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ユナイトのガブリアスくんが我慢できないSS

◇ 「よ、よし……」  どうにかゲッコウガを言いくるめて下レーンへと追いやった後、俺様はそのままの足で中央エリアの中央部へと足を踏み入れた。  試合は時間は中盤を過ぎ、間もなく後半に向かおうとしている頃合いだ。上下のレーンファイトが白熱する一方で、中央のエリアは閑散とし始める。レベルが順当に上がっていれば、今この場所に訪れる必要はなくなるからだ。  人がいないということはつまり、盛り上がるようなことも発生しない。つまりカメラに映されるようなこともない。こっそり隠れてションベンを済まそうとするならば、チャンスは今この場所しかないという寸法だ。  とはいえ、さっさと済ませないと今度は中央エリアがにぎわい始めてしまう。試合の残り時間が少なくなると中央エリアのど真ん中にサンダーが湧いてくるからだ。サンダーを打ち倒せれば勝負の趨勢は一気に傾くとなれば、当然人も集まってくる。人目が増えれば見つかりやすくなる。万が一コトに及んでるところを見られたら、三か月ぐらいはそのネタでからかわれ続けるだろう。 「もう、我慢できねえ……ッ」  中央エリアの中心部に設置されている巨大な噴水が、ざあざあと激しい水音を立て続けている。試合前にスポンサー企業のエナドリを大量にキメたのもあるが、散々オボンの実を食らい、うずしおやらなみのりやらでたらふく水を飲まされ、ついでに使えるようになるたびにきずぐすりをガブ飲みしていたことでも溜まりに溜まった尿意が、水の音のせいでさらに強まってきていた。両のヒレで股間のスリットをぎゅっと抑え込んでないと、ふとした弾みに漏れ出そうになる。 (な、情けねえ)  普段よりはるかに前屈みになり、漏らしてしまわないようにゆっくりとした足取りで歩む姿はどこからどう見ても尿意を堪えている哀れなガブリアスだ。こんなとこ、敵チームの連中に見つかったらヤバいなんてもんじゃない。シバいてくださいって看板をぶら下げているようなもんだ。つーか今更だけどションベンが漏れそうで戦線を離れるとか、カッコ悪いなんてもんじゃねえ。  一歩、一歩と歩むたびに、どんどんと強まっていく尿意。とはいえ、当然ながら試合フィールドにトイレなんてものはない。つまりどこかで立ちションするしかなく、するためにこうして人気のない場所へとやって来たんだが……。 (ここ、見晴らしめちゃくちゃ良いんだよな!)  中央の円形広場は、一応北部を半円状に壁が囲んでいる。しかし南の方からはしっかりと視線が通るので、特に何もない円形エリアで壁に向かって仁王立ちという謎の行動をしているガブリアスの姿は、南側のレーンから見えればまる見えだ。ついでに言えば床は人工的な素材で出来ているので、めちゃくちゃ巨大な水たまりが試合終了まで残り続けることになる。  背中を向けてじっと動かない敵なんて格好の的――というかもしもションベンしてるときにサンダーが現れたりしたら、チンコ丸出しのガブリアスがションベンを垂れ流したまま雷に打たれ、その醜態ポーズのままリスポーン地点へ搬送されるという事態が発生する。ガブリアスのプライドに掛けて、それだけはマジでシャレにならない。選手生命の危機だ。 (てなると、草藪ん中でするしか、ねえよな……)  フィールドの各地に点在している、身を潜めることのできる背の高い草藪は例に漏れず中央エリアにもちらほらと存在していた。  どういう仕組みなのかはまったくもって分からないが、草藪の中に籠ったポケモンは外からは絶対に見えないようになっている。唯一の例外として、同じ位置の草藪の中に入れば姿は見えるようになるのだが、逆に言えばそうでもしない限りは何が起ころうが何をしようが、誰の目にも止まらないという訳だ。  その性質上、真っ向からぶつかり合うようなバトルスタイルのポケモンよりは、死角や背後からの襲撃を得意とするタイプのポケモンたちが潜むことが多い。誰かに見つからないよう静かに潜み続け、戦線が崩れた隙を突いて奇襲する――といえば聞こえはいいが、やってることはめちゃくちゃ地味だし人目を伺ってコソコソとし続けるのはダサすぎる。  そんなのは真っ向からぶつかるだけの地力を持たない連中のやることであって、この俺様のやることなんかじゃない。  しかし今は、今だけは、人目を引くような派手な行動なんて出来ねえし、実は誰かに見られているんじゃないかとビクビクしながら身を隠せるような草藪を探すしかない。いままで鼻で笑っていた連中と同じような位置にいるというのが堪らなく屈辱的で腹立たしいが、膀胱はもう破裂寸前まで膨らんでいて、早く出したくてたまらない。 (だ、誰も見てないよな)  なるべく人通りの少なそうな草藪を探して、周囲に誰も居ないことを確認してから速やかに身を潜める。  これがハイドの基本所作にござる――と、かつてゲッコウガが高説を垂れていたのを思い出す。その時はなに当たり前のことドヤ顔で言ってんだこいつと思ったもんだが、いざやることになると意外と難しい。何度確認しても、誰かに見られているんじゃないかと気が気じゃねえ。  とはいえ、悠長にしていられる時間はない。試合展開的にも、膀胱の溜まり具合からしても、腹をくくってさっさと済ませる以外に道はないのはよく分かっている。覚悟を決めろガブリアス、もうやるしかねえんだ。  周囲に目を走らせる。北レーンに続く通路には大きな茂みが存在するが、ここは間違いなく危険だ。レーンを跨いだ援護に向かう奴がいたらそれだけで鉢合わせしかねないし、レーン戦においても傍らの茂みを使った攻防はしばしば起きる。  となれば選択肢はもう一つしかない。中央の円形広場のかたわらに点在する、俺様ひとりがギリギリどうにか身を隠せるぐらいの小ささの茂み。視線を遮るような壁は一切ないが、ここでションベンを済ませるしかバレないようにする方法はない。 (つっても、小さすぎんだろこれ……見えてないよな……)  這いつくばるぐらいにまで身をかがめて、なるべく体を縮こまらせればなんとか全身を隠せはする。だが、ちょっとでも気を緩めれば尻尾なりなんなりが外に出てしまい、草藪で俺様がなにかをしているという姿はモロ見えになる。 (や、やっぱり無理だ。こんなとこじゃ出来ねえよ!)  誰かが来るかもしれない、見られるかもしれないなんて恐怖を抱えながらションベンなんて、俺様には絶対に無理だ。だからといって、じゃあどうすればいいかなんて全く分からない。  もう尿意は限界で、腹括らなきゃいけないのは分かってるんだ、それでも、やっぱり、こんな情けねえこと――   「カイリキー! たぶん上レーンは崩せないよ、下レーンをプッシュして相手の気を引こう!」 (……!?)  誰かの声。この舌ったらずでかん高いガキの声は恐らく、敵チームのリーダーであるピカチュウのものだ。  立ち上がろうとしていた身体を咄嗟に屈め、息を殺して茂みに潜む。声の内容からして、上のレーンから中央エリアを通って下のレーンへ行こうとしているようだ。そして声の近さからして、たぶん俺の潜んでいる茂みのすぐ近くに奴はいる。  奇跡的に茂みの中に隠れ切っているらしく、俺の姿は向こうからは見えていない。だが、困ったことに俺も全くピカチュウの位置が見えないので、声で居るかどうかを判断するしかない。ついでに言えばもうすぐカイリキーもこの辺りを通りかかるようだが、その位置もまるで分からない。  一つだけ言えることがあるとすれば、俺はもうしばらくこの小さな茂みから出られないという事実だけだ。 (こ、この姿勢、辛すぎんだろ……っ、ションベン、漏れる……ッ)  身体を限界まで縮めていることで、下腹部がこれでもかと圧迫されていた。しゃがみ込んでいる今の姿勢もあってか、腹に少しでも力を込めればスリットから豪快な音を立ててションベンが溢れ出てしまうだろう。  股間のスリットを抑え込もうにも、少しでも身じろぎをすれば腕のヒレが草むらから飛び出てしまう。そうなればピカチュウの手厚い電撃を浴びせられて、何もかもが一貫の終わりだ。  今俺様に出来ることといえば、股間の括約筋を必死に引き締めて漏れ出すのを抑え込むことだけなのだ。 「ん、ぐ……おお゛……っ」  なるべく限界まで押し殺しつつも、喉から出るくぐもった呻きは止められない。歯を食い縛って全身から冷や汗をだらだらと垂らしつつ、草藪からはみ出ないようにそわそわと身を揺らす。少しでも動きが激しくなれば位置はバレるが、かといって身体を揺らして気を紛らわせないと漏らして俺様の尊厳やらプライドやらファンの期待やら選手生命やらが全部終わってしまう。 (は、はやく、早く行ってくれ……ッ!)  いつもならピカチュウの一匹なんざ恐れることなんてない。相手が得意とする遠距離攻撃を仕掛けてこようと、軌道を見切ってドラゴンダイブで突っ込んでいって殴り飛ばせばそれで片が付く。だが今だけは、いつもは下に見ている連中全ての存在が恐ろしくてたまらなかった。   「いいかいカイリキー、ボクがユナイト技で攪乱して崩すから、君は全部のリソースをつぎ込んでガブくんを落とすんだ。彼さえ落とせれば、あとのイワパレスくんは力押しで削りきれるからね」 「あいよリーダー、了解だぜぇ。でもその前にもう1レベルぐらい上げさせてくれよ」  ピカチュウのまくしたてるような指示に続いて、のんべんだらりとした太ましい声が響く。もう何度となく嫌って程に聞いた筋肉ダルマのあん畜生、敵チームのエースアタッカーのカイリキーだ。いつもは上レーンで俺様とバチバチにやりあうのがメイン(つっても基本は俺様が勝つが)なのだが、イワパレスとの相性の悪さを鑑みてか今日は下のレーンのアタッカーを務めている、らしい。  中央エリアに沸いている野良ポケモンを殴り飛ばす音、電撃で焼き焦がす音。どうやら連中は雑魚狩りを始めだしたようだ。うっそだろマジかよ、早く行ってくれよ……! 「でもよリーダー、上レーンに居るのって本当にガブリアスなのか?」  カイリキーの嫌な点は、何だか妙に勘が冴えているところだ。脳まで筋肉みたいな見た目をしているくせに、戦況を読んで判断するのが異様に上手い。うちのチームが負けるときは、カイリキーにゲッコウガの奇襲が読まれてカウンターを食らい、そこから戦線が崩れていくパターンが大体だ。 「どゆこと? ガブくんっていっつも上レーンにいるじゃない」 「いや、にしては静かだし。それにガブリアスが上にいて、ゲコの奴が中央に潜んでるなら、そろそろリーダーの額に水手裏剣が飛んでくるだろ」 「でもガブくんはジャングル担当しないでしょ。彼、こそこそするのとか嫌いだーって言ってたしさ。彼は性格上、ブラフ張ったり出来ないよ」 「まあ、そうなんだがなあ。あいつバカの単細胞サメ太郎だし」  連中のやり取りの度に、草藪に潜んで息を殺している俺様の心臓はばくばくと悲鳴のような爆音を立てていた。俺様がすぐ近くの茂みに潜んでいるということはバレていないが、下レーンに俺様が不在であることを勘付かれつつある。決してそんなことはないだろうが、少しずつ俺の現状に迫られつつあるような気がして、死ぬほど気持ちが悪い。  と、いうか。 (なんで悠長に喋ってんだよ早く行けよこいつら……ッ! あとだれが単細胞サメ太郎だ……!)  もう冗談抜きで我慢が限界だった。というか、白状するとちょっとずつチビり始めていた。きゅっと引き締めたスリットの筋から、ぽたぽたと生暖かい雫が垂れ始めている。  敏感な股間のあたりをションベンの雫がつるりと伝って、気持ち悪さに小刻みな震えが止まらない。レーンをプッシュしたいって言ってるんならさっさと行けよクソ野郎ども、そんなんだからうちのチームに負け越してるんだぞ……! 「ていうかガブくんがジャングルにいる状況って何さ。彼、もう進化したんだしレーンで暴れてる以外ないじゃん」 「んー、アレじゃねえ? 急に体調悪くなったとか?」 「あのフィジカルモンスターが?」 「んじゃあれだ、オシッコしたくなったとかだろ」  はあ? とピカチュウの呆れたような声。 「彼だって競技者なんだから、その辺の管理くらいはするでしょ。ていうかしたくなったからってなんで中央に行くのさ」 「いやほら、その辺の茂みで」 「子どもじゃないんだから! 幾らなんでもそれはガブくんに失礼だよ」 「確かになあ。あ、レベル上がったんで行こうぜリーダー」 (クッソ言いたい放題言いやがって……ガキで、悪かったなあッ……!)  全部バレてんのかと思いたくなるぐらい図星な言葉を残しつつ、奴らの声は遠ざかっていく。腹の中は苛立ちで煮えくりかえっていたが、返せるような言葉が何一つとしてないことは分かっていた。競技者のクセして試合前にトイレを済ませておくのを面倒くさがり、その結果漏れそうになってレーンを放棄、中央エリアでこっそりションベンを済ませようとしているのが今の俺様だ。もう、一片たりとも釈明できる要素がない。自業自得とはいえ、俺様のプライドはもうズタズタだった。この痛みは、アイツらをボコボコにして泣かすことでしか消せそうにない。  だけどまあ、とりあえず今はそんなことはどうでもいい。今重要なのは、ピカチュウとカイリキーが中央エリアから去ったということ、そして俺様は今トイレ――じゃなくて草藪の中にいて、つまり、この状況を待ち望んでいたということだ。 (やっと、やっとションベンできる……!)  誰かに見られるとか見られないとか、草藪が小さすぎてはみ出そうだとかもうそんなのはどうでもよくなっていた。試合が始まった頃からずっと我慢し続け、ぱんぱんに張りつめていた膀胱がようやく解放される喜びのほかには、もう何も残されていなかった。  深く息を吸い、しゃがみ込んだまま、腹の下の方に力を籠める。  むき出しのスリットの内側からにゅるんと赤黒く尖ったチンコが勢いよく飛び出す。限界まで小便を堪えているせいか普段よりはるかに縮こまっていたが、尿道に小便がせり上がっていくにつれて先端がひくひくと震えだし――  ――じぃぃぃぃぃぃぃぃっ……。   「ん、くっ……はあ、ああ゛あっ……」  チンコの先っちょから噴き出した濃い色のションベンが、茂みの根元を力強く穿っていく。びちゃびちゃと叩き付けるような激しい水音が、俺様がどれほど我慢していたのか、はたまたションベンの勢いがとんでもないことを物語っている。 「あ゛~……やべえ、超きもちいぃ……」    試合中。  多くの観客の視線や敵味方の指示が飛び交う中で、局部を晒しての放尿。  当然と言えば当然だが、それなりに長い選手生命の中でも初めての行為だった。切った張ったの大立ち回りとは違うたぐいの高揚感、謎の胸の高鳴りがどんどん強くなってきて、体が妙に火照ってくる。  ぱんっぱんに張り詰めていた膀胱が徐々にしぼみ、伴って足元の水たまりが大きくなっていく。つん、と鼻を突く小便の強い匂いが鼻につき、思わず噎せっかえりそうになる。 「はぁあああっ……たまんねえ……」  快感、そして解放感。15レベルまで到達した俺様が相手チームの5人を纏めてシバき倒したときと同じぐらいの気持ちよさに、思わず顔が緩んでしまう。  なによりトイレで済ませたときとは違ってふきっ晒しのフィールドの中で小便を噴き出しているという事実が、一層広々とした気持ちにさせてくれる――  ――はず、だったのだが。 「ようサメちゃんやっぱ潜んでたな。頑張って隠れ続けてたみたいだが、尻尾がちょいとはみ出してるぜぇ」 「……あ? げ、カイリキー! ま、まて今は――!」  放尿の快感に溺れ切った俺様の意識を引き戻すように、ぐいと強烈な力で首根っこを掴まれる。  ヤバい――と思う暇もなく、一瞬にして天地逆転。何度も何十度も食らったから分かるこの感覚、一瞬にして地獄に叩き落とされるかのような衝撃――じごくぐるま、だ。  後頭部を徐に叩き付けられる。意図していない一撃に一瞬視界が眩み、遅れてくる痛みに塗りつぶされて意識が暗転していく。  もともと体力の残り少なかった俺様は、この一撃でノックダウン。 (……あ、茂み、出ちまった)  小便はまだスリットから垂れ続けている。薄れゆく意識の中、茂みから引きずり出された絶賛放尿中の俺様の姿にスタジアム中の視線が集まることを予感しながら、リスポーン地点へと叩き込まれていくのだった。


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