モンヘル
Added 2020-03-02 07:06:59 +0000 UTC【*】この作品はツイッターで投稿したSSのリメイク作品となります。 見てもいないテレビを垂れ流しながら、自宅でとある青年は言った。 「あー、金、どっかに落ちてないかなー」 この青年、福留英輝は、言ってしまえば無職であった。親の収入で贅の極みを尽くし、ついにはこのような事をのたまうほどに彼は堕落していた。 そんなどうしようもない彼が見つけたのはひとつのチラシだった。 それは電信柱に無造作に貼り付けられており無地の紙にワープロソフトで打たれたような簡素な文字が印刷されたチープなものだった。 しかし英輝は驚愕する。チラシに書かれていたその内容に。 「従業員募集。年収500万?」 それは「株式会社モンヘル」という会社の募集チラシだった。 詳しくは書かれていなかったが、新しく創設された会社「モンヘル」の従業員として長期契約すれば年間500万円もの給与が与えられるというのだ。短絡的な思考の英輝は、当然この仕事を受ける事にした。 面接などしばらくの間やっていなかったが、こんな大金を目の前にしては躊躇うことなどありえないと英輝はその会社へ行くことを決心したのだった。 「ここか……」 数日後、英輝は会社の前へとやってきていた。 チラシに記載されていた電話番号を頼りに会社に連絡し、面接の約束を取り付け、そしてとうとう面接会場の前へと歩みを進めたのであった。 「よし、5分前……行こう」 英輝は意を決して会社の中へと足を踏み入れた。そこにはスーツを着た男性が立っていた。とても年500万の仕事とは思えないほどにありふれた普通の人間だった。 (ま、まあいい給料のとこほど普通の人がいるものだよな。まともってことだもんな) そう自分に言い聞かせ、英輝は男の言われるがまま面接会場へ向かう。 そして5分後、面接が始まった。 「面接官のマドウです。福留英輝さんですね。本日はよろしくお願いいたします」 「はい、よろしくお願いします!」 「では福留さんにお聞きしますが……」 どんな質問がやってくるのだろう、と英輝は息を呑んだ。 「弊社に所属するにあたって、“どんなことでもたのしくやるか、やれるか”を約束できますか?」 質問はただそれひとつだった。英輝はきっと厳しい質問が飛んでくるのだろうと思っていたので、少し拍子抜けだと思った。 (それって厳しい仕事も楽しくやれってことか? それとも違うのか? でも嘘でもそうだって言ったほうがいいよな。こんな大金のチャンス逃したくないし、何より本当に楽しくできるのならそっちのほうがいいし、もし辛ければやめればいいんだし) 考えた結果、英輝は「楽しくできるならなんでもします!」と回答した。 「わかりました。では、以上で面接は終了となります。結果は後日福留さんの家に送達いたします。それでは、お疲れ様でした」 「あ……はっ、はい! お疲れ様でした!」 たった一つの質問で面接が終了してしまった。英輝は心の中でやっぱり駄目だったのかと落胆していた。 ◆ 次の日、彼の下へ面接合否の通知が来た。どうせ不採用だろうと適当に開けた手紙を見て英輝は驚愕する。 『福留英輝様 株式会社モンヘルの魔道と申します。 先日は、当社の採用試験にお越しいただき誠にありがとうございました。 選考の結果、英輝様を当社従業員として、◯月×日付けで採用することに決定いたしましたのでご連絡いたします』 それは採用の通知だった。英輝は自分がこの日から一気に勝ち組に登りつめたことに狂喜乱舞した。 「今まで迷惑かけてごめん。俺、東京で頑張ってくるから!」 そして親に今まで収入を食い潰してきたことを謝り、悠々と家を出たのだった。 ◆ 「ここだな……」 そこは面接会場とはまた別の小綺麗な会社だった。まず、案内状の通り、「準備室」の看板が掲げられた黒い扉の部屋へ行った。 「なんだここ……本当に会社か? なんか怪しい薬品でも作ってそうだぞ……本当に普通の会社なんだろうか?」 しかしそこは何やら物々しい雰囲気で、英輝は一瞬入るのを躊躇った。 が、500万円のためだと意を決して準備室の扉を開いた。 「……なんだ、ここ?」 そこは、一面ガラス張りの狭い部屋。ここで一体何の準備を? と思う英輝。 どうやら目の前に錠剤のビンが置いてあるようで、彼はそれを取ってみた。 「薬? お、ラベルに何か……」 そのビンには、『従業員の方は服を脱ぎこれを飲んでください』と書いてあり、英輝はなぜ服を? と再び疑う。だがしかし、500万という目先の欲には逆らえず、英輝はそそくさと服を脱ぎ、即座に錠剤を飲み込んだ。 「うーん、何も起きないな……もしかして発明した薬品の効能を確かめる係とかそういう……うっ」 その時、ドクンという胸の高鳴りと共に、英輝の体に異変が起きはじめた。 「なっ、なんだ!?」 手足は縮み筋肉は衰えていき、背丈はどんどん小さくなっていく。目の前の机やビンが段々と高くなっていく感覚に、英輝は言え知れぬ恐怖を覚える。 肌は紫色に染まり、手足が縮んでデフォルメされたようになり指先の爪が伸びた。 髪は吸い込まれるとはじめから生えていなかったかのように消えて無くなり、その頭の上から小さなツノが生えてくる。 背中がムズムズすると勢いよくかわいらしいコウモリの翼が生え、尻からは矢尻のように三角にとがったシッポが生えた。 ゴキゴキと音をたてながら英輝の顔は、全て作りかえられていく。それは痛みすら伴わずあっという間に終わった。 「……なんだこれ!?」 鏡を見た英輝は驚愕した。釣りあがった金色の目、大きく裂けた口にそこからちらつく小ちゃな牙。その姿はRPGゲームの序盤に出てきそうな、かわいらしい小悪魔のインプそのものだった。いかにもモンスターらしい醜く卑しそうな見た目だ。 「ウソだ! オ、オイラの体が!」 その口から発せられる声も甲高くやかましい声になっており、『俺』と言ったはずの一人称も無意識に『オイラ』になっていた。かわいらしくもなかなかに醜悪そうな雰囲気をしている。 「助けてくれ、オイラこんな姿になりたいわけじゃ……おぉぅ」 英輝の体がぶるんと震えると、背丈がぐんぐんと伸びて角や翼や尻尾も引っ込み、また普段の英輝の姿へと戻った。 「お、俺はっ! ……あれ、も、戻った……今のは一体……」 一人称も戻り完全に元の姿へと戻れたと実感する英輝。どうやらこの姿はまだ安定していないようだった。しかし…… 「ああっ!?」 再び一瞬で英輝の体は先程の悪魔の姿へと逆戻りしてしまう。そしてまた程なく人間の姿へと戻る。 「お、俺の体一体どうなって、オイラはこの薬を飲んだせいでこうなったのか? 俺はこれからどうなっちまうんだ!? オイラがこれからする仕事ってなんなんだ!?」 本来の姿を維持できなくなった英輝は、人間と悪魔の姿を行ったり来たりしており、その際の言葉も 「ああっ! 俺オイラ俺オイラ俺オイラ俺オイラ俺オイラ俺オイラ俺オイラ」とやかましかった。 人間と悪魔の狭間を彷徨う英輝の頭の中で、いつしか地の底から響くような声が聞こえてくる。そしてその声はこういうのだ。 『困っているのなら、悪魔の成分を出してしまえばいい。悪魔の姿で射精すれば、不必要な成分が出ていきすべては終わる』と。 「な、何か分かんねえけど、出しゃいいんだなっ!? オナニーは恥ずいけど、オイラやるぜ!」 英輝はもうそうするしかない、と一定の時間で入れ替わってしまうところをふんばり、悪魔の姿のままで小さくなったおちんぽを扱きはじめた! 悪魔のぷにぷにとした肉厚で柔らかな手は英輝の興奮を増幅させた。悪魔の体になったせいで小さくなり皮が余りすっぽり被ってしまったちんぽからトロトロと透明な汁が溢れ出る。 「こうすりゃオイラ、戻れる……ちょっと恥ずかしい……けど、オイラは人間に戻らなくちゃなんねえんだ!」 しかしそのオナニーは混迷を極めた。絶頂寸前で人間の姿になってしまい、寸止めを強いられてしまうのだ。 「しまった……人間に戻っちまった……悪魔の姿で出さないと人間の方が出ちまうかも知れないのに……!」 また人間に戻り寸止め、それを繰り返した。人間の姿で射精したらどうなるか分からなかったからだ。最悪、人間の成分を不必要なものだと認識されてしまうかも知れない。声は悪魔の姿で射精すればいいと言っていた。だからそれに従うまでだ。 「やだ、人間に戻らないで……悪魔の姿で出さないと、オイラ人間に戻れない……」 甲高い声で喘ぎながらちんぽを扱く英輝。ふっくらと柔らかな英輝の手がすっぽりとはまりちんぽをいい具合に刺激してさらに先走りを滴らせる。 「オイラ、悪魔出さなきゃ……あ、出ちゃう、出ちまう!」 かわいらしい牙をちらつかせ口をばあっと開ける。とうとう悪魔の姿の彼に絶頂が訪れようとしていた。 「あっ、やった! イク! イクぞ! しかもまだ人間の姿に戻ってない! これで悪魔の成分を出せる! やったぜェ!」 英輝はペニスを扱く速度を上げる。先走りに混じり今か今かと精液を解き放つ準備を始める英輝のペニス。とうとう彼は絶頂を迎えるのだ。 「キキッ……! イクイク、イクッ!」 悪魔のような唸りを上げながら、白い精液を悪魔ペニスから発射する。それは一度に出す量を遥かに超えており、まるで本当に不必要な成分がここから溶け出して排泄されているかのようだ。 これで彼は晴れて人間に…… 「キキキ、キキ、気持ちよかったぁ……!」 戻ることは二度となくなった。もう人間だった頃のことも覚えていないだろう。 悪魔の姿の時に精液として出す成分は、実は人間のものであったのだ。英輝はわざわざ必要なものを自らの意志で射精してしまったということだ。 つまり、彼の人間の成分だったものは、足下に散らばる精液に溶け込んでいたのであった。それもすぐに蒸発し残滓すらなくなってしまったが。 「あれ? オイラ、なんでチンポいじってんだ?」 そこには、かつて福留英輝だった小悪魔がいた。自分のことはお客様のために奉仕するインプ従業員だということしか覚えていなかった。 『社員番号666番『インビィ』。お客様がご指名です。至急奉仕室へお急ぎください』 「はい、ただいまお伺いいたします!」 呼び出しが聞こえると、英輝は元気良く走って行った。彼の目的はお客様にご奉仕することと、いつの間にかすり替わってしまった。 ◆ 「お待たせしました山口様、ご指名の従業員が只今到着いたしました」 「オイラ、新人のインビィだぜ。よろしくな!」 そう客に宣言すると、奉仕を始めるべく自分を指名した男の下へ歩いていく。 ここは株式会社「モンスターヘルス」。略して「モンヘル」。モンスターソープとも言われている。そこでは数々のモンスターが性的奉仕をするという、ニッチな客に人気な裏企業であった。 「お客様、オイラに何して欲しいんだ?」 「そ、その小さな口と長い舌で、このチンポをしゃぶってくれないか?」 「お安い御用だぜ!」 インビィは早速山口の既に勃起しているペニスをその長い舌で舐める。その目つきと舌先はいやらしく、山口はあっという間に快感に惑わされる。 彼、山口【本人の希望により非公表】は、ゲーム好きであり、モンスター好きでもあった。そのモンスター好きは高校の頃からいつしか性的対象として見るようになっていた。そして同性愛者だと自覚したのもその辺りからだった。 こんな趣味は家族や友人には言えない。だから一人寂しく二次創作や妄想、同じ趣味を持つ創作者の作品を鑑賞するなどして性欲を紛らわせていた。 そんな時モンヘルの広告を目にして半信半疑でそこへ言ってみることにしたのだった。 「い、インビィ、ちょ、激しい……このままじゃ俺!」 「おっと、じゃあダメだな。キキッ」 あともう少しで射精する、というところでインビィはフェラチオを中断する。客を悦しませるのが従業員の役目。それに山口があまりにそればかりに傾倒しそうだったのもあって、彼はもっと焦らすべきだ。と、そういう考えがインビィにはあった。 「次は何してほしい?」 「じゃ、じゃあチンコ以外の別の場所を……」 「そうか。じゃあここはどうだ?」 インビィはそう言うと腹部の黒い穴ぼこに舌を添え、そのままペロリとそこ舐める。不意に臍を舐められた山口に、ゾワゾワとした感覚が襲う。しかしその感覚は悪い感覚ではなかった。むしろ、とても気持ちが良かった。 (ヘソを舐められるのって、こんなに気持ちいいのかっ!? それとも、こいつのテクニックがいいのか?) 為すがまま色々な場所を舐められる山口。臍から上に上がって首筋、唇、耳、指先、足の指、陰嚢部分に至るまで山口はインビィに舐められ続けた。 その中でも陰嚢と臍と首筋が彼にとっては気持ちの良い位置だった。しかしまだあの部分は触れられてすらいなかった。 「お次は……ここかなぁ? んっ」 「っ!!」 インビィはにやついた顔で乳首を舐める。不意をつかれた山口は、今まで以上の快感に襲われる。身体中がビリビリと痺れ、体の自由が利かなくなってしまう――山口はそんな感覚を味わった。 「おっと先走り……」 「んほっ!」 出汁のように溢れ出たカウパーをインビィは見逃さない。液体が溢れたペットボトルを咥えるかのようにインビィは山口のそびえ立つペニスを咥え込んだ。 「キキッ、うまかった」 「びっくりした……イクかと思った……」 「悪い悪い、で、お次の希望は?」 ちゅぽっ、ちゅぽっと可愛らしい音が響く。しかしその行為自体は可愛らしいものではなかった。側から見れば大人の男が激しく腰を振り子供の尻を犯しているようにも見える。が、それは人間とインプの行為であり二人が望んで行ったものだ。 しかしそれにしても激しいセックスだ。山口は童貞で、セックスの経験も全くと言ってなかった。そんな彼が望みの相手とセックスをすることになったのだ、やり方も分からずただ快楽を貪るしかなかった。 「フッ、フゥッ……アアッ!」 「いいぜいいぜ激しいぜぇ! 山口様、オイラの尻の穴に人間ザーメンぶっ放してくれぇ!」 「インビィくん、かわいいっ、大好き……インビィくんの中、ぷにぷにしてて気持ちいいっ!」 二時間過ぎてなお激しさを増す異種間でのセックス。しかしそのセックスもとうとう終わりを迎えようとしていた。 インビィの柔らかな肉が山口のガチガチに固くなったそれを揉みしだき彼を絶頂に誘う。片やインビィも山口の肉棒が体の芯にまで到達しており、その快感により中がドロドロに溜まりきった睾丸が欲望を吐き出させようとぶるりと震えた。 それと同時に、腸内で山口の逸物が今までより激しく震え出した。 (そろそろだな……) インビィは山口の絶頂を悟り最後の仕上げに取り掛かろうとしていた。 「んっ、あっ、あああっ! あっ、あんっ!」 尻を犯されながら小刻みにペニスを扱いていたインビィは、わざとらしく大声で喘ぎ始める。その声が山口をさらに燃え上がらせたのか、インビィを打ち付ける動きがさらに早まっていた。 「あっ! もうダメ! イク!」 「オ、オイラもそろそろォオんッ!」 インビィの中に暖かく大量の精液が注ぎ込まれた。山口もここまで多くの量が出たのはこれが初めてだったという。インビィも、インビィとして初めての射精をした。 モンヘルの従業員として何度もセックスした記憶はあるのだが、インプと化して最初の絶頂はこれが最初だった。 「ありがとうございました」 「次もまた来るよ」 「またのご来店をお待ちしております」 そしてまたモンヘルの夜が終わる。インビィ――いや、福留英輝への日給は、即通帳へと振り込まれる。その金は、半額が両親の生活費、そしてもう半額が本人の生活費となるはずだったが、もう彼は人間と暮らす必要はない。モンヘルの従業員はそこで住み込みで働くのだから。 「インビィ、今日も良い働きでした。明日もその調子でお願いしますね」 「もちろんさ! オイラ頑張るぜ! キキキキッ!」 彼は小悪魔の「インビィ」。その名の通り雑魚モンスターのインプそのままの醜くもかわいらしいマスコット的存在のモンヘル従業員である。 性格はイタズラ好きで元気。可愛いものが好きな人間に人気があるという。 「オイラはインビィ、その名の通りインプさ。 今日はご指名ありがとな! じゃ、さっそく奉仕させてもらうぜ。キキキッ!」 次の日も福留英輝改めインビィは、今日も悦しく仕事をする。500万円の金など、もう彼には必要なかった。 完