスはこんなにも気持ちがいいものなのか。それが先輩だから尚更なのか。童貞だった僕よ、さようなら。24年分の僕に、さようなら。
快楽のあとの虚脱に襲われた僕は出来るならそのまま倒れこみ、先輩の胸に埋もれてしまいたかった。先輩も微笑んで手を伸ばし、それを受け入れようとしてくれていた。
だが、ダメだ!僕は踏み止まった。ショーは終わったのだ。先輩にこれ以上体当たりの演技をさせ続けるわけにはいかない。少し頭も冴えてきた。先輩の裸をこれ以上ヤツラに見られたくはない。僕は倒れるのではなく、そのまま彼女を引っ張りあげて抱き抱えた。
「さぁ、これで満足でしょう?僕たちを解放してください!」
語気を強めて僕は親分に言った。
「アカンな。」
即答だった。「な?!なんでです…」「オマエさんがまだ本気を出してへんからや。そいつがええ証拠や。」
親分の、いやヤクザ全員の視線が僕の股間へと注がれた。
情けないことに僕の愚息はまだカチンコチンのビンビンだった…
Cairn07
2022-02-16 07:16:16 +0000 UTC