快楽に堕ちる夜(2/2)
Added 2018-04-28 23:42:49 +0000 UTC● 「あーもうムシャクシャしてきたぜ! こうなりゃニンゲン仲間にしてダーティキング様に捧げてやる! お前も一緒にやるぞ!」 「えー、なんでおらまで……おらめんどくさいだー、おらをまきこまないでくれだよえびるまんー」 そこにいたのはエビルマン、そしてエビルマンに引きずられ半ば無理矢理いたレイシーだった。 レイシーは、レイジーオーガが怠惰の瞳によって洗脳することで生まれる小鬼型改造兵である。彼は一度エビルマンに変えられていたのたが、とあるヒーローによって浄化され人間に戻された。しかし、再びレイジーオーガによって改造兵にさらに戻されてしまったのだった。二度穢れると、人間は二度と改造兵から戻ることはない。つまりは、彼は永遠に醜い緑色の小鬼のままなのである。 レイシーは、レイジーオーガ程ではないが怠惰な性格であり、常にだらけてら遊んでばかりの小鬼。包茎をなすりつけてイッたり、相手のペニスを弄ったり舐めたりなどして絶頂させるのが主な行動である、といえようか。 憂さ晴らしにレイシーも巻き込んだのだろうか。レイシーはとてもエビルマンを拒んでいるようだった。 「うわ、やべっ、エビルマ……なんか鬼みたいなのもいるし……早く逃げないと」 そこに偶然居合わせたのは、高校生の轟単であった。某市の底辺校の生徒であり、今日はジャンクショップへバイクの部品を取りに行く途中であった。 奴らを発見するや否や、気づかれないよう抜き足差し足で声をあげずどうにか切り抜けようとした。が…… 「おい人間」 「うっ!」 「お前、ちょうど良かった。俺達の遊び相手になれよ……永遠にな!」 「うわあああああ!」 エビルマンが単に向かって飛び出す。 このまま何もなければ、おそらく単も奴と同じエビルマンと化していただろう。しかし、そうはヒーローが卸さなかった。 「ひ……げっ!?」 エビルマンの不気味な笑みに歪んだ顔が、さらに歪む。しかしそれは快楽ではない、拳によって。 エビルマンは勢いよく電柱にぶつかると、ぐったりとうな垂れた。 「げ、げげげ……ぐ、ヒーロー……」 「危なかったな。ここは危険だ、早く逃げろ」 単の眼前に立っていたのは、ヒーローダークスマッシャーだった。白の空手着をモチーフにしたピッチリとした全身タイツに身を包み、鋭い眼光を宿した頭から上を隠す仮面を被り、黒帯風のヒーローベルトをたなびかせていた。その姿は力を象徴するに相応しい、威圧的なものであった。 「師匠!」 「遅かったな。あとはあの緑の奴だけだ」 「ひ、ひいい……!」 レイシーは、突然のことと、恐怖のあまり慎ましいおちんぽから、黄色い液体を漏らしていた。肉体ごと精神も退化してしまったのだろう。 そしてその様子を感知していたものが二人いた。 「なんだぁ……? オレの可愛いレイシーがヒーローと戦ってる? 仕方ねーなぁ、面倒くせーけど行ってやるか……」 「あー、俺様のエビルマンやられてんじゃねーか。せっかく増やしたのに意味ねーな。なぁ、ヒーローさんよ?」 ◉ 「ぐぐ、テメェ……」 「じゃあ、あとは頼むぞテクニカルハンドマン」 「分かってる」 全身銀のメタル装甲に身を包み、巨大メカハンドを装備した技巧ヒーロー、テクニカルハンドマンが、エビルマンに向かって手を伸ばす。 もちろん、悪に染まった精神をすべて絞り出すためだ。 「摘出作業、ハジメ」 「お、俺のチンポ……ヒーローが触んじゃ……ぐっ!」 テクニカルハンドマンの手を跳ね除けようと広げた手は、ダークスマッシャーに拘束され動かすことはできない。 テクニカルハンドマンは構わず、エビルマンの勃起したペニスをタイツ越しに扱き始めた。 「うう……あっ、ヒィ! き、キモチイイ! やめろ、そんなにされたら、あん!」 筆舌に尽くし難い手さばきで、エビルマンのペニスを扱き出すテクニカルハンドマン。まさに超絶技巧の言わんばかりのテクニックで、エビルマンの悪の源を取り除いていく。 「んあっ、ううっ、あうっ!」 エビルマンの黒い精液が、テクニカルハンドマンの”手“によって失われていく。何度も何度もイカされ射精するごとに、その黒さは色を失ってゆく。 エビルマンは、自らが崇拝し畏敬するダーティキングとは違う異質の刺激に恐怖と快感を覚えながら、涙と涎を垂れ流しもがいていた。 「あぁ、あう……うぅ……」 (ごめんなさい。俺がこんな身勝手なことしなきゃ、俺は、俺が、俺じゃなくなっちゃよぉ。 俺はダーティキング様に仕えるエビルマンなんだ。それがなくなっちゃまたただの矮小なただのニンゲンに戻っちまう。そんなのやだ。 ごめんなさい、もう勝手なことしません。エビルマン、レイシー、レイジーオーガ様、ダーティキング様、助けてください……俺、 ……このままでいたい――) 悪の精液を失っていき、エビルマンは穢れも失い、また人間に戻る……ヒーロー二人はそう確信していた。 ――奴が来るまでは。 「がっ……?」 殴られた。 物凄い勢いで。 とてつもない衝撃が、ダークスマッシャーを襲う。 それは重く、異質な一撃。一度も受けたことのない鈍重な攻撃。 それは理不尽な力。ダークスマッシャーの腕力をはるかに凌ぐその驚異的な力。 その持ち主が、弟子であるテクニカルハンドマンの前に立っていた。 その持ち主の名は―― 「余計なことさせんじゃねえよ。エビルマン風情が」 鬼怪人、怠惰のレイジーオーガ。 「な、なんだ、お前……よくも師匠を!」 「その手を離せ。こんなんでもオレ達の部下だ。劣悪で役立たずな、オレ達の愛すべき悪の下僕だ」 レイジーオーガは、拳を握る。エビルマンの精を侵すテクニカルハンドマンのメカハンドまとめて。 「ぐ、ぐぎゃ゛あ゛ああああああっ!」 メカハンドから血が、肉片が飛び散る。おそらくもう彼の右手の指は使い物にはならないだろう。そして―― 「ぐがあ゛あ゛あああ゛ああっ、ひいっ!」 ――右手も。 「手がぁ゛ぁぁ! 俺の゛っ、手がっ!」 両手から血が溢れて止まらない。まさか、こんな力を持つ怪人がいたなんて。そう痛感した時にはもう手遅れだった。 「お前、ダーティキング様の情報だとテクニカルハンドマンってヒーローだろ? なら手を潰しちまったらただのマンってこった。あっけねえな」 「お前……何者だ……お前、みたいな、怪人、見た、ことも、聞いた……こと、……も……?」 テクニカルハンドマン……いや、巧手支郎は、その怪人の顔に見覚えがあった。 はじめて会う顔のはずなのに、はじめて対峙する脅威のはずなのに。何故か自分はこの顔を知っている。 紫色の瞳に、鋭く尖った目つき。上顎と下顎に大きく伸びた牙。その見た目は見るからに緑色の鬼としか云えないものである。それなのに。この顔には何やら知った面影が伺えた。 「逃げろ……お前だけでも……支郎……」 「ヒーローなんかに名乗る名前はねえよ。面倒臭せぇし」 「なんだよこれ……ヒーローが、ヒーローがぁぁ」 拓と単とレイジーオーガの声が小さく乱雑に聞こえる。が、彼の耳には届いていなかった。 彼の前には、恐怖と、困惑と、ある疑問。そんな感情たちが渦巻いていた。 「逃げろって言っているのがわからんのか! このバカ弟子!」 「!」 師匠である拓が叫ぶ。そこで、支郎は我に返った。が、それが却って彼の思考を冷静に戻し、ある憶測をさせることになってしまったのだが。 「……浄?」 「あん?」 「支……郎…………?」 浄。レイジーオーガの顔に、同僚であり忽然と姿を消したヒーロー、出野浄の面影を感じたのだ。そしてそれは、思い違いでも見間違いでもない。 事実、彼は、ダーティキングによって身体と精神を作り変えられた、出野浄であるからだ。が、しかし、未だダーティキングには分かっていない事象があり、彼はまだ怪人としては完全に完成してはいないのだが、それはまた別の話である。 「お前、浄? 浄! 何で怪人になっちまってんだ! 悪魔に魂を売っちまったっていうのかよ!」 「浄、浄だと!? どういうことだ!」 「あ? 知らねえよ。オレは最初からダーティキング様の部下だ。浄とやらは赤の他人なんだろうよ」 ああ、浄はダーティキングに精神すら変えられてしまったのだろう。支郎は即座にそう嘆いた。確証もないはずなのに。その鬼の顔が、いつも見慣れた同僚、そして戦友の顔であったことが、彼を曖昧な確信へと至らせたのだろうか。 「浄……なんでだよ……」 「ま、いいや。お前、オレの目を――」 レイジーオーガが、様式美の如く、膝をつき呆然とする支郎にその紫水晶のような瞳を吸い込ませようとした。その時だった。 「やめろっ!」 「ぐっ! テメェ! 面倒くせぇんだよ!」 レイジーオーガの肉体が揺れた。微かにだが。拓が渾身の力で体当たりをかましたのだ。それでこの程度なのだが。 「師匠!」 「支郎! お前はまだ若い! お前にはまだチャンスがたくさんある! 俺みたいな老いぼれは放っといて逃げるんだ!」 「ぐっ、この筋肉バカめ!」 「お前がそれを言うのか? 筋肉まみれの鬼が!」 拓が支郎を命がけで逃がそうと掴み合っている。しかしそれは彼にとっては、かつての仲間だった者と師匠が争っている。そう見えてしまっていた。 彼の中には困惑と悲しみの感情が渦巻き逃げると云う選択肢をさせない。その選択ミスが、彼をさらなる暗闇へと引きずりこむことになろうとは、この時誰も予想だにしていなかった。 「アンタはオレの可愛いレイシーをずいぶんと可愛がってくれたようだしな……お礼をしないとな」 「早く逃げろっつってんだろ! お前が、お前が逃げて生き残ってくれることが俺の希望なんだ!」 「でも、そいつは浄なんだ! ここは一旦一緒に逃げましょう! 師匠を置いていけない!」 「おい、筋肉ヒーロー……」 「くそ、なんて力だ! 支郎! 支郎、お前だけは……!」 未だに鍔迫り合いのまま退かない拓。それをただ見ているだけの弟子、支郎。 一滴。 その時、地面に一滴の雫が落ちた。 雨。ではなく、涙だ。 支郎の涙。師匠と別れたくないという、その感情が高まり、さらに、争っている鬼が浄かもしれないこと。それらが重なったことで、支郎の感情は決壊を迎えたのだった。 「ししょお゛……俺にはっ、無理でずっ゛! 師匠を、追いて……逃げられない゛っ!」 その涙は二滴、三滴としとどに増えてゆき、いつかは大雨へと変わっていた。 しかしいくら泣いたとしても、この場がどうにかなるものでもなし。それどころか、その感情は、他の者の感情も揺さぶり、そうすることで―― 「おいおい、男が、泣くもんじゃ……」 その光景のせいで、拓の手が緩んだ。 「オレの目を見ろ」 「……え?」 それが、”終わり“だった。 「お前はニンゲンのことなどどうでもよくなる……」 レイジーオーガは、マッシブヒーロー、ダークスマッシャーこと増田拓の瞳を覗き込む。まるで全てを見透かしてしまうような、そんな瞳で。 「な、なんだ……?」 「一生怠惰な鬼として堕落し続ける……」 レイジーオーガの瞳が怪しく光る。 拓は、その瞳の魔力から逃げることは、叶わなかった。 ――ダーティキング。そして幹部クラスには、特有の条件下に於いて、どのようなニンゲンでも改造兵化ことができる。 例えばダーティキングの改造条件はどのような方法でもよいのでニンゲンをイカせること。 そして、レイジーオーガの改造条件は、相手の瞳を覗き込み―― ――命令し、洗脳すること。 「ああ……ああ……」 豪快で豪胆なヒーローだった拓の頭の中が、怠惰色に掻き乱されて、掻き混ぜられていく。 しかし彼の精神は強く、完全に改造するにはまだ洗脳が、命令が、足りないようだった。 「ぐ、ぐそ……負げねえぞ……俺は、怪人なんかに……」 「師匠……? 師匠!」 支郎の叫びは最早拓の脳内には届いてはいなかった。拓の脳は、レイジーオーガにシャットアウトされ、今はレイジーオーガと増田拓の一騎打ちである。 「嫌だ、俺、負けねえ……支郎に、見せてやらねえと……俺の、かっこ、イ、イ、とこ」 「お前は怠惰な鬼だ。ヒーローじゃない。自慰性交強姦好きの矮小な小鬼だ」 「かっ、こ、イイ、とこ、見せる、俺、みんなに、デシに――」 無意味だった。 彼の言葉も、彼の覚悟も、彼の抱負も、怪人の強烈すぎる怠惰の念の前では。 精神の揺らぎが起こったかなのかは解らないが、ついに拓の変身が解けてしまう。スーツが光の粒に戻り、事務所のデータバンクへ還元される。今の拓は、ヒーローからただの人間になってしまった。 そして、人間へと戻った瞬間から、拓の肉体にさらに変化が起こり始めていた。ヒーローとしての力が弱まったために、怪人の力への抵抗までも弱まっていたのだ。 変身前に装備していたシャツと短パンは怪人の魔力によりかき消されていく。小さい塵と化して空にはらはらと散っていく。あっという間に拓の体は何もつけていない生まれたての姿になり果てていた。 拓の毛深かった剛毛がはらはらと抜け始める。レイジーオーガの場合、普通なら一気に改造兵化が始まるのだが、拓が抵抗し続けるせいで、じわじわと。徐々に、肉体と精神が改造兵と化しているのだ。 「負げ、ねえ。俺、ヒーロー、増田、拓だ」 (俺、ヒーロー? ヒーローだ。けど、ヒーローって、何だったっけ) いつの間にか、髪以外では一番深々と生えていた大量の陰毛でさえ、あっという間に全て抜け落ちパイパン。いや、無毛の肉体と化していた。体毛が失われるだけなのに、彼の男らしさが一気に失われていくようだった。 しばらくして角刈りにしていた短髪も全て抜け落ち禿頭と化した。 「ヒーロー……ヒーロー、ヒーローは俺、なのが? しろう、弟子…….大切なんだ、逃げてくで」 (ヒーロー、なんだそりゃあ。まあいい。この際ヒーローが、何か、なんてどうでもいい。俺は、弟子の、支郎が、逃げて、くれれば) 額に小さな一本角が生える。 ひとりでに精子を撒き散らしながら肉体にまで変化が及んでいく。 「逃げ、あれ? そうだ。支郎、俺……弟子……かっこ、イ、イ、だろ」 (俺、逃げ、やだ。かっごいいどこ、見せるんだ。俺、支郎に、見せ、るんだ) 全身余すことなく覆われていた筋肉が萎んでいく。衰えていく。ギュウギュウと凝縮されどこか知らないところへ消えてゆく。一応筋肉は残っているが、あくまでそこそこがっちりとしている、という程度にまで、あのマッシブだった筋肉達がじわじわと失くなっていく。 「おで、支郎に、見せる。支郎に、イイ、とこ」 (俺、大事な支郎。見せる。支郎、見せる。イイ、イイ。俺のとこ、見せる) 2メートルもあった巨体がグングンと縮んでいく。あの威厳のあった筋肉が、体格が、全て改造兵のものに作り変えられ失われていく。一瞬、拓の心には、自慢だった自分の中の男らしさが失われた喪失感と屈辱感が巻き起こった。が、紫の瞳を見た瞬間全て靄のように融けて消えてしまった。 「あぁ……師匠……」 支郎の目の前で、誇れるヒーローの師匠だった増田拓が、レイジーオーガの腕の中へ消えていく。はじめは対等だった対格差が、段々広がっていってしまう。 「おれ……見せるんだ、あいつに」 未だに暴れ回っている支郎の誇るべき師匠は、最早赤ん坊同然の姿になっていた。敵同士が今や親子のように見えてしまうほどに。 肌の色がレイジーオーガとお揃いの緑色になったことで、拓が残っているものは、顔つきとペニスと腹筋だけになってしまった。が、それもすぐに順次失くなってゆく。 手と足に黄色く濁った爪が伸びたと思ったらお次は長年鍛えて育てていた自慢のシックスパックの腹筋が、その数十年の努力をすべてなかったことにするかのように、脂肪をつけ膨らみ、情けない太鼓腹になってしまう。 ゴツかったとは言え、男臭く端正だったその顔は脂肪で弛み、口の上にはちょこんと小っちゃい小っちゃい牙が、下には鬼にふさわしく立派で大きな牙が生える。 「弟子に見せる、おれ、みせる。弟子……あいつ……」 (俺、弟子、イイから、見せる。見せる。見せ……あいつ、あい……あ、あれぇ……?) すっかり変わり果てた小鬼の姿で、未だに抵抗しようとしている拓。そして師匠が射精とともに抜けていく絶望の前に表情を崩れさせ崩れ落ちる支郎。その支郎の心を完全に打ち砕いたのは、自分が尊敬”していた“最愛の師匠の言葉だった。 「”あいつ“って……誰だっけぇ?」 「ーーーー!!」 最早手遅れだった。 とうとう弟子の存在すら失われていたのだった。 つまりこれはもう、長年一緒に居続けた自分の師匠ではなく、改造兵の、醜い矮小なただの淫乱な小鬼である、ということだ。 「師……匠……」 「あいつ……まぁ、いいか。おぼえてない奴のことなんて。 ……ああ……それより、見て、みて、おれをみて。おで、みてくれ」 (もうどうでもいいや。あいつなんて知らないし、おれにでしなんていなかった……それよりみてくれ。おれ、おれ。おれ……?) 手をバタバタと振り抗っていた最後の行動も終わりを迎え、射精を続ける自慢だった拓のモノにも別れの時がやってきた。 ようやく射精が止まった。 ――と、思いきや、今度は巨根が自慢だったペニスがするすると縮んでいく。色は黒ずんだ緑色から黒が抜け綺麗な緑色に変色していく。まるで今までの穢れが全て消えてさっぱりしていくようだった。 そして―― 「みてくれ! おらのきもちいいとこ、みてくれ! おらは”れいしー“だぁ。れいじーおうがさまのちゅくじつなるしもべ。そしてだーてぃーきんぐさまのためにはたらくしもべだぁ!」 縮むところまで縮み、最終的には包茎幼児のペニスと化したところで、完全にレイシーとしての変化は終わり、仕上げと言わんばかりにペニスから黒色の邪悪精液がピュッと飛び出た。と言っても、被った皮に遮られるせいで、ドロドロと勢いなく流れ落ちるだけだったが。この小鬼は半永久的に包茎のため、豪快に精液を発射することはほぼない。しかし皮の内に溜まる精液の快感でオーガズムを若干長く感じられるために、レイシーはそれを快く望んでいるのだが。 「わぁい。おうがさまぁ。おうがさまがたかいたかいしてくれてるだぁ。おらうれしいだぁ!」 まるで親にあやされている子供のように改造兵と化した拓がはしゃいでいる。もう彼の尊敬する師匠はどこにも居なかった。 「そんな、師匠……師匠!」 「ししょー、ししょー? ってだれだ? おうがさま、こいつだれなんだ?」 レイシーは、まるでこの人間が初めて出会う者のかのように振る舞う。実際レイシーにとっては初対面の人間であるが故に、その反応は当然であったのだが。 「レイシー、こいつはオレらエビルマを脅かす。邪魔者だ……。そうだ、ちょっとお前、仕事ついでにちょっと遊んでやれ。ニンゲンという生き物は穢れた行為がだぁい好きだからなぁ?」 「はーいだぁ!」 レイジーオーガが不気味な笑みを浮かべる。何やらろくでもないことを企んでいるようで、両腕を潰された支郎に向かってレイシーをけしかけた。 レイジーオーガの腕から降りたレイシーは、元気良く敬礼する。エビルマの改造兵としての振る舞いは、変化数分ですでに完成されたものとなっていた。しかし、彼の奥底に秘められた”もの“は完全に精神を穢された今や絶えず、後にとある出来事を起こすこととなる。が、それもまた別の話にとっておくこととしよう。 「な、なにを……」 「そこにねてちゃちんちんみえないだぁ。ほら、ごろんとねころがるだぁ」 レイシーは両腕で支郎を持ち上げる。小さいのにそのパワーはとてつもなく。あくまで彼も鬼の改造兵だということを思い知らされる。そのまま支郎を仰向けに投げ飛ばした。 「が、っ……!」 その衝撃で、支郎のヒーロースーツが解除されてしまう。支郎はヒーローからただの人間へ戻ってしまった。人間に戻ったとしてもヒーローとしての”因子“というものが残っているため、彼はまだヒーローではあるのだが。今はそのようなことすら無意味なくらいに、彼は無力であった。いくら彼が、かつての師匠と共に鍛錬し修羅場をくぐり抜けてきた猛者だとしても。 「こいつのつけてるぬの、なんだ? じゃまだぁ!」 レイシーは、支郎が着ていた衣服を下着も含め全て破り捨てると、支郎の露わになった肉体をまじまじと覗き込んだ。まるでその体を見定めているようだった。 「おまえ、おなかりっぱだなぁ。おら、ずりたくなっただぁ。おまえのおなかつかわせてくれだ、なぁ」 「な……! や、やめてください!」 レイシーは淫らな表情を浮かべながら、支郎の腹筋に這い寄る。どうやら彼の綺麗に割れた腹筋に何かを感じたようで、そのまま自分の小さな逸物にくっつけた。 支郎はそれに抵抗したものの、その身体は小ささに似合わずとてつもない重みで、支郎の体を文鎮のように押さえつけ、逃がさなかった。 「えへへぇ、いくだぁ」 レイシーはにやけ面のまま、支郎の腹筋を使い自らの逸物を刺激しはじめた。身体が上下するたびに小さな肉棒がコロコロブニュブニュといった感触を支郎に与える。 相当気持ちよかったのか、よだれを垂らし必死に身体を動かしている。早くも透明な液体が滲みはじめ、支郎の身体を汚し始める。 「へへ、仲いいじゃねえか。お似合いのカップルだぜ」 その様子を見ながらレイジーオーガが下品な茶々を入れる。彼はかつての師弟が敵同士と化しその二人が性行為を行っている様子がとても悦かったのか、ひとりでにペニスをびんと勃起せていた。 「おまえ、きもちいいだ。おら、おまえきにいっただ。いまからかけてやるだ。もうすぐ、おら、でそうだぁ!」 息を荒げ快感に浸っていたレイシーが、とうとう嬌声をあげながら射精する。黒い精子が支郎の胸から腹筋にかけてまばらに広がった。 「んっ、んむぅ、ああんっ!」 「目を、覚ましてください師匠! あなたは、そんな……はしたない、人間、では……な……あれ……?」 ゲームオーバーの時を迎えた。 快感を増幅させる邪悪精液を肉体に受けた時点で、支郎は快楽に苛まれる外なかった。 支郎の脳内は快感を発生させる物質を大量に作り出し、そのまま理性や自制心といった自我形成に必要な成分を衰えさせていく。 支郎は一刻一刻と精神を蝕まれていくしかなかった。 「し、しょ……何だこれは……変な気分だ……。お前、何をした……!」 「頃合いってトコだな。もういいぞ、よくやったレイシー。向こうのレイシーと遊んでろ」 「あ、りょうかいだぁ、おうがさま!」 拓だったレイシーはさっきの様子はどこへやら、支郎の腹からあっさり降りるとエビルマンが連れてきたレイシーの下へ走っていった。 そのまま二体の小鬼がまぐわうと、とうとう見分けすら付かなくなってしまった。 「ありがとうございます。申し訳ございません……俺のミスです……」 「別に構わねえぜ。情けないお前を見てるとそそるからな。ダーティキング様は共に堕ちる仲間が消えることがもっとも恐れていることだ。それ以外どったことねえよ。オレもな」 「お心遣い、ありがたき幸せ……!」 エビルマンは、そのままレイジーオーガに深々と跪くと、そのまま微動だにしなかった。 それだけ今回の事が堪えたのだろう。それと同様に相当の感謝もしているようだった。 「じゃ、面倒だしそろそろ終わらせるかねぇ」 ドスドスと、突拍子もなく起こる快感に震え力なく倒れているニンゲンのところへと向かうレイジーオーガ。そのまま、その男の師匠にしたように、紫色に光る瞳を近づけた。 「オレの……」 その時、支郎の中にはとある思考が浮かんだ。とても耐えきれそうにもない快感の中、最後の理性を振り絞り、そしてそのとある思考を行動に移した。 俺まで、怪物になってたまるか。その、一心で。 「ああああっ!」 「ぐっ!」 支郎が、全力で腹筋を収縮させ自らの肉体を跳ね起こした。そのままレイジーオーガ顔面へ、自らの顔面をぶつけた。いや、正確にはもっと上のものを狙って。 「チッ、面倒くせぇことしやがって! ……あー、本当に面倒くせぇわこれ」 「……あ゛っ、……ああ゛っ……!」 レイジーオーガの頭に聳え立つ立派な二本角。そこに付着していたのは真紅の液体だった。 そこには、ふたつの”真紅“を顔面に装備したヒーローがいた。レイジーオーガの洗脳を破るにはこれしかない。その一心で、彼はその異常な思考を、そっくりそのまま行動に移したのだ。 お陰で、彼はもう二度とレイシーになることはなくなった。ただし、光を感じることも二度となくなったのだが。 「あー、本当ニンゲンってのは嫌な生き物だぜ。こうやって追い詰められるとすぐ肉体を傷付けやがる。ま、殺さず傷付けるのはオレも嫌いじゃないがな。ダーティキング様は嫌いみてぇだけど……」 呆れ半ばに吐き捨てるレイジーオーガの背後には、黒い塊。それは大きな悪意と快楽の塊でもあった。 その塊はレイジーオーガに一言かける。 「呼んだか?」 悪の王、ダーティキングだった。 その声を聞き、最後の抵抗も無駄だったのだと、ヒーロー、巧手支郎は悟った。 「……ダーティキング様。今ヒーローと応戦中でした。結果、両手と目を損傷させました」 「ちょっとやりすぎだぜ、レイジーオーガ。死んだらどうすんだ。殺さずみんな堕ちようつったろ?」 ダーティキングがギラギラとしたその目をさらにギラつかせ、レイジーオーガを見る。どうやら少し憤りを見せているようだった。 「それは……申し訳ございません」 「まぁいいぜ。よくやった。じゃ、後は任せろ」 「はっ」 レイジーオーガは、そのままダーティキングの下で跪く。そして、最後の審判を執行すべく、悪の王が直々に動いた。 「レイジーオーガ相手にここまで抵抗するたぁ良くやるぜ。よし、決めたぜ。 折角だから俺様の幹部にしてやるよ。これでレイジーオーガに続き二人目だ。良かったな」 「なに……!」 悪の王が執行したのは、二人目の怪人の誕生式であった。五体不満足になりながらも、自らのプライドのために自らの身体を犠牲にしたこと。それらを考慮した結果、彼は支郎を幹部に引き入れることを決めたのだ。 「や、やめ……ぐっ!」 「ガハハハハ。怖がるこたぁねえよ。俺様がちゃんとこうやって支えてやっからな?」 支郎を後ろから腕ごと抱きしめると、その黒く巨大なペニスを、支郎のアナルに何の躊躇いもなく準備すらせずに突っ込んだ! グリグリと肉が抉れる音がして、アナルから血が垂れてくる。それでもお構いなしに、ダーティキングは支郎の便器の開発を続けた。 新発明、エビルマ専用肉便器というわけだ。 「なかなか締め付けるな。お前、相当頑固だろ? ま、すぐ俺様がほぐしてやらぁ。ガハハハハ……」 「や、やめ……あっ、うあっ」 「お、身体は正直みてぇだな。可愛い奴だぜ。気に入った」 ダーティキングの進撃により、邪悪精液で増幅された快感がさらに増幅されていく。ダーティキングの先走りにより素早くゆるやかにアナルが彼好みのモノに開発されていく。 丁度良くダーティキングのペニスが締め付けられるようになった頃には、ダーティキングの快感レベルも上がり、とうとう振り切れようとしていた。かつて、レイジーオーガを犯していた時のように。 「そろそろイクぞッ、受け取れ俺様の分身!」 「ああっ、ししょぉっ、あああ!」 アナルに特濃の精液が発射された。もうこの濃さなしにはいられなくなるぐらいに、漆黒のオタマジャクシが支郎の肉体を犯していった。 「あああああ! やめてくれ! 俺が、俺がぁぁァっ!」 支郎のペニスからとめどなく自分自身の精子が溢れて行く。その勢いはとどまるところを知らず、地面に大きな水たまりを作っていった。 その精液は出し尽くすまで止まることはない。既に彼はニンゲンではなくなってしまったのだから。 「あっ! ああ、ア゛ア゛ア゛ァ!!」 しばらく精液が出続けると、とうとう支郎の肉体に変化が起こりはじめた。なんとまずはじめに起こった変化は手だった。 レイジーオーガに潰された手がみるみるうちに治っていくではないか。しかし、それは五本指ではなく、三本指で尖っており、ニンゲンとは違うものであったが。 そのまま腕にかけて、何やら袖のようにも見える薄い膜が手首から脇にかけて生えはじめた。それは段々厚みや体積を増してゆき、奇妙な音と共に骨格を形成し、それは翼となった。 180cmの高かった身長がさらに伸び、レイジーオーガより少し低い2mぐらいにまで上がると、次の変化が起きた。 黄色のふさふさとした毛が体全体を覆いはじめたのだ。その毛は人間にあらず、それは紛れもなく獣毛であった。 それは腕、胸、腹、脚、股間と余すことなく満遍なく生えてゆき、頭に到達することには髪が全て抜け落ち、代わりに黄色の獣毛が堂々と席巻していた。 「ガ、ガ……」 最早声を出す事すら叶わない。呻き声をあげながらその端正だった肉体は変化を続ける。 足から鋭い爪が生えたと思うと、とてつもなく痛々しい音がそこから聞こえてきた。相も変わらず呻き声しかあげない支郎を他所に、支郎の足は鳥と獣の中間のような形に変化。いや、進化ともいえる変わり方をした。 睾丸はふさふさの毛を纏いボリュームを増していき、周りに付随していた射精中の勃起ペニスは、獣毛に巻き込まれ、消えていってしまった。獣毛を濡らし飛び出る精液から、ペニスが消えてしまったわけではないことは伺えた。 「ほう。なかなか面白い変わり方だな。……お前の名前は……そうだなぁ……」 その変化を見ながら新たな名前を考えるダーティキング。その腰は未だ快楽を求め支郎の変わりゆく尻を犯し続け、その動きは止まるところを知らなかった。 「シ、ショ……ギッ!」 臀部の毛を突き破りチョロッと細くて小さな尻尾が生える。レイジーオーガとはうってかわって獣人のような怪人に変わるらしい。 ヒトの面影を残したまま顔が変わる。眉が抜けると顔面すらあっという間に獣毛で覆われていき、鼻が黒みを帯びヒトのものから獣のものに変わるとともに、口が音を立て伸びはじめマズルを形成する。耳は尖り蠢きながら頭の上に移動し、一度二度ピクピクと動作確認をするとそのまま頭上の位置に定着した。 破壊されてしまったはずの目は、色と光と質量を取り戻し、じわじわと再生していく。しかしそこにあったのはやはりかつて光を宿していた青年のものではなく、ギラギラと金色に輝く獣のものであった。 ぼろぼろと歯が抜け、そこから新たに牙が生える。その牙は剛健に聳える鬼のものではなく、何でも刺し貫けそうな、そんな細く鋭い牙だった。 「よし、決めたぜ。お前は今日からラペイシャスバットだ。これから俺様の、エビルマのために頑張れよ?」 「ギ、ギギィ……」 歯を食いしばり甲高い声で唸る支郎。いや、怪人ラペイシャスバットは、最後の仕上げと言わんばかりに、股間から勢いよく獣毛を突き破り、ペニスを露出させた。 それは射精中に形を変えてしまったようで、真っ赤でツルツルの超巨根がそこにはあった。 「ギギ……ギァッ!……アァッ!」 まるで巨大な唐辛子を一本ぶら下げているかのようなその逸物は、一発精液を発射すると、少し間を置いて再び射精した。真っ黒に染まった邪悪な精子を。 これでラペイシャスバットは、エビルマの一員として完成したのだった。蝙蝠と人間を二つに掛け合わせたようなその姿は、まさに蝙蝠怪人と呼ぶに差し支えないだろう。 「お、おお……そこにいるのは、ダーティキング様? この体のぬくもり……そうだよな?」 「そうだ。お前は俺様の幹部として生まれ変わったんだ」 「そうか……よく見えないが、それならそうなんだろう…… 我、ラペイシャスバットはダーティキングに全てを捧げることをここに宣言いたします……!」 視力はあまり回復しなかったようで、そこにダーティキング達がいることは視認していないようだった。が、自らの身体を密着させているその者が、自分が仕えるべき者だということは理解していた。 ダーティキングは笑いながらペニスを引っこ抜いた。その時ラペイシャスバットは少し名残惜しそうな顔をしていたが、すぐに体制を取り直し、そのまま敬礼の姿勢を取った。 「よろしく頼むぜ新しい幹部さんよ」 「お前がレイジーオーガだな。よろしく頼む」 「で、ラペイシャスバット。ちょっとお前の力がどんなモンなのかあいつで試してみろ」 「ヒッ!!」 そこにいたのは轟単だった。恐怖のせいで状況が理解できず、今までずっと地面にへたり込んでいたのだった。 「分かりました。我の力を見せてさしあげましょう……」 「ヒ……」 ラペイシャスバットは、単に近づくと、徐に両手を拡げた。そしてそのまま目を瞑るとぴたりとその体を静止させた。 「……何やってんだてめ」 「待て」 「あ、あ……」 レイジーオーガがラペイシャスバットに近づくところをダーティキングが止める。どうやらニンゲンの様子に変化があるようだった。 ニンゲンは涎を垂らし、虚ろな目で目の前を見ている。腕をだらんと前に垂らし足も力なく棒立ちになっていた。 (あ……なんか、聞こえる……) 『聞こえるか?』 (テメェは……誰だ……?) 『我は、主。お前は、蝙蝠だ』 (主……? 蝙蝠……?) 『我はお前の主。お前は我の忠実な下僕の蝙蝠だ』 (違う!) 『そうだ。お前は快感が好きだったろう?』 (違う、俺は、蝙蝠なんかじゃ) 『お前は我のものだ。他のものに構わず我に全てを預けよ』 (俺、あれ……? 俺は、誰のもの……?) 『お前は我の下僕。我はお前の主でお前は所有物なのだ』 (俺、下僕……所有物……主は、お前……) 『そうだ。いい子だ。お前は我の言うことに従っていればいいのだ』 (俺は……主に、従う……私は……所有物……) 『お前は所有物。我は蝙蝠である。そして、お前もだ』 (私も……蝙蝠……主……) 『お前は所有物。だが、欲望は持っていろ。主以外の者には強欲であれ。分かったな?』 (分かりました……私は、主の所有物であり、強欲な蝙蝠でございます……) 「バット様……」 単は怯えさせていた表情を無に変化させると、そのまま体勢を直立させ、真っ直ぐ勃ったペニスから精液を溢れさせた。 まず変化が起きたのは身長。少し体が縮み、150cm程度まで調整される。 そのまま黄色の獣毛がラペイシャスバット同様余すことなく生え、人間の特徴がそっくりそのまま蝙蝠のものと入れ替わり、仕上げに真っ赤な獣ペニスから黒い精子を射精した。革製のライダースーツは既に精液でグショグショに濡れてしまっていた。 ニンゲンはやや小さめの蝙蝠男に変わってしまった。ラペイシャスバットよりやや蝙蝠の要素が強く見える。 「私は、ラペイシャスバット様の忠実なる下僕、グリットでございます。ラペイシャスバット様。私は貴方の所有物でございますのでなんなりとお申し付けください」 轟単は、偶然この場に出くわしたばかりに、一人めの蝙蝠型改造兵として生まれ変わってしまった。いや、今の彼は改造兵グリットなのだが。 グリットは、着ていたライダースーツを全て脱ぎ捨て全裸になると、ラペイシャスバットの前で手を胸に置き頭を深々と下げ一礼した。 「さて、帰ろうぜ」 「行くぞ、ラペイシャスバット」 「はっ……」 ラペイシャスバットはグリットを引き連れ、ダーティキング、レイジーオーガと共に拠点へ帰ろうとしていた。が、彼にだけ聞こえた、ある『音』が、彼の『欲望』を暴走させた。 「……「欲しい」。あれは、我にこそ相応しい」 それは、一人のレイシーだった。 片方のレイシーには目もくれていない。未だに性交を続けていた右側のレイシーのみに、ラペイシャスバットは反応を示した。 「ん? どうした、ラペイシャス……」 「おい、お前」 「ん? なんだぁ、おまえ?」 その目は明らかに色が違っていた。 それは鋭く、それでいて自らの欲すモノを何があっても手に入れる――そんな欲望に満ちた目だった。 「おい、お前レイシーに何してん」 「これは我のモノだ。お前の下僕だろうが、我が欲しいと思ったモノは……全て、我のモノなのだ!」 ラペイシャスバットの表情が鬼気迫るものに一瞬で変貌する。 目と牙をギラつかせ、レイシーに勢いよく飛びかかった。 「あっ……」 「これが、我の牙の味だ……」 ラペイシャスバットは、レイシーに覆いかぶさると、そのまま首筋に噛み付いた。そこから血を吸っているようで、ズルルルと生々しい音が夜の閑散とした街に響いた。 ラペイシャスバットのペニスは、レイシーの小さなペニスに擦り合わせており、お互いに黒の精液を発射し合っていた。 「あ……あ……おうが、さま……おら……おら……」 レイシーの姿が、あたかもモーフィングのようにグリットのものへと変わっていく。その過程はほぼ同時に行われ、まるではじめからそのレイシーは、グリットであるかのように思えるほどにあっさりと変化は終わりを迎えた。 「……私は一体……」 そこにはすっかりグリットと化したレイシーの姿があった。記憶も意識も完全にすり替わっているようだった。 「テメェ……ま、いいわ。面倒くせぇ」 「我の牙はレイシーのような他の改造兵をグリットに変えられる……これからニンゲンも改造兵も、我のものだ……!」 「ほほう、お前は相当強欲みてぇだな。なかなか見込みがあるぜ。ガハハハハハハ!」 その様子にダーティキングが面白おかしく笑っている。 レイジーオーガは下僕を取られたことに怒りの感情を表したが、すぐに怠惰に飲み込まれ何もすることなく街を後にした。 「グリット。お前だけは、いつか我のずっと近くにいさせてやろう……」 「光栄です。ラペイシャスバット様」 「さあ、帰るぞ。我々の棲家へ」 元レイシーのグリットを一度強く抱き締めると、そのまま二人のグリットを連れ、夜の空へと飛び立った。 こうして、二人のヒーローと二人の人間が一夜にしてエビルマの一員として生まれ変わったのだった―― ◯ 数日後。 ダークスマッシュ、テクニカルハンドマンの二名が行方不明となった事が、ヒーロー事務所にも知らされた。 「そんな……拓さんと支郎さんまで……エビルマ……なんて奴らなんだ……」 事務所の尊敬する先輩であった増田拓と巧手支郎の二人を一度に失ったショックは、親友を失った灰岡英光の心をさらに締め付けた。 しかし、英光とその親友が彼らを失わせた事を、本人は知る由もなかった。もとい、本人は絶対に知ることができない。のだが―― ● 「おうがさま、きょうもおらたちとごろごろするだぁ」 「オウ。お前らみんな相手してやるからこっちへ来い」 「はいだぁー!」 本拠地では、いつものように怪人達が各々性行為を悦しんでいた。 レイジーオーガは、沢山のレイシー達に自らの身体を使ってセンズリをさせていた。そうすることで寝ながら動かずに快感を共有することができるからである。 レイジーオーガは今日もレイシーに扱かれながら惰眠と快楽を貪っていた。 ラペイシャスバットも、グリット達を一人一人丁重に扱い、愛していた。一人のグリットを全力で愛し、次の日には別のグリットを取っ替え引っ替え犯していた。 「ああっ、良いぞ。さすがは我の下僕……愛しているぞ」 「光栄のっ、おっ、極みで、あっ、ございますっ……はぁっ!」 「お前だけは、他の改造兵とは違うんだ……いつかお前を格上げしてやらんとな……」 「ありがとう、ございます……!」 特にレイシーを変えたあのグリットがお気に入りのようで、彼だけは毎日毎日飽く日なく愛していた。このグリットには何やら言い表せない特別な感情があるようで、それが何かは分からなかったが、心の奥底で感じるものがあったのだろう。そう思い、今日も全力で最愛のグリットを愛し続けていた。 「出るぞっ、グリット!」 「ああっ、ラペイシャスバット様ああああっ!」 幸福の嬌声が、本拠地内に響き渡った。