SamSuka
夜空さくら
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露出アプリの悪用法

 ある朝の満員電車。  私の背後には同じ学校に通う同じクラスの女の子が、ドアに押しつけられるようにして立っていた。私と彼女はさほど交流があるわけじゃなく、乗り込む時に挨拶はしたけど、向かい合って話をするほどの関係じゃなかったから、背中合わせになっていた。  それでも同じ女子が後ろに立っているというだけで、本当の痴漢は私たちにちょっかいを出しにくくなるはずで、そういう意味では安心な位置取りだった。  私を背にした彼女にとっては、不幸な位置取りだったのだけど。  携帯を取り出してアプリを起動し、背後にいる彼女のデータを選び出す。クラスメイトやめぼしい女性のデータはすべて検索して登録済みだった。このアプリは名前や顔写真を入れるだけでその人のデータをインストールすることが出来る。  アプリの画面には彼女の全裸の立ち姿と共に、様々なデータが表示されている。どこが一番感じる性感帯か、という情報までこのデータには乗っているので、彼女の親友以上に私は彼女のことを知っていると思う。  画面に表示されている全裸の彼女は、本当の意味で全裸なので化粧も何もしていない状態だ。それでは生まれながらの美人くらいしか美人として認識できないので、このアプリにはちゃんと「手入れ・化粧済み」の姿を表示するボタンがある。  それをタップすると、地味目だった彼女の姿が、誰が見ても可愛いと思えるレベルの外見に変わる。もちろん現実の彼女はここまで徹底的な処理をしていないから、見た目通り地味でパッとしない姿だけど。つまり彼女は磨けば光る素材を持っているということだ。  私はさらに「この状態を現実に反映する」ボタンをタップ。私からは見えないけど、背後の彼女の容姿は「地味な女の子」から「可愛い女の子」レベルに変わっているはずだった。  この機能はたぶん「どうせなら可愛い女の子にいたずらしたい」という加害者の勝手な希望を形にしたものだ。  最初から完璧に容姿を整えている子を見つけてその子にいたずらする、ということもできなくはないだろうけど、探すのが大変だ。ちょっと磨けば十分な状態になる子を磨くことのできるこの機能は、無差別に女の子を狙う痴漢にとってはとても便利な機能だろう。  私はこれをこれからいたずらする彼女に対するせめてもの償いとして使用していた。本人からすればありがた迷惑で大きなお世話かもしれないけど、自分が磨けば光る存在なのだということを自覚して欲しい。  私自身はこの機能を自分に使って、朝の面倒な身支度を数秒で済ませたりしてるけど。  それはさておき。  私はアプリの機能を使って彼女の「触覚」レベルを最低に落とす。これは言葉通り触覚を利かなくした、というわけじゃない。そんなことをしたら彼女は自分の身体が消えたと思ってパニックになってしまう、  私が真後ろに手を回して、彼女のお尻を鷲づかみにしても、彼女は一瞬身体を弾ませた以上の反応をしない。どう考えても後ろからお尻を触られているのに、お尻に揉まれているような感覚はするけど、「誰かに触られている」という感覚ではなくなっている。  これはつまり「人に触られたという感覚」を減じているので、彼女は感覚こそすれど誰かに触られているとは思えないというわけだった。  痴漢にしてみれば最高の状態だろう。触っているのに相手は触られていると思わないのだから。そんな機能があるのだから、痴漢アプリというのは伊達じゃない。  次に私は画面に表示されている彼女のわりと大きな胸を指先でぐりぐりと弄る。画面上で彼女の胸がこねくり回される。 「……っ」  それと同時に、背後の彼女の口から声が零れかけた。突然胸に「誰かに触られたような」感覚が生じたのだから無理もない。でも彼女の『触覚』はゼロになっているから、「触られていないのに触られているような」感覚になっているはずで、こればかりは実際に自分の身体で体感したことのある私でも説明が難しい。あえて例えるなら、足がつる直前の勝手に筋肉が動く感じ、かな。彼女は突然自分の身体に生じた感覚に戸惑っている。  私はそんな彼女の戸惑いには構わず、両手の親指を使って彼女の両胸を同時にこねくり回した。 「……!? んぁっ、っ……!」  背中合わせになっている彼女の身体が思わず後ろに逃げ、私の身体を押してしまい、慌てて前に体重を戻すのがわかった。電車の扉のガラスにその胸が押しつけられ、潰されているのがわかる。  私は次に彼女の腰部分をタップしてそこの表示を大きくする。軽く入り口付近をつんつんと指先で突いてみると、彼女は面白いように反応して腰を弾ませた。  あまりここを刺激しすぎると人によっては漏らしてしまったりするから注意が必要だ。私は別に彼女を辱めたいわけではないのだし。  こんなことをしておいて何をいまさら、と思うかもしれないけど、私の目的は別に彼女を虐めたいわけじゃない。私はごく普通の露出ッ子であり、サドスティックな面は持ち合わせていないつもりだった。  だから私は私の目的のために。  アプリを操作して彼女の下着を消した。 「……へぅ!?」  ものすごい変な声を彼女が発する。これにはさすがに周囲の人たちも怪訝そうな視線を彼女に向けるが、彼女は真っ赤になった顔を伏せて何も言わない。言える訳がない。  満員電車に乗っていたら突然ノーブラノーパンになってしまいました、と言われて信じる者はいない。最初から着ていなかった痴女と思われるのがオチだし、そもそも言ったところでこの状況が改善されるわけでもない。  何かの間違いだと信じて、注目を浴びないように黙っていることくらいしか、いまの彼女に出来ることはない。いまの私たちは夏服で、上半身は薄いブラウスと透け防止のシャツくらいしか身につけていない。見る人が見たらノーブラであることはすぐバレてしまう。  人が触れているという感覚を無くす機能といい、つくづく痴漢するのに便利なアプリだと思う。  下着をはぎ取られた彼女は、落ち着かなさそうに身体を竦めながら、せめてもの抵抗か腕で胸を隠すように覆っている。直接胸が扉に触れないようにというつもりだろうけど、私にはそれは全く無駄な抵抗だった。  アプリの画面に表示されている彼女は自然体の体勢のまま。つまり胸も隠せていない状態だ。私は画面の端に表示されている様々な道具アイコンの中から「ローター」を選択して、画面上にローターの画像を表示させる。それは私が指先で抑えると、その指先の動きに合わせて動いてくれる。  そのローターの画像を彼女の右胸に合わせるように動かした。 「……ッ!」  きっとまた何か来る、と予想していたのだろう。今度は彼女は声をあげずに堪えることが出来た。それは無用な騒ぎを起こしたいわけではない私としてもありがたい。  ローターを右胸においたまま、もう一度ローターのアイコンをタップする。するともう一個画面上にローターが出現した。  それを今度は左胸の上においた。いま彼女は両胸にローターの刺激を受けている状態というわけだ。 「……ぁ……っ……ぅ……」  彼女が声をあげまいと必死に堪えているのが私にも伝わってくる。そんな彼女の努力を愛しく思いつつ、私は画面を操作して彼女の「現在のデータ」を表示する。  現在のデータとは、文字通り彼女の現在の状態を数値化したものだ。空腹度合いとか興奮度合いとか、発情度合いまでわかる。  それはリアルタイムで変動していて、いまもローターの刺激を受けてか、彼女の発情度合いは徐々に増している。  いかにその気が無い人であろうと、乳首に物理的な刺激を与え続けられれば当然情欲は高まっていく。  けれど周りの状況が状況だし、そんな簡単に情欲に溺れることはない。普通ならば。  そこでこのアプリの出番、というわけだ。  この数値は見るだけじゃなく、弄ることが出来る。ゆっくりと発情度合いを上昇させていくと、背後に立つ彼女の身体が熱を持ち始めて、呼吸にも明らかに興奮しているような熱が含まれ始めた。  私はさらに彼女の興奮度合いを高めるため、両手を使って彼女の全身を刺激し始める。  電車に乗っていたら突然下着が消えた。  何を言っているのかわからないと思うけど、わたしにも何が起きたのかさっぱりわからないの。  電車内はいつもの満員っぷりで、周囲からぎゅうぎゅう押されて息苦しかった。  もちろん、こんな中では自由に動くこともままならないわけで。  絶対にやらないけど「電車の中で下着を脱いでください」と頼まれたとしても、「そもそも無理」と答えると思う。  それなのに、わたしが確かに身につけていたはずの下着の感覚は消えていて、私はノーブラノーパンの状態になっていた。  そんな状態で町中に出たことなんてないし、もちろん満員電車に乗った経験もない。  わたしは人生で初めての状況に突然放り出されていた。 (な、なんなの……? どうして、こんな……)  その時わたしが最初に感じたのは、気持ち悪いとか怒りとかじゃなくて、純粋に恐怖だった。  だってもし誰かが悪意をもってこれをしたのだとしても、満員状態の車内で下着を抜き取るなんて離れ業が出来るわけがない。  自分の常識では理解できない何かが起きているのを感じて、震えが止まらない。  そう頭では思っているのに、わたしは。 「……ッ、……んっ……!」  思わず上がりそうになる喘ぎ声を抑えるので精一杯だった。幸い周りの人には……後ろのクラスメイトにも気付かれていないようだったけど、このままじゃいつ気付かれるか。  そう、どうしてかわたしはこの状況に興奮してしまっていた。電車内でノーブラノーパンにされた、なんて人にいっても信じてもらえるとは思えず、周りの人にバレたら一環の終わりという状況だというのに、わたしの身体は心臓がドキドキうるさく鼓動を奏で、まるで『ローターでもあてられている』かのように胸の先からびりびりとした快感が走る。  悶える拍子に太股同士をこすり合わせてしまった拍子に、スースーするはずの股間に熱が集まっているのを感じていた。  すごく身も蓋もない表現をすると、わたしは発情してしまっていたのだった。  こんな異常な状態で、いままで家の自分の部屋でこっそりやったオナニー以上に興奮しているなんて、どう考えても変態だった。  それを否定したく思うのに、身体が感じる気持ちいい感覚は留まることを知らずにわたしをどんどん高みへと押し上げていく。  わたしはいっそこの快感に身を任せてしまった方が楽なんじゃないかとも思ったけど、まだ残っている理性がそれをしては人生が終わると、必死に食い止めてくれていた。  そんなわたしの必死の抵抗をあざ笑うかのように、ついにその場所にも強い刺激がやってきた。  アプリによって激しい快感を味わっているであろう彼女が、羨ましくなってきた。  私は彼女の操作を維持しつつ、自分自身のデータを呼び出す。そこで素早く下半身の衣服を取り去った。  現実の私からも靴や靴下を除いた下半身の衣服が消え、上半身こそ普通だけど、ノーブラノーパンの彼女よりも恥ずかしい格好に自らなる。  どくん、どくんと心臓が高まり、私は彼女のお尻と自分のお尻をこすり合わせるように動かした。彼女にはまだ制服のスカートが残っているとはいえ、布一枚越しに彼女の熱い肌を感じる。  いまだに彼女の触られている感覚はゼロのままだから、彼女自身はよくわかっていない感覚になっているだろうけど、私ははっきりと彼女のその部分の感触を感じられている。  私はまだ使ったことのなかったアプリの機能を使ってみることにする。  アプリ上に表示されている私の身体と彼女の身体を、アプリ上でも背中合わせにして、腰と腰を合わせて高さを揃える。そして、アイテムの中から凶悪なU字型の双頭バイブを取り出した。  双頭バイブを長押しして、アイテム自体の設定を弄る。それには『処女喪失選択』機能があり、スイッチをオフにしておいた。ついでに『スムーズな挿入』もオンにしておく。  これで準備オーケー。  私はためらいなくそれを私と彼女の膣めがけて挿し込んだ。微妙に電源プラグをコンセントに入れる感覚を思い出したのは、予断。 「はぁうっ!!」  びくん、と彼女が身体を震えさせて身悶える。さすがに大きな声だったから、周囲から注目を浴びて、彼女はただでさえ真っ赤な顔をさらに真っ赤にして俯いてしまった。 「大丈夫ですか?」  そんな風に近くにいた会社員の人が気遣ってくれるのが見えたけど、それはかえって彼女の羞恥心を煽ることになる。 「だい、だいじょうぶへす!」  そう答えている彼女には申し訳ないと思うけど、私は彼女に皆の意識が向いていることで助かっていた。  なにせ私は彼女と違い、下半身裸だ。私が同じように注目されていたら、誰かに気付かれていたかもしれない。  そんなスリルがまた楽しいのだけど。私は差し込んだばかりのU字バイブをまずは画面上で上下に動かした。身体の中をバイブのような感覚が上下する奇妙な感覚がある。感覚があるだけで、私たちのそこはなんともなっていないのだけど。  愛液が溢れて太股まで垂れているのを感じた。  次に私は現実で身体を動かしてみる。少し彼女から腰を離そうとしてみると、まるで本当に彼女に繋がっているみたいに、抵抗があって元の位置に戻された。その動きは彼女の体内を抉ったはずで、彼女も思わず身体を動かし、その動きが今度は私の体内を抉り、とまるでお互いに責め合っているような構図になった。 「~~ッ……!」  もう顔には出さないようにと彼女が必死に堪えているのがわかって、私は彼女を抱きしめてあげたくなる。  その代わりに、バイブのスイッチをオンにしてあげた。  彼女が腰を跳ねさせて私の内壁を抉りにくる。これには私の方もさすがに平静ではいられなかった。  互いに身体を震えさせ、目の前が真っ白に染まる絶頂へと至る。  私はともかく、恐らくは絶頂自体初めてであったであろう彼女は意識を失い、その場に倒れ込みかけ、  その瞬間、携帯が激しく震動した。 「あの……本当に大丈夫ですか?」  さっき気遣ってくれた人が再度背後の彼女に問いかける。  彼女はきょとんとした顔を浮かべていることだろう。 「え、あ、はい。大丈夫です……?」  不思議に思っているに違いない。気付けばちゃんと下着も戻っているし、異常な興奮状態にあった身体も元に戻っている。白昼夢でも見ていたのかと思っていることだろう。  それは私も同じで、ごく普通の通学中の学生に戻っていた。もちろん、下半身の服もちゃんと着ている。  目的の駅に到着し、私と彼女のみならず、この駅で降りる学生が降りていく。  私と彼女はその人混みに紛れて離れてしまい、次に会うのはたぶん教室だろう。  十分な快感を共有してくれた彼女に感謝しつつ、私は歩きながらちらりとアプリの画面を見た。画面には『規定のトラブル数値を超えました。緊急リセットを実行します』という文字が出ている。  これは『設定していた以上のトラブルが発生した場合、アプリによる操作をする前の状態に回帰させる』機能が過たず機能したことを示している。  私が設定したトラブルは、『周囲の人に異常だと認識され、警察・救急者を呼ばれる』ことになっている。  つまりもし彼女が気絶して倒れてしまっていたら当然周囲は気付いていただろうし、救急車を呼ばれていたということだ。それを感知したアプリが、そうなる前に、彼女と私の状態をアプリで操作する前に戻してくれた、というわけ。  このセーフティによって、多少は無茶なことも出来るようになっている。本来の使い方でいうなら、女の子が本格的に抵抗して警察に通報されそうになってもギリギリで元に戻るというところか。 (気絶するまでやったのはやりすぎだったかな……でも、これで目覚めてくれたらいいなぁ)  私がこのアプリを使って人を巻き込むのは、私のように露出プレイに目覚める子が現れることを期待しての行為だった。  別に一緒に露出プレイをする仲間が欲しいわけじゃないんだけど、こんなに気持のいい行為なんだから、可能なら他の子にも目覚めて欲しい。  いまのところその試みは空振りに終わっているけど。  私は露出アプリを悪用することを覚えてしまったのだ。 おわり


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