SamSuka
Jin(鬼頭ジン)
Jin(鬼頭ジン)

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白と黒

  1 「英光。調子はどうだ?」 「大丈夫っす。『悪の王』を倒すまでは死ねませんからね! 常に鍛えています。悪に屈しないように」 ここは、英雄事務所。 ひと昔は、そんなところはなかった。しかし現在は、唐突に現れた『悪』の存在によって、対策が立てられるようになった。 そいつらが現れたのは、丁度俺が生まれたころだったらしい。 悪の組織『エビルマ』、その総統であり、『悪の王』と呼ばれる謎の男。 そいつは、全身漆黒の衣に包まれた、筋骨隆々の大男で、顔は怪物のそれを彷彿とさせるものらしい。 しかし、大半の人間は、その部下に体と心を支配され、組織の下に堕ちてしまうらしい。 俺の親も、俺が3歳ぐらいの頃に、王に抗って殺されたらしい。父は母が俺を産む前に亡くなったらしいが。今考えれば、エビルマが現れる前に死ねたのは幸福だったのかもしれない。 何故なら、その組織は、男を淫乱に変えて愉しむ奴らだからだ。 俺の名前は、灰岡英光。 エビルマを倒すため、結集された世界の技術をさらに発達させて作られた新しい組織、英雄事務所によって作られた、ヒーローだ。 ヒーロー名は『ピュアホワイト』。 全身白に包まれたヒーロースーツを愛用している、浄化専門のヒーローだ。 エビルマの邪悪精子により淫乱化させられた男を浄化することができる。この能力は、ヒーローの中でも珍しいものなのだそうだ。 穢れのない、純粋な心を持つ者だけが使える能力らしい。悪を全員滅ぼし、闇を浄化することを目標としている俺としては、うってつけの能力だと思っている。 「それにしても、大変な時代に生まれたよな……俺たち。  若い頃から、こんな変態怪人どもと闘わなくちゃならないなんてな」 「ああ……でも、俺はそれでも構わないと思ってる。だって、俺にとっての幸せは、この世界に平和が訪れることだから」 「本当にお前は真っ直ぐだよな。見習わなくちゃな、ハハハ」 そんな他愛ない事を話しながら、俺はまた出動の時間を待つ。 夢も希望も、あの変態らに奪われた俺にとっては、エビルマの怪人を倒し、操られた人間を浄化することが俺の生きがいだ。 「今日はやつら、何もしてないみたい……か? まあそれなら平和なんだけどな」 「毎日のようにヤってるやつらだぞ? ……それはそれで不安になってくるな」 俺はそんなことを半ば不安に思いながら、親友でありヒーロー仲間の、『エビルイレイザー』こと出野浄と、事務所の待機室で出番を待ちながら話をしていた。 早く奴らが現れてくれなければ、俺は何もすることができない。それはそれでもどかしい。でも被害者が出ないということはいいことなのだけれど。 それに、俺は夜は眠くなる体質みたいで、どうしても起きることができない。事務所はその俺の体質を考慮しているのか、夜には活動をよこさない。 その代わり他のメンバーに夜は出動させているらしい。どうも皆が寝静まる夜の方がエビルマが活性化する時間のようで、そんな地獄のような時刻に俺が行けないのは辛い。 浄化のチカラを持つ俺がいれば、打倒も早まるのに……といつももどかしい気持ちになる。その分、朝と昼に力を注いでいるのだけれど。 ◯ 「……灰岡。今日はもう遅いから帰れ。悪いが、出野は22時まで残っていてくれ。この時間帯に襲撃があったら困るからな」 「……はい」 「今日は何もなかった、らしい。まだ分からんがな。  灰岡英光。また明日出動をお願いする」 「はい、分かりました」 「……あいつらが何もしないなんて……珍しい事もあるもんだな。  夜にまた来るかもしれないが……無理だな。眠ぃ」 俺は、いつものように一人しかいない家に帰宅し、いつか悪を滅ぼす事を夢見て、眠りに落ちた。   2 ――所変わって、夜の街。 残業が終わり、身も心も疲れ果てて帰ってきたサラリーマン。そんな彼に悪の魔の手が忍び寄ろうとしていた。 「ククク……今日はコイツをオカズにするぞ」 「了解! ダーティキング様!」 ダーティキングと呼ばれたその男は、鍛えられた強靭な肉体を持ち、体は黒のタイツのようなもので覆われている、2m以上もある大男だった。 悪魔のようなギラギラとした目を輝かせ、獣のように口を大きく開いている。その中には鋭い牙が何本も光っていた。 股間には、巨大なペニスを、なんの恥ずかしげもなく見せつけている。その姿はまさに怪物と呼べる姿で、なおかつ変態とも呼べる出で立ちだった。 後ろにはマスクと、チンポ以外全てを覆った黒の全身タイツに身を包んだ男達が、何人も待機している。恐らくそいつらが彼の部下であり、悪の組織『エビルマ』の改造兵なのだろう。 「はあ……早く帰ろう。佐代子と正太郎も待ってるだろうし……うわっ!」 謎の影は、サラリーマンの身体を押さえつけると、人気のない所へサラリーマンを拉致した。 『エビルマ』は、ヒーローと、世界と敵対している組織である。そのためできるだけ勘付かれないよう活動を始めるのだ。 「うわっ……! な、なんだ……!?」 「ククク……こんばんは」 「お、お前達は、『エビルマ』……なんでこんな時に……」 「簡単だぜ。この世界の人間を全員俺様の配下におくためさ。  俺様に任せれば大丈夫! すぐに堕ちてこいつらと同じ男好きの変態になるさ」 「お、女はど、どうするんだ……エビルマの怪人は全員ホモだって……聞くぞ!」 サラリーマンのその言葉に、ダーティキングは躊躇わずに言う。 「そんなもの簡単だ。男に性転換させて俺様の仲間にするだけ……この地球はあと数年もすれば男と変態だけの楽園になるさ。俺様好みの楽園にな」 その怪人の言葉にサラリーマンの背筋は凍りつく。 サラリーマンがふと周りを確認すると、いつの間にやら自分の周りは怪人達に取り囲まれていた。すでに逃げ場はないらしい。 「さあ……始めるぞ」 「ハイ! ダーティキング様!」 「あ、あ……お前ら、狂ってる……」 「狂ってる? お前面白いやつだな。  お前達ニンゲンは、テメエの思想以外のモンは全て狂ってるやらおかしいやら言って切り捨てる。  俺様達からすれば、これは常識でしかねえ。だからこそ、俺様達はお前を変える。そうすれば、お前の思想は俺様の思想になるんだから、それで齟齬はなくなるはずだぜ」 ダーティキングはそう言い放つと、目を光らせた。比喩ではない、本当の意味でだ。 彼の目を見たサラリーマンは、蛇に睨まれた蛙のように、その場から動かなくなった。まるで金縛りにあったかのように。 「あ……あ……」 「さあ。行くぜ」 ダーティキングは、指先の鋭い爪を立て、サラリーマンが着ていたスーツを切り裂いて行く。 下着も瞬時に細切れにされ、サラリーマンは見る見るうちに一糸纏わぬ姿にされた。 サラリーマン――下部一兵は、恥ずかしさのあまり、股間を隠したがっていた。が、体は動かない。 羞恥心が彼の脳を侵食する。見られたくないのに見られている。しかも大勢に。しかしそれを隠すことができないジレンマで、彼の精神は限界に達していた。 「あまり大きくねえな」 「皮は剥けてるか?」 「ニンゲンはこれだから」 「嫌がってるとか、頭おかしいぜ」 「ダーティキング様、早く犯させてください」 「貧相な体だな」 「お前ももうすぐこっち側になるんだぜ」 改造兵達が下部に群がる。 身体中をグレーのグローブで触られ、不快感が下部の体を駆け巡っていた。 改造兵の中には、身体をじろじろ眺める者や、好き放題言葉を並べる者もいた。 その数、ざっと30人以上。下部はその感覚に、おぞましいものを感じた。 「あ、あっ……やめろ……!  嫌だ! やめろ、触るな変態ども!」 「やかましいな……ちょっとどいてろ。黙らせる」 抵抗する下部に、業を煮やしたのか、ダーティキングは下部を侵す改造兵達を押しやり、下部の前へと姿を現した。 近くで見ると、その大きさが手に取るようにわかる。下部の目の前には、ダーティキングの巨大な黒ペニスが映っていた。 「しゃぶってろ」 「う……うっ!」 ダーティキングは、自身のペニスを、下部の口に無理やり突っ込むと、ペニスを咥えさせられた下部の頭を押さえ、そのまま徐に腰を降り始めた。 下部の口の中を、筋肉怪人のペニスが暴れまわる。下部の舌がペニスに触れる度に、むせるような塩辛さが襲った。 「あ、うっ。うぶ、うっ……!」 「ガハハハ……イイぞ……このままいい子にしてろよ。すぐに俺様の『分身』を入れてやるからな……」 ダーティキングのその言葉を聞いた瞬間、下部の脳内に、あるイメージが過った。 (ま、まさか……! やめ) 「ウッ……。ハアァ…………ッ!」 しかし、それを止める事は、下部には不可能だった。 ダーティキングが大口を開け、息を吐き出す。長く尖った舌は涎で塗れ、垂れた唾液が口元を汚していた。 そのままダーティキングは精子を出す。下部の口の中に、しかも大量に。 その精子は白ではなかった。黒い絵の具をさらに黒くドロドロとしたものにしたような、そんな真っ黒な精子だった。 その精子は、下部の口内を一瞬で覆い尽くし、喉へと侵食していった。 下部はその精を吐き出そうとしたが、あまりにも量が多すぎたために、無理やり喉に押し込まれ、それを体内に入れてしまった。 「うっ……ゴホッ、あがっ……うう……」 「これで、お前もすぐに俺様達を受け入れられるようになるさ。さあ、オタノシミを続けるぜ!」 「了解!」 「あ、あ……ああっ!」 その後は、彼らに陵辱されるだけだった。 自分のペニスはいくつもの手で扱かれ、口やアナルには改造兵のペニスを無理やり押し込められる。ついさっきまでは嫌だったはずなのに、奴の精子を飲んだせいなのか、下部は興奮が止まらなかった。 それ以外の改造兵は、見定めのつもりなのか下部の体を余す事なく撫で回していた。体の一部を手で触れられる度に、下部の体は興奮と快感で跳ね、その度に喘ぎ声をあげていた。 「あ、あっ……やめ、ろ……アンッ。  な、なんで……なんでこんなに興奮して、あっ!」 下部はとうとう絶頂に達し、ペニスから白い精子を発射した。が、それでも改造兵達はペニスを扱く事をやめはしない。それどころか、下部が出した精子をおいしそうに舐めている始末だ。 「ククク……いつまで白でいられるかな?」 「い、や……だ……うあっ!」 ◉ ――その後も陵辱は続いた。 同じ事の繰り返し。改造兵は猿のように同じ行為を繰り返し、何度も下部をイカせ、精子を出させていた。 「あ……ア……」 「なんだよ、もう出ねえぞ」 「まだ17回しか出してなかったのにな。ニンゲンってのは本当に精力ないんだな」 「それじゃあ、早く堕とそうぜ」 「そうだな」 「ヒヒヒ……もうちょっと俺達に付き合ってもらうぜ」 各々の言葉を口にした改造兵達は、最後の仕上げと言わんばかりに、何本もの指で下部のペニスを扱いていく。 すぐに絶頂は訪れ、精子と唾液でグチャグチャになったペニスから、新たな精子を吐き出した。それは、ダーティキングのペニスから出たものと同じ、黒の精子だった。 その精子は、意思を持ったかのように動き出し、まるでスライムのように下部の身体を覆った。 黒い精子が下部の身体を這う度に、快感で身体は跳ね上がり、ペニスはさらに精子を吐き出した。 それを繰り返すうちに、下部の身体は精子で覆われ、黒タイツを着込んでいるかのようになった。そして、それは確かに黒タイツのように変化をしていったのである。 腕と脚とチンポ。そして首から上以外が全て黒で塗り潰される。さらに射精は続き、勢いよく飛び出した精子が顔面にかかり、それが顔全体に覆われるように移動する。 はじめは苦しそうに、顔を押さえ、精子を剥がそうと引っ張っていたが、餅のように伸びるだけで、剥れることはなかった。 次に、精子が手と足にかかると、その精子は形を変え、それぞれグローブとブーツのような形になった。はじめは黒かった手足の精子は、少しばかり色が薄くなり、最終的には濃いグレーに変わった。 顔を覆っていた精子は、いつの間にやらマスクのようなものに変化を遂げていた。それは赤い目と裂けた口を模した物で、それはまるで悪魔のようだった。 変わり果てた下部のその姿は、改造兵そのもので、彼自身も、ついさっきまで自身を犯していた有象無象と変わりない姿になってしまっていた。 当の本人は、今までよりもさらに強い快感に身を震わせていて、小さい声で「あっ、あっ」と喘ぐだけだった。 (あ……俺、は……きもちいい……。  俺は、誰だ……? 俺は、下部一兵……ああ、ああ……。  なんで、俺は、嫌がってたんだろ……こんなにきもちいいのに……。  そうだ、もっと、きもちいいことがしたい……。俺は……きもちいいことがしたい……俺は……仲間……あいつらの、仲間に……。  そうだ、俺は……あいつらの仲間……。ダーティキング様の部下で、偉大なる組織『エビルマ』の兵士……。  俺は、改造兵エビルマン。俺は、ダーティキング様の下僕だ!) 「お、俺はッ! 偉大なる組織『エビルマ』の改造兵エビルマンでございます!  我が組織の王、ダーティキング様に一生尽くすことを約束いたします!」 下部は立ち上がると、すぐさま敬礼のポーズを取った。 そしてすぐに体制を変え、ダーティキングの前に跪いた。 「この身体はダーティキング様のために」 それを見たダーティキングは、満足そうな顔で「これからよろしくな。俺様はお前を歓迎するぞ」と言った。 「よろしくな新入り!」 「新しい仲間の誕生だ!」 「帰ったらまたヤらせてくれ」 「見てたらまた興奮してきたぜ……」 他の改造兵もしきりに声をあげ、新たに生まれた仲間を祝福する。かつて下部だった改造兵は、その快感に再び射精した。もうすでに心は『エビルマ』の思想に染まっており、ニンゲンだった頃のアイデンティティはほぼ存在してはいなかった。 「さあ、次の獲物を探しに行くぞ。我が部下よ」 「了解!!」 ダーティキング達は、再び移動を始めた。 が、しかし。 ヒーロー達がそれを易々と見逃すわけがなかった。数日前奴らに気づかれぬよう、秘密裏に設置した監視装置が作動したのだ。 すでに英雄事務所にアラートは鳴り、ヒーローは『エビルマ』討伐のため現場に急行していた。が、少し遅かった。  3 「どこだ……『エビルマ』は……」 ヒーロー、エビルイレイザーはアラートの発生地である市街地にいた。 奴らは近くで活動を続ける。そう遠くには行っていないはず。そう考えその近くを探索する。 彼の親友であるピュアホワイトはおそらくすでに眠っている時間だろうし、この時間帯で他のヒーローに救援を要請するのも酷だろう。そう考えたエビルイレイザーは単騎で活動を続けていた。 「『エビルマ』め……一体どこへ……」 「出たなヒーローめ。お前もすぐに堕としてやる!」 「!」 改造兵がエビルイレイザーに飛びかかる。が、エビルイレイザーは強化された身体能力で改造兵に一撃を与えた。 腹部に拳を受けた改造兵は、悶え地面をのたうち回る。 エビルイレイザーは、青と白のスーツに身を包んだヒーローで、類い稀なる反射神経と瞬発力で戦うスタイルだった。 固有能力は『悪の除去』。エビルイレイザーは、すぐさま改造兵にその能力を行使しようとしていた。 「グガァ……ヒーローめ……!」 「かわいそうに……すぐに俺が悪の心から解放してやるからな」 エビルイレイザーはそう言うと、手にオーラを込める。その光は青く輝き、暗い夜空を照らしていた。 「いくぞ」 「あ……うおおぉ……!」 エビルイレイザーは、青く光る自らの手で改造兵のペニスを扱きはじめる。 改造兵は身体を震えさせ、小さく声をあげる。しかし苦しみはなく、安らかな顔をしていた。 「あ……あ……きもちいい……うっ」 改造兵は、悪に汚染された黒い精子を放出する。 その後もエビルイレイザーのペニスを扱く手は止まらず、改造兵は何度も何度も射精した。 そして18回目の射精を終えた瞬間、改造兵の身体に変化が訪れる。 着込んでいたスーツが足から消滅していく。悪の精子が消えていくのだ。 みるみるうちにスーツは存在しなくなっていき、改造兵は人間の姿を取り戻していった。 仕上げに最後の射精をして、除去作業は終わった。最後に改造兵から出た精子は、人間のものである白い精子に戻っていた。 「ん……っ。あれ、僕は……?」 「これで君を侵食していた悪は全て出した。何があったか、分かっていることがあれば訊かせてもらえるかな?」 エビルイレイザーは変身を解除し、人間である出野の姿に戻ると、改造兵だった青年に話しかけた。 青年は、戸惑っていたものの、出野がヒーローだということを確認すると、落ち着きを取り戻し話を始めた。 「はい、あれは確か……」 ◯ その青年の名前は上本清というフリーターで、仕事帰り『にエビルマ』に襲われ、改造兵にさせられたとのことだった。 「とりあえず事務所に行こう。そこで詳しく話を訊く」 「はい……」 出野と上本は、話をするため一時事務所に戻ることにした。 出野は浄化の時のために用意していた服を上本に渡すと、ポケットから端末を取り出し、事務所へと連絡を始めようとした――その時だった。 「どこに行こうってんだ? ヒーローさんよォ」 「……!」 そこには、ダーティキングがいた。 いや、奴だけではない。何十人もの改造兵が、出野の周りを取り囲んでいたのだ。 「くっ……罠か……」 「改造兵をエサにすれば来てくれると思ったぜ。お前はエビルイレイザーだな?  お前の能力は厄介だよなァ……だったら、それを利用する手はねえよな?」 「『悪の王』ダーティキング……まさかお前が来るとはな……!」 そう。 出野の前にいたその大男こそ、『悪の王』であり、悪の組織『エビルマ』の総統ダーティキングであった。 彼は、18年前、なんの変哲もない少年として生まれ、そしてその数年後能力を発現させた結果生まれた怪物である。 その性質は悪そのものであり、人間全てを悪に染まったゲイ男に帰ることのできる力を持っていた。彼の中に善という単語は存在しておらず、悪の王としてこの組織を作り、暴虐の限りを尽くしていた。 「貴様……どれだけの人間を狂わせているのかが分からないのか!」 「ケッ……殺してねえだけいいだろ。そもそも殺しなんて非生産的な事は必要ねェ。  俺様は一緒に堕落できる仲間を作ってるだけだ。そしてこの世界をそれで埋め尽くしてやるのさ。それはお前も例外じゃねェ。お前は強いから特別に改造兵じゃなくて怪人にしてやるよ」 「何をふざけた事を……! 今日ここで貴様を倒す!」 出野はエビルイレイザーに変身すると、ダーティキングに勝負を仕掛けた。だが―― ◉ 「こんなモンか。ヒーローってのも」 「う、ぐ……くそ……」 結果は惨敗であった。 拳は入れられても、ダーティキングは全く怯みもせず向かってくる。 出野はただ甚ぶられるだけだった。殴られ、蹴られ、傷つけられる。 結局、出野は悪の王に傷一つもつけられず終わった。そして敗北の先に待っているのは―― 「フン」 「うがあっ……!」 ダーティキングの一撃で、出野はとうとう変身を解かれてしまった。 エビルイレイザーの力を失った出野は、ただの人間でしかない。そうなってしまうと、もう奴の思うがままにされるしかなかった。 出野はあっという間に全裸に剥かれ、アナルをダーティキングの巨大すぎるペニスで貫かれていた。 「ヒヒヒ……未使用だからかなかなかキツイな……でもキモチイイぞ」 「うああっ! や、やめろ……!」 今まで体の中の廃棄物を出すためだけに使われていた穴を、悪の王のペニスに犯されている。出野は痛みのあまり悲鳴を漏らしていた。 対する悪の王は、ペニスが締め付けられる快感に酔いしれていた。 ペニスから分泌される液体と、アナルの中の肉壁が混ざり合い、それがペニスで突かれることによってグチュグチュといやらしい音を立てる。 キツかった出野の穴も、いつの間にやら通りが良くなり、ダーティキングの大きなペニスもすんなり入ってくるようになる。出野はそれに危機感を感じていた。いつ自分が堕ちてしまうのか、と。 「やめ……あっ、俺は、英光に!」 「ウオォ……で、出るぞ!」 ダーティキングは、出野の中に精子をぶち撒けた。悪の成分が、出野の身体中を犯し始める。 とうとう出野は、身体で暴れまわる悪に押し出され、自らの精子を外に追いやってしまった。 「あ……ああっ! あっ! あっ!」 「クク……俺様の分身によってニンゲンの精子が押し出されていくぞ……これこそまさにトコロテンってヤツだよなァ?」 射精が止まらない。止める事ができない。 出野はその恐怖に狼狽したが、それを止める事はできない。ただ自らが押し出されていく感覚を快感とともに味わってイクだけだった。 「イ、ヤ、ヤ、メ……ウオオォ……!」 出野がニンゲンから姿を変えていく。 筋肉は急激にバルクアップし、身体中が筋肉に覆われた驚異の肉体へと変化していく。 身長は2mに達し、ダーティキング程ではないが、それでもかなり巨大と言えるほど大きくなった。 白の精子を排出する度、ペニスが長く太くなっていき、人間では到底達する事ができないほどの巨根になる。 短髪だった髪は伸びていき、色も黒から銀色になる。頭から角が生え、口から牙が生える。歯も人のものではない、鋭く尖った歯へと形を変える。 瞳はアメジストのような紫色に染まり、皮膚の色も肌色だったのが、緑色に変化していく。 その姿は、まるで鬼のようだった。 「俺の体……イヤダ……アアァ……!」 「そうだな……お前の名前はレイジーオーガと命名しよう。数少ない俺様の幹部となれるんだ。感謝しろよ?」 「アァ……英光……。  ウッ…………ウガアッ……」 緑色の大鬼は、最後の射精を終えると、間を置いて、新たな精子を吐き出した。 それは、『エビルマ』の一員となった事を表す、黒い精子だった。 「オレ……偉大なる組織『エビルマ』の幹部のひとり、レイジーオーガ……。  我が組織の王、ダーティキング様に一生尽くす事を約束いたします。この身体はダーティキング様のために……!」 レイジーオーガは、ダーティキングの前に跪くと、すぐさま自らの緑色のペニスを差し出した。 「さあ、ダーティキング様。オレのペニスを」 「いい子だ。でもその前に」 「なんでしょう」 「そのニンゲンを変えるのだ」 「御意」 そこには、一部始終を見ていた上本の姿があった。 その異様で絶望的なな光景に、彼は一歩も動く事ができず、ただへたり込んでいるだけだった。 「あ……あ……そんな……」 「サービスだ。こいつはお前の部下にしていいぜ」 「ありがたき幸せ」 レイジーオーガはそういうと、のらりくらりとやる気なさそうに上本の側に寄る。 動く事のできない上本の顔を見ると、顔を近づけ、こう言った。 「オレの目を見ろ」 「え……」 「お前はニンゲンのことなどどうでもよくなる……一生怠惰な鬼として堕落し続ける……」 レイジーオーガは、そう呟くと、上本の目を注視し続ける。上本は、その紫色の瞳を見るうち、頭の中の理性が消えていく感覚に苛まれた。しかし、それを感じた時点で、上本はもう戻る事は不可能だった。 (な、なんだこれ……こいつの眼を見てると……気持ちよくなって……。  あ、頭が……クラクラする……何も考えられなく、なって……。  あれ……僕は、なんだったっけ……? ニンゲン……ニンゲンって、何……?  何も考えられない……ああー、もういいや……僕? お、俺? おらのことなんてもうどうだって……。  うはははー、きもちいーよぉ。おら、おらは、えびるまの、れいじいおうがさまのちゅうじつなるしもべだぁ、あはははぁ) 「おうがさまぁ」 上本は焦点の合わない瞳でそう言うと、黒色に染まった精子を放出した。すでに心は悪に染まってしまったらしい。 だらしなく開いた口から牙がニュッと生える。身体は見る見るうちに縮んで行き、子供同然の体になった。 体型は筋肉が程良くつき、腹は膨れ、ペニスは縮み包茎になる。 皮膚はレイジーオーガ同様緑色に変わり、手と足の爪が鋭く伸びると、頭に一本の小さい角が生え、髪は全て抜け落ちた。 上本は、人間から、小鬼に変わり果て、同時に再び果てた。皮を被っているためか、チョロチョロと黒い精子が零れるように出た。 「おら、おうがさまとおうさまのちゅうじつなるしもべ、れいしーだぁ。よろしくおねがいしますだぁ」 小鬼型改造兵と化した上本は、レイシーと名乗り、レイジーオーガ達に敬礼する。しかしすぐに地面にへたり込み、包茎ペニスを弄り始めた。 「えへへぇ。きもちいぃ」 「ガハハハ! 面白い兵士じゃねぇか。よし、これからよろしくなレイジーオーガ!」 「こちらこそ、よろしくお願いいたします。ダーティキング様」 ダーティキングは笑いながら改造兵達を引き連れ、今度こそ闇へと消えた。 そして後日、出野の失踪と新たな幹部の出現は、灰岡の耳にも入ることとなった。   4 「出野……ちくしょう……」 灰岡は、親友の出野が『エビルマ』を倒しにいったあと戻ってこなかったことを知り、怒りを露わにしていた。 「『エビルマ』……絶対に許さねえ!」 両親が居なくなり、事務所に入ってから知り合った出野。彼とはいつの間にか親友となっていた。 出野は幼い頃、弟を『エビルマ』の手によって改造兵に変えられたという過去があった。母親を失った自身とシンパシーを感じたのかもしれない。 他のヒーローは単純に正義のためだったり、中には地位と名声のため、金のためだったりというのも存在する。それは人それぞれであるが故に、灰岡自身はそれに関しては割と気にはしていなかったが。 自分が心を許せた人物が急に姿を消したことは、灰岡にとっては大きな心の痛手であった。 しかし、いくら灰岡が奴らを憎んでも、倒す決意をしても、何故か奴らは現れなかった。 そしていつものように、活動時間が終わった。 「今日もアラートはなかった。お疲れ様だ」 「なんで……なんでなんだよ……」 ◯ 「くそっ……」 灰岡は、自分しかいない寝室で、消えた出野の事を考えていた。 自分が夜、起きられる体質なら、出野を助けられたかもしれない。そう思うとやるせない思いでいっぱいだった。 そして灰岡は、何故自分が夜に眠くなってしまうのか。と思った。規則正しい生活をしているから? そういう特異体質だから? そんな事も考えたが、結局分からなかった。 灰岡は急激に睡魔に襲われる。そろそろ寝る時間らしい。ふと時計を見ると、針は20時47分を指していた。ということは、21時ぐらいが自分が眠る時間なのだろうか。と、灰岡は予測した。 「くそ……もう寝るか……明日こそ、は……」 そして、灰岡はベッドに潜り込み、いつものように眠りについた。 ――そう。いつものように。 ● 「……」 夜、21時30分くらいだろうか。 灰岡は急に起き上がると、服を全て脱ぎ出した。 下着も脱ぎ、全裸になった灰岡は、その姿のまま扉を開け外に出る。 その瞳には光がなく、まるで夢遊病に罹った患者のようだった。 そして人気のない場所まで移動すると、自らのペニスを扱きだした。 「う……はっ、はあっ……」 無意識なのかは分からないが、一心不乱に自慰を続ける灰岡。 身体中から溢れる快感に耐えきれず、彼はとうとう射精した。 「ハァ……ハァ……ククク……ウハアッ!」 その勢いはとどまることを知らず、灰岡は立て続けに射精していた。 息が段々と荒くなっていき、ついには笑い声まであげはじめる始末だった。初めは白かった精子が、射精の回数が上がるにつれ、黒くなっていき、10回イク頃には薄い灰色に、20回イク頃には灰色に、彼の精子は段々とニンゲンのものから性質を変えていった。 そう。あの、悪の精子に。 「あっ! ああっ! 出野! 出野!  俺、イクぞ! ウッハアアアァァン!」 灰岡は、強制交じりの叫び声をあげると、『エビルマ』の連中が出していたものと同じ、漆黒の精子を噴射させると、ばったりと地面に倒れた。 「ウオオオォォォォオォ……!」 未だに精子は噴水のように出ている。その量はとどまる事を知らず、あっという間に灰岡英光の全身を黒に染め上げた。 全身が全て黒に変わった灰岡の身体が瞬く間に変化していく。 筋肉が急速につき始め、全身筋肉の鎧に覆われたかのような、強靱な肉体へと変貌する。 ヒーローという以外は普通の大学生だった灰岡の体は、ボディビルダーでも到達できないぐらいの筋肉をつけた、超巨大な体に成り果てた。 「グギ……ギィ……!」 バキバキと音を立てながら、どこか優しさを帯びていた目は、獣のような鋭くギラギラとした目に、口は大きく裂け、幾重もの牙をギラつかせた怪獣のような口に変わって行く。 最後に、ペニスがまるで股に丸太をつけているかのような大きさに。睾丸は新たな精子を大量に溜め込み始めているのか、テニスボール大の大きさにまで膨らみ始めた。 その姿はまるで―― 「い、イイ……イイぜ……イクウゥゥゥゥゥ!!」 灰岡英光は、漆黒の怪人に変貌するや否や、咆哮にも似た叫びをあげ盛大に黒い精子をぶち撒けた。 その量はすさまじく、一発で小さな黒い水溜りができるほどであった。 「ガハハハ。さぁて、今日も男どもを俺様の虜にしてやるか」 そこに居たのはヒーロー、灰岡英光ではない。 悪の組織『エビルマ』の総統、ダーティキングだった。   5 「今戻ったぞ」 「おかえりなさいませ。ダーティキング様」 何百人もの部下に迎えられ、ダーティキングは帰還する。 ダーティキングは夜のみに姿を見せる。何故なら、彼は夜しか生きられない存在だからだ。 朝になると何故か眠くなってしまう性分で、夜までは活動できなくなってしまう。なので、朝と昼は『エビルマ』はほぼ活動をしていない。幹部と改造兵は、基地で眠っているか交尾しているのどちらかだ。 そして彼の正体は、人間。灰岡英光。 人間であり怪人。そして、現在地球を騒がせているこの怪人事件の大元である。 英光がこの力に目覚めたのは、3歳の頃だった。 英光が3歳になった誕生日の夜。この怪人は誕生した。 可愛らしい幼児は、見る見るうちに2mを超える筋骨隆々の怪人へと姿を変え、自らの産みの母を“殺した”。 そしてそのまま、自分の本能の赴くまま男達を悪の仲間に変え、組織を作った。現在では世界の敵になるまで力を高めている。 しかし、朝になると力を失い、元の人間に戻る。そしてその記憶は持ち合わせていない。 英光は、自らを宿敵とし、今まで生きてきたのだ。そして、夜の顔、『悪の王』ダーティキングも自分が灰岡英光だという記憶はない。彼はただの悪の塊なのである。 だからこそ、灰岡は純粋な心を持つに至った。いや、純粋なのではなく、善と悪が二分化されているだけなのだ。 普通の人間は心に善と悪が混在しているもの。しかし、彼にはそれがない。 善と悪が一極端に乖離しているのだ。 朝と昼は善の心を持つ人間。夜は悪の心を持つ最悪の怪人。それが彼の正体なのだった。 「俺様が帰るまでの番、ご苦労だったな。レイジーオーガ」 「ありがたき幸せ」 まずダーティキングは、新たに作り上げた幹部、レイジーオーガの元へとやってきた。本拠地の今日の番人は、彼だった。誰でも良かったのだが、ダーティキングの気まぐれで彼に決定した。 「聞いてくれるか。レイジーオーガよ」 「何でしょう……?」 「……何故だかは知らないが、俺様はお前に一目惚れしてしまったようだ」 そのままレイジーオーガに抱きつくと、涎を垂らしながらその獣、または悪魔のようなその口でレイジーオーガに接吻をした。 初めは、ダーティキングが積極的に舌をレイジーオーガの口に突っ込んでいたが、しばらくするうちにお互い舌を絡ませるようになっていた。 「俺様の右腕になる気はないか? 今すぐは無理だが、お前ならゼッテェすぐになれると思うぜ」 「勿論その気はあります。そのためにもダーティキング様のために尽くします。全てはダーティキング様のために!」 レイジーオーガは、敬礼のポーズを取り、そのまま射精した。 ダーティキングは、その姿を見て、ニヤニヤと笑っているだけだった。 ● 「さあ、今日も行くぜ。  レイジーオーガ。貴様は初仕事だったな。期待してるぞ」 「はっ」 「お前らも準備はいいな」 「ハイ! 全てはダーティキング様のために!」 ダーティキングは、今日も仲間を増やすため、活動を続ける。 朝になれば再び、ヒーローとして『エビルマ』を倒すただの人間に成り代わるが、夜にはまた悪の王となり、仲間を増やし続けるだろう。 この未来がどうなるかは――灰岡英光本人次第なのかもしれない。おそらく、彼がこの事実に気づく日は到底やってこないと思うが。 もし、彼が気づくとしたら、その時は―― 「ククク……未来が楽しみだぜ」 ◉ 悪の組織『エビルマ』の本拠地。 そこの最も奥深く。 そこに、一つの繭があった。 それは、ダーティキングの切り札。自らの精子を大量に注入したことで作り出そうとしている、最高最悪の下僕であり、悪の大邪神の繭だった。 そして、その元となった『モノ』は―― ダーティキングが生まれて初めて“殺した”人間であった。


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