前回、初心者講習(前後編)からの続きです。
https://ohma.fanbox.cc/posts/2023942
一般的なじじまごよりちょっと仲良しな爺ちゃんとモモ。
学生のモモは通っている学校に大好きな先生がいて、そんな先生の授業を受けられていつもよりごきげんなある日のこと…
「と、なるので…こんな感じでエネルギーと質量は交換できることが解ったね」
「「「「はーい」」」
(うーん…やっぱり先生の授業はわかりやすいなあ…教え方も優しくて…カッコいいし…)
「それじゃあ、ここまでで何か質問したい人はいるかな?」
(あっ…なにか質問して先生と話すチャンス!…えっと…)
「はーい質問でーす!せんせーはどんな人がタイプなんですかー」
(は!?…ブラウン君!?)
「こらこら…先生のことは関係ないだろう…しかしそうだなあ…話していてホッとするようなそんな人は素敵だなって思うかな」
「先生にもそんな人が見つかるといいんだけれど…」
「「「はははははは」」」
「うーん…」
(話しててホッとできる人…かあ…)
先生の授業を受けられてごきげんだったものの、先生の好みの人になれるくらい自分は上手に話せるかと、モモは心配になってしまったのでした。
その日、爺ちゃんが外の用事を済ませて家に帰ってきたところ…
「おーい、帰ったぞ~…おるのか…モモ…おっ…」
「あっ…じ…爺ちゃんこれは…」
「そ…その本は…爺ちゃんが隠しておった…話し方の本…」
「その…あがらないで…上手に話すにはどうしたらいいのかなって…」
「ふむ…そうか…先生ともっと仲良くなるために…上手な話し方ができるようになりたいのじゃな?」
「えっ…先生と仲良くしたいなんて…僕そんなこと言ってない…よね?…今日の授業見てたの?」
「うむ、言っとらんし見ておらん、の」
「え?」
「いや~っ、モモはわかりやすいの~、そんだけわかりやすいと上手く話せんでもモモの気持ちは筒抜けじゃと思うが…案外先生だってもうモモの気持ちに気づいとるんじゃないかのう…あんまりにモモが熱い視線を送るもんじゃから…」
「もーっ!そんな視線なんて送ってないよ~っ!」
「すまんすまん…つい…いつもの…の…まあ爺ちゃんとモモの仲じゃから以心伝心じゃが…他の相手と上手く話ができるかというのは、爺ちゃんもモモ位の歳には悩んだもんじゃ…」
「じゃが…」
『悪用厳禁! 相手を意のままに操る最狂の会話術
これを読んだその日から同僚が!家族が!友人が!貴方に従順な操り人形になる!』
「こ…この本はちとモモの悩みを解決する内容ではないかもしれんのう…モモがこんなテクニックを欲しがるくらい社会に対するイメージがすさんでいるかと思うと…爺ちゃんちょっとショックかも…」
「そ…そんなに危ない内容の本だったの?僕…上手に話す方法が載ってるかなって…」
「いや…爺ちゃんも自分で買った本じゃないのじゃよ?昔ドラマでサイコパスとかそういう知能犯みたいなのを見て舌先三寸で世の中を渡る技術に憧れた…友達が…そう、そういうのに憧れたされた友達が買った本を預かったのであって、爺ちゃんの本ではないし、爺ちゃんは誰のことも意のままに操っちゃたりはしておらんのじゃよ?ほんとじゃよ?」
「…爺ちゃん…?」
「と…ともかく、こんな心理テクニックみたいなもんに頼らんでも、素直に話しかけるだけで十分モモの魅力は伝わるはずじゃぞ」
「でも…僕…先生相手だと…話しかけようとするとなんだか焦っちゃって…話すどころじゃなくなっちゃって…」
「ふーむ…好きな相手だとあがってしまうということかのう…モモはそんなに先生が好きなんじゃのう…」
「そ…そうなの…かな…」
(うーむ…モモの先生は…こんなにモモに好かれおって…妬けるのぉ…むぅ…)
「爺ちゃん…?…むっ…」
「ん~っ」
「じっ…じいちゃん…急になにを…」
「おお!すまんすまん…悩んどるモモをじーっと見ておったら…つい…ぶちゅっとしてもうた」
「えぇ…ついって…」
「いきなりですまんかったが…悩んどるモモが可愛いのもいかんのじゃぞ?…モモはいつも可愛いが、悩んでる時までそんなに可愛くせんでええんじゃないかのぉ…」
「??あ…え…?…うん…なんか…ごめんなさい…」
「ふっふっ、わかればええんじゃよ…しかし今ので一つ解ったぞ?」
「今ので?」
「うむ、先生に話しかけようとして焦ってしまうというのは…話が上手か下手かとはまた別のことが原因かもしれん」
「別に原因があるの?」
「そうじゃ…今モモにちゅーをして思ったのじゃが…」
「う…うん」
「ずばり、モモはマグロじゃ」
「ま…マグロ?…あの…魚の寿司とか刺身で食べる…?」
「そう…まな板の上でじっと捌かれるのを待っているマグロ…要するに、相手にされるがままで受け身ということじゃな」
「鮪以外の魚は暴れるの?」
「ん…?そう言えば…ああ…鮪は冷凍されてるからじゃなかろうか…しかし他の魚も…いやいやそこはあまり重要じゃなくての」
「受け身というのは、うまく行くかどうかが相手にまかせっきりということじゃろ?」
「うん…」
「それって、楽なところもあるが、常に先のことをただ待つしかないってことじゃから、どこか心配で自信も持てんのじゃないかのぉ」
「自信…確かにないかも…」
「うむ…そこで、受け身で自信がないモモと攻める方法も知ってる自信満々なライバルが、先生を取り合ったら勝つのはどちらじゃ?」
「えっ…ライバル?…その…ライバルって…誰?」
「もしもの話じゃよ、もしもの、誰か心当たりの子がおるのか?」
「…えっと…ライバル…なのかな…そういう感じではないような…爺ちゃん本当に僕が学校で授業受けてるの見てないよね?」
「?…見ておらんが?」
「まあ…そうじゃあなあ…今はライバルはがおるかはともかく、そんなに素敵な先生なら実際にライバルが出てくるのは時間の問題かもしれんのぉ…その子が大人の恋愛テクニックを会得しておったとしたら…」
「え…大人の恋愛テクニックって…その…僕も爺ちゃんにこの前色々教えてもらった…よね…」
「うむ、しかしこの間教えたのはまだほんの初歩じゃからな…モモも筋はよかったのじゃが…あれだけでは十分とは言えんかもしれんのぉ…自信を持つにはもっと高度な上級のテク…いや…せめて中級のテクニックは必要かもしれん…」
「もっと高度な…こないだの他にもまだまだあるんだ…」
「そうじゃよ?…好きあった二人はこないだよりももっともっと…色んなところでお互いを確かめ合うんじゃ…モモもこないだ試して身体の奥がじんじんしたじゃろう?…こないだ気持ち良かったのは覚えとるか? …ほれ?」
「んっ…またっ… 覚えてる…けど…」
「ふふふ~身体の方はまだまだ初心な反応じゃのう…ちゅーとおっぱいさんでこんなにうろたえるとは…やはりもっと爺ちゃんとの経験が必要なんじゃないかのう…ん?どうじゃ?」
「で…でも…こういうのって…好きな人とすること…だよね?」
「むっ…モモは爺ちゃんのこと嫌いかの?爺ちゃんは…ちゅっ…モモのことが大好きじゃぞ?」
「…ぼっ…ぼくも爺ちゃん…好きだけど…先生の好きとは…んんっ…」
「むぅ…」
(は~っ、本当にモモは先生大好きじゃな…)
「ん…まあ…確かにそうじゃのう…誰とでもすることではないのう…爺ちゃんも相手がモモじゃから力になりたいとは思うが…やっぱりやめたほうが良いのかとも思ったりするし…」
「爺ちゃん…爺ちゃんも迷うんだ…」
「そりゃそうじゃよ…爺ちゃんだって、モモがそういうことを学ぶのもモモの好きな相手と一緒に学ぶのがええとは思うんじゃが…先生はモモよりずっとお兄さんじゃろ?」
「うん…」
「じゃから先生はもうモモよりも経験豊富じゃろうし…儂の可愛いモモが経験不足のせいで先生に嫌われたらと思うと…」
「爺ちゃん…僕を心配してくれて…」
「そこで!今日限定で爺ちゃんはモモに中級編のレクチャーをしてやりたいと思うのじゃ!」
「えっ?…レクチャー…限定…今日…だけ?」
「うむ…人気が集中していて数量限定のため…このオファーが受けられるのは今日限りじゃ…今日ならモモに教えてやれるが…明日以降となると…」
「明日より後はどうなるの?」
「次にモモに教えてやれる機会がいつになるかは、儂にもわからん…もしかするともうそんな機会は訪れないかも…」
「もうないの?」
「そうじゃな…少なくとも半年は…そうすると…その間にライバルが先生にアタックする可能性も…」
「だ!だめだよ!だめだめ!…今日やる!爺ちゃん教えて!」
「おお!やる気になったか!チャンスを逃さず積極的に学ぼうとするその姿勢、情熱的で良いのぉ~、先生にも魅力的に映ると思うぞ?」
「そ…そうかなあ…えへへ…」
「……うーん、最狂の会話術、効果ばつぐんじゃなぁ…」
「えっ?」
「いやいや…なんでもないのじゃよ?」
「??」
「…ところで…爺ちゃん以外の人からこんな風に期間限定とか誘われても、それはモモを騙そうとしている悪い奴かもしれんから…疑わんといかんぞ?」
「?…うん」
「もちろん爺ちゃんだけはモモの味方じゃから全面的に信じてOKじゃぞ?」
「うん!」
(……さ…流石にちょろすぎて…ある意味心配じゃが…)
(ま、そこも合わせてワシがしっかり導いてやらねばの!)
「それでは講習中級者編じゃ!今回も爺ちゃんが手取り足取りたーっぷり教えてあげるからの!」
モモの素直すぎる部分はちょっと心配になりながらも、それ以上に前より色んなことを教えられることに喜色満面な爺ちゃんなのでした。
前編おしまい
後篇に続きます↓
今週6月19日までに投稿予定です。
οhma
2021-06-19 13:24:55 +0000 UTCKiB
2021-06-17 15:19:20 +0000 UTC