O2C - Part 1 -
Added 2021-07-15 15:33:27 +0000 UTC高校生の時、投手として甲子園で活躍出来たおかげでドラフト二巡目で選んでもらい今の球団へと入団した。今まで順調に投げ続け、成績も悪くない結果を残していた。今年でプロ5年目なのだが、最近どうにも調子が出ない。このままこの状態が続くと2軍落ちになってしまう。毎シーズン投手として10勝前後の成績を残しているのにシーズン折り返しの今の時点で0勝5敗。改善しようと努力はしたが、結果は出ず。登板数もこのままじゃ減らすしか無いと言われた。色々と改善策を打ち立てて結果が出ない俺のスランプの原因は精神的なものではないかと言われ始め、コーチから心理カウンセラーの資格も持つトレーナーがいるから一度どうかと紹介されたので、ベンチ入りの日を休養にしてもらって訪ねてみることにした。何をやってもダメだったのでもう何でも試してみるしかない。 とある新築ビルの5階。エレベーターを降りるとすぐに扉があったが看板が2つあった。扉を開けるとすぐに受付けがあったので、とりあえずここでいいかと受付にいる青年に話しかける。 「すみません。今日予約していた堀千晴です」 「予約の堀様ですね。少々お待ち下さい」 受付の青年が和やかに対応してくれる。青年が内線で連絡すると、今度は黒髪短髪の爽やかな男性が姿を見せた。 「お待ちしてました、藤島真英です。堀選手に会えてとても嬉しいです。今日はよろしくお願いします。こちらへどうぞ」 藤原さんに付いて行く間に少し話をしたのだが、5階の心療クリニックとジムの2店舗は藤原さんが両方とも経営しているらしく、さらに若く見えるので年齢を聞いた所、なんと俺と歳もいっしょでただただ驚きの連続だった。若くしてトレーナーとしても経営者としても成功しているなんて、今の俺とは大違いだ。 まず案内されたのはジムの中にある、個人用のトレーニング室だ。今回は少しトレーニングした後にカウンセリングをするらしく、逆のほうがいいのでは?と思ったが、そこはプロの考えがあるのだろうと思いうなずいた。しかも藤原さんが直々に担当してくれるそうだ。もうあまり誰かの担当に付く事はないらしいと、コーチから事前に話を聞いていたので何とも幸運なことだと思い指示に大人しく従い、俺はトレーニング着に着替えて準備をした。ジムでのトレーニングは軽いもので軽く汗をかく程度で終わった。そしてタオルで汗を拭うと着替える間もなくすぐにカウンセリングをすると言うので、俺はそのままクリニックの方へと移動する。部屋に案内され、ソファに腰を沈めると同じく藤原さんも向かいのソファに座る。少し甘い匂いが漂う白を基調とした部屋に汗の臭いを誤魔化せると思い、少し安心をする。でもこんな汗をかいた服でソファに座ってもいいのだろうかと思いつつもカウンセリングは始まった。 内容としては世間話だったりリラックスの方法だったりと特に特別な事をするでもなく進んでいく。だが部屋に漂う甘い匂いは少し気になった。バニラエッセンスのような匂いで何か部屋で焚いているのだろうか。話をしながら頭の片隅で考えていると、藤原さんが手をパンと叩いた音でそんな考えは霧散された。 「ではカウンセリングの最後に精神をスッキリさせる簡単な運動をしましょうか」 「運動ですか??」 「まあ運動というには少し大げさなんですけど。ではコレを見て下さい」 そう言って藤原さんはスマホを取り出す。画面には宇宙空間のような星が散らばる背景に1つの白い球体があった。 「この球体を目で追うだけです。それだけで大丈夫です。画面をタップすれば始まるのでどうぞ」 確かに運動とは言えるものではないが、こんな事で本当に精神がスッキリするのか?どうぞと言われ、俺は画面をタップする。白い球体が画面のあちこちを移動していく。そのスピードは速かったり、遅かったりと緩急をつけて。背景が変わらないその画面に釘付けになり、夢中で球体を追って行く。 「そう、目で球体を追って。ゆっくり、そしてスピードを上げて、またゆっくり。集中して。スピードが上がっても慌てないで、リラックスして下さい。集中、リラックス、集中、リラックス…」 球体に集中している筈なのに、藤原さんの声が体内にスッと入り込んで溶けて行くのが分かる。それは心地よく、藤原さんの言葉通りとても落ち着いてスッキリした。 球体がスタート位置である画面中央の位置に戻る。動かない球体を俺は集中してじっと見つめていると、声が掛かる。 「堀さん、もう終わりましたよ」 その声でハッとなり、藤原さんの顔を見る。 「さすがプロというか、凄い集中力ですね」 「いえ、そんな。これは藤原さんが考えたオリジナルで?」 「はい、そうなんですよ」 「流石ですね。最初はちょっと馬鹿にしてたんですけど思わず夢中になってしまいました。今日はこれで終わりですか?」 「いえ、次で最後になります。このトレーニングはコレだけでも効果はあるんですがこれは次に入ってもらう酸素カプセルの効果を倍増させる準備運動なんですよ」 「なるほど、そうだったんですね。酸素カプセルに入った事は何度かあるんですけど今迄とどう違うのか、何だかワクワクしてきました」 「なんかプレッシャーですね」 「いえ、すいません、そんなつもりは」 「冗談ですよ。でも自信はありますので期待してて下さい。あと、酸素カプセルも自社のオリジナルなんですよ」 「それはすごいですね。ますます期待が高まります」 「感想聞かせて下さいね。これで今日は最後になりますので。ではこちらへどうぞ」 カウンセリングをした部屋に繋がる隣の部屋に酸素カプセルはあった。見た目は普通の酸素カプセルとは変わらない。 カプセルの中を覗いてみると、人一人分は十分に寝れる広さでもう一人入っても問題ない程広かった。これなら寝返りを打っても大丈夫だろう。 「調整等は既に済んでいますのであとは中にあるスイッチを入れて頂ければ自動でやってくれますので」 「分かりました」 相変わらずトレーニング着を着用したまま俺はカプセルの中に入り、寝転ぶ。扉を閉めて、ワクワクとした期待とリラックスとした気分で酸素カプセルのスイッチを入れた。 すぐに酸素が濃くなってきているのが分かった。それと同時にカウンセリングした部屋で嗅いだ匂いが鼻を通る。そして眠気を誘うような音楽も静かに聴こえてきた。俺はその誘いに抗う事はせずに身を任せて、そのまま眠りについた。 ----- 酸素カプセルの扉は透明になっている為、外からも中の様子が確認出来るようになっている。堀さんが眠りについた事を確認すると俺は、カプセルを操作して眠りを誘うものから俺の声も入ったサブリミナル効果のある音楽へと変える。これでカプセルの中に入っている40分間、たっぷりと俺の色へと染まっていく。 酸素カプセルとしての効果はもちろんある。だが中では俺の体臭で作った香が酸素と一緒に充満していて、俺の体臭を嗅ぐとリラックスして安心出来るように紐づけしている。さらにサブリミナル効果のある音楽は俺を信頼信用するようにとひたすら暗示させ、俺に好意を寄せるように作っている。最初の第一段階はまずこんな所だろう。 カプセル前に行った被暗示性を高めるトレーニングでは効果が人より効いている印象があったので更に進めてもいいかと思ったけどプロの野球選手だ。慎重に事を進めて行こう。 「んっ…、あ、あぁ…、んぁ…」 中の様子を見てみるとうわごとのような甘い声が漏れ、腰を揺らしているのが分かる。思った通り、相性は抜群のようだ。思わず笑みが溢れてしまう。 「上手くいきそうですね」 「あぁ、実。久しぶりに同胞が増えるな。嬉しいか?」 「もちろんです、ご主人様。早く俺のように目覚めてくれるのを楽しみにしてます」 そう言って顔を赤く蕩けさせる実の腰を寄せて唇を奪い、舌を絡め合った。 ピッーと音が鳴り、40分間の作業の終わりを告げる。堀さんの変化に期待を膨らまし、俺は今か今かと酸素カプセルから出てくるのを待った。 ----- ピーっと機械音が終わりを告げる。俺はその音で目を覚ます。寝起きだと言うのに、頭がクリアになり、体も軽くなってスッキリしているのが分かる。 だが、ある事も判明する。股間が朝立ちのように勃起しているのだ。それだけではなく、先走りでスパッツが濡れているのも分かる。このままでは外に出れない。とりあえずカプセルの傍に人が居ないかを確認すると、藤原さんが笑顔で覗き込んでいた。目が合ってしまい、思わず逸らしてしまう。 「どうしたんですか?」 藤原さんの声が微かに聞こえる。俺は観念してバレない事を祈り、カプセルの外へと出た。だが、藤原さんはすぐに俺の股間へと目線をやり、笑顔で話す。 「あぁ、皆気持ち良くてそうなる人多いんで、気にしなくても大丈夫ですよ」 「そ、そうなんですか?」 「そうですよ。それより気分はどうですか?股間を見る限りだいぶリラックスはしてくれたみたいですね」 藤原さんは笑いながら俺に気を使って話してくれる。 「はい。凄い体も軽くてスッキリしました。ここも元気ですし、ハハハ…」 俺が恥ずかしげに笑っていると、いつの間にかいた受付の青年がタオルと水を手渡してくれる。 「よかったらこれ、使って下さい」 「ありがとうございます」 代謝が良くなった為か、軽く汗をかいていたので有難くそれを受け取り顔にタオルを押し当てると、またあの甘い匂いが鼻を通る。覚えてしまった匂いが少しクセになり、再び顔にタオルを当てる。水を飲んでタオルを青年に返そうとお礼を言って差し出す。 「それは差し上げますよ。カプセルに入った方にはプレゼントしてるんです」 「じゃあ、ありがたく」 「これで本日のメニューは終了です。堀さん、今日はいかがでしたか?」 「とても良かったです。体と一緒に何だか心も軽くなった気がして、次の試合ではいいプレーが出来そうです」 「それは良かったです。実は堀さんのファンでして、最近はあまり誰かにこうやって個人トレーナーはしていなかったんですが、今日は堀さんが来るということでオーナー権限で堀さんに付かせてもらいました」 俺は藤原さんに握手を求められ手を握る。握手を求められる事、また俺のファンだと言う事がとても嬉しかった。 「そうだったんですね!嬉しいです!俺は藤原さんがファンでラッキーですね。最近は全然ですけど、応援して下さい。今日の成果を必ず次の試合で発揮しますね」 「はい、楽しみにしてます!また来て頂きますか?」 「もちろんです!次の予約とかしていいですか?」 「いいに決まってますよ!また自分が付かせて頂いても?」 「是非、こちらからお願いします!」 「ではまた来週同じ時間でいかがですか?」 「はい、大丈夫です!よろしくお願いします!」 「実、施設の予定を空けておいてくれよ」 「はい、かしこまりました」 その後、藤原さんと軽く談笑をして今日は終わりとなった。来週が楽しみだ。その前に明日の試合でキチンと結果を出さないと。俺は軽くなった心を弾ませながら建物を出たのだった。