コチラのTwitterの方で応募募ったコラボ企画で文書:taberouさん。イラスト:炎帝竹輪太郎でお送りします。
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とある大陸に存在するフィルステイン王国。
『美の国』と名高いかの国の王城内を、一人の衛兵が巡回していた。
巡回自体は毎日行っていることだが、昨夜起きたある出来事のためにいつも以上に警戒しながら念入りに行っていた。
そうしていると、前方から侍女を連れた女性が歩いてくるのが彼の目に入った。
一見して高級品だとわかる豪奢なドレスを身に纏い、ドレス越しでも隠し切れない肉欲的な肢体と美貌を備えたその女性は、頭の上に宝石が散りばめられたティアラを着けていた。
女性の方も衛兵に気がついたようで、朗らかな笑みを湛えて歩み寄ってきた。
衛兵はすぐさま礼を失せぬように頭を下げた。
「あら、衛兵さん。おはようございますわ」
「これは姫様。おはようございます。私などに声をかけていただき、ありがとうございます」
深々と頭を下げる衛兵に労いの言葉をかける女性の名は、エリゼ・フォン・フィルステイン。
『美の国』の王族に相応しいその美しさと穏やかな人柄から『美麗姫』と称され、貴族、平民問わず国中から愛されているこの国の第一王女だ。
エリゼに顔を上げること促されて衛兵が礼を止めると、彼女は満面の笑みで衛兵を迎えた。
「あなたたちの働きでこの城は守られているのですもの。このくらい当然ですわ」
エリゼの言葉に、衛兵は感激のあまり僅かに涙ぐんでしまう。
優美なドレスすら引き立て役にしかならない優しげな微笑みを浮かべたエリゼの姿は、まるで女神の如き美しさだった。
それと同時に昨夜の出来事が頭を過り、彼は顔を悲痛に歪めてしまった。
それに気づいたエリゼは首を傾げた。
「あら? どうかなさいました?」
「いえ、昨夜の話を思い出しまして……」
「――あぁ、あの賊にことですわね」
衛兵の言葉に、エリゼは得心がいったらしく頷いた。
昨夜に何が起こったのかというと、いかなる方法を使ったのか、巧妙に衛兵の目を掻い潜り王城に賊が侵入したのだ。それだけでも一大事だというのに、あろうことかその賊は王女であるエリゼの部屋へと忍び込んだのだ。
幸い、エリゼの悲鳴を聞きつけてすぐさま駆けつけた衛兵によってその賊は取り押さえられ(取り押さえた者が言うにはすでに気絶して床に伏していたらしいが)地下牢へと幽閉された。
だが、一歩間違えればとんでもないことになっていた大失態なのは間違いなく、当時その場にいなかった彼も含め、衛兵一同はただただ深く反省するしかなかった。
そんな衛兵の思いを察したのか、エリゼは優しげな声で慰めの言葉をかけた。
「そんなに思いつめないでくださいませ。誰だって一度ぐらいは失敗するものですわ」
「しかし……」
それでも悲痛に項垂れる衛兵の顔を、エリゼは両手で優しく包んで自身の方へと向かせた。
「それにほら、ご覧になって。私は見ての通りなんともありませんわ」
そう促され、あらためてまじまじとエリザの姿を見回した。
ドレスを纏ってもなお美しい曲線を描いていることがわかる肢体に、品性と知性を兼ね備えた美しい顔。
そして自分のような下位の者にも優しく接してくれる慈愛に満ちた人柄。
そのどれもが、国中の者が敬愛するフィルステイン王国の第一王女、エリゼ・フォン・フィルステインだった。
「ね? 何も変わらずいつも通りでしょう。これもすぐに駆けつけて取り押さえてくれた衛兵さんたちのお陰ですわね。優秀な方たちばかりで私も嬉しいですわ」
衛兵からいくらか罪悪感が消えたことを確認したエリゼは、衛兵の顔から静かに手を離した。
「では、私はこれで。お勤め、頑張ってくださいね」
そう言葉を残し、侍女を引き連れて立ち去るエリザの後ろ姿を、衛兵は見えなくなるまでじっと見つめていた。
「…………」
巡回していた衛兵とわかれた後、エリゼは無言で静かに廊下を歩いていた。
そうして辿り着いたのは自身の部屋だ。昨夜のこともあっていつもより厳重に衛兵が守っていた。
エリゼはそんな彼らに労いの言葉をかけると、自身の侍女と衛兵たちに誰も入ってこないように命じて部屋に入った。
扉が閉じられ、外に音が漏れないことをしっかりと確認するとエリゼは薄っすらと笑みを浮かべていた表情を消して目を閉じた。
そして――
「……ぷっ! くくくっ! ぷははははっ!」
突如、エリザの口から笑い声が零れた。
その声は次第に大きくなり、ついには腹部を押さえて寝台で笑い転げ始めた。
整えられた髪が崩れ、ティアラが外れて床を転がっていく。
だがエリゼはそんなことなど気にした様子もなく、目尻に涙を浮かべて唾を飛ばしながら笑い続けていた。
その姿にはさきほどまであった品性や知性はまったく感じられず、彼女を知る者が見れば何事かと目を剥くことだろう。もしくは、その行為をはしたないと窘めるかもしれない。
だが今この部屋にはエリゼしかおらず、笑い声が外に漏れることもないので入ってくる者もいないため、人目を気にすることなく笑い続けた。
そうして一頻り笑い終えると、エリゼは体を起こして寝台の縁に腰かけた。
その腰かけ方も足を大きく開いてどっしりと座るという、とても一国の姫がするようなものではなかった。
「あー笑った笑った! まったく、ここまで笑わねーようにすんのは大変だったぜ!」
エリゼはまるで教養のない男のような口調で独り言を呟き始めた。
さんざん笑ったためかエリゼは大きく肩を上下させ、それに伴ってその豊満な胸が上下に揺れる。
エリゼはその様をニヤニヤと品のない顔で眺めていた。
「しっかし、くくくっ! な~にが『何も変わらずいつも通り』なんだかなぁ~」
エリゼは巡回中だった衛兵との会話を思い出し、小さく笑った。その顔には明らかな侮蔑の色で出ていた。
そして、その口から信じられない言葉を零した。
「いつも通りどころか、姫様の身体はその賊に奪われちまってるってのにな!」
そう言ってエリゼ――いやエリゼ(賊)は、ぷはっとまた噴き出して笑った。
実は昨夜侵入した賊は、一度だけ他者と肉体を交換する腕輪の力によってエリゼと入れ替わっていたのだ。エリザの悲鳴を聞いて衛兵がやってきたときにすでに賊が気絶していたのも、入れ替わった後に抵抗しないように強力な睡眠薬を飲んでから腕輪を使ったからだった。
また腕輪には交換した相手の記憶を得る力もあり、これによって賊はエリザのふりをしてまんまと周囲の目を欺くことができていた。
「俺様の演技が完璧ってのもあるんだろーが、誰もまったく気づきやしねーんだからよ。俺様にも簡単に忍び込まれちまうし、な~にが『優秀な方たちばかり』だ。なにが『あなたたちの働きでこの城は守られている』だ! どいつもこいつもただのマヌケじゃねーか! ぎゃはははっ!」
エリゼ(賊)は美しい顔を盛大に歪めて、ついさきほど優しげに語りかけた相手への暴言を吐きかけた。
その顔は悪意に満ちており、自身が労いにかけた言葉をわざわざ繰り返して馬鹿にする始末だ。
「そういやあの衛兵、俺様――姫様と話してるのに胸をチラチラ見てきやがった気がするし、立ち去るときも後ろからじっと尻を凝視してやがった気がするな~。ただの衛兵のくせに姫様をエロい目で見るとか何やってんだかな~。キモイから姫様権限でクビにしてやろっかな~」
ニヤニヤと笑いながら、エリゼ(賊)は言いがかりで衛兵の処遇を決めようとしていた。
実際、今のエリゼ(賊)にはそれだけの権力があり、やろうと思えばできてしまうだろう。
「でもまあ、俺様は優しーから大目に見てやるかな~。感謝しろよ」
一方的に自分勝手なことを言うと、エリゼ(賊)は立ち上がって部屋の壁に備え付けられた大きな姿見の前まで歩いて行った。
そして姿見に映った今の自分の身体――美しいエリザの身体をしげしげと眺めた。
「それに、へへへ、悪いのは姫様のこの身体の方だしな~」
そう言うと、エリゼ(賊)は片手で豊満な胸を揉みしだき、もう片方の手で尻をペチペチと叩いた。
「まったく、姫のくせにこんなエロいデカパイとケツしやがって。仕事熱心(笑)な衛兵さんを誘惑しちまうなんて淫乱な姫様だぜ。くくくっ!」
しばらくそうやって姿見に映る姿を見ながらエリゼの身体をいやらしく撫で回していたが、ふと何かを思いついたのか、ニヤリと笑うと乱れた髪を整えて床に転がっていたティアラを拾って着け直した。
そして身嗜みを整え終わると、『美麗姫』と称されるに相応しい教養を窺わせる美貌になって姿見に向けて語りかけた。
その姿は、とても中身は低俗な賊だとは思えなかった。
「愛する国民の皆様。今日は私、フィルステイン王国の第一王女、エリゼ・フォン・フィルステインから大切なお話があります。実は――」
そこで一度言葉を切ると、品性のある顔を下品に歪ませ、両手を頭の後ろで組み、足を開いてガニ股になった。
「うっふ~ん! エリゼは、お仕事頑張ってる衛兵さんを誘惑しちゃうイケナイ姫なのよ~ん! いつも衛兵さんの共用肉便器になる妄想でオナニーしてるの~」
エリゼ(賊)はそのポーズのまま腰を前後させ、豊満な胸をぷるぷると揺らした。
だんだん呼吸が荒くなり、口元からは涎が垂れて、顔が赤らんで目付きがとろんとしてきていた。
「国民を愛する優しく美しい姫様なんてぜ~んぶウ・ソ! 本当のエリゼは、オチンポ大好きな卑しいメスブタなのよ~ん! 国民の皆様~。これからはチン媚びブタ姫エリゼをよろしくね~!」
卑猥な言葉を混ぜながら下品なポーズで高らかに宣言するその姿は、まさに痴女のそれだった。
誰かが見れば相手が卒倒するだろうことを、エリゼ(賊)は嬉しげな表情でやってのけた。
「な~んてな! ぎゃはははっ! おもしれ~! あのエリゼ姫にこんなこと言わせられるなんて最高だぜ~!」
本来のエリゼならば絶対にしない――いや、そもそも考えもしないことを、エリゼ(賊)は今は自分の身体だからというだけで行ったのだ。
「さてと。時間はたっぷりあることだし、この身体で遊ぶのはひとまずこのぐらいにしとくか」
好き勝手にエリゼを貶めて、エリゼ(賊)は取り敢えず満足した――かに思われたが
「じゃあ次は、地下牢にいる姫様の――いや『賊』の顔を、この『エリゼ姫様』が拝みにいってやるとするかな!」
それだけでは飽き足らず、直接エリゼを貶めにいくつもりのようだ。
エリゼ(賊)は下卑た笑みを浮かべ、部屋の外へと歩を進めた。
「いったいどんな顔するんだろうなぁ~。なんせ国中から愛される姫からクソみてぇな賊になっちまたんだからな。げひゃひゃっ! 今から楽しみだぜ!」