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広域はんい
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縮小奴隷日記外伝 前編②~美容石鹸~


『~♬ ~♬』


 ある一軒家のリビングにあるテレビから、穏やかな曲調のBGMが流れている。

 そんなテレビの中で、二人の姉妹がバスタオル姿で映し出されていた。


『「姉さんほら、やっぱりこの石鹸すごいな! ボクの腕がすっごくツルツルになってる」

 「ええ、ほんと。 優しく擦るだけでこんなにツルツル♪ それに、お肌の中に浸透しているのが分かるわ」』


 Twins Sisterの姉である東雲 永久の腕をアップしたカメラには、石鹸で擦った場所がツルツルになって、光りで薄く輝いていた。

 そして数秒間腕を映したのち、永久と刹那、二人の姉妹はそれぞれ手に持つ石鹸を胸の前に掲げて喋り出す。

 

『「「もう、この美容石鹸は手放せない♪」」 ――当社の石鹸は、値段以上に相応しい効果をお約束します。 by ~Beauty salon Eros tick~』


 自慢するように石鹸を掲げる姉妹と会社のロゴが映された後、別の “コマーシャル” が新たに映し出される。


 そんな新しく映し出されたCMには目もくれず、テレビを見ていた女性はリビングのソファーに座り、「はぁ~」と深い溜息を出して物思いにふけっていた。


――


「もうママ、またエロステのCMを見て溜息なんか出して……。 そんなに欲しかったら買ったらいいのに」


 テレビを見ていたら、私の隣に座っている娘の加恋が飽きれた様子で話しかけてきた。


「え、ええ……。 でも値段が値段だから……」


 正直に言って、CMで紹介されていた石鹸は高い。

 さらには、私が欲しくてやまない “会員制の石鹸” はもっと値段がするものだから、中々手が出せずにいた。


「いいじゃん。 お兄ちゃんのおかげでお金はあるんでしょ?」

「あるにはあるのよ? ……でも、真ちゃんを使ったり、あのお店で小人のお料理を食べるために貯金しているお金だから。 加恋ちゃんも今度はちゃんとしたお料理として、小人を食べたいって言ってたでしょ?」

「確かに言ってたけど、別に良いよ? 実は加恋も、エロステの石鹸を一度は使ってみたかったし。 それにお兄ちゃんは今いないよね? 確か同級生の女の人に預けているってお店の人が言ってなかった?」

「ええ、そうねぇ」


 娘の言う通り、今エロステに行っても真ちゃんはいない。


 先日会いに行ったら、今は預けているから真ちゃんを使えないと言われたのを私も覚えている。

(あの時はする気でお店に行ったから、仕方なく他の小人を使ったのよね……)


 それはそれで気持ち良かった。 だけどやっぱり真ちゃんじゃないと満足できないのを身を持って知った。

 だから、なるべく一人でしないようにして戻ってくるのを待っていた。

 玩具になった真ちゃんに、私の熟れた身体をご奉仕してもらうために。


(でもそうね……。 真ちゃんはいつ戻ってくるのか分からないのよね。 それだったら真ちゃんを使う為に貯金していたお金を使って、この際思い切って買ってみるのもいいかもしれないわ。 結局、いつかは購入する予定にしていたのだし)


「……うん、決めたわ。 加恋ちゃん、今から石鹸を買いに行くけど一緒に行く?」

「うん! 私もついていく!」

「じゃあ、急いで準備してお店に行きましょうか」

「はーい!」


 買う事を決めた私は、さっそくタクシーを拾って娘と一緒にエロステへと向かった。

 時間が経つのを忘れて、タクシーの中で石鹸の美容効果を娘と一緒に和気あいあいとスマホで調べていたら、


「着きましたよ、お客さん」


 いつの間にかエロステのビル前についていたようだった。


「あ、ごめんなさい。 おいくらですか?」

「丁度2千円ですな。 それにしても、最近このビルを目的に乗車される女性のお客さんが増えているのですが、ここに何があるんですかね?」

「ええ、美容に関する物がたくさん置いてあるんです。 あ、5千円でいいですか?」

「確かにお預かりします。 ほう、美容ですか。 お客さんは十分お綺麗なお嬢さんなのに、これ以上お綺麗になろうと? ――はい、お釣りの3千円です」

「まあ! お嬢さんだなんて♪」


 お世辞だと言う事は分かっているけど、褒められると悪い気はしない。

 だから楽しくなって年配の運転手さんとの話に夢中になっていたら、痺れを切らした娘が私を呼んだ。


「もう、ママ! そろそろ行くよ!」

「あ、ごめんね加恋ちゃん。 すみません、娘が呼んでいるのでこれで」

「いえ、わしの方こそ呼び止めてしまって申し訳ない。 では楽しんできてください」


 自動でドアが閉じられ、車が発進したのを見送る。


「ママ、話し過ぎ! ほら、早く中に入ろう?」

「あ、ちょ! 加恋ちゃん、引っ張らないで」


 急かす娘に手を引かれてエロステのビルに入る私達。

 一般の売り場はどこも混雑していて、運転手さんの言う通り人気があるのが見て分かる。


「うわぁ……人がいっぱい」

「そうね……」

「まあ、加恋達には関係ないか」


 娘の言う通り、一般の売り場がいくら混んでいようが関係ない。

 私達が目指している場所は、許可された会員しか入れない場所だからだ。

 そこに、普通の石鹸とは違う、私が欲しくてやまなかった “特別な石鹸” が置いてある。


「ママ、エレベーターが来たよ」

「ええ、乗りましょうか」


 会員カードをかざして8階へと上ると、上品なフロアが私達を出迎える。

 ここにはマッサージをする場所、食事をする場所、私達が身に着ける下着類や小物類などが売ってある場所が、一室一室それぞれ分れて存在している。

 今回向かう場所は、その中の下着類や小物類が売っている場所だ。


「やっぱりここに来るとテンションが上がるなぁ♪ 小っちゃい小人を使いたくなってきちゃった」

「うふふ、加恋ちゃんってば。 でも、今回は石鹸を買いにきただけだから駄目よ。 あ、ついたわ。 ここに石鹸が売ってあるのね」


 娘と会話しながら歩き、そして辿り着いた目の前には、威厳のある重々しいドアがあった。

 重々しいと言っても、人間であれば十分簡単に開けられるのだけど。


「じゃあ、開けるわね」


 扉を開けるとカランコロンとベルの音が鳴る。

 そして、入ってきた私達を歓迎するかのように、数々の商品が私達の視界にすぐに入った。


「わ~石鹸がいっぱい置いてある♪」

「ほんと、色んな種類の石鹸が並べられているわね」


 さっそく店内に入った私と娘は、テーブルに並べられているたくさんの石鹸を見て感嘆(かんたん)の声を上げる。

 そんな石鹸に興味を惹かれたのか、置いてある石鹸の傍に足早に向かった娘は、さっそく何かを見つけたらしく、明るい声で私を呼んだ。


「ねえ見てよママ、ちゃんと石鹸に使った “材料の名前” が書いてあるよ」

「ほんとだわ。 香りの他にも好みのタイプで選べるようにしてあるのかしら? 楽しいわね♪」


 見ると、店内に並べられている石鹸には、混ぜ合わせて犠牲になった “人間の名前” が書いてある。

 年齢はもちろん、その他にも人間だった頃の履歴と顔写真も。


「あら、この石鹸の材料になった人は元々公務員をしていたのね。 どんな香りがするのかしら?」

 ……スンスン


 腰を曲げて石鹸の前に顔を近づけると、材料にされた公務員の石鹸から鼻にツンとくる香りがした。


「……かっこいい人だったけど、香りは私の好みじゃないわ」

「どれどれ~? うーん、加恋も好きじゃない香りだな~」


 同じく匂いを嗅いだ娘も同意見らしく首を振る。


「横にあるのは……ちょっと大人っぽくて上品すぎる香りね」

「ほんとだ。 これも好きじゃないな~」


 私達はどれを購入しようかと、商品台に並べられている石鹸を吟味していく。

 直に肌に塗る物なのだ。 だから当然慎重に、私と娘がそそられる人間を使った、良い香りのする石鹸を探す。


 だがしかし、そういった物をいざ探すとなると、中々私達が気に入る石鹸を見つけられないもので――


「困ったわ。 香りはいいのだけど、あまりこの人はタイプじゃないわね」

「うん、そうだね~。 よし、ちょっと加恋は向かい側の方を見て来るよ。 ママはこのまま良い物がないか探してて」

「分かったわ」


 なので、今度は二人手分けして探す事にした。

 一つ一つ石鹸と写真を見比べ、香りも嗅いで。


 ――そんな時だった。


「あれッ! ね、ねえママ! こっちに来て!」

「ん? 何か良い石鹸を見つけたの?」

「いいから、早くこっちに」


 さっそく娘は何かを見つけたらしく、私を呼ぶ。

 珍しく慌てた様子を見せて手招きをするものだから、気になった私は足早に娘の傍へと向かった。


「この石鹸って隣のおじさんじゃない?」

「……え!? 隣のおじさんって、久志くんの事?」

「うん、ほら、ママこれ……」

「何を言ってるのよ加恋ちゃん、そんな訳――う、うそ……」


 娘が指さす方を見ると、確かに久志くんの写真と共に石鹸が置いてあった。


「どうして……? 昨日の朝会話したばかりなのに」

「加恋も何でおじさんが石鹸になっているのか分からないよ」


 恐る恐る石鹸を手に取り、傍に置いてある履歴を読むと、『尾上 久志』と名前が書いてある。

 だから私は、本当にこの石鹸が久志くんなんだと認識した。


「ああ、久志くん可哀想に……。 こんな姿になってしまって。 いったい何があったの?」


 胸元にそっと抱きしめて話しかけるが、当然返答はない。

 私の両の手の平の中で、石鹸としてそこに在るだけ。


「久志くん……? ねえ、久志くん」


 昔からの付き合いで、ましてや弟のように思っていた人がこんな姿になっているのを見て、悲しくなる。

 息子の真ちゃんと比べると、どうしても。


 真ちゃんは女性の性具となっても、人型を保ち会話もできるからまだマシだ。

 私の元から離れたとしても、働いていると思えば我慢が出来た。

 それに、会いたくなれば自分から会いに行けば良いだけだったから。


 でも、久志くんは完全に人間が使う物となっている。 いいえ、物と言っても真ちゃんとはまた別の “消耗品”。 ――確実に、いつかは “無くなる物” だ。


「かわいそう……かわいそうに久志くん」


 石鹸になった久志くんを優しく撫でながら悲しんでいると、ふんわりとやわらかな優しい香りがした。

 私の手の平の中の久志くん(石鹸)から、まるで私を悲しませまいと、優しく包み込むような。


 そんな香りが私の周囲にもただよっていたみたいで、匂いを嗅いだ娘はとんでもない事を言い出した。


「わぁ~良い匂い♪ 加恋この匂い好き❤ ねえママ、これにしようよ」

「え!? これを買うの……?」

「うん? うん、そうだよ」

「そうだよって……久志くんなのよ、これ」

「もちろんおじさんだって分かってるよ。 でも、よく見て? 石鹸だよ? おじさんだってせっかく石鹸になったんだから、加恋達が使った方が喜んでくれると思うんだけど。 ――それにこんなに良い匂いのする石鹸なんだもん。 今を逃すと誰かに買われてしまうよ?」


 確かにその通りだと思った。

 この機会に買っておかないと、次に来た時には間違いなく別の女性に買われて無くなっているだろう。

 それに、あの久志くんが誰かに消耗されると思うと、嫌な気持ちになる。


 ――それだったら絶対私が使いたい!

 

「そうね、もう石鹸になってしまったものね……。 うん、決めたわ。 この石鹸を買うけど、本当に良い? 加恋ちゃん」

「うん♪ 好きな香りだからこれがいい。 それにきっと、おじさんは天国で感謝しているよ。 選んでくれてありがとうって♪」

「うふふ♪ なぁにそれ。 でも、久志くんが本当にそう思ってくれていたら、使う方の私達も嬉しいわね」


 さっきまで悲しんでいた表情はどこにいったのか、今では嘘のように笑顔になっている美奈子。

 そして完全に購入する事を決めてしまった美奈子は、石鹸となった久志を持ってレジへと向かい、会計を済ませてしまう。


 ――これで久志は、完全に隣に済んでいる母娘の所有物となってしまったのだ。


「じゃあ、帰りましょうか」

「うん!」


 奇しくも、久志は楽しみにしていた美奈子達が住む家に行く事になる。

 が、それは食事を誘われてだとか、そういった人間だった頃とはまったく違う形で……である。


 この母娘の身体を彩る、高価な消耗品として連れて行かれるからだ。


「ママ、今日のお風呂すっごく楽しみだね♪」

「ええ♪」


 これから始まるは、二人の母娘に物として使われる日々。

 自分の身体を溶かし、混ぜ合わせた物を二人の巨大な体躯に使われ、消耗していく日々だ。


 ――なぜなら久志は、 “美容石鹸” として生まれ変わってしまったから。


つづく。


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読んでくださりありがとうございます。

今回は石鹸という消耗品となった者のお話でした。

それは性具とされ、食べ物とされるのとはまた違った処刑方。

処刑方が違うといっても、ご使用されるお客様からの目的はどれも同一なのですが……。


~美容のために~ です('ω')

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