「ううっ・・・おなかすいたよ・・・」
少女は巨大な建物の中をさまよっていた。
目の前の巨大な柱は椅子の脚のようである。
巨人の家に迷い込んだのか、はたまた少女の身体が小さくなってしまったのか分からない。
数時間さまよい続けたが、広大な木の床の上には食べ物一つ落ちておらず、少女の身体は空腹を訴えていた。
「なんか、いい匂いがする・・・」
少女は匂いのする方向にふらふらと歩いて行った。
「この屋根の中から、甘いお菓子の匂いがする・・・」
少女は屋根のついた箱の中へ入っていった。
「甘いお菓子・・・どこなの・・・」
薄暗い箱の中で少女は匂いを頼りに食べ物を探した。
「きゃっ!」
突然、足が動かなくなった。
そのままバランスを崩し、前のめりに倒れてしまった。
べちゃっ!
「うっ!」
地面に身体を打ち付けたと思ったが、柔らかいクッションの上に倒れたようで、痛くなかった。
「ううっ・・・」
少女は身体を起こそうとするが、身体が動かない。
身体が何かに引っ張られているようだ。
「ううっ、なにこれ・・・」
手足が地面に引っ付いたのだ。
ベタベタした床が身体に引っ付いて、身動きが取れなくなっていたのだ。「いやっ!」
少女は腕を引っ張って床から剥がそうとするが、粘着性のゲルが手にまとわりついて剥がれない。
「どうしよう・・・動けないよ・・・」
少女の心が不安でゆがみ始めた。
「いやあああああっ!」
少女はパニックになって、やみくもに身を捩り始めた。
しかし、強力な粘着床はいくら引っ張っても剥がれなかった。
もがけばもがくほど、粘着性のゲルが身体に纏わり付き、腕や服にまでまとわりついた。
「うぐっ・・・」
もがいても抜け出せない粘着床。瞳の端には涙が浮かんだ。
「だれか・・・たすけてっ・・・」
震える唇の端からかすかな声が漏れるが、その声が誰かに届くことはなかった。
【文字なし差分】